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206話 夜戦、あっという間!!

 新人達は、休む間もなく土嚢積み上げいた。


 その中にはシュシュランの姿もあり、疲れた顔して土嚢を並べている。


「疲れた〜。お腹空いた〜……何時になったら食事の時間になるのよ〜……」


 シュシュランは土嚢を持ち上げて並べながら呟き、お腹を摩る。他の者は笑いながら土嚢を並べ重ねていた。


 レミーやアルス等も土嚢を並べさせられており、その表情には疲れの色を見せている。


「もうちょっとしたら終わるから、皆頑張って!」


 レミーはそう言って皆に頑張るよう言う。皆は疲れた声で返事をするのだった。


 その頃克己はラジコンヘリを飛ばして調査を行っていた。


「数は……6,000と言ったところか……さっきの兵たちが合流したりしたのだろうな……。ガルボ、皆を休憩させて食事をさせるんだ。その後、2時間後に戦闘準備だ」


 克己達が調査に出かけて見たものは、斥候に出ていた兵士達だった。二人は見つからないように戻り、迫ってくる軍勢を向かい撃つ準備を始めていた。


 ガルボは言われた通りに指示し、全員は食事を取らせ休息に入る。


「また戦闘するのぉ〜」


 コルルは足を投げ出すように、深い溜め息を吐きながら項垂れる。


「仕方ないじゃん……。あんな光景を見せられてさ……女としてやっぱり許せないよ!」


 兎族のメーピーが言うと猫族のベルコも頷いた。


「確かに、兎族と猫族は性奴隷にされやすいと言われてるからね」


 ヒューマンのキャラットが言う。


「関係ないでしょ!」


 メーピーが強い口調でキャラットに言う。


「あなた達、そんなに元気があるなら、戦いが始まった時は一杯働きなさいよ」


 横になって休んでいるサダージが言うと、全員は黙り込んだ。


 2時間が経ち、レミーは号令をかける。横になって休んでいた者達は、慌てて体を起こして立ち上がった。


「全員銃を構え!」


 レミーが言うと、全員は土嚢の上に銃を構え次の号令を待つ。


 克己は目を凝らし敵の位置を探るが、闇の中で遠くまで見えるはずは無い。見えた所で全員が見える訳ではなく、攻撃をしたところで当たるはずもないのであった。


「こんなに暗くては……敵に攻撃することも無理なのでは……」


 リーズが克己に質問する。


「そう……だな……。相手が見えなければ……白兵戦になるね」


 目を凝らしながら克己が言うと、リーズは残念そうな顔をする。


「それでしたら……こんな壁みたいなものを作る必要は無かったのでは? 無駄に体力を削り、緊張感を与えてしまっただけになりますよ……」


「そうだな。相手が見なければ、そうなっているだろうな……えっと……」


 そう言って、袋の中から手作り迫撃砲を取り出し、地面にセットする。リーズにはそれが何か分からずただ眺めているだけだった。


「理恵の話だと……」


 克己は袋の中から弾のような物を取り出し、発射させる。突然発射された迫撃砲の音に全員が体を震わせた。


「な、何ですか……今のは……」


 リーズが腰を抜かしながら克己に言うと、克己は二発目を発射させる。


 その音に再び全員は体を震わせ、克己の姿を見る。克己は全員に向かって叫ぶ。


「こっちを見るんじゃない! 前を見ろ! 敵の姿が良く見えるだろ!!」


 克己が言うと、全員は前を見る。克己が放ったのは照明弾であり空は明るく敵の姿がはっきりと見えていた。


「撃ち方よーい!! ……撃てーー!!」


 克己の指示により皆は一斉掃射する。


 アルトクス兵は克己が放った音もそうだが、空が明るくなったことに驚いていた。そして突然降り注ぐビーム攻撃。


 物陰に隠れる暇もなくアルトクス兵はビームの餌食となっていく。


 照明弾の明かりで分かる範囲で動くものはいなくなり、全員は息を呑む。


「銃を構えたまま前に進むぞ! 全員前進!」


 克己の号令に皆は銃を構え、ゆっくりと前へと歩き出す。克己は再び照明弾を数発発射させ、空を明るくさせた。


 一時間後……アルトスク兵の死骸傍まで近寄り、木々等に隠れている敵兵を目視できるようになる。


「狙い方よーい!! ……撃てーー!!」


 克己が言うと、全員は射撃を再開させる。大木等に隠れていたアルトクス兵達だったが、ビームはそれすら貫通しアルトクス兵を殺していく。


「止め!! 二人一組になり、突撃を開始! 一人も逃がすなよ!!」


 そう指示されると、隣にいた者とパートナーを組み周囲に散らばっていく。そして、所々でビームの光が放たれてるのであった。


「三時間後、この場所から離れ先に進む! そこで本日は休憩に入る」


 克己がそう指示し、アルス達は返事をして克己はテントを張ったところまで戻っていくのだった。


 三時間後、克己達は先へと進む。克己は偵察ヘリを飛ばし周囲にアルトクス兵がいないか確認する。だが、森に囲まれているため兵士の姿は見えずにいた。


「ヘリじゃダメか……ハミル、周囲に敵の気配はあるか?」


 ハミルは魔法を唱え、辺りを探る。克己はヘリを使い、アルトクス城が見えないか確認をしていた。


 暫くして、ハミルは敵がいないことを報告し、克己はヘリを戻す。


「結局アルトクス城は見つからないか……この暗さだったら仕方ないのかもしれないな。明日、再び確認をしよう」


 克己はノートPCの蓋を閉じて袋に仕舞い、テントの中へ戻って行く。不寝番は一時間交代で行う事になっており、全て新人が行う事になっていたのだった。


 テントに入り寝袋を用意して潜り込もうとすると、ルノールがテントの中に入ってきた。


「お約束は守って下さいね」


「あぁ、悪い……。じゃあ、寝袋ではなく布団を敷いた方が良さそうだな……」


 克己は寝袋を仕舞い、袋の中から布団を取り出し敷き始める。


 ルノールは袋の中からパジャマを取り出し、着替え始める。


「見て下さい、克己様! だいぶ胸が育ったんですよ!」


「え? あ、うん。そうだね。美味しそうなオッパイだね」


「食べても構わないんですよ?」


「そのうちね。ほら、早く着替えてこっちにおいでよ」


「もう……!!」


 ルノールは頬を膨らまし、パジャマに着替え克己が入っている布団に潜り込んだ。


「克己様~♡キスをして下さい……」


 ルノールは目を瞑り、唇を差し出す。


「はいはい……」


 克己はキスをすると、ルノールは舌を絡めてきたので克己はそれに答える。


「ルノールは幸せです!」


「そうか、ゆっくり休めよ」


 克己が言うと、ルノールは克己に抱き着き幸せそうな顔して目を瞑った。そして二人は眠りにつき、翌日の朝を迎えるのだった。

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