表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/361

45話 再開祝い!!

 始めて見る海は、青く果てしないほど広く、何処までも続いていた。


「す、凄い……、これが海……ですか……」


「そうだよ、これが海だよ」


「わ、わわわ! み、水が押し寄せてきますよ! さ、触っても大丈夫なのですか!」


「大丈夫だよ、触ってみると良いよ。あ、スカートを濡らさないようにしろよ」


「は、はい!」


 リーズは恐る恐る海水に触れようとしていたところ、克己は後ろから押してみる。


「え? う、ウソ? あ、キャー!!」


 ビシャンと音を立て、リーズはズブ濡れになった。克己は大笑いしてリーズを見ており、リーズはポカーンとして克己を見ていた。


「つ、冷たい……、ショッパイです……。ショッパーイ! 塩辛いですよ!」


 リーズは海水をバシャバシャ叩き、燥いでいた。


「風邪を引くなよ~」


 水浸しにした本人が言っても説得力が感じられない台詞だった。


「えい! 私だけ水浸しは無いです! 克己様も! くらえ!」


「おわっ! 止めろ! ほら、そろそろ帰るぞ……。風邪を惹いたら大変だからな」


「はい! 楽しかったです!」


 リーズは靴までグッショリになっており、スカートを搾って水を落としていく。


「は、ハクション!」


「ほら、どっかで風呂に入り、体を温めようぜ」


「はい……」


「幸い、服や下着は先程沢山買ったから問題はないが、そのままじゃ着られないからな……仕方ない、ラブホテルでも入るか」


 克己はそう言って歩き出す。リーズはラブホテルの意味を知らずに付いてくるのであった。


 ホテルに入り、克己は受付を済まして鍵を受け取り部屋へと向かう。


「な、何やらこの間泊まった宿屋とは違った趣ですね……」


 克己とリーズは部屋に到着し、中へ入っていく。


「ラブホテルだからな。俺も入るのは始めてだよ。こうなっているんだな~」


「ここは宿屋では無いのですか?」


「宿屋って言えば宿屋だけど……、休憩や……その……」


「何ですか?」


「性行為等をするための場所でもあったりする……」


「せ、性行為! ……そ、そうなのですか……ドキドキ……」


 リーズは顔を真っ赤にして立ち尽くす。


「い、いや、そう言うつもりで入った訳では無いぞ! ほ、本当だぞ! は、早く風呂に入ってこいよ」


「は、はい……ドキドキ」


 リーズはお風呂場へ向かい服を脱ぎ、浴室へと入っていく。シャワーを流して頭から浴びるリーズは、緊張していた。


 リーズはシャワーを止めて、タオルで体を隠すとベッドで横になっている克己に話しかける。


「か、克己様……お願い事は……まだ聞いてもらえますか?」


「え? あ、あぁ、どうした?」


「あ、あの……、い、一緒にお風呂……入ってください……ませんか……」


「は? な、何を言ってんだよ? そ、そんなの……」


「お、お願いします!」


「は、入るだけだからな……な、何もしないぞ……たぶん……」


 克己はリーズにお風呂場まで連れていかれ、服を脱ぎ浴室へと入る。


「へ~、ラブホテルの浴室はこうなっているのか……、テレビまで付いてるじゃん」


「か、克己様、お背をお流し致しますので、座って頂けませんか……」


 克己は金色のスケベ椅子に座り、リーズはシャワーで背中を流し始める。


「お? 道具の使い方が分かってきたじゃないか、凄いぞ!」


 克己はそう言って、褒めると、リーズはホッとしてボディシャンプーを克己の背中にかける。克己は暇なのでテレビを点けるが、その光景に一瞬動きが止まってしまった。


 何と、普通のテレビ番組かと思いきや、映った映像はAVで、しかも浴室シーンだった。


「な、何だこりゃ……。あ!」


 克己は慌ててテレビを消したが、リーズは再びテレビを点ける。


「な、何やってんだよ! ほ、ほら、早く消せって!」


 リーズは真剣な顔して克己の背中に体を押し付け、擦り始める。


「ん、んあ……、ど、どうですか……。克己様……」


 克己は混乱している。目の前ではAVが流れ、背中ではオッパイを押し付けられて気持ちが良い状態。次第に克己のジュニアが元気になり始める。


「り、リーズ……」


「は、はい、克己様……。気持ち良くはありませんでしたか……?」


「き、気持ちいい、だ、だけど、が、我慢が……」


「克己様……私は克己様が……克己様を愛しています……わ、私を抱いて下さい……」


 克己は理性の限界だった。リーズの腕を引っ張り、前に連れてくると、克己は激しくキスをした。リーズはそれを受け入れ、自分の舌を克己の舌と絡め合う、


 克己の手は胸を触ると、リーズは一瞬体を跳ねらせるがその行動を受け入れ、自分の手を克己の股間に伸ばし、撫で回す。


「克己様、横になって下さい……。何分、初めてですから上手くはありませんが、頑張ります……。あ、あと、私を滅茶苦茶にしても構いませんから……好きなように抱いて下さい」


 リーズはそう言って、克己の胯間に顔を埋め、克己もリーズの胯間に顔を埋め、二人は激しく燃えるように愛し合ったのだった。


 二人は家に帰り着き、克己は疲れて自室で休む事にしたが、リーズは興奮が治まらないようで、部屋で思い出してゴロゴロして中々寝つけなかった。


 数日後、克己のレストランは再開した。街の皆は待っていましたと言わんばかりに店に押し掛けてくる。


「う、うわ~! いきなり満席だよ……」


「当たり前にゃ、うちの店は人気の店にゃ。みーんな首を長くして待っていたにゃ! 肝に銘じて働くにゃ! 店長、副店長、しっかりとやるにゃん」


「は、はひぃ!」


 千春は緊張をしており、カチコチでフロアーを眺めていた。


「緊張しても仕方ないですよ、店長。気楽にやりましょう」


 遠藤はそう言って、水を千春に差し出す。


「あ、ありがとうございます……。ですが、本当に凄いですね……。並んでいるお客様もいますよ」


「そうですね……。本当に人気店なんですね……」


 ペルシアは自分の奴隷を呼び出した。


「店長、私は出掛けるにゃ。今日は戻ってこないからシッカリとやるにゃんよ」


「あれ? バイザーは何処か出掛けられるのですか?」


「そうにゃ、隣街や王都にもお店があるにゃん。そこへ行けるようにしないといけないにゃん、だから今のうちにレベルを上げるにゃ!」


「はぁ……成る程……」


 ペルシアはそう言って奴隷達と出かけてしまい、千春と遠藤、新垣の三人で店を見ることになった。


「あれ? バイザーは?」


 事務室から新垣が出てきて確認する。


「今さっき出掛けましたよ」


「そうですか……店長、隣街のクラウディさんから備品の配送依頼がありまして……」


「なら、先ずは発注が先になりますから……」


 遠藤はそう言いながら事務室へと入って行く、フロアーに残された千春は緊張のため震えていた。


「み、皆、魔物だと思えば恐くない……」


 歯を鳴らせながら千春は呟き、何もトラブルが起こらないように祈っていた。


 その頃克己はと言うと、お弁当箱サイズの機械を持ち、街の外に出て何かを探していた。


 周りにはぞろぞろと何時もの取り巻きがおり、アルスも久し振りに私服姿で歩いていた。


「ん? 何やら反応があるな……トルマリンの反応か……」


 克己はシャベルを数本取り出して、穴を掘るように命じる。ノエルとアルス、リーズが穴を堀始め、他は周りを警戒していた。


 三人は穴を堀始めて暫くすると! 拳大の大きさはするトルマリン原石が数個出てきた。


 克己は嬉しそうに石を袋にしまい、再び掘るように命じる。皆はこの石が何なのかは分からなかった。


 再び三人が掘り始めると、今度は頭蓋骨程のトルマリンが出てくる。


「おぉ! こりゃ凄い!」


 嬉しそうな顔して克己は袋にしまい、タブレットを出して地図に書き込む。勿論この地図は克己が自分で作っている地図であり売っているものではない。


「じゃあ、次に行こうか」


 克己は三人からシャベルを受け取り、森の中へ入っていく。暫く歩くと、天然の洞窟らしきものが有り、克己達は顔を見合わせ、中を覗き混む。


「誰か洞窟の……噂話とか、何か聴いてる?」


 皆は顔を見合わせるが、誰もそんな話を聞いたものは居らず、首を横に振った。


「入り口が小さく狭いですね……入れるのでしょうか?」


 シェリーは克己に質問する。


「入れなくは無さそうだけど、入り口を広げたいね」


「じゃあ、この剣で入り口を広げましょうか?」


「んー、出来ればそれは止めておこう。ハミル、脱出魔法を使うと何処まで出ることが出来る?」


「そうですね……、登録地点をこの場所にすれば問題ないと思いますが……」


 ハミルは顎に手を添えて話す。


「成る程、じゃあ、一旦潜ってみるか……」


 克己が言うと、リーズは少し嫌そうな顔をする。


「どうした? リーズ」


「あ、いえ……。服が……折角買って貰った服が汚れちゃうと思いまして……」


 女性陣は、自分だけ良い思いをしやがってとリーズを睨む。


 克己は腕を組んで少し考えると、中に入ることを止めた。


「止めよう、一人でも嫌がるのなら行く意味はないし、気に入っている服がくだらない理由で汚れるのは可哀想だ。じゃあ、先へ進もうか」


「ちょ、ちょっと待ってください! そんな事で諦めてしまうのですか!」


 ノエルが驚きながら言う。


「ん? 仕方ないだろ? 好きな服が汚れるって言ってるんだから。それに無理して入る必要はないだろうし……文句あんの? 俺が決めることに」


「も、文句等はありませんが……」


「じゃあ、先に行くぞ」


 リーズはまさかの出来事で少し嬉しそうにしていたが、皆は納得が出来ない顔で付いていく。


 暫く歩いていくと、ノエルが木の幹に足を引っ掻けて転ぶ。それを見た皆は笑っていたが、どうも様子がおかしかった。


「どうした? ノエル。何処か怪我でもしたのか?」


「あ、足を捻ったようで……イテテ……立てそうも無いです……」


「だ、大丈夫か! 見せてみろ……あぁ、捻挫しているようだな」


 克己は心配をするが、他の全員は心配をしていない。


「こりゃ背負って歩くしかないかな……」


 ノエルは克己に見えないようにして、ニヤっと笑う。しかし、ノエルの企みは直ぐに暴かれることになる。


「その必要はありませんよ」


 レミーが克己に言う。


「どうしてだ? 怪我をしているんだぞ?」


「こいつ……、回復魔法を使えるのですよ? 自分の怪我を治すなんて簡単な事ですよ。騙されてはいけません!」


「そうか……、そうだったな。ほら、少しだけなら負ぶってやるから、早く治しちゃえよ。痛いだろ? そのままだと」


 全員は驚き隠せずに、「何故!」と声を出していた。


「いい加減、可哀想だからな。こいつの事は嫌いじゃないし……。ほら、乗っかれよ」


「ほ、本当に宜しいのですか……」


 ノエル自身も驚いており、恐る恐る背中に乗っかる。


「じゃあ、先を急ぐぞ」


 克己はノエルを背負い、歩き始める。


 納得は出来ないが悪いことではないし、諦めながら皆、歩き始める。


 山道になり、ノエルは自分で歩くと言って克己の背中から降りる。


「申し訳ありませんでした……」


「気にするな、甘えたい時だってあるさ、足は大丈夫なのか?」


「は、はい……。おかげさまで……」


「無理するなよ」


「お優しいお言葉、感謝します……」


 久し振りに優しい言葉をかけてもらい、ノエルは涙目になる。しかし、それを許さない者がおり、ノエルに態とぶつかる。


「あ、ごめんね」


 ハミルはそう言って先に進み、次々と皆がノエルにぶつかっていく。


「調子にのってんじゃねーよ」


 最後にぶつかったアルスがそう言って先へと進む。ノエルは後で克己に泣きつこうと考えたのだった。


 山道を歩いていくと、克己は道から外れて歩き始める。


「克己様? 道から外れておりますが……」


 ガルボが心配そうに聞く。


「あぁ、構わないよ。目的は探索だからね。資源を探してるんだよ」


 弁当箱のような機械を見つめながら克己は言うと、ルノールは聞き返す。


「資源……ですか?」


「そうだよ、生産活動の材料となるものさ」


「材料ですか……そんなものがこんな場所に落ちているんですか?」


「それを調べているんだよ、探さなきゃ見つからないからね」


 二人は納得して後ろを付いて行く。


 暫くすると、岩肌にたどり着く。


「ダイヤの反応があるな……。アルス、ノエル、レミー」


 呼ばれた三人は返事をしてシャベルを受け取ると、岩肌を削るように掘っていく。


「その位でいいよ」


 克己はそう言って地面に落ちた岩を見ると、ダイヤの原石が光っており、克己の顔は頬を緩ませる。


「ほうほう……素晴らしい!!」


 克己はタブレットに地図を書き込んで嬉しそうにしていた。


「今日はこれで帰る事にしよう、これから忙しくなるぞ!!」


 アルスは首を傾げてテレポートを唱えて街へと帰りつき、お店に向かう。


「どうだい? 遠藤さん」


「た、大変ですよ! 物凄いお客で常に満席をキープしていますよ!」


 遠藤は足を止めて克己に報告する。千春も慣れてはいないが、周りをフォローするために必死に接客をしていた。


「ペルシアは?」


「ナズベさんとカリシさんを連れてどこか出かけましたよ」


「成る程ね、人手が足りてないようだね。お前達、手伝うぞ!」


 克己はそう言って厨房へ向かい、料理を作り始めると、アルス達はウエイトレスの服を着て接客を始めたり、食器を洗ったりとして仕事をしていた。そんな中、ペルシアが帰ってくる。事務室に入ると、新垣が克己をいる事を報告したら、驚いて着替えを始めた。


「や、やばいにゃ!! まさかご主人様がお戻りになっているなんて!」


 そう言ってナズベとカリシと共にフロアーに出て、接客を始めた。


 数時間が経ち、ようやく店が落ち着いてきたところで克己は店を閉めるように指示をする。


「な、何故にゃ? どうして今日は閉めるにゃ?」


「再開祝いを始めよう! 自分達で準備になるけど、全員で今日の出来事を祝おうじゃないか」


 従業員奴隷たちは、家も与えられて食事も給料も貰い、こうやって祝い事まで参加できるとは思いもしなかった。


「俺が飯を作ってやるから、お前たちは飲み物を準備するんだ。店長、今日一日お疲れさま! よく頑張ったね……。そして、周りをフォローしたのは評価に値するよ」


「あ、ありがとうございます」


 克己は頭を撫でて厨房へと向かい、ノエルとアルスは克己の後を付いて行った。


 暫くして従業員たちは店のジュースやお酒を注いで、克己が出てくるのを待っていた。


 シェリーやレミー等は、克己が作った料理を各テーブルへと運んでいく。


 従業員たちは自分たちが運ぼうとしたら、ハミル達が座ってゆっくりしなさいと言って、率先して料理や皿を運んでいく。


 料理が一通りテーブルに並ぶと、克己が厨房から出てきて、ペルシアがエールを渡して挨拶をしてくれと言ってくる。


「あ、あー、こういったのは苦手だが……こほん、今日から皆は新しい生活が始まった! 奴隷という立場は忘れてこれからは自分の意志で生きてくれ。休みの日は自分の自由に過ごしていい。恋愛をして結婚するのも自由! 君たちは自由を手に入れた! ここでサクセスストーリを……成功の物語を作ってくれ! 今日は無礼講! それでは乾杯!」


 克己が言うと、全員グラスを掲げ「乾杯!!」と叫び、皆は一気に飲み干しワイワイと話をしながら食事をする。


 ノエル達は食事を運んだり、飲み物を運んだりして従業員をもてなす。


「ねぇ、ノエル……私たちは何時休めるの? 私は疲れたよ……」


 リーズはノエルに聞くと、ノエルも疲れた顔をして答える。


「知らないよ……。私も疲れたよ……」


 ノエルもそう言って食事を運んでいく。


「おい、お前達」


 克己が自分の奴隷たちを呼び集める。


「今日はご苦労様、お前達も飲み食いをして騒げよ」


「そ、そんな……よ、宜しいのですか?」


 ノエルが代表して質問する。


「構わない、あとは俺がやるからお前たちも今日はゆっくりしろよ」


 全員は顔を見合わせ、どうしようかと戸惑っているが、克己は一人でせっせと働いており、その姿を見ると自分だけ休んでいるはどうかと思い始める。


 しかし克己は良いからゆっくりしろと言って全員は克己を気にしながら食事を始める。


「やっぱり克己様の料理は美味しいわ……」


 声を揃えて全員は言う。


「そう言ってくれると嬉しいよ、さぁ! いつも頑張っているお前達もゆっくりしてくれよ」


 克己はそう言って他のテーブルに食事を運んでいく。


「なんだか、どっちが奴隷か分からないよね……」


 レミーが言うと、全員は頷く。


「こんな上等な生地を使った服を着させてくれたり、この靴も買ってくれた。そして毎日おいしい食事を頂ける……夢の生活だよね……」


 ハミルが言うと、皆が頷く。


「性奴隷にされると思っていたけど……そんな事はなく、お姫様のように扱われているもんね……たまに酷い扱いされるけど……」


 皆は笑いながら頷き飲み食いする。


「こんな髪にしてくれたし、夢をかなえてくれたもん……ほんと夢のような時間を与えてくれたしね……」


 リーズはそう言うが、皆はそりゃお前だけだと言って誰も共感してくれなかった。


 宴会は数時間行われ、皆は段々食器などを自主的に片付け始める。


「オーナー、そろそろ休憩をして下さい。後片付けは私達がやりますから……」


 遠藤たちがそう言って、克己をフロアーの方へ連れていき椅子に座らせると、新垣が飲み物を持ってきた。


「売り上げは上々ですよ! 明日も大変な一日になりそうですね」


 新垣が言うと、千春は苦笑いをして言う。


「明日も大変な一日になるのですか……」


「ペルシア、明日は男の奴隷を買って来るんだ。10人程な、力仕事が多いのと厨房は男連中に作業させるんだ」


「わかったにゃ!」


「そして直ぐに働かせるんだ! 男には、優しくする必要は無い。コキ使え」


 ペルシアは真剣な目で頷く。克己はその頭を撫でてあげると、ペルシアは嬉しそうな顔をして微笑んだ。


 翌日、克己とアルスは国枝達とファミレスに居た。


「何で涼介までいるんだ? 克己」


「護衛で雇っているんだよ。……と言うか、無理矢理護衛になりやがった。暇なんだろ?」


「私がいるから必要ないのですがね……」


 アルスは小さく呟き、オレンジジュースを一口飲む。涼介は炒飯を頼んで、コーヒーを飲んでいた。


「しかし国枝君、何故……彼女達もいるんだ? 随分と日本に馴染んでいるようだけど」


 国枝の横には、国枝の奴隷二人がハンバーグステーキセットを頼んでいるが、涼介と、二人の奴隷が注文した物の支払いは誰がするのか不思議でならない克己であった。


「まぁ、日本で一緒に生活をしているからな……」


「あれ? 国枝君には彼女がいたよね? 確か……里理(さとり)ちゃんと言う可愛い子が……」


「あぁ、いるよ。今は一緒に暮らしている。彼女に説明済みだ、問題ない。それに里理が連れてこいと言ってきたんだ」


「相変わらず変わっている子だよね……」


「そんな事はどうでも良い、今日はどんな要件だ?」


「あぁ、延田に言っといてよ、新たに石油が有りそうな場所が発見されたと……。それに、ダイヤモンドが沢山出てきたって。それに、こんなにでかいトルマリンの原石がパルコの側から発見されたよ。因みにこれはダイヤの原石ね。簡単に調べたけど、30カラットで、色は特上を超えるし、透明度は半端無い。正直、世界には……先ず、無いものと考えられるね。ダイヤに関しては、これ一つで数千万はくだらないだろう。後はカットの技術次第だね」


「ま、マジかよ……」


「これは国枝君、君に預ける事にしよう。売っても構わないし、延田にくれてやっても構わない。君の自由にすると良いよ。その代わりマスコミと話し合いの場を作ってくれる? あいつの思惑通りに事が運ぶのは癪に障るが……あ、記者会見とかでも構わないよ」


 国枝は唾を飲み込み原石の塊を見つめる。


「さ、触っても?」


「勿論、構わないよ。それは君の物だ……。好きにすると良い。しかし、今言ったことを忘れないでよ」


「あ、あぁ……。わ、わかった……」


 国枝は恐る恐ると原石を手に取り覗き込んだりしている。


「こんなに小さいのに重いな……」


 国枝はそう言って鞄の中に原石をしまい、二人が食べ終わるのを待つ。二人は目を輝かせながらハンバーグステーキを食していた……。


 国枝は他にやることがあると言って、ファミレスから出ていく。


「ありゃ、鑑定に行くだろうな……」


 涼介はそう呟き、国枝が出て言った方を見ていた。


「構わないよ、仕事は確りとやっているんだし」


「仕事と言ってもお前と会うだけだろ? 簡単すぎるじゃんか」


「そうでもないよ。涼介は俺との付き合いが長いし性格も把握している。国枝君もそうだけど、他の人だったら難しいと思うけどね。俺は政府の人を疑って見ると思う。信用できないから」


「ふ~ん」


 暫くして克己は気が付く。支払いは自分がすることになるのだと……。


 翌日の朝、国枝から連絡があり記者会見を行う事となるのと、延田が会談を求めているとの連絡があり、日時を確認してアルスに報告する。


 アルスは手帳に予定を書き込んでいるが、何と書かれているかは普通の人には分からない文字で書いていた。


 数日が経ち、克己は国枝が指定した東京のとあるホテルへと向かった。それは記者会見を行うためだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ