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131話 罰ゲームの時間!!

 翌日、天気は快晴……。克己達はバンジージャンプができると言われている遊園地へと来ていた。


「何で私達も……」


 里理が呟く。


「どうなるか気になるじゃないですか!!」


 理恵が力強く野次馬根性を出して言う。


「私はどっちが勝っても構わないけどね……」


 里理は呆れた顔して飛び降り台を眺める。


「お前達がしっかりやらないからこうなったんだ!! 覚えておけよ!!」


「も、申し訳ありません……」


 騎士団たちは残念そうな顔して謝る。


「さっさと飛びなさいよ……」


 セデルは嬉しそうに呟く。


 そう、最後の最後に勝利を収めたのはセデルであった。


 最後に決めるとなったとき、ロミールは手球も一緒に落としてしまい、セデルは勝ち誇った顔で勝利を手にした。


 だが、泣きを入れてもう一度勝負とロミールはお願いをしてきたのだが、克己は受け入れず、レデオウィールとラスベルの醜い争いに終止符がうったのである。


 そして、克己は一般人の邪魔が入らないよう、遊園地を貸し切りにして、ロミール達の罰ゲームが始めようとしていた。


「で、殿下……本当にここから飛び降りるのでしょうか……」


 カリノスはキャストに安全ベルトを付けてもらい、下を覗き込む。


「高い……ですよ? 殿下……」


「早く飛びなさいよ……次が飛べないじゃない」


 ロミールの体にも安全ベルトが装備されている。そう、ロミールも飛ぶのであった。最初は拒否していたロミール。しかし、セデルが一言いう。


「ラスベル帝国は約束を守らないところなんですね……。嘘吐き帝国……そう名乗ったら如何です?」


 このセリフにブチ切れたロミール。


「誰が嘘吐きですって!! 飛んでやるわよ!! やれば良いのでしょ!!」


 そう言ってロミールは飛び降り台まで上って行った。セデルはニヤリと笑い、その様子を楽しんでみていると言う訳である。


「で、殿下……怖いです……!!」


 カリノスは涙目でロミールを見るが、ロミールは冷たい目でカリノスを見る。その後ろではルマネルが震えており、他の二人もビビっていた。


「お前達はそれでも帝国騎士団か!! ルマネル! お前は騎士団長の筈だろ! このような遊びに何を怖がっておるのだ!!」


「し、しかし殿下!! こ、これは遊びとは思えません!!」


「これは、どっかの部族が勇気を示す儀式としてやっていたもの取り入れているんだ。本場では蔦を足に巻き付け、それで飛び降りる……。だけど、日本ではそれが禁止されているからこうやって安全帯や、ロープなどで固定をするんだ。だから安全だよ……多分……」


 飛び降りるのを見届けるために傍で見ていた克己が言うと、ロミールは怒り出す。


「これでは我々に勇気が足りないと言っている様な物ではないか!! お前ら、ここで我々帝国魂を見せるんだ!!」


 ロミールは言うが、足は震えている。


「殿下も足が震えていますよ……」


「いいから飛べ!!」


 カリノスが喋っている途中に克己が蹴り落とす。


「な、なーーーー!!!」


 カリノスは叫び声を上げながら落ちて行った。カリノスはぐったりしながら下に降ろされ、里理達の傍で蹲り泣いている。


 セデルは嬉しそうにその様子を見ており、早くロミールが飛ばないかとワクワクしながら見ていた。


「さて……次は……」


 克己は周りの騎士団たちを見て、ジリジリと近寄る。騎士団たちは何かに掴まり首を横に振り嫌だと叫びだす。


「え、えーい!! 情けない! お前達はそれでも帝国騎士団か!! 恐れる事を止めろ! 前を見ていた……」


 ロミールは喋っている途中に克己に突き落とされ、絶叫と共に落下していく。騎士団たちは慌てて落ちたところを覗き込むと、ぐったりとしながらロミールはキャストに保護されておりホッとする。だが……。


「時間の無駄だ……飛べ」


 克己は覗き込んでいるカルッペスの尻を蹴っ飛ばし、前のめりに落ちて行く。


 下で見ているセデル達は大声で喜びの声を上げる。


 理恵はそれを見て、心が荒んでいると思っていた。


 里理の横には泣きべそをかいている騎士団とロミール。


「怖かった……本当に怖かったよ……」


 五人は輪になって涙を流していた。


「あ、涼介さんが飛ぶようですね……」


 理恵が言うと、セデルが慌てた顔して飛び降り台を見ると、涼介が楽しそうに飛び降りる所だった。


「ひゃっほぉー!!」


 涼介は飛び降り、セデルは悲鳴を上げる。ゴムでビヨヨ~ンとして涼介は楽しそうに燥いでいた。


 キャストに安全帯を外してもらい、涼介は嬉しそうにセデルの傍へとやって来た。


「いや~面白かった~」


「りょ、涼介様!! 危ないではありませんか!!」


「大丈夫だよ、最後に事故が起きたのは十年以上も前だし、セデル達もやってみたら?」


「い、いやですよ! 恐ろしい……」


 セデルはそう言ってロミールをチラリと見て体を震わせた。


「私もやってみようかなぁ……」


 理恵はそう言って呟き、里理は焦った顔して理恵を見る。


「パラシュート……やってみたいと思っていたんですよね……」


 理恵が呟くと克己が楽しそうに飛び降り大笑いをしていた。


 キャストに安全帯を外され、克己は理恵たちの元へと戻ってくる。


「楽しかった~!!」


 克己が言うと、理恵は克己に言う。


「私もやってきて良いですか!!」


「え? い、行ってくると良いよ……」


 克己が言うと、理恵は走って受付をしに走って行く。克己達は唖然としながらそれを眺め、理恵は楽しそうに飛び降り燥いでいた。


 克己のもとに戻ってきた理恵は言う。


「またやりたいですね!!」


 理恵はそう言って、里理は首を横に振っていた。


「さて、この後はどうする?」


 涼介が言うと、克己は周りを見渡しニヤリと笑う。


「今日は貸し切りだ! 大いに楽しもうじゃないか!!」


 克己が言うと、皆は色々な乗り物に乗って遊園地を楽しんでいた。


 楽しんでいた理恵はふと気になった。


 克己は遊園地を貸し切りにしたと……。


「か、克己さん……質問をしたいのですが……宜しいでしょうか?」


「ん? どうしたの?」


「こ、ここって……貸し切り……ですよね?」


「うん、だから俺達しかいないよ」


「い、幾ら……幾らしたんですか?」


「えっと……無理やり貸し切りにしようとして……保証とかいろいろ文句を言ってきたから……一億位じゃなかったかな? たしか……」


「い、一億!! な、何でそんな無駄遣いをしているんですか!!」


「む、無駄遣いって……お金は使わないと意味ないよ?」


「そ、それはそうかもしれませんけど……」


「宏太だってデートで夢の国を貸し切りにしてたし……」


「え? ま、まさか……」


「うん、妊娠が発覚する前の話。だから言ったでしょ? お金の減りがって」


 理恵はその場でへたり込んで茫然としていた。


「だ、だから克己さんはあんなに怒ったのですか……」


「別に使うのが悪いって言っている訳ではない。あいつは命の重さを理解していないことにムカついたんだ。俺達には子供ができていないのに」


 克己が言うと、理恵は少し顔を赤くする。


「あ、赤ちゃん……欲しいですか?」


「勿論だ。理恵との子供は欲しいに決まってるじゃんか」


「わ、私も克己さんとの子が……欲しいです」


「理恵はまだ若いからそのうち出来るよ……一緒に頑張ろう?」


「は、はい/////」


 理恵は照れながら返事した。


 ロミール達はアトラクションを楽しみ、帝国にも遊戯園を作ったらどうかと考えていたのだった。


 そして、翌日には新宿からロマンスカーに乗って箱根を目指したのだった。

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