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259話 核石!!

 キョル達は椅子に座ってお茶を啜っていた。


「飲んだこと無い飲み物だな……「オチャ」……と言ったか……」


 キョル達は茫然としており、話せる状況ではないとハミルは思い三人を椅子に座らせお茶を配り落ち着かせる。


 克己は黙ってそれを見ており、ハミルは良く見ているのだと感心していた。


「落ち着くな〜。この飲み物は〜」


 チャラ男のジョシュアは寛ぎながらお茶を啜った。克己はそれを黙ってみている。


「お前ら……我らの主を何時まで待たせるつもりだよ……。やはり殺しべきか?」


 アルスは目を据わらせながらナタを袋から取り出し、ゆっくりと近寄る。それに気が付いたキョルは慌てながら姿勢を正し、話を始める。


「た、確か……核石(かくせき)の事だったな……。あれは「ホウセキ」とかいうものではなく、核石というものだ。核石は街の道具屋とかで買い取ってくれる」


 ようやく喋ったので克己は口を開く。


「道具屋が引き取って何にするんだ? 使い道がないだろ? あんな塊」


「武器に使われるんだよ。そんな事も知らないのか? 冒険者のくせに……」


「生意気な口を利くんじゃない……お前達は私達に生かされている事を忘れるなよ? その気になればお前等は一瞬で始末できるんだからな……」


 低い声でアルスが耳元で呟き、キョルの首元にナタを添える。キョルの背筋に冷たい物が走った。


「俺達は田舎者だからな。街なんか行った事が無いんだよ。だからお金もない……しかも通貨すら知らないからな」


 お道化た声で克己が言うと、首を傾げるキョル。


「ツウカ? オカネ? それが何かは分からんが……ジャルムも持っていないのか?」


「ジャルム?」


「これだ……1ジャルム。これがあれば物を購入できる。俺達もジャルム持ちになりたいものだ……だから冒険者になったんだが……」


「成る程ね……。話を戻すが、武器に使われる言うのはどういうことだ?」


「こればかりは鍛冶屋じゃなければ分からん話だよ、俺達には作ることは出来ないからな……。他に質問は?」


「核石について教えてくれ。これには種類があるのか?」


「そうだ、空を飛ぶものは灰色の核石……地上は黄色、水の奴は青色の核石を持っている。魔法使いは青か灰色の核石を使用した武器を使う。俺達みたいな魔法が使えない冒険者には黄色の核石が使われた武器を使うのさ」


「それによって武器に何の違いが出るのさ?」


 キョルは呆れた顔して二人の顔を見る。


「お前達……本当に何者だ? ど田舎からやって来たのか?」


「そうそう、ド田舎からやって来たのさ……で?」


「その武器によって変わるんだが……高価な物は炎の剣などがあるって話さ……俺達もそんな物を手に入れてみたものだ……そうすればお前なんかにも遅れはとらない」


 キョルが言い終わると同時にアルスの右フックがキョルの耳裏を殴りつける。


「口を慎め!! 愚か者が……()の克己様がお前如きに負けるはずは無い……永遠にな」


私達(・・)のだ! チビ助」


 ノエルが睨みながらアルスに言う。


「気絶してる相手に行っても意味ないよ、アルスは直ぐ暴力に訴えるの良くない……。話の途中だぞ」


 呆れた目をして克己がキョルを見る。


「も、申し訳ありません!! 失礼致しました!」


 アルスは慌ててキョルの体を椅子に座らせる。だが、キョルは気絶しているためテーブルに伏せている状態だった。


「仕方ない、二人が代わりに答えてくれるか? 答えてくれないなら……死んでもらうだけだがね」


 笑いながら言う克己だが、冗談にも聞こえないセリフに二人は顔を引き攣らせる。


「な、何が聞きたいのかな……」


 チャラ男のジョシュアが聞く。


「ここから近い街は何処にある? お前らくらいのレベルでも来れるって事は、俺達にしたら強敵がいないって事だ。もちろん教えてくれるよな? ジョシュア……」


「よ、呼び捨て……。どう見ても俺の方が背は高く、歳が上そうなんだけど……」


「幾つだ? お前達は……」


「俺は25で、キョルが24……サンが26だよ」


 年齢を聞いて克己は呆れる。


「何だよ、身長は俺よりもあるが年齢は俺よりも下じゃんかよ……生意気な口を利くんじゃない。俺は28だ」


「そ、その身長で28? 冗談だろ?」


 サンが馬鹿にした瞬間、アルスの鉄拳が勢いよく顔面に飛ぶ。そして、サンは気絶させられるのだった……。


「私の克己様を馬鹿にするな!! 死ね屑!!」


「やりすぎだよ……アルス」


「ですが、克己様を馬鹿にした罪は天よりも高く、海よりも深いですよ……万死に値します」


「その通りです。アルスがやらなければ我々がやっていたでしょう……いや、むしろ殺すべきです。殺しましょう!!」


 ノエルの言葉に賛同する全員。ジョシュアは必死で謝罪し、克己が止めるように指示する。全員は舌打ちをして悔しそうな顔して我慢し、ジョシュアはホッとするのであった。


「ま、街はここから……2日程歩いた所にあるんだ……」


 ジョシュアは怯えながら言う。


「どっちの方向にあるんだよ? それが重要だろ? それに水は?」


「水はこれを使うんだ。水の核石……これを口に含むと水分を吸収できる。これは道具屋でも売ってる」


「口に含むと水分が取れる……成る程ね……」


 腕を組みながら克己は頷いた。


「方角はこっちの方だよ……。お前達はどうやって水を確保しているんだよ」


「教えないよ、企業秘密って奴さ」


「キギョウヒミツ?」


「気にするな、お前達には分からない話だよ。成る程ね……。これで必要な情報はある程度手に入れたからお前達には用がないな」


 その言葉にジョシュアは顔を青くする。


「アルス、解放してやれ……。ジョシュア、今日は宿泊させてやるが、明日になったら出て行けよ。建物は好きに使って良いが、あの奥にある部屋には入るんじゃないぞ」


「あ、あの奥に何があるのさ……」


「こいつらが居るだろ? 俺の楽しみを邪魔するなよ」


「そ、そう言う事ね……あは、ははは……」


 克己の言葉にジョシュアは乾いた笑いをして顔を引き攣らせた。


 ノエル達はキョルとサンを別室へ連れて行き休ませる。克己はジョシュアに食事を出してやり、ジョシュアは初めての日本食を味わうのであった……。


 翌日になり、キョル達は家から追い出される。破壊された武器の代わりに適当に安い武器を渡されて……。


「よろしいのですか? 逃がしてしまっても……」


 ネットワークの環境を作っている克己にリーズが質問する。


「問題ないよ。あの状態で何かできるわけじゃないし、武器だって安物だ。これから必死で金を稼ごうとするさ……ジャルムだっけ? 確か……」


「この後はどうするのですか?」


 +ドライバーを手渡しながらガルボが質問する。


「ん? この後アルス達が石本達を連れてくるから……よっと……。移動はそれからになるだろうね」


「街に行かれるのですか?」


「両方さ……」


「両方……ですか?」


「そうだよ……」


 両方と言われて首を傾げるガルボたち。だが、克己が何かしら考えているのならそれに従うまでと皆は思いながら作業を手伝うのであった。


 暫くしてアルスが石本達を連れてきた。


「克己様、連れてまいりました!!」


 アルスは克己の背中に飛び乗り、克己はアルスを背負う形で受け止める。


「アルス、危ないぞ……よいしょ……っと……」


 アルスを降ろし、石本達を見る。


「お疲れさん。どうだ? レベルは幾つまで上がった?」


「18ッス……」


 石本は少し恥ずかしそうに答える。


「15です」


 木村は深く考えてはなさそうに答えた。


「22になりました。三人の中では一番レベルが高いですね」


 石橋が楽しそうに答え、克己は頷いた。


「よし、石橋さんがリーダーをやってくれ」


 リーダーと言われ、石本が驚いた顔をする。


「今日から暫くの間、ここに街を作ってくれ。これは石橋さんに全権を委任する。自由に街を作る様に! 街の名前は五人で考えてくれよ」


 唐突な言葉に五人は驚いた顔をするのであった……。

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