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318話 喧嘩を売るのなら買うよ!!

 酔っ払い達を相手にして、余り寝ることのできなかった克己は、欠伸をしながら観光をするのだが、遠くで狙っているスナイパーに向けて、石を投げつけヒットさせる。


 護衛をするはずの連中が、逆に護衛されてい事を涼介にそれとなく伝えると、涼介は気にしてなそうにしていたので、克己はスナイパーが狙っていたことを伝えたが、全く気にしていないので、護衛料金も請求してやろうと思いながら、何故かセデルたちを接待させられた。


「涼介、一応言っておくが、俺とお前は友達だと思っているが、それでも超えては行けないラインがあると思うんだよね」


「おい、何が言いたいんだ?」


「迷惑料を請求するから、楽しみにしておけと言っているんだよ」


「じょ、冗談だろ?」


「昨日の件も含め、全て請求してあげるから感謝しておけ。俺は、今回は家族旅行のつもりでやってきたんだが、ここまで打ち壊されて、許すはずがないだろ。楽しみに請求書を待っていろよ」


 普段は見せない冷たい眼差しで涼介を見つめながら言う。涼介は一生懸命機嫌を取ろうとするのだが、全てセデルが台無しにして、克己はロマンスカーに乗って、家に帰るまで笑顔を見せる事はなく、口も聞いてくれないことに克己がどれほど怒っているのかを察した理恵たちは、猛反省をして謝罪していたのだが、克己がそう簡単に許すはずもなく、しばらくに間は別々の部屋で寝るくらいだった。


 ようやく機嫌を戻して、高額な領収書を眺めながら涼介に請求書を作成してポストに投函すると、どうせ払い切れるはずがないのを分かっているが、どのような面で、請求書を観るのか想像すると、笑えてくるため満面の笑みで家に戻り、リビングへ行くと重苦しい空気が流れていた。


 このどんよりした空気を作り出しているのは、旅行で羽目を外しすぎた連中であり、ライラとライさんには全く関係がないので、克己は普通に挨拶をして、朝食の準備を手伝う。


 無言の中で朝食を食べてから克己はパルコの街を歩いていると、この街が一番安全で安心ができる。街の平和を守っているのは克己の奴隷たちであり、自衛隊を守っているのも克己の奴隷たちで、自衛隊が悪さをしない限り基地の安全は約束されている。


 異世界への入り口が開いて数年が経っているが、いまだに海外の人は異世界に行くことが出来ないでいた。


 その事について納得が出来ないのは同盟国であるアメリカもその一つである。


 異世界へどうにかして行ってみたくなるのだが、そこまでの危険は冒せないのもアメリカである。しかし、旅行くらい行かせてくれても構わないだろうと言うと共に、異世界の要人を自分の国に招待したいと日本政府へ圧力を掛けてくるのだが、異世界の入り口を守護しているのは日本政府では無く、成田克己であるため、日本政府としても困っているのである。


 成田克己から異世界の入り口を取り上げてしまえば、世界の中心は日本となると自分たち政府だと考えるのだが、契約書と誓約書をだけではなく、入り口の作り方すら誰にも分かっていないため、取り上げたところで異世界の入り口を閉じられてしまっては意味がない。


 聞きたくは無いが、成田克己に海外の人を異世界へ入国させられないかと聞いてみたところ、「及川に聞いてみたら如何ですか?」と、返事が来たため、試しにもう一つの取り引き先である、及川涼介に確認すると、レデオウィール支配下であるレレリックの街なら入国しても良いと言われたのだが、不法滞在などはしないように厳重注意をしてくれるよう言われ、先ずは大統領が異世界へ向かうために来日して、総理と共に異世界への扉にはいっていくと、SPが持っている武器などについて自衛隊は、要人の護衛には必ず必要として持ち込みを了承したが、克己の奴隷たちは武器の持ち込みを許さなかったために、中へ入るのに一悶着起きてしまう。


 克己が駄目だと言ったものに関しては絶対なのであり、いくら日本国の総理大臣だとしても特別扱いする訳にはいかないと克己の奴隷たちは言うのだが、相手は同盟国の大統領なので、総理権限でどうにかしろと克己の奴隷に言うのだが、命令の権限は克己にあるため、奴隷は判断に困り克己へ連絡すると、他国へ武器の持ち込みが禁止されているよう、異世界への持ち込みも禁止されていることを伝えるように命令し、奴隷は克己の言葉をそのまま伝えるのだが、納得しない日本国の総理大臣と、アメリカ合衆国大統領。


 自分たちに何か合った場合、誰が責任を取るのかと言ってきたため、仕方がなく克己が入り口まで行き、話をするのだが時の内閣総理大臣さんは納得してくれない。


「なら、お帰り頂くしかありませんね」


 説明をしても納得してくれないのなら帰ってもらうしかない。


「我々に何かが起きたら、誰が責任を取るんだ!」


「そりゃ、あんた等でしょ。こちらからお願いしている訳でもないし、頼んでもいない。あんた等が勝手に行きたいと言っているだけでしょ。警護をさせるのであれば自衛隊にお願いしたら如何です? 唯一武器の持ち込みを許可されているのは彼らだけなんですから。それが守れないのなら、GO HOME!」


 克己は強気に言うと、大統領は首を左右に振ってきた。


「我々はね、何時でも君を狙うことが出来るんだよ? それを忘れては困る」


 笑いながら脅迫してくる大統領。


「何時でも掛かって来な、俺は逃げも隠れもしないよ。降り掛かる火の粉は振り払うまでだ。何時でも相手になってやるよ」


 売り言葉に買い言葉。克己も不敵な笑みを浮かべて、見下すように大統領に言うと、大統領は諦めて武器の携帯を諦めて奥へ進むことにしたのだが、最後に捨て台詞を言う。


「最後に笑うのは我々だ。それを忘れないようにね。小さなヒーロー」


「最後まで笑うのは俺だ。あんた等は俺の下で見上げていれば良いさ」


 睨みつけながら克己が言うと、大統領はただ笑うのだった。


 ようやくやって来た異世界に大統領は歓喜する。これだけの土地や資源が無限に広がっているように感じたのだろうが、涼介が管理している異世界はほんの一部だけであり、隣国にはドトール王国があり、最近はレデオウィールが領土を広げていることから、隣国との関係に少しだけ亀裂が入り始めている。


 それに、国枝が管理している異世界Cだって、隣国は敵だらけであり、いつ戦争が起きるのか分からない状態であり、平和とは程遠いのである。


 油断は大敵であり、克己が守るのはガラトーダだけではなく、ローロスーと、異世界C、Dの四つ。そこには原住民であり、日本人や地球人ではない。


 多少の文化を与えることにしても、バランスが崩れたら意味がないのである。


 だから、レデオウィールに対しても大金を吹っ掛けて、文化の発展を最低限に留めている。


 何だかんだ言っても、克己は自分のやっていることに責任を感じているし、なるべく世界の秩序に関与しないよう調整役も担っている。


 それに関してどれだけの人が理解しているのか分からないが、同盟国や隣国は理解しているとは思っていないので、克己は行ける場所を制限しているのであった。

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