119.5話 それでも俺達は!!
取調室の中では涼介が不貞腐れて座っていた。
『お前は何をしたんだ!』
「見りゃ分かるじゃん! 俺は襲われたの!」
『拳銃を持っている相手に、丸腰のお前がどうして勝てると聞いている!』
「実力の違いだ!」
涼介が叫びながらテーブルを叩いて言う。
『すいません……係長、ちょっと宜しいでしょうか……』
若手の刑事らしき男が入ってきて取り調べをしている男に耳打ちをする。男は顔色を変え慌てて取調室から出ていった。
涼介は天井を見上げ、溜め息を吐く。
「どうやって帰るかな……。セデルや北川は無事だろうか……というか、怒ってないだろうな……」
若手の刑事らしき男が取調室に入ってきて涼介に言う。
『出ろ、迎えが来てるぞ』
「迎え? 誰だよ……」
涼介は立ち上り、扉から出て手錠を外してもらい婦警官に案内される。待合室の椅子に克己が座っていた。
「お勤めご苦労さん。涼介」
「お前か……」
「姫達の護衛、お疲れ様。何もされなかったか? 怪我とか……するはずは無いか……」
克己は笑いながら言う。
「ウッセーよ……どうしてここに居るって分かったんだよ」
「里理ちゃんから涼介と連絡が取れなくなったと聞いてね……」
「それで分かるお前がおかしい!」
「現場に言って見たら騒々しくてね……。国枝君に手を回してもらったよ」
「見返りは?」
「……武器に関する情報提供」
「……そりゃ悪かったな」
「問題ないよ、お前が無事なら……。安心した。責任は姫達に取ってもらおう」
「手荒な真似はするなよ」
「分かってるよ。さ、帰って飯にしようぜ? 腹へったよ」
「そりゃこっちの台詞だ」
「お前の事だからかつ丼でも食ったんじゃないのか? 自腹で」
「そんな金はねーよ……。ありゃ困ったりはしない」
「それもそうだ」
二人は笑いながら警察署を出て、久し振りに居酒屋で酒を飲んでから帰っていった。




