13話 黒龍登場!!
洞窟に向かっている最中、克己はシェリーに武器を渡す。
「何ですか? この黒い物は?」
シェリーは見たことのない物に戸惑いながら聞いてくるので克己は説明を始める。
「これは銃という武器だよ、離れたところでも攻撃ができる特殊な武器だ! こうやって使うんだ。使わないときは仕舞っておきな」
克己は一通り使い方を説明して、シェリーにレーザーガンの予備を渡し、シェリーは銃をホルスターに仕舞い銃を撫でて微笑んでいた。
あとの三人は剣があるから大丈夫だろうし、ノエルに限ってはビームサーベルがあるから問題ないだろうと克己は思いながら洞窟へと向かう事にする。
向かっている途中でゴブリンが5匹現れ、ノエルが二匹をあっという間に斬り刻んで倒す。シェリーは新しくもらった銃で攻撃すると、一撃でゴブリンを始末することができ、驚いて銃を見る。
後の二人は苦戦しながらも勝利を収め、アルスはレベルが3に上がり喜んでいた。
「皆、直ぐにレベルの確認とかしているの?」
喜ぶアルスを見て克己は疑問に思い皆に確認すると、戦闘が終えたら直ぐに確認をしているらしい。
「だって……気になりませんか?」
ノエルが言ってきたが、克己はあまり気にするタイプの方ではなく、気がついたら上がっていたという結構ズボラな性格をしているようだ。
だがしかし、お金には意外と細かった。
「俺はレベルよりもお金の方が気になるけどね」
「さすがは商人様、店を持っているだけはありますね」
そうレミーが言ってきたが、克己は何かイラっとした。
「だって金がなきゃ食べることもできないし、俺……奴隷になるなんて嫌だもん」
克己はある意味禁句に近いセリフを吐いて先へと進む。三人は俯きながら後を付いて行くが、アルスが悲しそうな声で呟いた。
「全て貧乏が悪いんです……」
ノエルは山賊に売られたので自分の弱さを呪う。
だんだん洞窟が見えてきて、中に入る準備を始める。
皆にヘルメットを渡す。だが、克己はヘルメットの数が会わないことに気が付き新たに発注しないといけないと思いながら、自分はノーヘルで中へ入ることにした。
懐中電灯で中を照らして先へ進んでいくとスライムやスケルトンばかり出てきて、全てノエルが仕留めていった。
「やりました克己様! レベルが上がりましたよ!」
ノエルは嬉しそうに克己に報告する。
克己はノエルが犬のように尻尾を振っているように感じて、頭を撫でてあげたら頬を赤くして喜ぶ。アルスはそれを見て少し羨ましいと思いながら見ていた。
下に降りる階段が有り、克己達一行は降りることにして下の階に降りると、モンスターの種類が変わってきてトロルやオークなどが出てくるようになる。
レミーとアルスは連携しながら戦い、後ろでフォローしながらシェリーはレーザーを発射させて倒していく。
次第にレミーの武器は劣化し刃こぼれ等しており、切れ味が悪くなっていた。克己はレミーにもレーザーガンを渡してバックアップとして戦うように命じる。
シェリーとレミーは職業を確認するとガンマンになっており、克己に報告しガンマンのレベルが3になっていると喜んでいた。
アルスはレベルが4まで上がっていて新しい魔法を覚えたと喜ぶ。
克己はアルスの報告を受けて少し羨ましく感じ、やはり魔法はロマンだと思い、アルスにどんな魔法を覚えたのか聞いてみたらファイアの魔法を覚えたようだ。
暫く歩いていくと宝箱が落ちており、アルスが開けると銅貨が数枚入っていた。
「こういうのって誰が設置するんだろう?」
克己は疑問思いながらその銅貨をアルスに上げるとアルスは嬉しさのあまり克己に抱き付き喜びをあらわす。
こいつも犬っぽいなと思いながら体に当たる胸の感触を味わっていると、ノエルにお尻を抓られた。
克己は自分が悪くなく全てはおっぱいが悪いのだと思いつつ、理不尽に感じる。
更に先へと進んでいくと、少し色が変わったゴブリンが出てきたが、ノエルの武器は性能が一味、二味も違うため一撃で仕留めた……が、アルスは通常の武器のため苦戦する。
アルスが少し距離を取ると、レミーとシェリーが一斉射撃をして、色が違うゴブリンを倒した。
「このゴブリン色が違うけど、何故だかわかる奴はいる?」
克己は四人に聞いてみたらレミーが知っているようで、「これは亜種ですね」と答えた。
「亜種? なにそれ?」
克己が疑問に思いレミーに質問する。
「たまに同じモンスターでも強い奴が出てきます、それが亜種です。大抵色が違ったり、形が若干違ったりしたりします」
「ふ~ん、じゃあ、もう少しだけ気を引き締めて戦わなきゃだね」
克己が言うと皆は頷き慎重に歩き出す。
地下3階に行くとゴブリンの亜種ばかり出てきてアルスはかなり苦戦をする事になる。
そりゃレベルが低く剣技も少なければ苦戦もするよなと思いながら、克己もアルスをフォローしながら戦う。
何回か戦闘を繰り返していたらシェリーはレベルがあがったようで、新しい魔法を覚えたらしい。
何を覚えたかと聞いたら、洞窟から脱出する魔法だとか言っていたので、使うように指示した。
「ですがまだ地下3階ですよ? 本当によろしいのですか?」
シェリーが疑問に思いながら聞いてくる。
「アルスやレミーの武器を考えたら妥当だろう。違う武器を与えることにするから一旦脱出しよう」
シェリーは納得し、分かりましたと答えて脱出魔法を唱えると、五人は光に包まれて洞窟の入り口へと誘われた。
外に出てみると辺りは真っ暗になっており、時はすでに夜になっていたのである。
克己はこの世界にいると時間の感覚がわからなくなるので、腕時計など装備したほうが良いかもと考えながら街へと帰ることにした。
しばらく歩いていると嫌な気配がして、振り返ると何かが飛翔しているのが分かった。
五人はそれが何かと目を凝らしながら見ていると、アルスが気付き言う。
「あ、あれは……こ、黒龍……? ま、まさか黒龍が!! か、隠れてください! ご主人様」
四人は急いで茂みに隠れ、克己も物陰に隠れやり過ごそうと思ったが、黒龍が飛んで向かっている方角は街の方であり、これは街がやばいと感じて袋の中からビームバズーカーを取り出し、黒龍に標準を合わせてぶっ放す!
ビームは黒龍の体を貫通し地面に落下していき、克己はガッツポーズをして黒龍が落ちた場所に行ってみると物の見事に死骸が転がっていた。
克己を除く全員は唖然とした顔でその死骸を見つめる。まさか、人間が黒龍と言う恐ろしい魔物を一撃で倒すなんてと思っていた。
黒龍のコアはかなり大きく、コア自体がドス黒い色をしており不気味な感じがするものだった。
「このコアは……闇系のコアですね、前に本で読んだことがあります。かなり高値で売れるらしいですよ! それもひと財産築けるほど!」
ノエルは、克己が持っているコアにライトを当てて言ってきたが、研究材料を売るわけにはいかないと思い話はそこで終わる。
アルスは黒龍の死骸を見て「克己様は凄い武器を持っているんですね!」と敬うように言うが、克己は威力がまだ弱いと感じ、再度研究の必要性があると思いながらアルスに言う。
「たいした事はないよ、まだまだ研究の余地はあるね」
「研究? ですか……」
アルスは不思議そうに言うと、ノエルの方を見て「研究って何?」と質問する。
克己は研究という意味を説明しながら街へ帰ることにしたのだった。




