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37話 克己とアルス!!

 時間は戻る。


 克己の家ではアルスがシャワーを浴びている。


 アルスはシャワーを浴びながら考える。このままで良いのだろうか……と。


 しかし、自問自答をしても答えは出ず、仕方なく風呂場から出ることにした。


 体を拭きあげ、タオルを体に巻き、部屋に戻ると克己が漫画の本に没頭している。


「克己様、お風呂から出ました……」


「ん? ん……」


 克己は一瞬だけアルスを目配りし、漫画の本を棚に戻して着替えを持ってお風呂場に向かう。


 アルスは火照る体が落ち着くまでタオル姿でベッドに腰掛け、ボーッとしていた。


「私は魅力がないのかな……」


 一言だけ呟き、落ち着くまで待っていると、克己がお風呂から上がって来る。


「お早いですね、克己様」


「シャワーだけだからな。そこまで時間を掛けられないよ。さてと、……明日は早いから寝るとしよう」


 克己はアルスの姿が気にならないのか、何事もなく話を進め布団に潜り込もうとしていたが、アルスの脱いだスーツに気が付き動きを止める。


「アルス……」


「は、はい、何でしょう……」


「スーツはハンガーに掛けないとシワがよるから気を付けろ」


 克己はアルスが脱ぎっぱなしにしているスーツを掴み、ハンガーにかける。


「も、申し訳ありません……」


 掛け終わると再び布団に入り込み寝ようとする。アルスは落ち込みながら床に布団を敷く準備を始め、克己はそれを見ている。


「アルス、一緒に寝るんだよな?」


「は、はい、ですから今、ここに……」


「それならそれで良いけど、俺は一緒の布団で寝ると思っていたんだが……」


 タオル姿のアルスはピタッと動きを止める。


「え?」


「一緒に寝るんだろ? 早く布団に入れよ。明日は早いからな」


「よ、よ、宜しいのですか?」


「お前が言ったんだろ?」


「そ、そうです……! 言いました!」


「なら、早くは入れ。寝るぞ!」


「はい!」


 アルスは元気一杯に返事をしてそのままの姿で布団に入り込みタオルを外す。


「パジャマくらい着てから寝ようぜ……」


「お時間が勿体ありません! ささ、おやすみしましょう!」


 克己は呆れながらリモコンで電気を消す。アルスはその動作に不思議を覚えたが、後で考えることにした。真っ暗な部屋の中、アルスが質問する。


「克己様? 少しだけお話をしても宜しいですか?」


「少しだけなら……な」


「わ、私は魅力がありませんか?」


 何を言っているのだろうと克己は思いつつ、アルスの体を自分の方へ寄せ抱き締める。


「か、克己様……////」


「魅力が無い分けがないだろ? お前は魅力的だよ。それにスーツ姿も綺麗だった。護衛は勿体無いから、俺の秘書にしてやるよ」


「ひ、ひしょ?」


「俺の予定や行動を把握し、裏で俺の業務を支える仕事だよ。俺の行動を全て理解し、分からないことは質問しろ。そして、影のように俺を支えるんだ」


「じゅ、重要な役目ではないですか!」


「光栄に思え」


「は、はい! 身に余る光栄です!」


「じゃあ、今、俺が何を考えているかを把握して、眠りにつけ」


「わ、分かりました……」


 アルスは克己の体にしがみ付き、目を閉じる。


「まだまだ理解するには時間が掛かるか……」


 アルスは目を開き「え?」っと、一言呟いた瞬間、唇を塞がわれる。


「ん……、ん……ぷはっ! 克己様……」


 名前を呼ぶが、再び口を塞がわれてアルスの口の中は克己の唾液で一杯なる。


「アルスは魅力的だよ。だけどね、今日は時間がない。続きは今度ね」


「は、は……い……」


 克己は腕枕をしながらアルスの体を寄せて、アルスは幸せの気分で眠りについた。


 朝になり、携帯のアラーム音でアルス達は目を覚ます。


「もう朝ですか……」


 アルスは体を起こして携帯のアラームを止める。


 克己が目を開けて、朝一番に目にしたのはアルスの乳房だった。


「あ、朝から刺激的な物を魅せてくれるよ……こいつは」


 アルスは克己が目を覚ましたのに気が付き、顔を向けて挨拶をしようとしたが、克己の視線を追うと、自分の体を見ている事に気が付き、慌てて胸を手で隠して体を小さく丸めた。


「も、申し訳ありません……お見苦しい物を見せてしまいまして……」


「見苦しくないよ、綺麗だよ。アルスの体は綺麗だよ。ほら、俺にしっかりと見せてくれよ」


「は、恥ずかしいです……。ですが……」


 アルスは体を起こして生まれたままの姿を克己に見せ、顔を赤らめる。


「うん、やっぱり綺麗だよ」


 克己はアルスを抱き寄せ、キスをする。


「ん……/////」


 再びアルスの口内は克己の唾液で一杯になり、二人は唇を離す。すると、お互いの唇から糸が引いており、煌めいているようにアルスは見えてウットリしてしまった。


「ありがとうございます。克己様……/////」


 アルスは体に力が入らないのか、克己の体に凭れ掛かり、耳元で克己に囁く。


「アルスは幸せです……」


「そうか、それは良かった。さあ、アルス! 俺に新しいスーツ姿を見せてくれよ!」


「はい! 克己様!」


 アルスは下着を身に付け、新品のブラウスを着て、ストッキングを穿き、スーツを着用する。


「こんな感じで宜しいでしょうか?」


「うん、似合ってるよ。こっちへおいで」


 アルスは克己の側に寄ると、克己は襟を直して服装の乱れが無いかを確認する。


「うん、良いね。じゃあ、目を閉じて……」


「は、はい……」


 克己はアルスに軽くキスをすると、アルスは克己にしがみ付き、おねだりをするような目で克己を見つめ、目を閉じてアルスの唇にフレンチ・キスをする。


「ん……、あむ……ん……」


 暫く、お互いが愛を確認するかのように唇を貪りあい、アルスの膝が、ガクガクしはじめ克己が体を支える。


 克己はそのままベッドに押し倒したい衝動に駆られる。


 しかし、そこをグッと堪えて顔を離し抱き締める。


「続きは後で……な……」


「……はい」


 克己もスーツに着替え、涼介が来るのを待っている間に朝御飯を作る。


 ペルシアと遠藤を起こしてご飯を食べさせるが、遠藤は戸惑いながら食事をした。


「お、おいしい……!!」


「流石、ご主人様にゃ!」


 アルスは黙ってご飯を食べて、味を噛み締める。


「あ、あの……。わ、私は……」


 遠藤が帰っても良いかの確認しようと克己に話しかける……が、克己は違う反応をする。


「採用。役職副店長。ペルシアは二人に店のシステム及び、日本円とお金の違い等を教育。次いでに……アルス、千春ちゃんのレベルは30位だっけ? だったら遠藤さんもそれくらいにレベルを上げること。最後に、必ずスーツ着用。スーツは提供します」


「ちょ、ちょっと待ってください! 何で採用なんですか! わ、私は貴方を!」


「殺そうとした? それで? 知っての通り、俺は世界中の人に命を狙われているようだからね。あの程度は殺しのうちに入らないよ。本気で俺を殺したければ、俺より強い奴を連れてくるんだね」


 克己は味噌汁を飲みながら遠藤に言うと、アルスは何故か頷いておりペルシアは食事内容をメモしていた。


「じゃあ……今日は、二人に教育をすれば良いのかにゃ? 私もレベルを上げた方が良いのかにゃ?」


「そうだな、今週はその予定で行こう。あと、護衛も買いに行けよ。金は……ほら、このくらいで買える奴を二人ほど買えよ。装備も忘れるなよ」


「ちょ、ちょっと話を進めないで下さい! だ、誰がやるって言ったんですか!」


「三食家付きで、給料はバイトしていた時の倍近くなるのに? 未成年だから深夜はできないでしょ? 最高で手取り20万位でしょ? ペルシア、給料は幾らくらい出せる?」


「日本円かお金のどちらにゃん?」


「日本円で、千春ちゃんはお金で」


「にゃるほど……。日本円は35万位になるにゃん、従業員は奴隷だったらそれで行けるにゃんね」


「さ、35……万……。嘘でしょ……」


「その分、仕事は大変にゃ。店長を支えるんだから。店長はペンの持ち方から覚える必要があるにゃ。その間、発注関係は副店長がやらないといけないにゃん」


「因みにボーナスもある。ペルシア、説明」


「ボーナスは年二回を予定しているにゃ! 夏前と冬。今からだと冬になってしまうにゃ。売り上げによって金額が変動するけど、最低でも一ヶ月分を出す予定にしているにゃ」


「そう言うことだ。嫌なら仕方ないな……。次を探そう」


「休みは週休二日を予定しているにゃ。当分の間は……来週か、再来週迄は従業員の指導で、休みは無くなってしまうのは勘弁してほしいにゃん」


 ペルシアは説明を続ける。


「制服支給だにゃ。副店長もスーツにゃん? だったら日本円も準備するにゃ。忙しくなるにゃん! 燃えてくるにゃ!」


 ペルシアが力説をしている間に克己は食器を片付ける。


「どうすんの? やるの? やらないの? どっち? 因みに来週から世界は俺を中心に動き出す! この波に乗るチャンスは今しかないよ?」


「な、何で貴方を中心で世界が回るのよ……」


 克己はニヤッと笑い、遠藤に答える。


「再び扉が開くからだよ、全ては俺次第さ。誰も逆らう事が出来ない」


 克己は自信たっぷりに言うと、遠藤は呆れていた。だが、話は魅力的である。


「ふ、福利厚生は……?」


「勿論手続きをする。有給だって付ける。後は事務員を雇わないといけないな……探すのが大変だ。暫くはペルシアが兼務でやってくれよ」


「承知したにゃ! 任せるにゃ!」


 遠藤は暫く無言で考える。克己はペルシアに数百万を手渡し、ペルシアはお札の数を数え、アルスは克己の横顔を眺めている。


「涼介のやつ、遅いな……」


「帰りが遅くなりましたからね……」


「なら、しょうがないかと思うけど……。俺は違う気がする。来たら臭いを嗅いでみよう!」


 克己はそう言って、携帯を取り出して電話を掛ける。


「国枝くん? おはよう。品川さんは? ……了解。バカ野郎が遅刻しているからどっかで食事をしてきてよ」


 克己は電話を切り、時計を見る。時間は9時10分を回ったばかり。克己の機嫌が悪くなるのをアルスは悟り、少しだけ距離を置く。


 9時15分になり、ようやく涼介が来たが、二人共寝癖だらけで少し異臭を感じた克己は、二人に風呂に入るように言う。


 仕方なく暫く二人を待つことにすると、遠藤が克己に話しかけた。


「ほ、本当にさっき言った金額を私にくれるんですか?」


「遠藤さん次第だよ。そんな事よりも時間がないのに!! あの二人は!!」


 克己は時計を見ながらイライラしている。アルスはさらに距離を置き、殴られないように気を付けることにした。


「分かりました……。ですが、ちゃんと給料を払ってくださいよ!」


「うるさいなぁ。分かってるよ……。今日の予定はペルシアに聞けよ。日本の道案内は遠藤さんがしてくれよ。俺は今日、帰りが遅い。明日も朝が早いから」


「何処に行くんですか?」


「静岡」


「な、何故ですか?」


「色々とあるんだよ。俺にも……」


「連れて行ってくれないんですか?」


「行きたいの? 静岡の演習場に……行きたいなら……連れて言って良いか確認するけど」


「オーナーがどんな人なのか分かりませんからね……」


「ふ~ん、そう。なら聞いてみるよ。バスが手配できるかが問題だな……」


 克己はそう言って時計を確認してみると、10時になる瞬間だった。そして、チャイムがなり、品川が玄関前に立っている。


 アルスが車で待つようにお願いしに行き、ようやく出てきた二人に克己は制裁を与えた。

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