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異世界公安第六課 異能特殊事件対策係   作者: 一二三 イロハ
甲子 《 設立 》
10/10

嚆矢濫觴 -肆-

「実は犯人が殺人に使った武器を俺は入手している」


俺は同時にここへ来る途中に借りてきた果物ナイフを取り出し皆に見せびらかせるように掲げると、予想通りニコを除く三人は驚いていた。

俺は彼等の様子を伺う訳でもなくお構い無しに続け様に言う。


「現場から少し離れた場所に捨ててあった。刃先の血も拭き取られていたが恐らくこれに違いないだろ」


俺はその見せかけのナイフを鍛冶屋の男に手渡し言う。


「返すぞ、犯人」

「は・・・はぁ!?!」


驚いたのは鍛冶屋だけでない、俺以外周りの全員が驚いていた。 まあ少女の場合は少し事情が違うが。


「ちょっと待て!なんで俺が犯人なんだ!!」

「そのナイフ見ても分かんねぇのか?」

「何の話だ!」

「よく見ろ」


鍛冶屋は動揺しながらもマジマジとナイフを見るが俺の顔を見合わせては険しい顔をする。 追い打ちをかけるように俺は言った。


「鍛冶屋なのに分からないか?これで切られて殺されたんだぞ、ロイって人」

「待て!このナイフで人を殺したのか!?」

「ああ、間違いなく」


男は落ち着いた様子で静かに笑った。


「馬鹿にするな、このナイフは偽物だ」

「何だと、それは間違いなく犯行現場の近くにあった物だぞ」


鍛冶屋は刃先を指さす。


「刃先がボロボロだ。あの切り傷から見るにこのナイフじゃありえない、上手く出来ても致命傷だ」

「成程、流石鍛冶屋だな。武器をよく分かってる」

「どうせ、自分が捕まりたくないからって、急いで用意した物なんだろ!関係ない人間を犯人扱いしやがって下衆が!!」

「確かに刃先は良くは無いな、だが傷は負わせられる」

「素人が適当抜かしやがって!」

「切られた傷口、なんでこれの刃先じゃないと分かるんだ?」

「な・・・なんでってそりゃ実際にロイの死体を見りゃ分かるだろ!」

「見て?切り傷を?」

「ああそうだ!俺以外の奴も見てただろ!それはこいつら2人もだ!」


徐々に詰め寄って来る男に少女は俺の前に立ち男を阻み言う。


「私が見つけた時、誰も近寄らず少し遠目から見てたでしょ?そんな遠目から判断出来る傷口じゃない。 私ですら近くで良く観察して気付いた位」


それを聞いた男は少し後退りする。


「態々遺体に近付くやつはいない、血の量や変色具合から明らかにまだ助かるってレベルの遺体の状況じゃないしな」

「ま・・・待て!そんな理由で、たかがそんな事で俺を犯人にするのか!?ニコ様も何を言いますか!!遠目から見ても分かります!あの傷はナイフによる傷で相当の切れ味です!!」


男の必死の形相に皆静まり返り、そんな中ハンターは言う。


「なあ、なんであんた・・・切り傷でそこまで分かるんだよ」

「なんでってそりゃ・・・俺は鍛冶屋・・・」


男は気付いたが もう遅い。


「お前の言う通りこれは借りてきたナイフで凶器じゃない。なのになんでそれを疑っているのに"ナイフである事"は否定しない、鍛冶屋なら武器も色々と知ってるだろ?

それにだ、切り傷を見て判断したんだろ?"人を切ったその傷口"を見て」


動物を捌いてきたハンターだからこそ気が付いた理由もそこだろう。

証拠が無いにしろ、明らかに"ナイフ"でこの鍛冶屋の男は人を切った事がある。今回の件に関わろうが関わらまいが十分に調べられる程の疑いはかけられる。


まあ恐らくこいつに違いないだろう。調べれば何かしら証拠は出てくるだろう。

証拠も調査も不足する中、突貫工事のブラフや揚げ足取りでここまでやれたなら上出来だ。


鍛冶屋の男はそれから黙り込んだ。 何かいいたげに口をパクパクと動かすが言葉は出ていない。

場は静まり返りながらも農家やハンターは静かに鍛冶屋との距離を取りつつ、彼以外が古屋の出入り口に自然と集まり、そんな中で農家は俺に言う。


「そう言えば・・・なんであなたもロイの遺体を見てナイフを持って来たんだ?あなたも分かっていたって事だよな?」


恐る恐る尋ねる男に俺は少女に答えた様に同じ様に話した。


「こういう殺人事件の現場で犯人探しの調査するのが俺の仕事だからな、良く遺体を見てるから分かるんだよ。警察・・・、ポリスだポリス。 分かるだろ?」


その問いに農家は首を傾げる。ふざけているようにも見えないが何処の国にもいる警察を知らないは無いだろ。


「しょ・・・証拠は・・・」と弱々しく微かに声が漏れ出た様に鍛冶屋は言う。


「そうだな、ナイフには間違い無いとして、こんな平地で適当に捨てればすぐ見つかるだろうからな。鉄なら処理も簡単じゃ無いはずだ。となれば鍛冶屋なら溶かすか廃材に紛れ込ませているかだな。誰かこの後こいつの家か作業場があれば調べて見てくれないか?」


それを聞いた農家は「はい!」と一言言い、一目散に古屋から出て行き、その跡を追う様に少女も急いで農家の後を追ってそのまま出て行ってしまう。

俺とハンターにこの鍛冶屋の男三人、鍛冶屋はと言うと項垂れたままで俺とハンターは掛ける言葉もなくただその様子を見守っていた。


「・・・ふ・・・ふふ、もう終わりだ」と口にする鍛冶屋は徐に背に隠し持っていた短剣を取り出し、ゆったりと此方に近づいてくる。 どうやらやけにでもなったのだろうか。


「こうなっちゃもう後に退けねぇ・・・、お前も試し切りしてやるよ」


鍛冶屋の男は短剣を構え俺を目掛け剣を振り回す、太刀筋はそれなりだが日頃の警察訓練の成果は実直で躱わす事自体難儀では無かった。


「おいあんた!!こんな狭い部屋だと危ない!!」


ハンターは一足早く古屋から離れ俺に警告をするが、そう鍛冶屋も簡単に逃してはくれない。

振るわれる剣を避けながら、男が大振りに振った瞬間を見逃さず、俺は懐に潜り込み男の腕を掴み犬と共に振り下げた腕の勢いと共に男を背負い投げで地面に叩きつけた。

男はその衝撃で剣を手放し地面を滑り落ちる。ハンターは見逃さず直様短剣を拾いなんとか男を無力化出来た。


こうして俺はなんとか事件の解決へと導いた。

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