十一話 教え子
「コルリアさん、荷物は裏のガレージに置いておきました。…それで、あの、この人は?」
ファーラ、と言われた男性がこちらを見つめる。俺はガバッと椅子から立ち、軽く会釈をした。
「は、初めまして。フィルと言います…」
リアは鼻で笑いながら、俺の方を手のひらで指してつづけた。
「うちがユートリスで助けた子だ。君たち二人の仲間入りってやつだな」
「はぁッ!?」
そう声を上げたのはファーラだった。剣を短くし仕舞うと、両手を見せて続けた。
「また弟子取ったんですか!?」
「弟子じゃなくて教え子な」
「一緒ですよ!なんでそんな簡単に!?」
ファーラは視線をリアから俺に移し、険しい顔をしてズカズカと歩みよってくる。顔を近づけてくると、腕を組んで喋り出した。
「てめぇ、名前は?」
「え?いや、あの…フィルって言いましたけど」
「フィルかッ!」
ファーラは俺の全体を見て、ボロボロな容姿に対し口角を上げた。
「コルリアさん、なんでこんな奴取ったんですか?ヨボヨボで、何も出来なさそうですよ?それに裸足だし」
「うちの勘だよ。それに、ファーラとエルミアは彼の先輩という立場になるわけだ。仲良くしないとだめだぞ」
「仲良く!?こんな奴と仲良くなんてできるわけないでしょお!?俺ら二人で十分じゃないっすか!」
俺がリアの下に居るのがかなり嫌らしい。少し気に障るが、立場上何も言えないのでだんまりとしていた。一本のエルミアという女性は、腰の前で手を組み、静かに傍観していた。
リアは微笑んで背中を壁につけ、腕を組んで続けた。
「確かに君たち二人はよくやっている。ただ、三人になれば今まで以上に散策が楽になるだろ」
「こんな奴居たって邪魔なだけですってぇ!」
「もうそこまででいいんじゃない、ファーラ」
いよいよ閉じていた口が開いたエルミア。ファーラほど感情を表に出すタイプではないようで、無表情にファーラを避けてこちらに近づいた。
「初めまして。私はエルミア」
対面に立つ彼女は手をこちらに差し伸ばした。俺は流れで手を出し、彼女と握手を交わした。そこで感じるのは、彼女の手の感触。銃をよく持ったであろう手の肉刺が素人の俺でも感じられた。
「よろしくお願いいたします…」
手を離し、俺はリアの方へ向き直る。
「よし、それじゃあファーラ、エルミア。明日から二人は彼の先輩だ。いろいろと教えてあげろよ」
不貞腐れているファーラと、無表情のエルミア。俺はただただ会釈して、3人にお願いするしかなかった。
何か一気に登場人物出た~!