223話 軽い対応!!
サッカー部員は日本に帰り、本日の練習は終わりとなった。
ノエル達五人は、克己が作った料理に舌鼓を打ちながら、自分達は克己の元へ帰ってきた事を実感していた。
「で、調査の方はどうだった?」
「はい、ドラゴンに関する情報は得ることが出来ませんでした……」
「ここのところ、パルコの街や王都等にもドラゴンは出現していないからな……。様子を窺っているんだろう」
克己は顎に手を添えて考える。
「か、会長……現在、日本の状態はどうなっているんですか?」
「何も変わらないよ。今度、話し合いがあるようだけど……特に変わらない。取り敢えず暫くゆっくりすると良いよ」
克己の言葉通り四人はゆっくり休むことにし、有川は久し振りの実家へ帰ることにした。
ノエルは疲れた顔を見せず克己の傍で甘えていた。
皆が理恵のシゴキでクタクタになって帰ってくると、ノエルが帰ってきた事に気が付く。だが、理恵のシゴキはキツかったようです、ノエルが帰って来たと言う感動がやって来なかった。
「あ~……、おかえり……ノエル……」
リーズは疲れた顔してお風呂場へ向かう。それに続いて他の皆も適当な挨拶をして風呂場へと向かった。
少しして理恵が楽しそうに帰ってくる。
機嫌よくリビングに向かうと、ノエルに気が付いた。
「ノエルさん! 帰ったんですね!!」
「お、奥様、お帰りなさいませ!!」
ノエルは緊張しながら理恵に挨拶する。理恵の姿はあの頃と変わらぬまま……。ノエルは羨ましく思いながらも嬉しそうに理恵を見つめる。
克己は何か言いたそうな目で理恵を見る。理恵はそれを察し、微笑んだ。
「今週はノエルさんに克己さんを貸してあげます。思いっきり甘えると良いですよ」
そう言って皆が待つお風呂へと向かったのであった。
ノエルは一週間克己を独占する。普段であればアルス達から文句の一言でもあるのだが、理恵のシゴキは尋常ではなかった。無尽蔵にあるはずのスタミナも尽きるほどの過酷トレーニングで有り、女の子達はどんどん痩せこけて行く。
そして、地獄の終着点が見え、皆は再び休息を得ることになったのだった。
皆が休息に入るとき、克己は人事を発表する。
大半がクラブスタッフとして働く事となり、代表取締役社長には暫定的にペルシアが就任する事となった。ペルシアの手腕は凄く、あっという間にスポンサーを集めてくることに成功する。
「必ずクラブワールドカップのトロフィーを日本に持ってくるにゃ!!」
ペルシアはJ参入する事を高々に宣言するのであった。……地域リーグなのに。
「話題性が欲しいよな……」
克己の言葉にペルシアは考える。
「まだ幼い子をトップにあげるにゃ! それが話題を掴むにゃ!」
「おいおい、それでは怪我をさせてしまうだろ?」
「問題ないにゃ……任せるにゃ……」
ペルシアの眼が光り、克己は良からぬことを考えているのではと思うのだが、ここはペルシアの手腕に任せることにした。
そして数日後、克己は久しぶりに理恵と共に静岡の自宅で夫婦生活のような朝を過ごしていた。
「克己さん、今日は休みですね。何をしましょうか?」
二人はソファーで寄り添いながらチュッチュしており、相変わらずのバカ夫婦だった。
寝間着姿の二人。チュッチュしていると、二人はその気になってしまい克己は胸を揉み始めようとする。その瞬間、克己の携帯が鳴り始め二人は頬を膨らませる。
克己は携帯を手に取り、着信表示を確認すると、内閣府から電話が掛かってきていた。
どうせ面倒な事なのだろうと、克己は携帯をサイレントにして再びチュッチュし始め、愛しあう。
事が終わり、先ほど鳴っていた携帯の着信画面を見る。
「げ……数十件も電話が入ってるよ……」
克己はウンザリした顔して着信画面を眺める。
「内閣府以外に着信はあるんですか?」
肌着も着けていない格好で理恵はキッチンにコーヒーを注ぎに行く。
「俺も飲む。お願い」
克己はそう言って着信履歴を確認していくと、涼介からも着信が入っていることに気が付き、留守電を確認した。
内容は、異世界のワインが成功し、日本でも売り出すことになった事を報告して来たのだった。克己はメールを打ち、涼介に返信すると、理恵がコーヒーを持って戻り、テーブルに克己と自分のコップをおいて、ソファーに座る。
「出掛けるんですか?」
「まさか? 今日は誰も邪魔しないって約束だ! 今日は理恵と……」
克己は理恵を抱き寄せキスをして再び胸を揉み二人はお互いを求めあった。
翌日の朝、ベッドで寝ていると再び内閣府から電話がなり、鬱陶しそうに克己は電話に出る。
「もしもし?」
『成田様のお電話でしょうか?』
相手の声は若い男性のように感じ、眉を寄せる。
「そうですが、貴方は誰でしょうか?」
『私は内閣府の者です。貴方に国会に出てもらうため連絡を差し上げました』
「その理由は?」
『異世界の独占です。独占禁止法に触れているということでお呼びが掛かったのです』
「ど、独占禁止法? おいおい、独占禁止法の意味を理解していっているのかよ?」
『明後日にお伺いを致しますので、宜しくお願いします』
電話は一方的に切られ、克己は携帯電話を見つめる。
「どうしたんですか?」
寝ぼけ眼で理恵が質問する?
「異世界は独占禁止法に引っ掛かるんだとよ。意味を理解していっているのかよ……まったく……」
克己は携帯を充電スタンドに起き、再び布団に潜り込んで理恵の体にちょっかいをかける。
「あん……。もう~……」
口ではそんな事を言いながら、理恵は嫌がる素振りは見せず、朝から二人はお互いの体を求めあった。
しかし、克己は疑問に思う。今回電話を掛けてきたのは国枝では無く、内閣府からだった事に……。




