17話 魔王成敗!?
克己達はついに魔王がいると思われる扉の前にたどり着く。
「皆、覚悟はいいな……」
克己が言うと皆は頷く。
克己達はついに魔王とご対面する事になり、皆に緊張が走る。
「わっはっはっはぁ、よく来たな勇者どもよ……」
魔王が決まり文句を言っている隙に、克己は袋の中から爆竹やねずみ花火等、人が驚くような物に火をつけ投げつける。※良い子の皆はまねしないように!!
花火は魔王の足元でバンバン音がして、急な出来事と初めての花火に魔王はビビリながら飛び跳ねている。
更にロケット花火に火をつけ投げつけると、色々な方向にロケット花火は飛んでいき破裂する。
止めには大筒砲の花火を魔王に向けて発射し魔王を驚かせたら魔王が飛び跳ねながら言う。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってや! やめれ! な、何だ! この攻撃は!」
などと言って、騒いでいるところに克己は猛ダッシュし、顔面にストレートパンチをぶちかまして、魔王をノックアウトする。
克己の見たことのない花火で奇襲をかけ、戸惑っているところを殴ってノックアウトされた魔王は鎖で縛りつけられ、動けないように柱に括り付けられる。克己は取り敢えずパルコの街を襲ったことに対する謝罪をするように命令した。
「ちょ、ちょっとナンスかこれ? 普通は最後まで話を聞くもんでしょう!」
魔王が訳の分からないことを言ってきたので、克己はビンタをかまして謝るように再度命令する。
ノエル達五人は、不思議な光景を見ている気分だった。
まず、あの攻撃はなんだったのだろう、そして相手にダメージは与えていたのだろうか? ただ脅かして縛り付けただけでは……? など、五人は心でそう思いながら魔王を哀れんで見ていた。
「さぁ謝れ! そして二度とパルコの街は襲わないと誓え! そうしないとこうだぞ!」
そう言って唖然としている側近を、取り出したビームライフルで撃ち殺し脅してみせたると、直ぐに魔王はしゃがみ込み、謝罪をした。
「ほかのところは襲っても構わないが二度とパルコの街は襲うなよ、もし襲ってきたら今度は首がないと思え!」
克己の言葉に魔王は疑問に思う。
「え? あんた勇者でしょ? 普通ワシを殺そうとするんじゃないの?」
「俺は民間人だ!!」
恥ずかしそうにノエルは「勇者は私です……」と、ぼそっと呟いたが聞こえたかどうかは分からない。
「ほら! この紙に二度とパルコの街は襲いませんと記載しろ、そしてそれを二部作るから……」
そう言って克己は誓約書と契約書を書かせ、魔王に二度と襲いませんと誓わせた。
「あと、街の復興するため金を出せ、大白金貨100枚程度で良いから!」
克己はその契約書と誓約書も二部作り、一部は魔王に、もう一部は控えとして袋に仕舞った。
そして金を奪い取り、もう一度魔王をボコボコに痛めつけ、気分をスカッとさせ帰ることにした。
「これで多少はスッキリしたろ」
「で、ですが……討伐にはなっていませんが……」
ノエルが言ってきた。
「だってノエルは元勇者でしょ? 今は俺の奴隷じゃん? 次の勇者が討伐するでしょ? その仕事は俺の仕事じゃない、パルコの仕返しをするのが俺の仕事だよ」
そんな話をしながら克己達は出口に向かって歩いていると、魔王が追いかけてきた。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっといいか?」
「何だよ、こっちは用事が済んだから帰るよ。次、同じ事をしたらぶっ殺すからな」
「ち、違う、違う! 聞き忘れていたけど、他の街は襲っても良いんだよな?」
「好きにすれば? 滅びたら、防衛できないその街が悪いんだし、なんかあったらこっちからまた出向くよ」
「わ、わかった! これで契約は成立だ! すまなかったな、お前の名前は何と言うんだ?」
「俺か? 俺の名は克己だ」
「わかった、克己だな? ほかの魔王にも教えないといけないからな……お前みたいな常識外れの奴が居る事を……」
「本当に襲って来たら必ずどんな手を使ってでも殺す! 今度は命がないと思いな」
捨て台詞を言って、克己達は魔王城を後にする。
パルコの街へと帰る途中、出てくる魔物は駆除及び、排除しまくった。
翌日にはパルコの街に到着し、この街だけの平和を勝ち取った事を皆に知らせると盛大に祝いが行われる。
しかし魔王の恐怖が去ったのはこの街だけ……他の街は知らないと説明したところ、この街が安全なら問題ないと街の皆は言ってきた。
「だって、出て行かなきゃ良いだけの話だろ?」
街の皆はそう口をそろえて言う
克己は二度もパルコの街を救った事により、街の英雄として祭り上げられたが、たかが民間人にボコられ、人間に脅される魔王って……と、五人は思いながら克己を見ていた。
数日後、克己が日本の家に帰りクローゼットの枠に装置を取り付け、異世界との繋がりを調べていたら、時間の屈折と歪みを発見した。
これでいつでも異世界へと行けることが可能と思い、実験をしないといけないため克己は広い土地を探して購入し、(以前、コアを売りまくったので物凄い資金を手に入れている)購入した土地に物すごくバカでかい建物を建設させた。
人一人とか二人なんて目ではないくらい、もっとでかい、非常にでかい扉を建物の中に建設させて、異世界にも物すごくバカでかい扉を建設させる。
その間にノエルたち五人は、暫くの間、自衛隊の基地で研修を受けてもらっている。
こういう時に官僚の友達がいるっていいよね。って、思いながら知り合いを通じて政府の人と話をし、克己の家のクローゼットから異世界側に官僚や科学者達を連れて行く。やはり異世界は資源の宝庫であることが判明した。
これは凄いという事で、克己の家とクローゼットは政府に取り上げられそうになるが、克己は言葉巧みに話し、政府の要望を全て拒むと克己だけ入ることを許可された。
元々克己の家なので、政府がどうこう出来るわけないが無いのだが、政府は目先の金に目がくらんで奪い取ろうとしていた。
現政府は嘘ばかり吐く政府だったので、克己はイマイチ信用ができず、手を切ろうかどうか考える。
何とか自分の家を死守して、自衛隊に預けた彼女達を迎えに行くと、顔つきが変わっていた。
一糸乱れぬ動きをしている。そして、なんか強くなっているような気がする。
彼女達を車に乗せると五人はフランクになった。
「あれが自衛隊ですか……すごい組織ですね!」
ノエルが言う。
「物凄く勉強になりました……」
レミーが言う。
「悔しいですが、これでは王宮の兵は敵いません……」
シェリーが、がっくりしながら言ってきた。
後の二人は疲れたのか声も出なかった。
「これから彼らがパルコの街を支配するだろうな」
克己はそう呟きながら車を走らせ家に到着すると、車を駐車場に止め家に上がる。クローゼットの中に入って行く。
パルコの街は自衛隊達と科学者で溢れかえっていた。
現地の文字は克己が訳して本を作成し、自衛隊に配ったり科学者に配ったりしていた。
相変わらず克己のお店は繁盛していた。
自衛隊の人が現地の食事に耐え切れないため、日本食が食べられる唯一のお店ということで、日本人の皆さんは克己のお店に入っていく。
これは思わぬ収入だと思ったが、自衛隊の皆さんはどうやってお金を支払うのかなと? と、克己は疑問に思う。しかし、ペルシアがノエル達に相談していたらしく、日本のお金の仕組みを教えてもらっていた。
そのおかげでペルシアはお金を換金するという方法をとり、自衛隊は日本円を銅貨や金貨などに交換して、お金を手に入れていた。
克己はペルシアの商売上手なところを見て驚き、ペルシアは商才があると感じ、より一層の信頼を寄せる事になる。
自衛隊は街の外に基地を建設して、近くにいる魔物の駆除を行っていたり、石油の発掘作業など行っていたりしていた。
新しい扉ができるまでは克己の家は無断で自衛隊の人達が入り込んでいく。
家の中にクローゼットがあるため、仕方なく自衛隊の皆さんは手運びで運ぶしかなかった。
克己の家の前には自衛隊の人達が立って周りを警備している。
他の住民は何事だと思いながら集まってくるが金網で周りを固めているため、確認することもできず、自衛隊にマスコミがインタビューをするが、もちろん黙秘であった。
異世界側の克己の家は完全に自衛隊の人達に占拠されており、克己は少しイライラしていたが、新しいゲートができれば、そこから出入りしてもらえば良いと考えていた。
また、この家はもう住めないと思い、都内に新しい家を購入して、皆で荷物を運び出し引っ越しを終わらせる。
数か月後、ようやく建物の中に作った扉が完成し、異世界側の扉も完成した。
「おぉ! 滅茶苦茶大きいな……飛行機も入る大きさって……」
克己はそう呟き、誰も見ていないことを確認してから袋の中から何かの機器を取り出し、扉に設置した。
「これをこうして……こうやると……お! 繋がるか? ……どうだ?」
克己はリモコンで超巨大な扉を開けてみると、そこには見慣れた景色が広がっていた。
「お? ここは……町から少し離れたところじゃないか……? あそこに作ったゲートには繋がらなかったのか……?」
克己はそう呟きながら中に入ると、扉の反対側にも扉があった。
「こっち側に扉を作る意味なかったじゃん……」
克己はがっくりしたが、周りを見渡しこれで家から自衛隊を追い出すことができると安堵の表情をして、電話を掛けた。
やっとのことで家から自衛隊を追い出し、異世界側の家でゆっくりしていると、前に克己を王宮へ連れて行ってくれたヘッポコ兵士がやってきた。
「どうしたんですか?」
克己が兵士に質問すると、王宮からの呼び出しであった。
理由は聞かなかったが、この状況で呼び出しは勘弁して欲しいと思いながらも卿の称号がある。そのため嫌でも城へ行かなきゃならんと思い、仕方なく城へ出かける準備をして、馬車ではなく自分の車に乗り込み王宮へ行くことにした。
兵士は馬車を残して戻ることはできないと言うので先に行くことにし、兵士はあとから追いかけて来ることになった。
ぶっちゃけ直線距離を150キロ以上のスピードを出して走らせると一日半程度で到着する距離なので馬車よりも随分楽だと思いながら走らせる。シェリーが四日もかけてパルコの街まで来たのがバカみたいだと言ってきた。
確かに今思えばバカみたいだが、この国の文化レベルが低いため仕方ないことではないかとシェリーを説得し、シェリーは頬を膨らませてブツブツ文句を言っていた。
シェリーは姉に対して一番納得ができていないらしく、ブツブツ呪いの言葉を吐いていたが、王宮へ到着すると呆然としてしまう。
シェリーが目にしたのは、魔物に襲撃された後のボロボロになった王宮であった。




