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307話 涼介の苦難

 理恵が困った顔をしながら克己の所へやって来て、克己は作業を止めて理恵の方を向き直る。


「少しだけ困った事がありまして、どうしようかと思い相談したいのですが、よろしいですか?」


「困った事? 珍しいねどうしたの?」


「宏太のお嫁さん、早霧さんのご両親が、結婚式を開けと言ってきているんですよ」


「別に構わないでしょ? 宏太君もそれなりに稼いでいるんだし、子供もそれなりに大きくなっているんだから」


「それで、結婚プランナーへ行ったらしんですが、二人は簡素な式で良いと思っていたらしいのですけど、相手のご両親が一人娘の晴れ舞台はしっかりとしたものでないと許さないと言ってきて……」


「宏太君はそれなりの年収を貰っているでしょ? あぁ、そうか、家を購入したんだっけ。ご両親との二世帯住宅」


「はい、それで資金がかなり使ってしまったので、それほど残って無いそうなんです」


「だけど、式を挙げれば、それなりに戻ってくるでしょ?」


「店を閉める訳にはいかないじゃないですか。それに友人だって少ないと言うことで、困っているようなんです」


 正直、克己は知らんがなと、言いたかったが、人でなし扱いされるのは嫌だと思い、少しだけ考える。


 ペルシアに連絡し、宏太が受け持っている店の人員は確保できると理恵に話すと、理恵は納得してくれて宏太に連絡をした。残りはお金の問題だが、そこに関しては式を挙げるまでに時間があるので、問題ないだろうと言う話になり、この件は解決をしたかに思えた。


 核石の研究をして分かった事は、武器のエネルギー増強になることや、電気などのライフラインなどに関しても、増強できることも分かり、ガラトーダに持っていき、電力システムなどを改良して、パルコなどの街へ行き、エネルギー問題を更に改善したのだった。


 いつものように克己とルノールが研究室で仕事をしていると、ライラが涼介を連れてきた。


「ん? 涼介、何か合ったのか?」


 疲れた表情をしながら部屋に入ってきて、ルノールはチラッと涼介に目を向けたのだが、直ぐに興味を無くしたように自分の研究に戻った。


「セデルがお前の作ったネックレスに焼き餅を焼いていてね、随分と困っているんだ。何とかなんねーのか?」


「あれは魔力を増幅させる核石で、ただの宝石じゃない。魔法が使えない人が持っていても、意味がないものだよ」


「それを説明をしているんだが、装飾に使われているのはプラチナゴールドだろ?」


「魔力伝導率が良いのがそれだったんだから、仕方がないじゃん。お前が買ってやれば済む話じゃないのか? 姫はお前に惚れているんだし」


 克己と涼介の話がくだらないと思いながら、ルノールは聞き耳を立てていたが、ルノールの胸にも克己から貰ったネックレスが有り、少しだけ勝ち誇った顔をしていた。


「俺には千春がいるから、姫の気持ちに答える事ができないのは、お前だって知っているだろ?」


「俺が知っていても、仕方がないだろ。姫の気持ちなんだから……英雄様は辛いね。それで、ローロスーに魔王は居るのか? 前に調べるように言ったが、その後について何も連絡がないから、どうしたのかと思っていたところだ」


「まだ分からねー」


 使えねーと、ルノールは思いながら自分の研究をしている。


「そう言えば、エルフの里やシルフの隠れ里がガラトーダに合ったな。腕の治療に関して聞いてみたが、ルノールの方が優秀だと分かったくらいだったなぁ」


 初めて聞いた話だが、ルノールは小さくガッツポーズした。


「何かの宝石で良いから、装飾品を作ってくれないか?」


「構わんが、原材料はお前が探してこいよ。これ以上の借金はしたくないんだろ?」


「なら、道具を貸してくれるか?」


 仕方が無いと言いながら、克己は探索君スペシャルを取り出し、涼介に渡す。


 この探索君は、今までの物とは比べ物にならない程、優れた物で、色々な宝石や貴金属を感知してくれるし、深さもほぼ正確な代物。学校で埋めたタイムボックス等は簡単に見つける事は間違いなし。しかし、国には貸し出しをしていないため、国は必死になりながら探しているのである。


「たしか、望ちゃんが土魔法を使えたろ。その魔法を使えば……これは見せた方が早いか。ルノール、出かけるから皆を呼んでくれる?」


 克己の言葉にルノールは返事をして、全員に集合をかけると、皆は慌てて研究室へやって来た。


「ハミル、オルベスクに飛んでもらえるか?」


 そう言うと、涼介を含めてパルコの街付近に飛んできて、ルノールが簡単に皆へ説明をする。


 克己は自分が作った探索君スペシャルを使用し、スイッチを入れる。少しだけ動かして探索すると、直ぐに反応を示したので、ガルボにお願いして、掘り起こしてもらう。もちろん、ガルボの胸にもネックレスが装着されているのだが、全員デザインが異なっており、皆は満足気な顔をしているのは言うまでもない。


 魔法で掘り起こされた場所には、宝石の原石が有り、涼介が取りに行こうとしたところ、リーズとノエルに取り押さえられ、克己が宝石を手にする。


「こうすれば簡単に宝石は手に入るし、ガルボ、金が含んでいたら分離してくれる?」


「了解ッス!」


 ガルボは色々な種類のインゴットを作り上げ、克己が手にする。


「これで金などが手に入る。これをローロスーでやれば、姫さんも喜ぶだろ?」


 自分の分は自分で探せと言わんばかりに克己はインゴットを袋の中へ仕舞い、探索君スペシャルを涼介に渡し、克己は皆と共に家へ帰って行った。


 取り残された涼介も、とぼとぼと家に帰り、先ずはローロスーに戻って、望と共に探索君スペシャルを使いながら宝石探しを行うと、直ぐに宝石は発見できて手に入れたのだが、問題は金などの仕分け作業を望がするのは初めてなため、意外と手古摺ったが何とか手に入れ、克己の所へ持っていく。


「デザインはお前が考えろよ。俺が考えても良いが、お前が考えた方が姫さんは喜ぶだろ」


 そう言われて克己の部屋で、唸りながらデザインを考えるのだった。

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