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164話 拉致!!

『なぁ、君達……ちょっと話をしないか?』


「あ、間に合ってます……。行こうレミー」


 男の言葉を簡単に断り二人は歩こうとする。だが、男は克己の肩を掴み、動きを止める。


 その行動にレミーはムッとするが、克己の顔を見て我慢をする。


「何ですか? 俺達は君達に用は無いんだけど……」


『ダサい服きた兄ちゃんは黙っててよ。俺達はこの子に用があるんだからさ……』


「だ、ダサい! この服装が?」


『そうだよ、どんなセンスをしてんだよ。ありえねーよ!!』


 その言葉に克己はショックを受ける。


(あ、あれ? 俺のセンスが悪くなってる? そう言えば……最近情報誌なんか読んでないや……)


 克己は目を泳がせ、男達の服装をチェックする。


 確かに服のセンスはある様に感じ、克己は再びショックを受け、自分の服装をチェックする。


「確かに……こりゃないわ……理恵も一言位言ってくれたっていいのに……」


 そう呟き、レミーの姿を見る。


「ま、眩しい!! レミーが眩しく見える!!」


 克己はオーバーアクションをしながらレミーを眩しくて直視できないようなポーズをとる。


「だ、大丈夫ですか? 克己様……」


「だ、大丈夫だ……レミー……。まずは俺の服を買いに行こう……どうやら俺の服はダサいようだ……」


 克己の言葉にレミーは微笑みながら頷き、克己の手を握って歩き出そうとすると、男達が回り込む。


「何だよ……これから服を買いに行くんだよ! 俺もカッコよくなるんだ」


 克己が言うと、男達が笑いだす。


『そんな格好している奴がどうやってイケてる奴になるんだよ!!』


「あちょ~!!」


 男が言い終わると直ぐに克己は回し蹴りをかまして男を黙らせる。


『こ、この野郎!』


「はいや~!!」


 克己は目にも留まらぬ速さで男達を次々と叩きのめし、手をパンパンと叩いてレミーの手を握り再び歩き始める。レミーは手を握られていることに幸せを感じながら克己に引っ張られ付いて行く。


「さて……渋谷と言えば……」


 克己はスマホを取り出してカジュアルショップを探す。


「あっちにあるようだな」


 そう言って手を引っ張り歩き始め、レミーは幸せを噛み締める。奥様はいつもこんな気持ちなのかと思いながら……。


 暫くすると、ネバーランドという流行りの店にやってきて二人は服を手に取ってレジに持っていく。その額、数十万になっているが克己には大した金額ではない。店員はホクホクの笑顔で克己達を見送った。


 次に向かったお店はピカリエだ。ここにはレディースがメインだが中々面白い所との話を里理から聞いており、新しい服に着替えた克己はレミーとの買い物を楽しんだ。


 夕方になり、二人は電車に乗り家へと向かう。


「克己様……今朝からずっとつけてきている者がいるんですけど……如何なさいます?」


「そうだな……これ以上は迷惑だしな……撒くか」


 克己が言うと、レミーは頷き二人は適当な駅に降りる。そして直ぐに乗るを繰り返して付けてきている者を揶揄うと、克己の携帯が鳴り克己は電話に出る。


『お呼びになりましたか?』


「呼んだよ、アルス。迎えに来てくれる? 誰かが後を追いかけてきてるんだよね」


『自衛隊ではないのですか? それとも公安とか……』


「それとは違うっぽいんだよ。というか、何でそう言う聞き方をするの? 普段だったらすぐに来るのに……。迎えに来るつもりは無いのか?」


『いえ……レミーと一緒に居るんですよね?』


「だから?」


『今日は私と買い物の約束をしていたはずですけど……』


「はい?」


『お忘れですか? この間、服を買いに行くって……仰っていましたよね」


「……」


『別に怒ってはいませんが……穴埋めはしてくれますか?』


「明日……」


『明日はリーズと髪を切りに行く約束をしてましたよ? 夕方に皆でチェリーに食事をする予定です。克己様……。約束をするのは悪いと言いませんが、自分の予定くらいは把握して下さい。昨晩報告もしているんですから……。今日は自力で帰ってきてください』


 ブツっと音がして電話が切れる。


 克己はレミーを見ると、レミーは苦笑いをしていた。


「どうしよう……」


「さ、さぁ……どうします?」


「と、取り敢えず……電車に乗って暫く様子を見るか……」


 克己はそう言って電車に乗り込み、一応アルスに降りる場所をメールする。


「まだ跡を付けてくるな……」


「叩きのめします?」


「もう暫く様子を窺おう……。どうせ俺たちの方が強いんだから」


「分かりました……」


 レミーは頷き、付けてきている者を気にしながら何度か乗り降りをしていたら相手が見えなくなった。


「撒いたか?」


「そうかも……ガッ!!」


 レミーは膝から崩れ落ちる。


「れ、レミー!!」


 克己は慌ててレミーを抱きかかえようとして腕を伸ばすと、目の前に黒い火花を散らした物が襲ってくる。克己は間一髪のところで避けると、二次攻撃が襲ってくる。それは避けきれず克己は後頭部に肘内を受けた。だが、この程度の攻撃でよろめくレベルではない。一般人とのレベルは桁違いにある。蚊にでも刺された程度の攻撃だ。なら、何故レミーは倒れたのか。克己は瞬時に考え次の攻撃に備え動き始めた。


 車内は騒然とする。レミーが倒れたかと思えば克己がいきなり肘打ちをされたのだから。


 電車は次の駅に止まると人が慌てて降りていく……が、車内に入り込んでくる乗客の様子がおかしい事に克己は気が付く。


「な、なんだ……こいつ等! どう見ても日本人じゃない!」


 克己は迫り来るパンチを躱し顔面にカウンターをかます。一人目を倒したかと思い、次に体を向けようとするが、殴られた男は克己の体に抱き付き克己は反応が一瞬遅れる。その瞬間、克己の体に電気が走り、克己は意識を失った。


 アルスはなんだかんだ言っても克己の事が心配になり、メールに書かれている駅まで迎えに来ていた。


「結局私がいないと予定の一つも管理できないんだから……。それだけ私を頼りにしてるという事なんだろう……」


 アルスは頬を緩ませ、克己が乗ってくる電車をひたすら待っていたのだった。

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