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61話 新しい街は??

 数時間歩き続けたが人影は見られず、人の気配が感じられなかった。


「今日はここで休みましょう」


 克己が言うと、宮川は頷き直ぐにキャンプの指示をする。


「ノエル、ルノールは手伝いを、ハミルとアルスは食料を探しに行くぞ、涼介もだ」


 涼介は気の抜けた返事をしたが、ノエル達は元気に返事をした。


 皆で火を囲み食事を終えると、この後について話し合いを始める。


「克己、人里は良いけどさ、言葉が通じなかったらどうするんだよ?」


「里理ちゃん協力のもと、翻訳機を作ってみた。ほら、昔有ったろ? 犬の気持ちが分かる奴。あれを改造して作らせてみた」


「どういう仕組みだよ……」


「さぁ……? プログラムを組んだのは里理ちゃんだからね……」


 克己はタブレット型の翻訳機を出して涼介に見せると、涼介は適当な言葉を喋ってみたら、「お前のカーちゃんバーカ!!」と画面に出てきて涼介は色々な言葉を言ってみると、ちゃんと反応する事に驚いていたが、本当に合っているのかは分からなかった。


 他にも話をして、就寝することになった。


 皆が寝静まる中、克己は火を眺めながらボーッとしていた。不寝番は森田がやっており森田は背中を向けて座っていた。


 パチパチと音がする中、静寂を破ったのは森田だった。


「克己さん、お話を……しませんか?」


「しても良いけど、こっちを向いて話をしてね」


 森田はゆっくりと克己の方を見て、困った顔をする。


「私の事……嫌いになったんですか?」


「極端すぎる話だね、白と黒しかない話だ……。だけど、嫌いじゃないよ」


「な、なら……」


「拒んだのは君だろ? 妹の挑発と里理ちゃんの挑発に乗ってしまったんだから……」


 森田は力なく俯く。


「だけど元気そうでホッとしたよ。怪我や病気はしてないかい?」


「して……ません……」


 森田は黙ってしまい、克己も火を見つめている。


「もう一度……」


 克己が喋り出すと森田は顔を上げる。


「もう一度結婚してくれってお願いをしたら……迷惑か?」


 森田は驚いた顔をしたあと、目に涙を溜め、克己に言う。


「め、迷惑じゃない……お、お願い……もう一度……一緒に……」


 森田は顔をクシャクシャにして克己に言うと、克己は微笑む。


「里理ちゃんの所為で親を説得するのが大変だな……」


 森田は手で顔を覆い隠し、声を殺して泣く。克己は森田の隣に移動して体を寄せる。


「小さい家で良いよね? 日本の家は……。こんな生活だからペットは飼えないけさ……」


「何処でも良い……一緒にいられるなら……私の克己さんになってくれるなら……」


「アルス達には何て言うかなぁ……」


「構わない、私のもとに戻って来てくれるなら……好きなことして構わない! アルスさん達と寝ても構わないから……だから、もう私の前から消えたりしないで下さい……」


 克己の胸に顔を埋めながら森田は言う。克己はその頭を撫でて申し訳なさそうな顔をした。


「我が儘ばかりでごめんね……」


「構わないですから……」


 そして二人の未来が動き出した。


 翌朝になり、克己達は朝食を取ってから移動を開始する。


「慎重に行こう……この世界の住人がいたとしても、穏やかな人とは考えられない……注意深く、様子を窺いながら前進をしよう」


 宮川がそう言うと、克己達は頷き、慎重に先へと進んだ。暫く歩いていくと、人の声のような音が聞こえてくる。


「克己さん! 聴こえましたか?」


「二尉、急ぎましょう! 何か争っているように聞こえた!」


 克己達は早足で歩き始め、声らしき音がする場所へと進んでいく。


 徐々に音は声に代わり、何かを叫んでいるようだった。


「ストップ!」


 宮川が全員の動きを止める。


「一旦、双眼鏡で覗きましょう……。いきなり行くのは危険すぎる!」


 宮川はそう言って双眼鏡を取りだし覗き込む。森田は克己の顔をチラッと見ると、克己はライフルの標準を合わせていた。


「二尉、子供が魔物に襲われてる! ノエル、アルス! 先攻しろ、俺は護射撃をする!」


 克己が叫ぶと、二人は駆け出し声がする方へと走る。克己は二人に当たらないように狙撃を開始した。


「ハミル、ルノールは二尉達の後に続け! 涼介!」


「わかってる!」


 涼介も標準を合わせ、射撃を始め前進を開始する。


「克己、俺達も行くぞ!」


 涼介はアルス達が到着したのを確認して狙撃を止め、皆の後を追いかけた。


「ノエル! 怪我人を! 私が前に出るから!」


「了解、無理はするなよ!」


 ノエルは血を流している人に近寄り、回復魔法を唱え傷を癒やす。アルスは前に出てビームサーベルで魔物を斬り倒し、注意を自分に向けた。


「アルスさん! 援護します!」


 森田と伊藤が銃で魔物を撃ち殺し、魔物は全滅した。


「緑川! 怪我人の確認を!」


 宮川が言うが、ルノールがやって来て、一気に怪我人を治していく。そのため、緑川の出番は無くなってしまった。


「二尉、状況は!」


 克己が追い付いて宮川に状況確認を行う。


「敵殲滅! 怪我人はいますが、問題はなさそうです」


 アルスとノエルは、ルノールに治療を任せてコアを回収していた。森田と伊藤は周囲を警護しており、緑川はルノールの後を追いかけていた。


「克己、現地人だ……どうする?」


「取り敢えず話しかけてみないと意味がないだろ……。もう大丈夫だよ、君達」


「*****」


「やっぱり言葉が通じないな……俺たちの言葉も通じていないようだし……。ここはこれの出番か?」


 克己はタブレット型翻訳機を取り出して子供に話しかけさせる。


「お? 翻訳が出来たようだぞ?」


「なんて書いてあるんだ?」


「お前達は何者だ……だってさ、助けたのにそりゃないだろ?」


「子供なんてそんなもんだろ? こっちの言葉をどうやって伝えるんだよ?」


「ここのボタンを押すとモードが変わり、翻訳機と、通訳機を兼ね備えている一品です」


「それを早くやれよ……」


 涼介は呆れながら言って、克己は通訳機を使用する。子供たちはそれを見て驚き、克己達に問いかける。内容は簡単だった。わー! スゲー! とかそんなモノだった。涼介は本当に通訳されている機械に驚きを隠せない。


「本当に天才って奴は……」


 そう呟き、克己達の様子を見ていた。


 克己は子供たちと通訳機を介し話をすると、街まで連れて行ってくれることになった。


『お前達変わった武器を持っているな』


「お前というな、俺方が年上だろうに……生意気なガキ共だ……」


「克己さん、この子達は何で危険な場所に居たのでしょうか……」


 森田が心配そうに聞いてきたので、克己は通訳機で話をしてみる。


『薬草が欲しかったんだ! お母ちゃんが病気になって倒れちまったから……』


「薬草? そんなに効力があるのか?」


『お金が無いからそれに頼るしかないんだよ……俺達では魔物を倒せる力はないからな……』


「成る程ね、ところでお前達の名前は何て言うんだ? 俺は克己っていうんだ」


『俺はロシツキで、こいつがカエレツ、そんであいつが……』


 ロシツキは悪ガキ共のリーダー格らしく、威張っていた。


 暫く通訳機を使用して会話をしていると、克己は何となく言葉を理解していく。


『そこが街だよ、送ってくれてありがとうな!』


 そう言ってロシツキ達は走って行く。


「あ! ま、待てよ!」


「無駄だよ、涼介……あいつらは始めからそのつもりだったんだから」


「マジかよ……」


「仕方ないですね、このまま俺達だけで街に入るとしましょうか……文字も読めないかと思いますが……」


 宮川は残念そうに言って街へと入って行った。


 街の中はパルコの街と似ている感じだったが、文字は全く異なっており、全く読めなかった。


「克己、文字はどうするんだよ?」


「文字は……写メに撮って……っと……」


 タブレットタイプの翻訳機は写メで撮った文字を翻訳した。


「何でもありのアイテムだな……」


 涼介は呆れながら呟く。


「あそこはギルドっぽいな……」


 克己は翻訳機を確認しながら言うと、伊藤が克己に質問する。


「ギルドって何ですか?」


「もう一つの異世界でもあったろ? 知らないのか?」


「すいません……あまり街には行かないものですから……」


「簡単に言うと自治団体みたいものさ……。あっちの異世界は王様の作った自治団体だな」


「な、成る程……」


「流石に涼介は知っているよな?」


 克己がニヤニヤしながら聞くと、涼介は当たり前だと言った。克己はニヤニヤしており、涼介は真剣な顔だったが、森田は知らないのだと思った。


 克己達はギルドに入るとそこは酒場のようになっていてテーブルやカウンター等があり、飲み食いしている人達がかなりいた。取り敢えず、克己達は受付で翻訳機を使って話をする。受付の男は変な目で克己達を見ていた。


『あんたたち、本当に人か?』


「人だよ。魔物じゃないよ……魔物がこんな素敵なオッパイを持っていると思うか?」


 克己はノエルを前に突き出しそう言うと男はノエルの胸に釘付けになり、唾を飲み込む音が聞こえた。ノエルは手で胸を隠し、克己は森田に頭を叩かれる。


「克己さん……行き成り浮気ですか……」


 ジト目で森田は克己を見る。


「自由にして良いって言ったじゃん……」


「一緒になったら……です……まだ一緒になっていません……」


 二人の会話を聞いて、アルスは嬉しそうな顔をした。


「ちぇっ……で、このコアは幾らで買い取ってくれるの?」


『そうだな、このコアだったら……全部で500ペソになる。それで買い取ろう』


「500ペソが高いのか安いのか分からない」


『この量だったらこれが妥当だ、嫌なら違うところ当たってくれよ』


「質問するが、これで宿屋に泊まる事が出来るのか? 泊まるとしら幾らくらいするんだ?」


『宿屋? その人数だったら一泊の料金は大体500ペソだな、それも安い店で。質が悪いが我慢できるか?』


「おいおい、何だよ? その金額は……あいつら集団で襲ってくる奴ばかりだろ! 仕方なくないか?」


『集団で? そりゃ大きい音を立てるからだろ?』


「馬鹿言えよ、普通に歩いていても集団行動していたぞ!」


『そりゃ運が良いな……死骸はどうした?』


「捨てた」


『す、捨てた? なんて勿体ないことを!』


「どういうことだ?」


『価値は死骸の方があるんだよ、魔物は食料として扱われている……常識だぞ!』


「俺たちゃ田舎者でね……」


『そうか、だから言葉が伝わらないのか』


 受付の男はそう言うが、こんな機械を持っている奴が田舎者であるわけがないと涼介と宮川は思っていた。


「死骸が沢山あれば高く買い取ってくれるのか?」


『あそこに張り出されているだろ? そこで金額を見てくれよ』


 男が指を示した先には掲示板らしき物があり、そこには色々な絵が貼られていた。


「成る程、彼処で獲物を確認するのか……」


 克己達は掲示板らしき場所へ移動し、絵を確認する。


「だが、下手くそな絵だよな……これじゃあ分からないぜ」


「写真を撮ってやるか? 高値で買い取ってくれたらラッキーだな」


 克己と涼介が話をしていると、宮川はこの後どうするかと質問をすると、克己と涼介が声を揃えて答えた。


「「全力で襲撃に行く!!」」


「金がかかっているんだ! 全力で始末をしてやる!」


「勿論だ、涼介! ぶっ殺そうぜ! ノエル、行くぞ!」


 克己は袋からマシンガンを取りだしノエルに言うと、自分だけしか呼ばれなかったノエルは嬉しそうな顔で返事し、袋から武器を取りだし装備し始めた。


「ちょ、ちょっと克己さん!」


「何ですか? 二尉」


「襲撃に行くって……」


「文字通り襲撃ですよ。幸い、袋の予備はありますからね……始末したら袋にしまってしまえば……ん?」


 受付に大量の死骸をもって来た奴が現れ、ギルド内はざわめいた。


 何を話しているかは分からなかったが、どこかで見た死骸。アルスが小さく呟いた。


「あれって……私達が始末した魔物じゃないですか?」


 アルスの言葉に伊藤が反応した。


「確かに、あの傷は私達が銃撃した痕ですね……。まさか拾ってきた?」


 全員でその男を見ていると、克己が受け取ったお金が入った袋よりも数倍は大きい袋を貰って喜んでいた。


「マジかよ……。あれで幾ら手に入ったんだ? あの袋、かなりの大きさだったぞ……」


 涼介がそう呟くと、克己はその男に話しかけた。皆は突然の行動で、克己を止める事ができなかった。


「ねぇ、それで幾ら稼いだのさ?」


『何だ? お前……』


「そいつを始末した奴さ」


『お前らが不思議な戦いをしていた奴等か! 随分な音を立てていたからな、行ってみたらこいつらが転がってやがったぜ! 感謝するよ!』


「成る程、で、幾らになったんだ?」


『聞いて驚け! 何と! 3万ペソになったんだよ! 感謝するぜ?』


「ほほぅ。あの量で3万は凄いな……。詳しく話を聞かせてくれないか?」


『……悪いが断らせて貰おう、俺の金を狙われていたら元も子もない……』


「あっそ、一応名前だけは教えてくれよ、俺は克己って言うんだ」


『……パド……だ』


 パドと名乗った男は克己を怪しそうに見つめる。


「そうか、わかった。ありがとうパド」


 克己はそう言って皆の元へと戻っていく。パドは慌ててギルドから出ていった。


「もう少し情報が欲しかったな……」


「情報が欲しかった……じゃねーよ、ビビらせるなよ!」


 涼介はそう言って克己の頭を叩くと、森田とノエル、アルスは涼介の足を踏みつけ、涼介は跳び跳ねる。


「何なんだよ! お前の女共は! 当たり前の事をしても暴力を振るうのかよ!」


「言葉で言えば良いじゃないですか、叩く必要はありません!」


 ノエルが反論すると、アルス達は頷いた。


「過保護すぎる……」


 涼介は理不尽そうに呟いた。


「攻めるのは分かったとして、どうしますか?」


 宮川があきれた声で聞いてきた。克己達に緊張感が足りず、気を張っているのがバカらしくなったからだ。


「先ずは家がどの位で購入できるのか、次に、掲示板に書かれた報酬金が幾らと内容確認。これを調べましょう……暫くは野宿を覚悟するしかありませんね……」


「情報を集める……ですか……」


「帰る方法はそれしか無いって事ですよ……」


 帰る方法と言われると、宮川は何も言えなくなり従うしかなかった。元の場所に帰るには、克己の持っている機械でないと帰れないのは全員が周知していることだ。そして、その機械を扱うことができるのも克己しかいなかった。


「じゃあ、聞き込みは俺達でやりますから二尉達は報酬金を調べてください」


 克己はそう言って袋の中から新しい翻訳機を取り出し宮川に渡すと、涼介は2つあるなら先に渡しておけよと心で思っていた。


 克己達は受付で飲み物を購入して皆に配る。そして一つの集団に突撃した。


 宮川達は暫く克己の行動を見ていたが、森田が宮川の袖を引っ張り自分達も作業を開始しようと促す。宮川は帰る手段を考えると、それしかないので諦めて報酬金の確認を行った。


「しかし汚い絵だな……。これで良く判るよな……」


 宮川が呆れながら言うと、緑川が答える。


「しかし、特徴は捉えているように思いますよ? 私達が倒した魔物だって特徴をつかんで描かれていますから……」


「確かに……言われてみるとそうだな……」


「二尉、早く作業をしましょう。狩りに行くとしてもどんな奴を狩らないといけないのかを話し合わないといけませんから」


「分かっているよ! 克己さんがいると仕事に集中するんだな、三曹は」


「そ、そんな事ありませんよ!」


 森田は顔を赤くして否定するが、宮川はニタニタ笑っていた。


「でも、三曹の言う通りだな、早く方針を固めた方が良いだろう……」


 宮川はそう言って翻訳機を使用して確認を行い、画像を記録していく。


 作業は単純なので直ぐに終わり、克己達を探すと、克己と涼介は楽しそうに話をしていた。


「何を話しているんだ?」


 宮川はそう言って克己達に近寄り話しかけた。


「あ、二尉! お疲れ様、どうでした?」


「単純作業ですからね、簡単でしたよ」


「じゃあ、面白そうな依頼はありましたか?」


「え?」


「え? 掲示板に書かれている案件を見ていたんですよね?」


「そ、そうですが……」


「まさか写しただけってことじゃ……」


「面目ない……」


 宮川は項垂れ、克己は苦笑いをする。涼介は肘で克己を突っつき、いじめるなと言って来る。


「取り敢えず座ってください、この後の予定を話し合いましょう」


 克己が言うと、宮川は項垂れながら椅子に座り、森田達も近くの席に座った。


「さて、先ずは翻訳した物を見せて貰って良いですかね?」


 克己はタブレットを受け取り、内容を確認する。


「ふむ、これが良さそうだな……涼介、どう思う?」


「あ? どれどれ……というか、これしかなくね?」


 二人が示した物を宮川が覗き見ると、知的生物っぽい魔物を示していた。


「な、き、危険じゃないですか!」


「魔物は全て危険でしょ? そんな今さらな話をされても困るよ」


 克己は呆れながら言う。


「こいつは集団生活をする生き物らしい、取り敢えず全滅させる……これで良いか? 克己」


「OKだよ、涼介。さて、ここに書かれている北の山ってやつに行ってみるか……」


 克己達は立ち上がり、移動を開始しようとする。宮川達は慌てて克己達について行くのであった。

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