27話 首相官邸!!
数日後、克己の携帯へ国枝から連絡があり、首相官邸で話をすることが決まり、克己は国が用意した車に乗り込んで首相官邸へと向かったのだった。
しばらく車が走っていくと、高速道路にのり首相官邸へ到着するのだが、かなり沢山のSPが警護していた。
SPの人に案内されて首相がいる部屋に入ると、高級な椅子に座っている人がおり、どうやら彼が内閣総理大臣なのだろうと克己は思う。
「ようこそ、私が宇賀正義だ。今日は君と良い話ができればと思うよ」
「どうも、初めてまして。異世界の門を管理している成田克己です。よろしくお願いします」
宇賀が手を差し伸べてきたが、克己は握手をすることなく頭を下げた。どうもこの人は胡散臭いと感じたからである。
ソファーに腰掛けるよう言われ、克己は遠慮することなくソファーに腰掛けると、宇賀は早速話を始める。
「君が管理している異世界の扉だが、国で管理をさせていもらえないだろうか。悪いようにはするつもりはない」
遠回しに克己の土地を譲れと宇賀は言ってくる。
「お断りします。どう考えても、日本国が異世界に関して管理ができるとは、到底思えませんので……」
克己は冷静に断りを入れる。このような無駄な話をするくらいなら、もう少し異世界を探検した方がマシだと思っていた。
「しかしだね、向こうは異世界なんだよ? 未知なるウイルスが日本国へ持ち込まれる可能性だってある。それを君一人で対処することができると言うのかね」
「お言葉ですが、それは向こうからしても同じことだと思いますよ。日本人が好き勝手に往来するようになった場合、あちらの世界に未知なるウイルスを持ち込む事だって考えられる。しかも、既に自衛隊がしばらくの間、向こうの世界へ滞在していたので、身体検査を行っているはずですし、今のところ何も異常は出ていない。私も長い間、向こうの世界へ行っていたので一応身体検査を受診いたしましたが、特に異常は見当たりませんでしたので、未知なるウイルスに関しては考えにくい話です。私はこの様な話を総理と話をするためにここへ来たのでは無いと思っていましたが、そうであるのならこれ以上の話は無意味だと思います」
少しだけ口調を強くして宇賀に言うと、宇賀は小さく溜め息を吐いた。
「異世界には魔物が存在しております。その存在に対してどうして専守防衛を貫くんですか? 契約書には武力を行使することが明記されておりますが、その契約を守れないのなら、申し訳ありませんが、日本国民の代表として、自衛隊員の生命危機を保証できないので異世界に滞在することを禁止しないといけないと判断せざる得ません。どうか、ご理解してください」
「しかしだね、日本の憲法では専守防衛となっているんだ。これを無下にはできないだろ」
「異世界にそのような常識は通用しません。私は日本人なので日本に優先権を持って話をもって来ておりますが、実際のところ他国からも話は来ております。総理がこの契約を守ることができないのであれば、私は契約を守っていただける国と交渉するまでですが、如何いたしますか?」
実際に、どうやって克己の携帯番号を手に入れたのか分からないが、外国から話が来ているのは本当の話であるが、克己は他国と契約を結ぶつもりは無いのが本音だ。
他国は信用に値しない。これは世界情勢を見てわかる事で、異世界の安全を考えるのであれば、日本国と契約を結んだ方が安全だろうし、日本を相手にしている方が法律的にもやりやすい。
宇賀はしばらく考える時間をくれと言って、今回の会談は終了したのだが、マスコミはどうやってこの会談について知ったのか分からないが、連日のニュースで克己と総理の密談していたと報道され、克己の家付近にマスコミが押し掛けてきており、かなり迷惑を被っていた。
メディアが落ち着くまでの間、克己は扉の向こう側へ行っており魔王に携帯を渡して、支払いは克己持ちとなっていたが、魔王がパルコの街に来て、克己に金貨を毎月一枚支払うという内容で契約してあげたのだった。
しかし、魔王はどうやって携帯を使いこなすつもりなのかが分からない。欲しいというから克己が契約して渡してあげただけであるが、だが魔王ならどうにかするのかも知れない。
それから半月が過ぎた頃に国枝から克己の携帯に連絡があり、総理が異世界に関しては武力行使容認したとの報告があり、再び自衛隊が異世界へやって来ることとなった。
異世界にやって来る自衛隊は、ライフル以外の武器も搬入しており、魔物に対して本気で対処するのだと分かる。
夕方になり克己はコアに関して研究をしていると、佐藤一等陸佐から携帯に電話があり自衛隊の基地に呼ばれ、パルコの街にある自衛隊の基地が設営されている場所へ向かい、佐藤一等陸佐のいる部屋へと案内されてると、佐藤一等陸佐が出迎えてくれて握手を交わす。
「どうも、またお会いできて光栄です。それで、今日はどのような要件でしょうか」
「立ち話も疲れるだろうから、座ってくれないか」
佐藤一等陸佐がソファーに座るよう促してきたので、克己は言われたようにソファーに腰掛けると、軽い雑談を佐藤一等陸佐はして来るので、克己は本題に入るように話を持っていくと、佐藤一等陸佐は手を叩いて誰かを呼ぶような仕草をみせる。
すると、背後のドアを誰かが開けて入ってくると克己は少しだけ驚いた顔をする。
「お久し振りです! 再びお会いできて光栄です!」
そう言って入ってきたのは、宮川二尉たちであった。全員が一糸乱れぬ敬礼をしてから直る。
「お久し振りです。いったい、どうなっているんですか?」
訳も分からないため、克己が佐藤一等陸佐に問い掛けると、佐藤一等陸佐は立ち上がり宮川二尉たちに向かって指示をだす。
「宮川二尉、品川准尉、森田三曹、小宮山士長、伊藤二士の部隊は、現刻をもって成田氏の元で資源探索並びに、成田氏の護衛を命ずる。成田氏に迷惑をかけないように!」
佐藤一等陸佐が指示を出すと、全員が真剣な表情で敬礼をしながら返事をした。
どうやら国枝から手綱を付けるために用意するよう言われていたらしく、前回の面子を用意してくれたようで、克己が自由に扱って良いとの話であった。
また、王国とも接点持ちたい日本国らしく、克己を介してどうにか出来ないかと思っており、自分たちの都合が良い契約を結びたいのだろう。
しかし、王国との関係を持ちたいと言われた時点で、克己は既にその思惑に気がついており、克己は頭の中でどうするのか考えを巡らせる。
佐藤一等陸佐が克己と宮川二尉たちの顔合わせを行いたかったらしく、克己を招待してくれたようで、翌日からは宮川二尉の部隊が克己の家へ訪問して、指示を仰ぐようにと佐藤一等陸佐は言い、克己は挨拶が終わると自分の家へ戻って行きパソコンの前で何かの作業をするのだった。
翌朝になり異世界側にある克己宅のインターホンが鳴り響き、眠そうな顔をしながら玄関ドアを開けると宮川二尉が立っており、取り敢えず出かける仕度ができていなかったので、克己が経営するお店で待ってもらう事にして、ライラに店の中へ入れるようにお願いしすると、ライラとライの二人は宮川二尉を連れていき、その間に克己たちは出かける仕度をする。
克己の店は増改築を繰り返しており、パルコの街では名物店舗となっており、簡単に入店することができる訳では無く、入るために予約している者や、並んで入店待ちをするほどの盛況であるし、克己独自のレシピにより料理はかなり美味しいため、病みつきになってしまうほどである。
ライラとライが並んでいる人の横をすり抜けるように店内に入ると、従業員は驚いた顔をする。何故なら、克己の奴隷という以前に、関係者は全てスタッフルームに飾られており、しかも危険人物のようにランキングされていて、無下に扱うことができない仕組みにペルシアはしており、従業員は慌てて席を空けてライラとライを席に案内するのだが、その徹底した教育ぶりに自衛隊の皆さんは呆気に取られていた。




