西南にYelang(夜郎)という国あり
前漢、武帝の頃、
西南にYelang(夜郎)という国あり
武帝、使者を使わす
使者はいう、頭を垂れ、朝貢するがよい
王はいう、漢王朝何もぞ、わが国は独立国である
使者はいう、王よ、余りにも世の中を知らなさ過ぎる
王はいう、武帝の使者とやら、お主らこそ、わが国を知らなさ過ぎる
使者はいう、弓矢を交えることになるが、よろしいか
王はいう、勿論だ
使者、武帝にありのままを報告する
武帝はいう、隴西の太守、李広に夜郎国を攻めさせよ
降伏せぬのであれば、国ごと滅ぼしてしまえ
こうして李広将軍は2万の軍勢をもって、夜郎国を包囲する
Yelang(夜郎)国の王は、国中の兵を集めていう
Yelangの強さ、みせてやろうぞ
おおー、と気勢を上げる兵たち
李広将軍は、報告に驚く
平野にて、正面決戦を挑んでくるとは
5千の兵で、勝ち目はあるまいに
よろしい、正々堂々と戦おう
BC109年、夜郎王の戦いが始まる
漢王朝、李広将軍率いる歩兵2万
夜郎国、夜郎王率いる弓騎兵5千
夜郎王は最初に、別働隊、弓騎兵5百人にて漢軍の補給線を寸断
続いて歩兵に対して、接近すれば後退、離れれば弓で射続ける
瞬く間に漢軍は劣勢となる
李広はいう、ば、ばかな
この局面で夜郎王自ら、弓騎兵3千を率いて猛烈な中央突破を行う
漢軍は中央を分断され、左陣に敵兵ありと報告
夜郎国別働隊、5百人が戦場に駆け戻る
右陣は、夜郎王率いる3千人に時計回りで包囲され、殲滅されつつある
明らかな敗北を目前にし、逃げ出す漢軍
李広も、あわや捕虜となりかける
飛将軍と知られた武名高き李広、敗兵1千人をまとめて、なんとか夜郎国より逃げ出す
李広将軍はいう、夜郎、恐るべし、全く歯が立たない
そのまま都の武帝に復命する
我が軍では、敵いませぬ、歩兵では弓騎兵に蹂躙されるばかり
10万の兵を用いても、勝利は難しいと存じます
武帝はいう、漢王朝の広大な領土と、自国の軍を過大に評価し
おごり高ぶっていたのは私のほうだったらしいな
下を向いて、沈黙する李広
よい、夜郎国には、今後手を出すな
この戦い、史書に残してはならぬぞ
Yelang(夜郎)国の王は、戦争に勝利した
大国である漢に圧勝した
王はいう、我らは国土は小さい、しかし我らの弓騎兵はとても強い、漢との差は大きい
歩兵とは違うのだよ、歩兵とは
夜郎自大! 夜郎自大! 夜郎自大!
Yelang(夜郎)国の民と兵たちは唱えている
いつまでも