九話 リバルバ
とりあえず話を書く!そして読んでもらう!頑張ります!
「ここはもともと普通の都市だったんだが、戦争で崩壊した。けど結構原型が残っている建物もあったから、ここをうちたちは拠点としてるんだ」
見渡せば、確かにかなり原型のままの建物もあり、またかつての店の看板が残っているのもあった。
そこをここの人たちは自分なりに改修工事して過ごせるようにしたということか。たしかに一から作るより、原型が残っている建物を自分なりに作る方がまだ早いのかもしれない。
「不思議な街ですね、ここは」
「まぁな」
そう言ってリアは積んでいた警備兵の装備やヘルメットを持って、レデュガーの方を振り返る。
「レデュガー、先に行ってる。後でまた合流で」
「あいよ」
そう言うと、リアは歩き出す。すでにズボンは変わっていた。
「ついてこいよ、フィル。その手錠を外しに行くぞ」
俺は言われた通り、リアの隣を歩く。地面もかなり舗装されていて、木材などを使ってインフラはだいぶしっかりしている。またお店も普通に営業されており、一通り生活空間は完成しているみたいだ。
「すごいですね。もう普通に街じゃないですか」
「どれもこれもここに居る人たちの努力の結晶さ。ま、そこにはテクノロジーの力もあるが」
浮遊しているドローンは洗濯を手伝っていたり、車型のロボットは瓦礫を撤去していたりと活用されているみたいだ。
「あれらのロボットはアンオーダーじゃないんですか?」
「あぁ。あれらはこの街のメカの人たちがちゃんと作ってるんだ。ほんと、彼らには頭が上がらないよな」
メカを作っている人もこの街にはいるのか。今のところ殺人ロボットや偵察ドローンぐらいしか実際に見てないため、あのようにお手伝いしているのは新鮮だ。
「あ、そういえば今は何処に向かっているんですか?」
道路端を歩きながら、俺はリアに尋ねた。
「メカの人たちのところ、所謂ラボだ。その手錠と、この最新の警備兵装備を見てもらうためにな」
裸足で石を避けながら、リアについていく。朽ちたアパートを補修したものや、店に人々は行きかっていた。少し大変そうだが、しっかりと生活はできているようだ。
「この街に居る人はどのような人なんですか」
「大体は戦争を追われた難民や、反社会的勢力だ。うちも似たようなもんさ。レデュガーもな」
「子供から大人まで居ますもんね…」
決して裕福とはいえないが、皆生きることに希望を捨ててはいないようだ。苦しくも笑顔で会話し、互いに協力しているのが見て取れる。
そしてしばらく歩くと、周りとは一風変わった大きな建物に着いた。
「よし、着いた。ここがラボだ」
「あ、ここが…」
広く円柱の白い建物だった。高さは普通だが、周りには多くのロボットが置かれていた。
「さて、入るか」
「はい」
リアは近づいて、一番近くのドアを開け中へと入って行く。俺も続いて入ると、中は綺麗なラボだった。多くのパーツや機械があり、作業をしているのも多く滞在していた。
「気をつけろよ。全部繊細な機械だからな」
「は、はい」
リアの後ろに立つようにし、そのまま歩き始める。皆既存の機械や、パーツとパーツを組みなおして新しい機械を作ろうとしているのだろう。作業机や棚が多くあり、人々は椅子に座って繊細に機械を弄っている。
そして奥の方へ奥の方へとリアは進んでいく。そして突き当り、一つの部屋のドアにたどり着く。
ガチャリと開けると、座って作業台で作業をしてる男性が一人。白髪で作業着を着てゴーグルをしている青年だった。
「戻ったぞ」
ぴくりと男性は反応し、ゴーグルを外しながらこちらに振り向く。青い目をした、俺より少し年上のような風格の男性だ。髪も普通の青年っぽく、眉毛のしたまで伸びた前髪で、後ろも普通にうなじ上くらいまでのびている。
「リアか!しばらくぶりだね」
青年は立ち上がり、ゴーグルを机に置いた。そして歩いてくると、俺に視線を合わせてきた。
「ん?この人は?」
「あぁ。今回の遠征で回収したアウトサイダー、フィルだ」
そう言ってリアは俺の背中を叩いた。
「あ、初めまして。フィルと言います」
「うん、初めまして。僕はクラファ。メカ担当だよ。よろしく」
そう言って手を伸ばした時、クラファと言う人は気づいた。
「ん?君、手錠…されてるんだね」
リアはニッと笑うと言葉を続けた。
「そういうことなんだ。クラファ、彼の手錠を外してほしい。ついでに…」
リアは警備兵のヘルメットとジャケットを差し出した。
「これらも、調べておいてくれ。ユートリスの警備兵の最新防具。撥水性抜群なシロモノだ」
クラファはリアから防具を受け取り、こちらを見た。
「なるほど。じゃあ、フィル君。こっちついてきて」
リアはこちらを見て頷き、行って来いと合図した。俺はクラファの方についていき、クラファは防具を近くの棚に置いた。
「ふぅ。よし、それじゃあフィル君。この作業台にその手錠を乗せてくれるかな」
俺はこくりと頷き、両腕をさきほどまでクラファが作業していた作業台に乗せた。何とも広い作業台だ。近くには先ほどまで作業していたであろうパーツが転がっている。
「じゃあちょっと見せて」
クラファは手錠に手を伸ばし、じっくりと見ている。非常に頑丈で、簡単には壊れなさそうだ。
そして彼の指が俺の手に触れたとき、気づいた。彼の指の皮膚がとても固かった。様々なものを触って、押さえて、作ってを繰り返したのだろう。
「最新式の手錠…またすごいのを。よし、ちょっと待ってて」
クラファは道具を近くの壁から取っている。俺はリアの方を振り向いた。
「大丈夫だ、フィル。クラファは信頼できる。随一のメカオタクだからな」
「メカオタクって…もっと言い方あると思うんだけど」
「事実だ。それに、褒めてるんだぞ」
「そうですか」
道具を持ってくると、彼は机に置いていたゴーグルをはめる。どうやらただのゴーグルではないらしい。こちらからは彼の青い目が見えない。きっと最新式のゴーグルなのだろう。
「随分と精密だね…」
両手に道具を持ち、俺の手錠を調べている。プレートを外し、中の機械が露出する。
「手錠にもプログラムを付けているんだ…全く凄いね最近のあの街は」
近くにあるコードを持ち、露出した所の出っ張りに接続する。そして近くのPCと接続し、そのゴーグルを外してプログラムを見ている。
「パスワードか生体認証…ね」
そしてPCを弄り始めるクラファ。俺はと言うと机に両手を置き、手錠を動かさないようにしていた。手錠からコードが伸び、それがPCとつながっている。クラファはずっと操作をしているようだが、俺にはチンプンカンプンだ。
すると、次の瞬間。
カチャ。
手錠が外れたのだ。おれは思わず手錠から両手を上げ、自由になった手首を手で摩った。
「す…すごい。ありがとうございます」
「どういたしまして」
俺はリアの下へと行くと、リアはクラファの方を向いた。
「ありがとうな、クラファ」
「いや、大丈夫だよ。こんな手錠や、装備も持ってきてくれて嬉しい限りだよ」
「クラファならそう言うと思った。そんじゃあ、またな」
俺はリアのあとをついていき、ラボから出る。周りを見ながら、リアに尋ねた。
「あの、リアさん。俺、これからどうしていけばいいですか?」
リアは微笑んで、腕を組みながら言った。
「生きる術を教えてやる」
話ごとの文字数の幅が大きい気がする…