表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

十三話 願い

「…このような、感じです」


リアは今の話を聞いて、背を背もたれにつけ両手を机に乗せた。


「そうか」


窓から夕焼けが部屋に差し込んでくる。舞う埃をキラキラと映し、リアは口を開いた。


「孤児院で育ったんだな。そりゃ、辛かったな」


「…でも、楽しかったです」


リアは両手を合わせ机に置き、こちらを見ながら言った。


「話してくれてありがとうな。…せっかく言ってくれたんだ。うちも少しだけ話そうか」


今思えば、俺はリアのことをほとんど知らなかった。義手を持つ戦闘員、としか認識をしてないがその戦闘力はすさまじいものだった。だがそれだけだ。


「うちは、いろいろな所を旅していた。まぁそのほとんどは戦争の跡地とかなんだけど」


そう言いながら彼女は部屋の家具や装飾品を指した。


「これらのほとんどはそこからくすねた品々だよ。あまり統一性がないだろ?そういうわけだ」


リアは立ちあがって、壁に飾っている絵を持った。戦闘民族が争い合っているイラストだった。


「これとかどうだ?なかなかユニークな絵だろ?他にもな…」


壁に絵を戻すと、棚に置いてある帽子に手を伸ばした。ボロボロだが原型をとどめており、濃い赤色のカウボーイハットだ。そっと被ると、こちらに振り向いた。


「似合うだろ?まさにガンマン!…なんつってな」


リアは自分で苦笑してハットを棚に戻した。その他もろもろ、統一性のないあらゆるオブジェクトがここには飾られていたのだ。


「そうやって旅をしているうちに、レデュガーに出会った。あいつは面白いやつでな」


レデュガー。あの筋肉ムキムキでバリカンヘアーの運転手だ。


「会った時にはもう足が無くなっててな。血がだらだらで、急いでうちがリバルバに彼を運んだ。そこで機械専門の奴にレデュガーの足を作ってもらったんだ」


リアが出会った時にはもう彼は足がなかったのか。話から察するに、レデュガーはかなりの瀕死状態だったのだろう。リアの言葉足らずであまり情景は浮かばないが、ひどい状態だったはずだ。


「なんで彼が足を失っていたのか聞いては見たんだが、教えてくれないんだ。まぁ、その後はレデュガーと一緒によく遠征していろんな廃墟や大地を見て回ったものだな」


家の中に置いてあるものを見ながら、思い出を振り返って言っていた。


「ファーラとエルミアは、うちとレデュガーが助けたんだ。あの二人はどちらも家を戦争で追われていたみたいでな。詳しいことはうちの口からは言えんが、相当大変だったらしい」


一周して、リアは椅子に座った。


「あの二人はよくやってるよ。うちが教えたようなもんだが、しっかりと戦ってくれている。ファーラには剣を、エルミアには銃を使わせている。いい連携プレーをしてくれるんだ」


「そうなんですね…」


「この辺りにはアンオーダーがうろうろしている。全部危険なロボットだ。時にはそのロボットにやられて負傷者や死者も出ている。生き残れるのは力を持つものだけなんだ」


「…」


リアは今一度、俺と目を合わせた。


「だから、うちは君に生き残るための力を教える。別に戦わなくてもいい。この街で好きなように生きてもいいし、まだ見ぬ土地へと思いを馳せてもいい。だからどうか」


彼女は俺の手を掴んで言った。


「死なないでくれ。生きて、生き残ろう」


「…はい」


これはきっと、リアからの俺に対するお願いなんだ。生きること、それが最も重要なんだ。ファーラとエルミアにも同様に言っているはずだ。

ここにいる人たちは皆懸命に生きようとしている。あらゆる脅威から身を守り、生きる術を身に着けている。時に未知数のロボットに殺されることもある。でも屈してはいけない。人間は常に、ロボットよりも優れているはずなんだ。


「…よし、そろそろ夜ご飯にしよう。フィル、手伝ってくれるか」


「はい!」


俺は元気よく椅子から立ち上がり、リアと共にキッチンへと向かった。

明日から俺は、この自然と朽ちた都市が融合したリバルバで生きていくことになる。俺にとっての生き方とは、何だろうか。

頑張って書き続けます!たとえ誰の目に止まらなくても!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ