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202話 力の差!!

 窓から外を見ると、住民が慌ただしく何処かへ向かおうとしていた。


「な、何が……起きてるんだ? 一体……」


 状況が把握できず、キョロキョロと周りを見渡し知り合いを探す。だが、知り合いらしき人物は見当たらず、仕方無しに宿舎から出る事にした。


 宿舎から出ると、必死な顔して荷台を引っ張っている者が目の前を横切ろうとしたので克己は呼び止める。


「すいません、な、何が起きてるんですか?」


「せ、戦争が……アルトクスが攻めてきたんだよ!」


「アルトクスが?」


「街の外を見りゃ分かる! 早く避難したほうが良い!」


 そう言って顔を赤くして荷台を引っ張って行く。


「成る程ね……予定より遅かったな……まだ距離があるって事か?」


 克己は携帯を取り出し、全員にメールを打つ。少しすると、全員が集まり背筋を伸ばして横一列に並んだ。


「ハミルとガルボは新人の子達を連れてこい! アルス、レミーは中からテーブルと椅子を一脚だけここに準備、ルノールは街の人を安全な場所に誘導しろ。時間は短い! 急げよ」


 全員は返事をして急いで言われた事を実践する。


 早速二人が用意した席に克己は座り、この辺り一帯の地図を広げる。


「敵は何処から攻めてきている?」


「こちら側から攻めてきております。敵の数は千を超えていると思われ、続々と数が増えております」


「ありがとう、アルス。確か……うちの面子は30人程ここの街に派遣されているんだっけ?」


「そうです」


「じゃあ、ここに土嚢を置いて、銃撃をしよう。レーザーでは無く、ビームで攻撃する。この街にはアルトクスなんかより強い守護者がいるところを見せてやれ!」


 アルスとレミーは返事をする。


 ハミルとガルボが新人の子達を連れてくる。その中にはジキルもおり、緊張した顔をしていた。


 アルスとレミーが内容を伝えると、新人達は表情を強張らせる……初めての防衛戦で顔を強張らせながら返事をした。


「準備に取り掛かれ!」


 レミーの号令で全員が動き出す。だが、克己がジキルの存在に気が付き呼び止める。


「ちょっと待て、ジキル……お前は居残りだ」


「え? な、何でですか?」


 ジキルは驚き体を固まらせる。


「怪我を治療する人間が前線で戦ってどうする……お前は後方待機だよ」


「で、ですが……皆が戦いに行っているのに私だけ……」


「ルノールだって後方支援だよ、一緒に街の人を誘導しろ。アイツ等は飛び道具を持っていやがる。万が一に備えるんだ。怪我したらお前が治してやれよ」


 克己は立ち上がり、待っているアルスとレミーのもとへ歩いていくのだが、ジキルは少しだけ悔しそうな顔してルノールのもとへ向かった。


 新人達は慌てながら土嚢を積んでいく。それを見ていた克己は思う……理恵が見ていなくて良かったと……。理恵が見ていたら、積み方が甘いと言って怒り出しそうな気がしたのである。


「クチュンッ!」


 その頃、理恵はカウンターの奥でクシャミをする。


「風邪かい? 理恵ちゃん」


「う〜ん……そういう感じでは……。でも、薬を飲んで寝るようにしますね。里理さんの体の事もありますし」


 理恵は恥ずかしそうに鼻を噛み、作業を続けた。


 その頃克己は……。


「土嚢を積み終わったら銃を構えろ! 一斉射撃をする! アルス、銃を構える手本を見せろ」


「は、はい!」


 以前、自衛隊に体験入隊した時を思い出しながら土嚢に身を隠しながら銃を構える。


 皆も真似するように銃を構え射撃準備に入る。すると、携帯に着信が入り克己は電話に出た。


「もしもし」


『克己、俺達は周りから敵が出てくる可能性を考え、警戒にあたるぞ』


「分かった、気を付けろよ」


 克己の言葉を聞き、涼介は電話を切って左右からの攻撃に備えた。


「撃ち方よーい!」


 カチャリと音をさせ、狙いを定める……。


「先制攻撃だ! 撃てーー!!」


 克己の号令で、皆が構えた銃身からビームが発射される。


 アルトクス側からは街が少ししか見えなく、克己たちが何をしていたのか分からなかった。幾つか光を放ち、気が付いたときには自分達の体を撃ち抜かれているのだった。


 アルトクス兵は、何が起きたのか分からず混乱する。しかし、光の刃は途切れる事なくアルトクス兵に襲い掛かって来るのだった。


『で、伝令! 敵の奇襲攻撃です!』


 指揮をしていたシーザーの耳に入る。


「ど、どういう事だ!」


『街の方から何かが向かってきて、我々は攻撃を受けている模様です!』


「な、なんだと! ジエタイとか言う奴らにも我々と同じ兵器があると言うのか!」


 シーザーは立ち上がり兵士に怒鳴りつける。


『あ、相手は連続した攻撃をしてくるのです! 一度撤退を進言し……』


 兵士が喋り終わらぬうちに剣を抜き、首を斬り飛ばす。


「撤退? 有り得ぬ!! マルクスの奴に何と言われるか……こちらも新兵器で攻撃するんだ!」


 シーザーは兵士に命令し、レーザー兵器の準備を始めさせる。


 その光景は克己達にも見えており、アルスが報告する。


「克己様! 例の物を準備を始めております!」


「分かった……ありがとう、アルス。まだ撤退をしないし後退もしないのか……」


 克己は袋の中に手を突っ込み、筒状の物を取り出す。


「それは……」


「アルス、目の前が真っ白になったらどうなる?」


「困ります……」


「しかも、目や鼻がヤられたら?」


「泣きます……」


「じゃあ、アイツ等に泣いてもらいましょう!」


 そう言ってバズーカを構え、克己は発射させる。弾は敵陣深くにて着弾し、煙幕が張られる。


「もう一丁!」


 克己は再び発射させ、煙幕を数発撃ち込み敵は克己たちの居場所を失った。


「まだ終わらんよ!」


 そして、催涙弾を数発撃ち込み再びビーム攻撃が始まる。


「アルス、レミー! 10人程連れて行き、左右から攻撃を! 残りは前方から継続して攻撃するんだ!」


 全員は返事をして、行動に移した。


 左右から攻撃を展開するアルスとレミー。徐々に煙幕が張れていくと、アルトクス兵の数は数百人となっており全滅に近い状態だった。


 左右からアルスとレミーが追撃し、一人残らず始末する……そして、シーザー率いるアルトクス軍は克己の前に敗北し、全滅したのだった。

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