表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/361

20話 魔王と交渉!!

 克己は国枝から呼び出され、待ち合わせをしている自分のレストランへ向かい店内に入ると、国枝が座っていた。


「やあ、国枝君。待たせたね……」


 克己は簡単に挨拶し、椅子に座ろうとしたら国枝の他に誰かが座っていることに気が付く。


「克己、この方は新田あらた外務大臣だ」


「あ、どうも……初めまして……。えっと……、成田なりた克己かつみです。宜しくお願いします」


 何をどう宜しくなのか分からないが、克己は日本人ポイ挨拶をして頭を下げる。

 他の皆も同じように挨拶をして、席に着いた。

 新田外務大臣は意外と気さくな人で克己は結構安心して話すことができたが、猫耳のペルシアが気になるのか紹介してくれと言われたので、ペルシアを呼んで挨拶をさせた。


 そして、克己は外務大臣がケモナーだと認識した。


 ほかにはバニーウォーやハーピー、狐族等、他種族がこの店で働いており、大臣はご満悦だった。


「克己君、この店は何でこんなに他種族が混ざっているんだい?」


「え? あぁ……彼らは仕事がなく、行き場を失っていましたかね……賃金が安いんですよ」


「成る程……」


「ですが、俺はそういうのが嫌いなので最低賃金では雇っていません。実力に見合った給料をあげる事にしてます」


「そうか……。君は変わっているね……」


 暫く外務大臣と雑談をして、克己は大臣が気を使ってくれているのかと思ったがそうではなく、大臣はパラダイスにきたみたいな気分で話をしていたようだった。


 しかし、克己はそろそろ本題に入って欲しく、国枝の足をつっついた。


 国枝も克己の行動に気がつき、大臣と話をしていたが本題らしい話は特にないらしく、魔王とはどんな人物か聞かれたり、どんな話がしたいのか聞いていたりしていないかと聞かれた。


 大臣の結構質問が多かったが、日本政府に会いたいだけしか言っていない事を改めて話し、今回も克己のおごりで外務大臣と朝までお酒を嗜んでいた。


 国枝は途中で酔い潰れてしまった。


「ところで克己君、この国は焼酎とかないのかね?」


「大臣、申し訳ありませんがそういった物はないのですよ。よろしければ日本政府の方で売ってみたら如何ですか?」


「君は構わないのかね?」


「自衛隊のキャンプ場付近に店を作り、そこで売ったりするのは問題ありません。こっちの世界には税金がありませんからね。結構な金額が入ってくるんではないでしょうか? こんな金貨だったらかなり高値で日本では売れたりしますよね?」


「それが良ければこの店はもっと繁盛するんじゃないのかね?」


「それは大臣たち次第ですよ」


 そう言いながら笑いながら話をして、ペルシアが本日の売り上げの報告にやってきた。


「ペルシアちゃん、レベルは幾つなんだい?」


 大臣が聞くとペルシアはレベル10らしく、大臣はレベル1でペルシアに軽くあしらわれる。


「克己君はレベル幾つなのかね?」


 大臣に聞かれたので、素直に53と答えたら驚かれた。


「まぁ私はこっちの世界にいる時間が長いですからね」


 克己は自分をフォローした。


「大臣、そういえばこっちの世界には奴隷制度がありますので注意してください」


「奴隷制度があるのか!」


 大臣は少し困った顔をしたが、世界が違うから仕方ないのかと思いつつ、克己は魔物を倒すとコアが手に入る事を説明する。


 コアとは? と、大臣が聞いてきたので実際にコアを見せると、まるで宝石のようには感じたようで大臣は顔をほころばせて見ていた。


 取り敢えず今日は克己と顔合わせで明日が本番らしく、大臣達は宿に戻っていった。


 翌日、アルスのテレポートで移動しようとしたが、何度試してもテレポートが出来なかった。


 アルスは人数が多いためテレポートができないのではないかと説明した。


「もしくは私の魔力が弱いのが原因かもしれません……レベルも克己様よりも低いですし……申し訳ありません……」


 アルスは落ち込みながら克己に言うが、レベルが低いのは仕方なことだと話ながらアルスの頭を撫でて慰めると、ノエルは頬を膨らませていた。


 克己は大臣に説明すると、大臣は自衛隊のチヌークで移動しようと提案して全員はチヌークに乗ることになった。


 チヌークを見て克己は自衛隊がこんな物までこちらに持ってきたのだと思いながら搭乗し、ほかの五人も乗って移動し始めた。


 空を移動するため、物凄く早く移動することができ、魔王城の近くまでやってくると、チヌークは着陸して皆は小型四輪駆動車に乗り込み移動する。すると、魔物が現れ襲ってきた。


 護衛についている自衛隊は一斉射撃で魔物を駆逐してレベルを上げていったが、国枝や新田外務大臣は武器を持っていないためレベルが上がることがなかった。


「国枝君たちも少しはレベル上げた方が良いよ」


「なんでだい?」


「こっちの娘っ子たちは意外とレベルが高かったりするからね、ナンパとかして殴られたとき歯が折れるとか当たり前になっちゃうよ?」


 それは困ると、国枝も少し考えながら自衛隊を見ていると、自衛隊員が魔物の死骸から「宝石が!」と言って、コアを拾っていた。


 大臣がそれはコアだと説明し、今後の研究のため確保を命じた。だが、克己はそれを拒み、克己の懐にしまわれる。


 魔王城に到着すると直ぐに扉が開き、この間のようにヘコヘコした魔物が部屋まで案内してくれた。


「ようこそ、日本政府の皆さんと克己さん」


 魔王が正装? をしていたので、克己は少し恥ずかしくなっていた。理由は黒マントなどして本当にダサい服装をしており、前に会った時のようなフランクな格好の方がよかったのにと克己は思いながら魔王を見ていた。


「お久しぶりです。魔王さん、この間言っていた日本政府を連れてきましたので、挨拶させていただきます」


 克己がそう言うと、大臣達は挨拶をして、魔物が用意した席に座り話し合いが始まった。


 基本的な話はパルコの街についてだった。


 争いの範囲については、各大陸に魔王がいるので注意してくれとかそんな話をしていた。


 また、コアなどについても話をしていたが、それは魔物の心臓部だから大きさはバラバラと魔王は答える。


 今回は日本政府と会ってみたかったというのが本音だったらしく、克己は携帯電話について説明をしたら魔王は是非アンテナを立ててくれと言ってきた。


 アンテナ工事をしている時も魔物は襲って来るのかと確認したら勿論と魔王は話していたが、設置したアンテナは破壊しないと話していた。


「だって我々もそうしないとレベルが上がらないでしょう? 魔物にもレベルがあるからね、仕方ないでしょう」


 そう言って魔王は笑っていたが、大臣は笑えなかった。


「では、亜種系の魔物はレベルがあがった魔物と考えて良いのですか?」


 克己は気になったので聞いてみたらそうだった。


 洞窟であったゴブリン亜種は、人間を倒してレベルが上がったゴブリンだったようだ。


「あと、洞窟は私の範囲ではないので……。そこにクレームを入れられても困りますからね、あれは魔王メダルの範囲なため、こっちも手出しができないんですよ」


 魔王はそう言って、克己に説明をするのが遅くなったことを謝罪した。


 これで会談は終了し、チヌークに乗って帰って行く途中に大臣がぼそっと呟く。


「これは面倒な話になってきたな、防衛大臣と話をしないといけないぞ」


「それは……」


 国枝が聞くと、大臣が眉間にシワを寄せる。


「だって、何をやるにも魔物が出てくるってことだろ? これは自衛隊の数や、装備の数が足りない。克己君、君の研究を自衛隊に……」


「ん~、それは仕方ない話ですね。ですがそれなりの条約を結ばしてもらいますよ。そうしないと魔物だけが損をすることになりますからね」


「君はどっちの見方なんだ!」


「俺は一般市民ですよ? できる限り人間の味方ですが、政府のやり方は汚いのを知っていますからね。それに人の家を奪い取ろうとしましたし……。それに魔物が全て駆逐されることはできないとしても、冒険者がいますから……王宮とか色々絡むこともありますし……」


「わかったよ、克己。それ以上は言わなくていい……」


 国枝は眉間を抑える仕草をしながら答えた。


「国枝君……」


「大臣、ここは異世界ですし魔王が一人ではないということが分かりました。それに、彼のおかげで友好的な会談できたではありませんか、ここは彼に譲るべきです」


「仕方ないな、早めに防衛省と話し合いを持たなければ……」


「大臣、こちらには銃がある限り簡単には負けることはありませんよ」


 フォローのつもりで克己は言ったが、大臣は難しい顔をしていた。


「王宮……とかも話をしていたな……克己君」


「はい、反対側には人間が収めている王都があります。人間ですので魔王みたいに、簡単に話は聞いてくれませんよ。まだ魔王の方が理解力を持っており、話を聞いてくれますね。また、魔王は携帯に興味を抱いていたので、こちら側に擦り寄ってくるのではないでしょうか?」


 そう言うと、大臣は若干安心したような顔をしていた。


 克己は他の大陸も気にはなっていたが、家のクローゼットの件があったので中々他の場所に行くことはできなかった。そして、レベルを上げることもできないのがもどかしかったが今度からは自衛隊がクローゼットを守ってくれるならと考え、パルコの街へと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ