55話 言い分は??
テントで待っているアルス達は、暇を持て余していた。
「予定外に早く夜営の準備……だもんね……」
レミーはボソリと呟く。森田は申し訳なさそうにして俯いていた。
「森田さん、お体の調子は如何ですか?」
アルスが少し心配そうに森田を気遣う。
「あ、ありがとう……始めに比べたら全然平気になったよ……。克己さんが戻ってきたら出発をするように話してみるね」
「無駄ですよ、森田さん。克己様は絶対に野営をします……。これは決定事項です」
ノエルが少し冷たく言うと、森田は困った声でどうしようと呟いた。
「気にしないで下さい、ノエルは連れて行って貰えなかったから少しイジケてるだけですよ……。森田さんは心を落ち着けて、明日に備えてください」
アルスが優しく森田に言うと、森田は更に落ち込む。ノエルとレミーのせいで場の雰囲気が悪くなり、リーズは話を変えようと試みる。
「も、森田さんは普段、何処に行かれるのですか?」
リーズが無理矢理話を振ると、アルスは偉い! と、心で叫んだ。
「ふ、普段ですか?」
「そうです、最近は私達も東京の街を歩いたりしていますから……良ければ教えて頂けるとありがたいです」
「と、東京……。私は……私は静岡だから東京の事が分からないの……」
「し、シズカオ? ど、何処の丘ですか?」
「違いますよ、静岡って言う街が有るんです……私はそこの街に住んでいるの……東京に行ったりすることは少ないから殆ど分からないの……ごめんね」
森田が苦笑いをしてリーズに言うと、アルスは心の中でリーズのバカと叫ぶ。
「な、なら、静岡ってどんな街なのですか?」
「ど、どんなって言われても……海が近くって……富士山があるくらいかな?」
「う、海!! 素敵じゃないですか! 良いなぁ……海かぁ……」
リーズは羨ましそうに森田に言うが、森田は不思議そうに首を傾げる。
「海がそんなに珍しいの?」
森田が言うと、ノエルとリーズ、レミーは頷く。
「珍しいと言うより、私は見たことも触ったこともありませんね……。リーズの話では途轍もなく広くでかい水溜まりとか言う話ですが、眉唾物です」
アルスは海を越えた大陸から来ているため、海は一度だけ見たことがあり、その時の事を思いだしていた。
「でかい水溜まりですか……間違いではないですけど正解じゃないですね」
「ど、どう言う事ですか?」
ノエルが森田に聞き返す。
「世界の七割は海なんですよ……これは私達の世界での話ですけどね」
「「「「な、七割!!」」」」
四人は驚きの声を上げる。
「ち、地上が三割って……そ、そんな訳が……」
ノエルが声を震わせて言う。
「そ、そうですよ……! 地上はずっと続いているじゃないですか!」
レミーは周りを指さし、声を上げる!
「だ、だから……地球の話ですよ……こ、ここではありませんよ」
森田は困りながら返事する。
アルスは顎に手を添えて考える。自分が乗っていた奴隷船は一ヶ月近くも航海していたはず……あながち森田が言っていることは間違い無いのではないかと。
これ以上の話は危険と判断した森田は違う話へと変えようとする。
「と、東京で色々な所に行ったのであれば、どんな所に行ったの?」
そう言う話にいち早く反応したのはリーズであった。
「私は克己様に、海へ連れて行って頂きました! 水が押し寄せてくるんですよ! ザザザザザザァ……って! 物凄い迫力で吸い込まれそうになりましたよ! その時、克己様と結ばれました……ポッ……」
顔を赤らめ、頬に手を添えるリーズの背中をノエルは蹴っ飛ばす。
「ポッ……じゃねーよ! 人の克己様に何してくれてんだよ!」
「イッタァ……、何するのよ! 克己様は何度も私の中で果ててくれたのよ! ノエルみたいに外じゃないもん!」
「な、な、何でリーズがそれを知っているのよ!」
「ノエルがレミー達に自慢してたんじゃない!」
リーズはレミーに指さし、ノエルはレミーを睨む。しかし、当人は知らん顔をしており、ノエルはファイアを唱えてレミーを攻撃しようとして、森田が慌てて止める。
「ま、待って、そんな事をしたら克己さんに怒られますよ! 仲間に攻撃魔法を使うのは止めてくださいよ!」
森田は二人の間に立ち落ちつかせようとするが、怒りのノエルが森田に口撃をする。
「貴女は克己様に恋愛対象と言われて舞い上がっているくせに……何をいっているのよ! 勝ったつもり? 今は足まで引っ張っているのに」
「ノエル! 言って良いこと悪いことがある! 今のは言っていけない事! 森田さんに謝って!」
アルスが声を上げノエルに言う。森田はショックを受けしゃがんで俯き手で顔を覆う。
「今の話は克己様に報告するからね! 大丈夫ですよ、森田さん……。苛立っていただけで、心から思っている訳ではありませんから……」
アルスは背中を擦りながら森田を慰める。ノエルはそれを見て声を荒らげる。
「アルス! 貴女だって……皆、そう思っているでしょ!」
森田を気遣うアルスがノエルを睨みながら言う。
「ノエル! 克己様が決めたことに逆らうって言うの? 克己様が野営と言ったら野営をする、森田さんは悪くないと言えば悪くないの! 貴女は何様なのよ!」
「何だと! チビ助の癖に!」
「何だよ! 山賊に負けた癖に!」
二人は武器を手に持ち、一触即発の状態であった。
「何をバカなことをやっているの! 二人とも! いい加減にしなさい! リーズ、ノエルをあっちに連れて行って」
レミーが間に入り、アルスを皆から少し離れた位置に連れていく。
「アルス、少し冷静になりなさい! ノエルとやり合う必要はないでしょ!」
「だけどノエルは森田さんを傷付けたんだよ! 森田さんに対して謝罪させるんだ! 克己様ならそう言うよ! レミーだってそう思うでしょ!」
「わ、私は……ノエルの意見に同意する……かな……」
「レミー! 貴女、なんて事を!」
「この中でそう思っているのはアルスだけだと思うよ……」
「れ、レミー貴女まで!」
「アルスは優遇されているからそう思えるんだよ、私はそこまで優遇されてない……。いつも雑用ばかりだから……」
「そ、そんな事ない! 克己様はレミーの事だってちゃんと考えているよ!」
「アルス、どうしてそこまで言い切れるの? 貴女は秘書とかいう役割をもらっているから、ずっと側にいられるからそう言えるんだよ……」
「ち、違う……、違うよ……レミー……」
アルスはレミーの腕を掴む。
「克己様はレミー達の事をいつも気にしているよ……」
「それは貴女の見解でしょ? 直接、克己様がおっしゃった事では無いわ」
レミーはアルスの手を振りほどき、ノエル達の場所へ向かう。アルスは俯き、ただ、立ち尽くしていた。
その頃、洞窟へ向かった克己達は……。
「洞窟だね……」
「洞窟ですね……」
ハミルと克己はそう呟き魔物の死骸からコアを取り出していた。
「ハミル、こいつは何と言う魔物なんだ?」
「さぁ……この辺では見ない魔物ですね……」
「本当に魔物だよな?」
「コアがありますからね……。人間にはコアが無いと言われています。その代わり人間には心臓がありますから……」
「だよなぁ……」
ハミルと克己はコアの色を確認して、袋にしまう。ガルボとルノールは解体作業を眺めて見ていた。
「ガルボとルノールはコアを取ったことは無いのか?」
克己が質問すると、ハミルが呆れた声で言う。
「二人とも怖がって戦闘にも加わりませんよ……」
「じゃあ、次は二人で戦って見ろよ」
克己が言うと、二人は声を上げて驚く。その声は洞窟内に響き渡る。
「そ、そんな……、無理ですよ! 絶対に勝てっこないですよ!」
ガルボが身を震わせながら言う。
「ちょっと、貴女達は仮にも克己様の護衛奴隷でしょ? 護衛するためにはレベルが上がらないと意味ないのを知っているでしょ!!」
ハミルが慌てた素振りで二人に言う。
「で、でも、こんなに怖いことなら護衛なんて選んでないよ~」
ルノールはガルボの陰に隠れながら言う。
「じゃあ何ができるよ……」
ハミルは呆れた声で二人に言うと、二人は考え込む。
「家事?」
ガルボが言うと、ハミルがバカにしたように言う。
「貴女は料理が出来ないし部屋の片付けも出来ないでしょうが……」
ガルボは苦笑いをして頬をポリポリと掻く。
「いいから戦え! 俺が作った武器なら早々に殺られることはない」
克己が言うと、二人は顔を合わせどうするかを考え、ルノールは頷き、克己の顔を見る。
「ご、ご褒美を頂けますか! 戦ったらご褒美を……」
ルノールは真面目な顔して言うが、克己とハミルは呆れた顔をした。
「ご褒美って……、自分の仕事でしょ? 元々の……」
ハミルが言うと、ルノールは言い返す。
「だって初めての経験をするんだよ! 何かしら気合いが入る方法が欲しいじゃん! ハミルだって克己様に唇を求めているのを知っているんだからね!」
「そ、それは関係無いでしょ! 私の方が歳上なんだし! 先に奴隷になったのよ!」
ハミルは慌てながら答える。
「成る程。で、ご褒美は何を求めるの?」
克己が聞くと、ハミルが驚いた顔をする。
「か、克己様! そんな話を聞く必要はありません!」
「大した話でも無いだろ、どうせ。聞くだけ聞いてみようぜ? な?」
克己が言うと、ハミルはそれ以上なにも言わず、取り敢えずルノールのお願いを聞いてみることにした。
「私もアルスみたいに大事にして欲しいです!」
「アルスみたいに?」
「そうです。アルスみたいに一緒に寝たり出掛けたり……愛されたいです……」
ルノールは最後だけモジモジしながら言う。
「成る程……。愛するって言うのは難しいけど、許可しよう。だけど、条件がある。レベルが10以上であること! これが条件だ」
ルノールがご褒美と言ったのに、克己は条件をつけてきた。ハミルは話を変えて無理難題を突き付けたのだと思ったが、ルノールはニヤリと笑った。
「承知致しました! 本当に一緒にいるんですよ! 条件はアルスと同じですからね!」
「アルスがどのくらい大変なのかを身を持って知るが良い!」
克己はそう言うとルノールは勝ち誇ったら顔をしてハミルを見た。
「これでハミルよりも私の方が上に立てるわね!」
「好きにしなさいよ……。アルスの仕事は本当に大変なんだから……」
ハミルは疲れた顔してガルボを見ると、ガルボも負けてはいられぬという感じだった。調子の良い二人だとハミルは思い、溜め息を吐いた。
ガルボとルノールは先頭に立ち、ガツガツと先へと進んでいくと、見たことのない魔物が現れるがルノールは発見したそばからビーム銃で射撃を開始する。
「クタバレこの野郎! 私の愛の肥やしになれ!」
ルノール出てくる魔物に対してそう言いながら倒していく。
克己は検索キットを使いながら歩いており、様々な反応を示していた。
「こりゃ凄いな……。資源の宝庫じゃないか……」
克己は嬉しそうな顔して壁などを見ていた。
「そんなに凄いのですか?」
ハミルが唇に指を添えて聞いていた。
「色んな反応があるからな……。土魔法を使える奴がいたら欲しいくらいだ……」
「使えますけど?」
「え?」
「私、覚えましたよ? 大分前にですが……」
「ほ、本当かよ……」
克己が驚きながら確認すると、ハミルは土魔法を唱え岩肌が崩れていく。
「す、すげ~! ハミル凄いよ!」
克己はそう言った後、崩れた場所を確認すると、金を含んだ岩が沢山有り、遠くに行く必要が無くなったと理解した。
「金と他の物を分ける事は出来るのか?」
「アルスのように専門職じゃないですから何とも言えませんが……取り敢えずやってみますね」
ハミル集中して分離と組み合わせ魔法を唱える。少しすると、金粒の周りに付着しているものが取れ、一つの塊となっていく。
「おおぉ! ハミル凄いぞ!!」
丸い金の塊が出来上がり、克己はそれを手に取る。
「ハァハァ……かなり疲れます……これは専門職じゃないとキツですね……魔力の消費がとんでもない……ハァハァ……」
ハミルは膝に手を突き、息を切らせながら言う。
ルノールは手を頭に組んで暇そうに見ていた。ガルボは何が起きているのか分からず、ただオロオロとしているだけだった。
「取り敢えず一回、皆のところに戻るとするか……」
克己が言うと、ルノールが声を上がる。
「え~!! もう戻るんですか~!! もう少しレベルを上げたいですよ~」
ルノールはそう言うが、ガルボは首を横に振る。
「も、もう……戻りたい……」
消えそうな声でガルボは言う。
「私も帰るのは賛成ですね……。正直、かなりの時間が経っていますし……、さっきの魔法で思った以上に魔力を使用しました……脱出魔法一回くらいしか使用できません」
「と言う事だ、ルノール。残念だったな、レベルが10ならなくて」
「なりましたよ? 丁度レベルが10になりました」
「ま、マジかよ……魔法は?」
「回復魔法を覚えましたね……それしか覚えていません。ノエルの回復魔法より良い魔法っぽいですよ?」
克己とハミルはこんな身近に回復魔法が使える人物がいるとは思いもしなかった。
「約束通り、これで私はお傍にいて良いのですよね?」
「あ、あぁ……そうだな……」
克己は頭を押さえながら返事をしてハミルは魔法を唱えた。外に出ると、日は大分落ちて辺りは暗くなり始めていた。
「かなり長い時間、中にいたんだな……取り敢えず、皆のもとへと戻るとするか」
克己が言うと、三人は頷き克己の後へと付いて行く。暫く歩いて行くと、キャンプ地へとたどり着く。
四人は疲れたと話しながら五人の側によると、雰囲気が悪く感じる。
「ハミル、何だか雰囲気が悪い気がするんだが……」
「そ、そうですね……何か遭ったのでしょうか……」
克己は不思議に思い、ノエルを呼んでみた。ノエルは直ぐに克己の傍により、膝をつく。
「雰囲気が悪く感じるが……どうした?」
「別に特に何もありません……」
克己は首を傾げアルスを呼ぶが、アルスの反応が悪い。
「アルス? どうした? こっちに来るんだ」
「は、はい……」
アルスはノロノロと近寄る。
「報告しろ。何が起きたのか……逐一だ! 嘘は禁止、誤魔化しも無しだ!!」
アルスはノエルをチラリと見るがノエルはそっぽを向く。アルスは起きた事を話すと、涙がこぼれ出た。
「本当か? ノエル……」
「知りません……アルスの勘違いじゃないですか?」
「レミー……どうなんだ?」
「さぁ? アルスが適当に言っているのだけじゃありませんか?」
リーズは自分が呼ばれるものだと思い、答えを考えていたが、克己は森田を呼んだ。
「森田ちゃん……どうなんだ? アルスが言ったことは本当か?」
「あ、そ、その……あ、あは、あははは……」
森田は笑って誤魔化そうとしたが、克己の眼は真剣だった。
「森田三曹!! しっかり立つんだ!!」
克己は鋭い目で森田を見て、森田はビシッと起立する。
「笑って誤魔化すな!! 俺は真面目な話をしているんだ! お前は真剣に答えろ!」
「も、申し訳ありません!!」
「どうなんだ! アルスが言っていることは本当なのか? 答えろ」
克己はどんどん近づいて、森田はたじろぐ。
「あ、あの……その……」
「どうなんだ! リーズ、お前は嘘を言わないよな? 俺を怒らせる必要はないよな?」
急に話をリーズに振る。
「は、はい……あ、アルスが言っていることは……ほ、本当です……」
リーズは嘘を吐くつもりだったが、克己が作り出す雰囲気にのまれ本当の事を言った。
「ノエル、レミー、これはどう言う事なのか、教えてくれると嬉しいんだけどな……。さて、二人とも……あっちでゆっくりと話をしよう。森田ちゃん、飯の準備をしてくれる?」
森田は克己のまわりに黒いオーラのようなものが見えた気がしてたじろいだ。
「か、克己様! こ、これは違うんです! 違うんですよ!」
「向こうで話を聞くよ……。さぁ、二人ともこっちに来るんだ。アルスはいい加減に泣き止めよ、ご苦労だったな。誉めてやる」
「は、はい……」
アルスは涙を拭きながら返事をして、ノエルとレミーは克己と共に森の方へと入っていく。森田は克己の指示通り、食事の準備を始めるが二人の事が少し心配であった。
「そこに座れ。……さて、何が違うのかを教えてくれよ……ノエル。つまらない事を言ったらどうなるか……分かるよな? 俺は今さっきの話で少し機嫌が悪い。そりゃ、そんなにかまってあげてないで、寂しかったと言われたら謝るしかない。悪かったよ。だがね、俺は森田ちゃんを含め、お前ら全員を愛している。俺はお前らがいないと何もできないからな。で、何がどう違うのかを教えて欲しい。ノエル、この中ではお前との付き合いが一番多いよな? どうなんだ?」
「も、森田さんが旅を台無しに……」
レミーが小さい声で言う。
「仕方ないだろ? それは……。怖い思いをしていた時の記憶が呼び戻って来たんだ……どうしようもない。ああ言ったものは時間をかけて心を馴らして上げないといけないんだ、だから許してやってくれよ、彼女や俺はお前達みたいに死と隣り合わせで生きてきた訳じゃない。それは理解してくれよ」
克己は優しく二人に話し、理解を求める。
「だ、だけど彼女は兵士ですよね! 私達と一緒に旅もしたことがあるじゃないですか!」
ノエルがヒステリックに叫び克己に問う。
「今までは訓練通り上手くいき、魔物の事を甘く見ていたんだ。それが仲間にも伝わり、皆が油断していた。そこであの魔物の大群だろ? そしてドラゴン……怖がらない訳がない。さっきも言ったが俺や彼女が住んでいる場所は、死が隣り合わせと言う訳じゃない。だから仲間の死が衝撃的だったんだよ」
「だ、だからって……、だからって彼女を中心にする必要は無いじゃないですか! 朝だってそうです! 彼女が遅れてきても咎めもしない、彼女が特別だからではないのですか! アルスだってそうです! 何故彼女ばかり贔屓するんですか! 私達だって……、私だって一緒にいたいです……常にお側にいたいんです……」
ノエルは克己の胸にしがみつき、泣きながら訴えかける。
「別に贔屓をしている訳じゃないよ、全員を連れて歩くには危険だと判断したからだ。確かにアルスを特別視していると言われても仕方はないだろう。あいつは勉強熱心だからね。全員を連れて歩くには、お前らの知識が足りなさすぎる。一人ひとりに全部を教えていくのは大変だ。ペルシアみたいに自分から学んだりしないだろ? だから一人ひとり連れていき、学ばせているんだよ。お前等が学んで、自分なりの解釈でここの世界の人に説明ができたなら、ここの人たちは向こうに遊びに行っても大丈夫だろ? 説明をしてなかった俺に原因はある。彼女等を責めないでくれるか……。お前達の言いたい事はわかったからさ……」
「な、なら、何故、私はいつも最後の方になるのですか!」
レミーは泣きそうな声を出して克己に問いかける。
「悪いな、レミー。お前は我慢強いから甘えてしまったよ……。レミーなら言わなくても理解してくれるって思っていた。やっぱり言葉に出して言うべきだったな。悪かった」
「克己様、我々は何かしらの処罰を受けるのでしょうか……」
ノエルは克己の胸で少し震えていながら聞いた。
「無いよ。元々の原因は俺にある。それが分かったし、お前等が思っている事も分かった。悪かったな」
「我々だって克己様のお心を考えずに我が儘ばかりを……」
レミーも克己に寄り掛かる。
「いや、今回は俺の言葉が足りなかったことから起きたことだ。お前達には非は無いと思っている。本当に申し訳ない。これからは里理ちゃんの事も含め、もう少し考えないといけないな」
「そ、そんな……克己様のお心を知れましたので……」
ノエルは胸に顔を埋めながら言った。
「さぁ、皆のもとに戻ろう。二人の気持ちは理解したけど、森田ちゃんには関係ないことだ。森田ちゃんには謝るんだぞ」
「「承知致しました」」
二人は声を揃えて返事をした。克己達は皆の所へと戻っていくと、森田が近寄ってくる。
「か、克己さん、二人は悪くないんです! 私が不甲斐ないのが悪いんです! だ、だから……」
森田が必死な顔して克己に掴まり言う。
「森田ちゃん……。大丈夫だよ、二人の言い分は聞いた。悪いのは俺の方だよ。君は悪くない……」
克己は森田の肩を叩き、森田は「へ?」と言って、ノエル達の顔を見る。ノエルとレミーは森田に頭を下げ、謝罪した。
「も、申し訳ありませんでした! 八当たりの様なことをしてしまい……」
森田は克己の顔を見て、どう言うことか分からず質問しようとしたら、克己が人指し指を口元に置いて質問をやめた。
「話したら理解した。ごめんね、森田ちゃん」
「な、何がどうなって……いるんですか?」
「別に? 君は分かったと言って、この話は終わりになる。この後は別の問題があるけどそれはこの後に考えよう」
「良く分かりませんが……」
「さぁ、食事にしよう! お腹が空いたよ……」
森田は取り残されたように立ち尽くし首を傾げ、克己の後を追いかけるのであった。




