なんともファンタジーな
「……というわけです」
「そうなんだ……?」
「はい……」
「聞きたいことがあるんだけどさ」
「何でしょう?」
「まだ何も話してもらってないよね?」
あたかも、話し終わったかのように入ったわけだけれども。実際は、何も話してもらっていなかった。
「そうですねー」
「なんでどうでもいい、みたいな顔してんの!?」
とてつもなく気になる単語を言ったのはリサなのに、まったく話そうとしない。とても気になるんだけど……魔界。
「では話させていただきましょう」
「最初からそうしてくれてたら嬉しかったんだけど」
「うるさいですね」
「君、最初の方とキャラ変わったよね?凄く冷酷な性格になった気がするんだけど」
「作ってるだけです♪」
「じゃあやめてよ!!」
僕は、これでもか、というくらいに、リサに振り回されていた。これは本当に、一緒にいたら疲れるタイプだ。明日には力尽きてたり、とか。絶対そうだ。
「まぁいいです。説明しますね」
「うん……。よろしく」
僕は苦笑いを浮かべて、ぐだぐだと話を聞く態度へ。リサは、一瞬だけ嫌そうな顔を作ったが、すぐに話し始める。
「魔界とは、私が住んでいた世界なのです」
「さっき聞いたよ……」
「じゃあ、何が聞きたいんですか」
「どんな所か、とか?」
他にも聞きたいことはあったが、全部聞くと、きりがないだろう。ここはあえて、無難に『どんなとこ?』だ。
「お城とか浮いています」
「なんともファンタジーな世界だね」
「魔界ですからね」
「君も、魔界はそういう認識なんだ」
「全時空共通の感性です」
何か、偉そうに胸を張っている。全時空、とか何を基準にして言っているのだろうか。というか、魔界とか痛い子の象徴のようなものじゃないか。
「とりあえず。話を戻しますが」
「何の話だっけ?」
「あなたは魔王、という話です」
「あぁ、そうそう」
すっかり忘れていた。いろいろ話が割り込んでくるものだから、話の根本を忘れ去ってしまっていた。
「ということで、ここに住まわせてください」
「話の繋がりがわかんないよ!?」
僕は、魔王=リサがここに住む。
まったく繋がらない。
「いいじゃないですか」
「姉さんが許してくれるわけな――」
「その話、聞かせてもらったわ!!」
僕が言いかけた時、部屋の扉が、バンっ、と開かれた。そこにいたのは、
「あなたをここに住まわせてあげる!!」
「何言ってんの姉さん!?」
姉さんだった。どうやら、全て盗み聞きしていたようだ。
「ありがとうございます!!では、おやすみなさい」
「そこ、何勝手に寝てんの!?しかも僕のベッド!!」
「………………」
「おーい……」
「………………」
もう既に、寝息しか聞こえなくなっていた。寝付き良すぎだろ。僕は、起こしてやろうと、立ち上がった。だが、姉さんが、それを阻む。
「まぁまぁ」
「いや、僕のベッドが……」
このまま占領されていたら、僕はどこで寝るんだろう。床かな?床なのかな?
「詳しいことは、明日決めればいいでしょ?」
姉さんは、僕を見ずにリサの方を見つめて、言った。珍しく優しい、暖かい声で言ったものだから、ついつい言葉を失う。
「そう、だね……」
リサが、幸せそうに寝ている。その寝顔を見ていると、こっちも幸せな気分になる。僕は、そう思った。
「じゃ、おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
さっきとは違う、普通の声で、僕らは挨拶を交わした。そして、姉さんは、扉から下の階へと戻っていった。
「さ、寝るかな……」
僕は、当たり前のように――床で寝た。
こんにちはっ。鵺です。
最近、AngelBeats!というアニメにはまっています!!
とても面白いですよ。是非、見てみてくださいっ。
では、次話で。ノシ