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7話 甘い物!!

 翌朝、克己達は宿屋の食堂で朝食を取っていると、克己のお店ではスイーツが足りないことに気がついた。

 こちらの世界のご飯はあまり美味しくない、しかもスイーツもないと来たら人生最悪だ! そう思い、克己はタブレットPCに帰ったら作るものとして、スイーツを作ると書き込む。

 ノエルとレミーは、克己が取り出したタブレットPCを見て、薄っぺらの板を叩いて何をしているのだろうと思った。

 暫く色々と入力をしてから、タブレットPCをカバンにしまう。

 二人の疑問は何一つ解決されずに、三人は馬車へ乗り込んだ。

 克己は昨日、涼介と別れてから一度も涼介の姿を見ていないが、涼介は大丈夫だろうかと思いつつも、馬車は出発し、王宮へ目指して進みだした。

 馬車の中で会話が無いのはキツイと感じた克己は二人に質問をする。


「なぁノエル、レミー……二人は甘いものが好きか?」


 克己は馬車に揺られながら二人に言うと、キョトンした顔で二人は克己を見る。


「えぇ、そりゃ……一応私だって女ですからね。私は甘いのは好きですね」


 ノエルが答えた。


「私もそれなりに好きですね。蜂蜜とか、大好きですね」


 レミーは蜂蜜が乗っているのが好きなようだった。


「兵士さんも甘いのは好きですか?」


 克己は一応、聞くだけ聞いてみることにした。


「え? あぁ、はい。それなりに好きですね、焼いた芋なんか甘くて美味しいですからね」


 どうやらこの世界には薩摩芋の様な芋があるようだ。


「うちの店に甘いものが足りないような気がするんだよ、あと紅茶やハーブティー……そう言うのがあれば最高だと思わないか?」


「そういえば、料理は物凄く美味しいですが……甘い物はありませんね。紅茶と言うのはよく分かりませんが……」


 ノエルがそう答えた。


「だよな。昨日の夜、考えていたんだけど新しくスイーツ……甘いものを入れようかと思うんだよ」


「それはいい案ですね! 紅茶と言うのはよく分かりませんが……」


 レミーはそう答えて想像していたが、克己は紅茶に関して説明が面倒なので聞き流した。


「じゃあ、帰ったら作ってみて二人に試食してもらおうかな……」


 克己はそう呟きながら窓の外を見て、後どのくらいで王宮に到着するのか考えていた。


「克己様! 是非、蜂蜜の乗った甘いものを作っては頂けないでしょうか!」


 レミーが身を乗り出して言ってきた。


「それを食べたらレミーが強くなるというんなら、いくらでも作ってあげるよ」


 克己は嫌がらせのように言った。

 レミーは口を尖らせてブツブツ呪いの言葉を吐いていたが、克己は窓の外を見てシカトした。

 しかし、こいつはご主人様に向かってなんてセリフを吐くのだと思いながら克己はタブレットPCを取り出し、二人の武器についてイメージ図を作っていたが、コアを使ったものはレーザーブレードぐらいしかならないのかと、必死に計算し、できる事ならビームサーベルみたい凄い物になってくれたら良いな~。なんて思い、一生懸命作成図を考えていら、レミーや兵士が物凄く驚いた目でこちらを見ている。

 なんだろうかと思い考えていると、こちらの世界ではタブレットPCなんて物はなく、薄っぺらな板を叩いているかのように見えるが、そこには文字が映し出されているため、二人は驚いてみていた。

 また、たまにメモを取るため、紙などを使用する。こちらの世界では、紙は貴重品として使用されており、どんなにお金持ちでも基本的には羊紙等を使っている。克己が普通に使用しているメモ帳などは国宝級の代物であった。また、書く物も炭を尖らせた物とかではなく、ボールペンやシャーペンなので、レミーや兵士には見たこともないアイテムで書いているのだから驚くものである。

 そんなことはつゆ知らず、克己は気にせずレシピや武器の案を考えてはタブレットPCに記載したりメモ帳に記帳したりとしているため、兵士やレミーは目を丸くしていた。


「克己様、その紙は一体……」


 レミーが質問してきた。


「あぁ、これ? 落書き帳。なんかイメージしたものを書いたりしているんだよ、忘れないために」


「ですがそんな貴重なものをそんな簡単に扱いされるなんて……」


 レミーと兵士はさらに驚いている。


「貴重なの? この紙が? ただのノートだよ?」


 克己の規格外に二人は驚きながら克己を見ていた。克己は次の街についたらこれを試してみようかと思いながら、紙に色々計算式を書き込み、イメージ図を書き上げて、タブレットPCでデモを行っていた。


「そういえば大きいカバン等は皆持ってないけど、どこに仕舞っているの?」


 不意に克己は疑問に思い、皆に聴いてみたらマジックバックとやらがあって、それに仕舞っているらしかった。


「そんなのがあるんだ、どこにあるの?」


「マジックバックは道具屋で普通に売っているものですよ? 行ったことないんですか?」


「ないな」


「そんな自慢するようなことじゃありません。それがあれば大抵のものは詰め込めることができるんで、早めに買うことをお勧めしますよ」


 などと、ポンコツ剣士のノエルに、何故か威張って言われた。

 マジックバックと聞いて克己は原理が知りたくなってきた。どんな仕組みになっているのか不思議でたまらない! 早く次の街に到着してくれないかなと思いながら、鞄の中にノートと、タブレットPC仕舞いって外をずっと眺めていた。

 夕方には街に到着し、克己は座りっぱなしでお尻が痛い状態になっていた。馬車から降りるとき、体が固まっているため、体がバキバキと音を鳴らす。できれば車とかどうにかできないかと思いながら、落書き帳に車のエンジン部分と、ガソリン部分を改造しているイメージ図を書いて、電気自動車なら黄色のコアを使えばどうにかなるのでは? と、思いながら宿屋へと入っていった。

 宿屋に荷物を置いて、道具屋にマジックバックを買いに行ったところ、マジックバックは意外と高く、金貨10枚を支払い購入し、宿屋へと帰って行ったのだが、マジックバックの中身を見るために分解したりするため、もう一個買うことにし、道具屋へとまた入っていった。


「マジックバックってどうやって作っているんですか」


 克己は若干面倒臭いと思いながら店員に話しかけ、マジックバックの構造を教えてもらい、なんとなくだが理解できた。だが、原理原則が分からないため、やはり分解が必要だと思い宿屋へ戻り、自分の部屋へと向かう。

 室内に戻るなり、直ぐにマジックバックを分解して、中身の構造を調べ始める。克己は時間が経つのを忘れ、マジックバッグを調べていた。

 翌朝になり、克己はほぼ徹夜で調べていたため、寝ぼけ眼で不味い朝食をとり、馬車の中でノートに色々書き込んだ。

 その後、タブレットPCを取り出し、メモした内容をまとめ始めると、段々とマジックバックの原理原則が分かってきた。それが楽しくなり、さらにまとめ上げていき、ついにマジックバックの原理原則へとたどり着いた。……が、皆がタブレットPCを見て不思議な目をしていた。


「あぁ、これは魔法の板ですよ」


 面倒臭いので、もう全て魔法にしてしまおうと克己は思い、三人に魔法ということで無理やり納得させた。

 新しいマジックバックを開発するため、色々な角度から調べ上げて、暇な馬車の中でノエルやレミー、兵士の三人が見ている中、無言で克己は布袋を改造していくと、拳サイズの布袋がマジックバックとして出来上がった。

 拳サイズほどの布袋の中に物を仕舞うことにして、一息ついて窓の外を見るが、まだまだ時間がかかりそうだと思い、徹夜で疲れた体を癒やすため寝ることにした。

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