321.5話 腐れ縁という名の親友!!
ドトール王国に潜入した者たちからの報告書を読む限りだと、剣の腕が全てらしくコアに関しての研究はほとんど行われていないようであり、特別に危険視する必要はないだろう。だが、ラスベル帝国に関しては別であり、コアに関する研究が盛んに行われているようだ。
今のところは武器として使われてはいないようだが、いつ武器に転換されるのかは分からないため、継続として情報を探らせている。
もしも武器として使われるようになったら、申し訳ないが攻め落とさせてもらうつもりである。それに関しては、涼介にも話してあり、納得してもらっている。
涼介としてはレデオウィール王国に危険があると大変だと思っているかも知れないからだろう。
英雄として扱われている涼介は、ようやくレデオウィール王国から準男爵の爵位を貰うことができたのだが、国を救った男に対しては随分と扱いが悪いと思う。
これに関しては、納得ができなかったセデルが随分と暴れたらしいのだが、涼介は貰えるのなら光栄だと大人の対応して、セデルの顔を汚さないようにしたのだった。
しかし、克己に対しては何も与えていないが、克己は気にも止めていなかったが、リーズたちは少し納得ができていない様子だった。
モルサッルの街が活気付くのは物凄く早く、克己の自警団だけではなく、店も繁盛しているだけではなく、上納金を支払わなくて良い街として扱われており、新たに冒険者達が立ち寄りやすくなった。
そして、娯楽も充実させて冒険者たちが立ち寄って、お金を落としてくれるので、それで涼介の懐に落ちてくるシステムとなっているのだが、娯楽の従業員も克己の奴隷たちで、売上の数%は克己の懐へやって来ることになっているが、全て従業員たちの給料で消えているため、克己からしてみれば慈善事業と変わらない。
「店が繁盛してなければ、割に合わない仕事だよ。涼介準男爵殿」
克己が涼介に嫌味を言う。
「分かってるって。何かでお返しできるように努力するって」
「先ずは努力して借金の返済してもらわなきゃならねーんだがな。しかし、今回の件でだいぶ管理する街が増えたから、もっとチェックを厳しくしなきゃならんから、大変になったよ」
面倒臭そうに克己が言うと、涼介は腕を組みながら聞いてくる。
「何をチェックするんだ?」
「逃げ出す自衛隊がいるかも知れないだろ。そういった奴がいたら、世界の秩序が狂っちまう。そういった所も調べてるんだよ。勝手に除隊して逃げたら大変な事になるだろ。そういった事を無くすためにも、娯楽システムを向上させたんだ。誰かさんの懐に入るようにね」
嫌味のように言うと、涼介は顔を隠すようにして天井を見上げる。
「既に天文学的な金額ですが、支払えるんですかね? 準男爵殿」
払う気がないのを知っているかのように聞いてくる克己。
「無理っしょ」
「ドラゴンの魔王を一緒に討伐してくれたら、チャラにしてやるよ」
「気の遠くなる話だなぁ」
笑いながら涼介は言う。いつ、再び出会えるかも分からない相手の名を言われても困るのだが、生活に困るような請求をしてこないのは、克己がしっかりと涼介の生活を管理しているからであり、涼介が幾ら稼いでいるのも把握している。
普通、ギリギリまで金を絞り取っても文句を言えないが、克己は支払えるときに支払えば良いと言って、ほとんど請求していない。だから天文学的な金額となっている。




