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八話 街へ

「さてと、食べたことだし、移動再開だな」


リアは立ち上がって椅子を畳み始める。俺も自分の座っていた椅子を畳み、レデュガーも焚火を畳んでいた。

俺は椅子を両手で掴み、トラックに運ぶ。運転手はレデュガーに交代するようだが、そんな彼は今ガソリンを注入しているようだ。

俺は後部座席に乗り、リアは助手席に乗った。俺は今一度窓の外を見る。草原が広がり、風が気持ちよく吹いている。だがここも数年前は、戦場地だったはずだ。

そういえば今日はまだあのロボット(アンオーダー)に会っていなかった。戦争に使われたロボットで、今もなお彷徨っている。命令はもう無いはずだが、きっと積んでいるAIがまだ脳として動いているのだろう。

トラックが揺れると、運転席にはレデュガーが乗っていた。


「そんじゃ、行くぞ。もう街まで2時間くらいだ」


エンジンがかかり、燃料メーターが一杯になる。道路に戻ると、俺たちはまた移動を再開した。



揺れるトラックに身を任せ、手錠のついた両手を下におろして窓の外を見ていた。

彼らがいう目標。それはロイド化した人間たちの解放、そう言っていた。

戦争が起こり、各国は平和交渉をした末に何とか終戦したが、その過程には核戦争もあった。

それは大きな傷口となって、今なおその跡は残っているという。そして二度と戦争を起こさないための手段、それが人々の思考の支配ということだった。

社会に忠実になる…それは果たして本当に戦争の再発防止になるのだろうか。考えられないと思ってしまうが、戦争の大半は人々の欲求や反発からというのは歴史が物語っている。

その根幹を潰す=戦争の抑止、その考えは誰しもが一度は考えたはずだが、それは正しいのか、正しくないのか、俺にはわからない。

だが少なくとも前の二人はこの考えに異を唱えている。正しくないと、恩人がそう言うのだ。なら救われた俺は、どうすべきなのか。

戦うか、それとも屈するか。それはすべて俺次第だろう。ならば、アウトサイダーとして最後まで戦い続けたい。

果たしてそれが俺に出来るのかはわからないけれど、今はそうして生きよう。

そして2時間後。


「…ん?」


草原は徐々に少なくなってきていた。代わりに見えてくるのは半壊している建物や、崩壊した建築物が多かった。だがそれと一緒に木々も見えてくる。

朽ちた建物にはコケや草が巻いて、花が咲いているのもあった。


「ようやく帰ってきたぜ」


大きなショッピングセンターだったものや、長いビルだったものが、半壊してそこら中にあった。ただ瓦礫などは綺麗に片付いていた。建物は木材などを使って補修しているものもあり、そこで人々が生活しているのも見えた。


「ここは…?」


木々があり、かつて小さな都市だったと思われるこの場所は自然と融合した新たな居住地になっているようだった。

建物の骨組みとなる金属なども露出しているのもあり、なかなかにユニークな場所だ。

人々は行きかって、食べ物を食べてたり、川で洗濯していたりもしている。また武器を持って練習するもの、本を読んでいるものも見て取れる。

レデュガーはハンドルを切って、ガレージだと思われる場所へと車を入れた。


「着いたな」


車が止まり、エンジンを切ると後部座席が勝手に開く。俺は裸足でコンクリートの地面を踏み、そとを見る。ガラスのないビル、草木の生える道路、木材で出来ている家や舗装されたアパート。

まさに自然と融合した廃墟の都市。


「ようこそ、リバルバへ」


リアはそう言って前に出た。ここが、リアたちの言っていた街…リバルバか。

新たな都市の情景をうまく書きたかったんですが、伝わったら嬉しいです。

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