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71話 違う方法!!

 王国側が一瞬にして敗れた事は、一夜にして街へと伝わる。


 街の人は、最初は何の冗談かと思っていたが、直ぐに本当の事だと理解するのであった。


 何故なら、自衛隊が車に乗って来て色々と街の中を見て回っていたからだ。噂通りの服装をしており、見たことの無い武器を装備している。そして、馬車でもない乗り物に乗っている。


 しかし、彼らと話をしようとしても言葉が通じないため、お互いが大変な思いをしていた。


 数週間と時間は流れ、自衛隊の住んでいる場所は国に上納金を納めなくても良いとの噂が街には流れていた。そのため、露店で営業していた商人達は自衛隊の住んでいる場所へと移動して、テントを張って勝手に営業を始めた。


 自衛隊は基地に入られては困るため、民間区域との境めである場所にバリケード張って、民間人が住む場所を作ると、商人達はそこに住み始める。


「小宮山士長、随分と賑やかになりましたね」


「そうだな。言葉は通じないけど……」


「広報の人は、少しだけ会話ができるそうですよ?」


「マジかよ、スゲーな」


「なんでも、三曹の使用人と言うのがこの世界の住人らしく、その人に言葉を教えつつ、こちらの言葉を教えてもらっているとか……」


「使用人て……、何処ぞのお嬢様かよ……三曹は……」


 小宮山はそんな話をしながら伊藤と一緒に商業区域を歩いていた。


「三曹がと言うより、三曹の恋人に問題がありますね……」


「三曹の恋人?」


「はい、三曹の恋人は、あの成田克己……なんですよ。玉の輿って奴ですね」


「げ、成田克己かよ……」


「悪い人じゃ無いですよ、取り巻きの人達が面倒臭いですけど……」


 伊藤は苦笑いしながら言うと、小宮山は取り巻きとは? と聞き返し、この間あった戦いで回復魔法を唱えたりしていたメンバーと説明したら、思い出したようで頷いていた。


「あの時、戦場で喧嘩をしていた可愛い子ちゃん達か……。三曹を困らせていたな」


「小宮山士長は初めて彼女等に会ったのですか?」


「あぁ、初めてだよ……おっと、噂をすれば三曹に噛みついていた子じゃないか?」


 小宮山が指差すと、前から歩いて来ていたルノールは、二人に気が付き、会釈をしてきた。


「こんにちは……えっと……あ、アハハ……」


 ルノールは顔だけは知っているが、名前が分からず苦笑いをする。


「こんにちは、私は伊藤いとうこずえだよ」


「俺は小宮山こみやまさとしだ。宜しくな、可愛いお嬢さん」


「わ、私はルノール……です……。宜しく……」


「ルノールちゃんは何をしていたの?」


 伊藤が質問する。


「な、何を……ですか? 向こうで怪我人の治療をしていました……。克己様のご命令で……」


「克己さんの命令?」


「は、はい……治療費を貰う事で資金を蓄えようという話です……」


 ルノールは怯えながら伊藤に説明する。すると、ルノールの後ろからノエルがやってきた。


「あれ? ルノール、こんなところで何をやっているの? 貴女は仕事が終わったから帰るんじゃなかったの?」


「ん……」


 ルノールが指を伊藤達に向けると、ノエルは気がつく。


「あ、伊藤さん……お疲れ様です。何をされているんですか?」


「私達は巡回をしているの。住居エリアで問題は起きていないかの確認だね」


「はぁ、そうですか……住居エリアと言うと、ここに現地の人が住むっていう事ですか?」


「うん、そうなんだよ。あっちにプレハブの家を建てていてね……そこに住ませるみたい」


 ノエルとルノールは成る程……と呟きながら頷き、周りを見渡す。


「完全にここは街にするんですか?」


 ノエルが伊藤に質問する。


「どうかなぁ~。克己さんは街にしようとしているみたいだけど、人が溢れちゃうわよね……税金が無いし……」


 伊藤が腕を組み、考えながら話す。


「ところで、何故君らが働いているんだ? ご主人様は何をしているのさ?」


 小宮山はノエル達に問い掛ける。


「か、克己様は涼介さんと共に、狩りへ出掛けています」


 ルノールが言うと、小宮山は顔を傾げる。


「涼介? そんな奴、こっちに派遣されていたか? 伊藤……」


「士長、涼介さんは克己さんの友人ですよ……」


「ふ~ん、そうか……。狩りねぇ……良いご身分だな……」


「どう言う意味ですか? 克己様はこっちドラゴンを狩りに行っているんですよ? 良い身分とは失礼ではありませんか!」


 ルノールが小宮山を睨む。先程はオドオドしていたが、急に態度が変わったことに、伊藤と小宮山は戸惑う。


「失礼も程があります! 謝罪してください!」


 ルノールは小宮山に言うと、ノエルがルノールを止めた。


「コラ! あんたは興奮するな! 直ぐに興奮する癖を直しなさいって克己様に言われているでしょ! すいません、自分が連れていってもらえなかったから拗ねているんです。克己様はエネルギー問題とか言う奴を改善するために狩りに出掛けています。それに資金は沢山ないと自衛隊の皆さんもお困りになりますから……」


 自衛隊が困る? 小宮山は何故、自衛隊が困るのかが分からず首を傾げ、ノエルに質問する。


「何で自衛隊が困るんだ?」


「何故って……皆さんはどうやってここで生活をするのですか? 現在、自衛隊のペソを換金しているのは克己様ですよ? 休みの日に日本へ帰ることができないから皆さんは街に行って気晴らしなどしているのでは無いのですか?」


 初めて知る衝撃的な事実。確かに小宮山や伊藤は、総務課で換金してもらったものを使用していたが、どうやって仕入れていたかは考えた事もなかった。


「ま、まさか……」


「克己様が最初に来たときに仕入れたペソを、日本に売却したんですよ。ですから、克己様は資金稼ぎに奮闘しているんです」


「そりゃ……わるかったな……」


 小宮山が申し訳なさそうに言うと、ノエルは微笑む。


「別に自慢することではありませんからね。それに違う方法を、克己様はお考えになっておりますから……」


「違う方法?」


「それは今度分かりますよ」


 ノエル達はそう言って家路につき、伊藤と小宮山は首を傾げながら警備に戻っていった。

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