表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/358

5話 ドラゴン襲来!!

「秘密ですか?」


「はい……。実は俺、異世界からこっちに来ているんですよ」


「何を言っているのかよくわからないですね。異世界とは、どこの国ですか?」


「日本という国から来ているんですけれど……」


「そんな国、旅をしていた時も聞いたことありませんよ?」


「ですから異世界なんですよ、このクローゼットから俺の部屋に行けるようになっています」


「私が克己様より弱い剣士だからって馬鹿にしているんですか?」


「そんなことありませんよ……ノエルさん。信じて俺の後について来て下さい」


「私は貴方の奴隷ですから言うことは聞きますが、馬鹿にするのだけはやめてください!」


「わかっていますって、では行きますよ……」


 克己はクローゼットの扉を開いて自分の部屋にノエルを連れてきた。


「な、なにが起きたというんでしょうか……それに、このマナの力は凄い! もしかして克己様は私が探していた勇者様でしょうか!」


「言われている意味がよく分からないんですけど……これで信用してもらえました? あとその武器はここに置いといて下さい、警察に捕まっちゃうから。じゃあ、今から洋服を買いに行きましょう。その服は業務用ですからね。あと、俺は勇者じゃありません。一般人です」


「え? 一般人? あ、はい」


 克己が言うと、ノエルは不思議そうな顔をして警察? と呟き、克己はそんなノエルを車に乗せてユナクロへと向かった。


「こ、この動く箱は凄いですね……克己様」


「これは車という乗り物だよ、ノエルさんの世界では馬車みたいなもんだね」


 そんな話をしながら克己達はユナクロへ到着した。


「ノエルさんこの店で自分にあった服を選んで下さい」


「は? これが服屋ですか?」


「そうです、あと下着もできれば買って下さいね」


「はぁ、分かりました……」


 克己の後ろに着いて行きながらノエルは店内に入ると、今まで見たことも無い服の多さにびっくりしていた。


「こ、この大量の服の中から選ぶのですか?」


「そうですよ、ノエルさん」


 凄い、凄すぎる! この世界は不思議だと思いながら試着を繰り返して動きやすそうな服を無難に選んでいくノエル。克己はノエルが服を選んでいる間、暇なのでスマホを弄り、次の店を探していた。


「これじゃ、デパートに連れて行ったら、驚きすぎて倒れてしまうんではないか?」


 そう呟きながら克己はノエルの服代の支払いを済ませた。


「ノエルさん、服はこれで大丈夫ですか? もっと買っても構わないんですよ?」


「いや、文字は読めませんが数字は分かりますよ、かなりお金を使わせてしまったのではないでしょうか……」


 ノエルは自分の立場を考えながら克己に言う。


「実際、一万円も使ってないんで……銅貨レベルの金額しか使ってないんですよ、だからもっと買っても問題ありませんよ?」


「本当ですか! で、では、あの服も……、あそこに有った服を、もう少し買っても大丈夫なんですか!」


「問題ありませんよ、いくらでも選んでください」


 そう言ってノエルはまた洋服を選びに店の中には入り、色々な服を沢山買っていた。


「これで十分ですか? 十分なら帰りますが?」


「えぇ、十分です……。で、ですが、本当にこんなに凄い生地を使った服を買って頂けるのですか?」


「はい、即金で支払い可能ですよ」


 克己はレジに向かい、お金を支払ったあと克己達は靴屋へ向かい、ノエルの足に合う靴を探して何個か購入した。


「す、凄いですね……この履物は……。全く足に響かないし、痛くもないなんて……」


 普段ノエル達が履いている靴は、布で作られた靴を履いており、足裏はかなり薄く歩くと痛そうだった。なので、克己は靴を購入してあげたのだ

 克己達は家に戻り、異世界側にある家の掃除をノエルにお願いして、お店で事務処理をしていたペルシアと一緒に日本へ行くと、克己はペルシアを連れて靴屋に入り、靴屋でペルシアの足にあう靴を探していた。

 従業員達の足も調べはついているので従業員の靴も何足か購入し、ペルシアと一緒に屋敷へと帰って行く。そして、従業員達に靴をプレゼントし、これで頑張ってくれと労った。

 店の方は常に満員で、ビールよりエールが飲みたいという客が多く、ビールを止めてエールに切り替えた。

 現状、店で困っているのはカレーやシチューに使うルーだけになったが、ネットで作り方を調べ、ノエルとペルシアに材料を探してもらい、似たような見つかったので自作してみる。ルーを自作できる事により、これからは自作のカレーを作ることが可能となった克己のお店。更に、自作のカレーの方が、市販されていたルーより美味しく出来てしまい、客の足が途切れずさらに繁盛してしまった。

 お金も一日の売り上げが金貨100枚を越える事となったため、克己はある意味大金持ちになっているのであった。


「俺に金運があってよかった……」


 克己は空を見上げながら呟いた。

 ノエルとは毎日剣の稽古をしてあげているが、中々強くならないノエル。この国の剣士は大体こんなもんなのかと思い、検証のためにギルドの練習場で、他の剣士と練習して見ることにした。

 案の定、克己が圧勝してしまった。

 ノエル曰く、住んでいる世界の重力等が多少違い、その分の鍛錬を積んでいる事となって、凄い状態になっているのではないのだろうかと言っている。


「剣の重さが全く違い過ぎますから、多分そうだと思います」


「そういえば何か多少体が軽いような気はしていたけど……ノエルさんみたいな護衛は必要ないってこと?」


「いやいや、私だってソコソコはやれますから! 捨てないでくださいよ!」


「でも、全く俺に歯が立たないし、俺にはこれがあるから実際は護衛なんて必要ないのかなぁって思ったりするんだよね」


「何ですか? それは?」


「これは離れている敵に攻撃する武器だよ」


「弓矢が出るとかそんな仕掛けですか?」


「まぁ似たようなもんだよ」


「不思議な形をしていますね」


「そのうち使う時が来るだろうし……」


 克己達が話しているその時、警告音みたいな鐘の音が響いてきた。


『カン! カン! カン! カン! ……』


「ノエルさん、これは?」


「警報が鳴るということは、魔物が大量に街へと攻めてきているか、ドラゴンの襲来か何かだと思います、克己様も早く家へ隠れてください! ドラゴンだったらやばいで……あ! あれは……ド、ドラゴンだ! 三体もいるじゃないか! も、もう……こ、この街はダメかもしれません、早く逃げないと!」


 ドラゴンは街を破壊しながら克己の家がある方へ向かってきていた。


「ノエルさんは剣士なら戦えるんでないの?」


「あんな化け物に勝つなんて今の私には無理ですよ! 魔法剣や魔法の鎧なんかがあれば別でしょうが!」


「なら……これの出番かな?」


 克己は他のクローゼットから、改造エアーバズーカーを取り出し、レーザースコープで照準を絞り込む。バズーカーから、ゴブリンのコアを使用した時と同じようにレーザーキャノンを発射させて一体のドラゴンの頭を貫通し撃ち殺した。


「これはまだ、改造の余地が有るな」


 威力は問題ないが、耐久力は低く感じる。


「な、なんですか今のは! あのドラゴンを一撃で葬るなんて、ありえなすぎる!」


「そんなこと言ってもなぁ。そんなことより、残りは二体いるからそいつを始末しよう、コイツの弾はあと五発しかないからね」


 克己がそう言うと、二体のドラゴンは次々とレーザーキャノンで撃破されてしまった。

 街の皆が呆気に取られている状態で、克己は一息ついた。


「あんなのまでいる世界なんだ、涼介は大丈夫かな? 無理してないと良いけど……」


 克己はそんな事を言いながらドラゴンの死骸に近寄り、コアを探していた。一際でかいコア、人間の頭蓋骨位大きい黄色いコアと、青のコア、赤のコアがドラゴンより取り出された。

 克己は直ぐにリュックの中に入れて、ドラゴンの肉は皆で分けて食べることになった。


「地竜でよかったね、ノエルさん」


「克己様、あなたは一体何ものですか!」


「異世界人だけど?」


「ありえなすぎる、あのドラゴン三体を葬るその武器も……」


 ノエルは恐ろしい物を見ているかのような顔でドラゴンの死骸と克己を見ていた。


「いや~、あんなのが存在しているとなると、こっちもある程度は武器何かを考えなければいけないね? ノエルさん」


「え? あ、はい……。いや、多分直ぐに大変なことになると思いますよ」


「何で?」


 克己が不思議そうに聞くと、街の兵士が克己を尋問し始めた。


「あのドラゴンをやったのはお前か!」


「そうですが……なにか不味かったですかね?」


「いや大変喜ばしいことだが……これから王宮へと来てもらうことになる! 街の平和を守っただけではなくドラゴンスレイヤーとして王様から呼び出しがあると思うからな、準備しとけよ」


「準備と言われても……服装はこのままでも問題はありますかね?」


「それでいい、多少おかしな格好しているが問題はない、お前は偉業を達成したのだからな、連絡があったら直ぐに迎えに来るから連絡先を教えろ!」


「分かりました、目印は最近開店した飲食屋の隣が俺の家です」


「あぁ、あそこか! あそこの料理は不思議と美味いし病みつきになってしまう」


「簡単に言うと、そこの店は俺の店ですよ」


「なんと! あの店の店主は貴様だったのか!」


「まぁ、はい……、そうですね」


「そこの女は何だ?」


「一応、俺の護衛剣士ってやつですかね? 弱小ですが……」


「弱小ではない! あなた様が強すぎるんです!」


「まぁいい、連絡が来たら呼びに来るからそれまで街から出ないように!」


「はぁ、分かりました」


 あまり深く考えないで、できれば手に入れたドラゴンのコアを研究したいのだが……と、思っている克己であった。


「凄いですよ! 克己様、王様に呼ばれるなんて! あぁどうしよう! 私、緊張しちゃうな~」


「ノエルさんは付き添いだからそんなに緊張する必要も無いでしょ? 問題はこの武器で倒したことによることかな……」


「何が問題なんです?」


「これを大量に作れとか言われたら大変なことになっちゃうでしょ? 戦争の道具にされちゃうに決まっているよ……絶対に」


「そういうことなら魔法剣でやったことにすればいいではないですか?」


「そんな上手くいくもんかな?」


「さぁ、それは何とも言えませんが……」


「まぁ、何とか誤魔化すしかないかな」


 面倒臭い事になったなぁと思いながら克己は自分の店でご飯を食べることにした。


「そういえばノエルさんは魔法剣士なんだよね? 移動魔法とか使えないの? 俺にも魔法を教えてよ」


「それは構いませんが……、魔法は使える人を選びますからね。それに克己様が使えるかはわかりませんよ。また、移動魔法はまだ覚えていないんです……旅の途中に山賊に後ろから襲われたもので……」


「ふ~ん、そこら辺はあまり聞かない事にしてあげるよ、しかしノエルさんの剣術のレベルをもっと上げてくれないと俺の護衛にはならないよ?」


「申し訳ありません」


「この際だから、もう一人くらい護衛の奴隷を買っておこうかなぁ」


「それがいいにゃ! こんなヘッポコ剣士よりウチの方がよっぽど使えるにゃ!」


 そう言っていきなり割り込んできたペルシアを睨むノエル。


「ヘッポコとはなんですか! これでも村では一番の剣士だったんです! それに回復魔法も使えますし!」


 克己は二人が言い合いをしているのを笑いながら見ているが、自分の武器が戦争の道具として扱われないか内心、不安であった。

 翌日、克己はノエルだけだと護衛に不安を感じ、奴隷商館へ行って新しい護衛奴隷を買うことにした。


「いらっしゃいませ」


 中に入ると奴隷商が出迎える。


「あの護衛奴隷が欲しいのですが……」


 克己は、出迎えてくれた商人に言うと商人は微笑みながら質問をしてくる。


「男ですか女ですか?」


 前回聞かれなかったことを聞かれて少し戸惑いながら克己は女性と答えた。


「そうですよね、普通に考えたら女性を選びますよね、お客様も好き者ですね……」


「余計な事は言わなくて良いですかから……それに、そういうのが目的で買うわけではありませんので……勘弁してもらえますか?」


「これは申し訳ありません、すぐに用意させて頂きます」


 そう言って奴隷商は直ぐに何人か連れてきて説明を始めた。

 この奴隷商は喋るのが好きなのだなぁと思いながら克己は説明を聞いていた。

 暫く眺めていると、奴隷商に剣士と言われていた女性を購入して、その女性を連れて帰ることにした。これでノエルの実力が分かるってものだと克己は思った。

 克己は、この女剣士は意外と屈強そうだったので選んだのだ。決して胸がでかかったからではない。心の中でそう思いながら、女性に名前を聞いたところ、レミーという名前だった。


「よろしくレミー、君の歳を聞いてもいいかな?」


「23になります」


「俺は克己という名前だよ。よろしくね」


 そう言って新しい服や靴などを購入して、直ぐに着せる。そして剣を渡してノエルと勝負してもらったらノエルが圧勝していた。


「ノエル、本当に強かったんだね」


「だから言ったじゃないですか!」


「くっ! こんな奴に負けるなんて」


「まぁ、ノエルこれからは二人で鍛錬してくれ」


「分かりました」


 こんな感じで数日が過ぎて行き、そして王宮から兵士がやってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ