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100話 使えない機械!!

 克己はハミルと共に王様に会いに来ていた。


「と言う訳で、日本と国交を……友好を結んだらどうだろうかと思ってね」


「成る程、貴様が言う事は良く分かった。だが……パスポートとは何なんだ?」


「簡単に言うと旅券だよ。国を移動するときに身分を証明するものだね。それが無いとどこの国に行っても犯罪になってしまうんだよ」


「ほうほう……、しかし、その旅券はどうやって身分を照らし合わせるのだ?」


「自分の顔写真を撮ってそれをパスポートに印字する。そこには住んでいる場所等記載して、偽造できないように色んな細工をして本人に渡す。一応、身分の照会ができるように、番号を登録して保管などするんだ」


「それはそれで一儲けできそうな話ではないか?」


 王は嬉しそうに言う。克己は畳み掛けるように話を続ける。


「儲かる話だよ、陛下がパルコの街や他の街に何かを出店すればそこに客をあつめる事が出来る。そうすれば儲ける事が出来ると思うよ」


「成る程、日本やその他にない事か……うむぅ……城を建てると言うのはどうだろうか? 魔王と話をして魔王城も見学できる等は儲かるかのぅ?」


「何故城を建てるのか分からないが……魔王城は良い話じゃないか? 日本にもお化け屋敷があるし」


「お化け屋敷とはどういったものなのだ?」


「地球では死んだ人は霊というのになって……」


 克己は王にお化け屋敷というのはどういったものかを説明すると、王は魔王に電話をかける。


『おや、オルベスク王じゃないか……やっと死んでくれる気になったのか?』


「何を言っておる、儂はまだまだ死にはせん! 今、克己が面白い話を持ってきたのでお主にも加わってもらおうと思ってな……」


『克己さんが? 面白い話? ……克己さんがいるのなら、今からそっちへ行こうとしよう……』


 魔王は電話を切った瞬間にオルベスク城にある王の玉座前に魔王が姿を現す。


「克己さん、お久しぶりです……今度、魔王を買ってきてくれませんか? 日本の物って中々手に入らないのですよ……あれを飲みながらジャガイモを蒸した奴を食べるのに最近ハマっておりましてね……」


 魔王は現れて直ぐに笑いながら克己に言う。


「だから国交を結べばいいんだよ、そしたら輸入が楽になるし、魔王だってお金儲け出来るんだから」


「国交を結ぶ? どういった事ですか?」


 克己は王に説明したことを改めて魔王に相談する。


「成る程。では、日本に大使とか言うのを置かないといけないのですね? ですが、我々魔物はちょっと難しいのでは……」


「人間に類した魔物がいるだろ? 確か……エラトミン……とか言う、サキュバスっぽい奴」


「あぁ~、彼女達ですか……ですが、大丈夫ですか?」


「問題ないでしょ? 魔物もアピールできるでしょ?」


「成る程……。それもそうですね……オルベスク王、お前はどうのように考えてるのだ?」


 魔王は王に質問する。


「儂か? 儂は城を建てて城見学を行わせると言うのを考えておる。後はシェリーに相談して日本人はどんなものを好んでいるのか教えてもらい、それを設置するかのぉ……」


「ふむ、それはいい案かも知れない……私も新しい魔王城を作り、そこに引っ越しして現在の魔王城を見学ツアー等……ブツブツ……」


 魔王と王は楽しそうに話をしており、克己はこれで大丈夫かと思いながらハミルに目配せをする。


「じゃあ、魔王も陛下も国交を結ぶのはOKと言う事で話を進めて良いんだな?」


「「もちろん」」


 王と魔王は声を揃えて言う。克己は微笑みハミルは魔法を唱えて、二人は別の場所へとテレポートした。


「本当に資格を取りに行くんですか?」


 遠藤は驚きの声を上げる。


「そうだにゃ、ご主人様が決めた事だにゃ。防火管理者講習は二日間、食品衛生管理者は一日。これは直ぐにとれる資格だにゃ。防火管理者に関しては国家資格だから持っていて損はないにゃ」


「そ、そうなんですか?」


「費用はご主人様が出してくれるから問題ないにゃ。というか会社持ちにゃ。食品衛生管理者は飲食店を開くには必要だにゃ、今後、綾香が辞めたとしても就職に有利になるともうにゃ」


「そ、そうですか……」


「多分、ご主人様は積極的に資格を取る事を進めてくると思うにゃ。私達が住んでいる世界では必要が無いけど、地球では必要不可欠だからにゃ……綾香の今後を考えたら、ご主人様は何でも会社のお金を使って資格を取りに行くことを許してくるにゃ。何度落ちても挑戦する事を許してくるはずにゃ」


 そばで聞いていた新垣が質問をする。


「そ、それは……私も……一緒なのでしょうか?」


「もちろんにゃ! 門戸はいつでも開いてるにゃ! この際だから二人で取りに行くと良いにゃ!」


 ペルシアは書類を印刷して二人に渡す。


「これに必要事項を書いて、印紙を買って張るにゃ」


 二人は書類を受け取り、その書類を確認していた。


「新たに人を雇い入れたりするんですか?」


 遠藤が書類を眺めながら質問をする。


「どうかにゃ? するんじゃないかにゃ? したら……二人に後輩が出来るって事だにゃ」


「そ、そうですね……後輩か……」


 遠藤は少し嬉しそうにしているが、新垣は不安そうにしていた。


「新垣さん……どうしたんですか?」


「だ、だって……私は鈍臭いですから……」


「大丈夫ですよ、現在はしっかりできてるじゃないですか! 事務職を」


「そ、そうですかね……」


「そうですよ! 大丈夫ですよ!!」


 遠藤達は楽しそうに話をしている横で、千春は少し寂しそうに二人を見ていた。


 翌日、克己とペルシア、ハミル、レミーは東京の街をうろついていた。誰もが気にするペルシアの尻尾。


 注目を集めるのは当たり前であった。


「ご主人様、どこら辺に店を借りるにゃ?」


「借りないよ、買うんだよ」


「買うのかにゃ!」


「うん、その方が早いでしょ? どっかのビルメンテナンス会社に管理を任せてさ、そこに従業員を住まわせたら早いと思わないか?」


「う~ん……そう言われると……その方が良いかも知れないにゃ……」


「じゃあ、先ずは必要書類を手に入れてこよう」


 二人は区役所などに足を運び、必要な書類を手に入れる。その足で不動産屋へ足を運び物件を検索していく。


「これなんかよさげだにゃ?」


「そうだな、これは幾らするんだ? ……15億円か……大した額じゃないな……この物件を見せてくれない?」


『この物件ですか? 分かりました……ですが、管理会社に日程を確認してから物件を観に行く形になりますが宜しいでしょうか?』


「外見の確認をしたいな……」


「克己様、考えてみたのですが……お古の家を買う必要はあるのでしょうか?」


 レミーが気になり質問する。


「どういうことだ?」


「どうせ改装とかするのでしたら、新しく建てた方が早いのではないでしょうか?」


「建てる……か……」


 克己はチラリと不動産屋を見ると、慌てて空いている土地などを探す。


『あ、新しくマンションを建設するとしましたら……大体7か月は必要になるかと……。後は天候によって期間が延びる事もありますから……』


「ハミル、天候を操る魔法は?」


「あります……ですが、それでも期間が長いかと……。レミーの意見はもっともですが、先ずは古いマンションを買うのも良いのかと……。しかも、お店を作るとしたらそれなりに改装もしないといけませんよね?」


「面倒だな……新しいのを建築しつつ、中古も買うか……。さっきの物件の外装を見せてくれるか? そして、新しい奴も頼むよ。五階建てマンションで良いから」


『か、かしこまりました……』


 不動産屋の店員は一人では対応するのが難しいと判断し、上司を連れてきて対応する。上司も慌てて建築会社などに電話をして図面を起こすように注文をしようとしていた。


「あ、図面はこっちで作りたい。場所だけ案内してくれる? あと、土地の図面を貰えないか?」


『か、かしこまりました……』


 店員は土地の図面が掛かれたコピー用紙を渡し、克己はそれを見つめる。


「成る程。ハミル、悪いが里理ちゃんを呼んできて来るか?」


「かしこまりました」


 ハミルは返事をすると、直ぐに魔法を唱えて姿を消す。店員はそれに驚き腰を抜かした。


「あ、すいません……気にしないでくれます? それとあと一人来ますので……もう一台車を準備してくれると嬉しいですね」


 克己は微笑みながら言った。


 暫くすると、ハミルが戻ってくる。そこには里理も一緒に居て、少し嬉しそうな顔をしていた。


「お待たせ、カッチャン」


「待ってたよ、里理ちゃん」


「で、どんな要件だい?」


「これだ、ここにマンション型店舗を作りたい」


 克己は土地だけの図面を里理に渡し、里理はそれを確認する。


「成る程……。後は外見だね……土地が見たいから連れて行ってくれないかな?」


「今、店の人に車を用意してもらっている。里理ちゃんにしかできない仕事だよ……」


「う、うん……頑張るよ……」


 里理は少し緊張したように言う、克己はそれを見て微笑んだ。


 車が用意されて、克己達は物件へ向かう。克己が行くところには車の列が出来上がる。それは自衛隊の車や保安の車が付いて行くからだ。


 物件を確認すると、克己は頷き里理を見る。


「ここの改築もお願いできる?」


「勿論だよ、あとは任せてくれればこっちでやるよ」


「ん、任せた。好きなようにやってくれ」


「ありがとう、好きにやらせてもらう」


 里理は嬉しそうに微笑んだ。


 その日は色々と物件を確認しに行ったり来たりと克己達は一日中動き回り、不動産屋と別れ家へと戻ってきた。


「里理ちゃん、セキュリティを直ぐに進めてくれる?」


「うん、分かった。物凄い奴を作るから楽しみにしてよ」


 里理は嬉しそうに足を引きずりながら部屋へと戻って行った。


 克己はレミーに理恵を呼んでくるようお願いし、ペルシアと打ち合わせを行う。


「ペルシア、日本に事務所を構えた方が良いと思うんだが……どうだろう」


「それはどうしてにゃ?」


「日本に事務所を構えて日本支店を作る。そっちでも人の管理をした方が良いかなって思うんだ。異世界側でも事務所を構えるつもりだけど、建築には時間がかかりそうだろ? それに、こっちでは住所が無い。道を(・・)を作る事は出来るけどその基盤となる場所が無い」


「にゃるほど……。それなら明日、もう一度不動産屋へ行くにゃ……里理さんも一緒に連れて行かないと……」


「そうなるな……」


 二人は腕を組みながら考えていると、レミーが理恵を連れてやって来た。


「お待たせしました……料理がこんなに大変だとは……克己さんは凄いですね。本当に」


 理恵の手には切り傷が沢山あり、絆創膏が一杯貼られていた。レミーは座ることなく、ノエルを呼びに行く。


 理恵は椅子に座り、話を聞く体勢になった。


「理恵なら直ぐにできるようになるよ。大丈夫。今日は物件を観に行ってきたんだけど……明日も出かける。あ、ハミル……里理ちゃんに明日も出かける事を伝えてくれる? 行き先は今日行った不動産屋だって伝えといて。あと……里理ちゃんも一緒に行くんだからって伝えてね」


「かしこまりました」


 ハミルは立ち上がり、里理の部屋へと向かう。入れ替わりにノエルがやって来た。


 ノエルは落ち込んでおり、俯いていた。争いに敗れたのだ。克己と一緒に行動すると言う事が叶わなく部屋でイジケていた。


「ノエル、奥様の指を治療してあげて」


 レミーが言うと、ノエルはチラリと理恵の指を見る。


「ここで自分が役に立つと示さないと……」


 レミーが小さい声で囁くと、ノエルが顔を上げて慌てて魔法を唱えた。


「あ、ありがとう……ノエルさん」


 理恵は恥ずかしそうにお礼を言った。


「明日は理恵も一緒に来てくれる?」


「え? 私もですか?」


「うん、理恵も働かないといけないからね」


「わ、私が……働くのですか?」


「理恵は手伝うって言ってたよ? 聞いてたよな? ノエル」


 急に話を振られてノエルはビックリしながら克己の顔を見て頷いた。


「そ、そりゃ……言いましたけど……私はPCを使う事ができませんよ?」


「これから使えるように練習だね、里理ちゃんに習ってくれる? ノエルも」


 ノエルと理恵はお互いの顔を見合いながら困った顔をする。


「先に覚えた方が重要なポストに就きます。だから頑張って下さい。最低でも、ExcelとWordは使えるようになってくれないと困ります」


 ノエルは凄い勢いで克己の顔を見る。その動きに理恵は驚いた。


「克己様、それは克己様のお傍に居る事が可能になるのでしょうか!!」


「なります、かなり重要です!」


 ノエルは慌てて部屋から出て行き、どっかへと向かってしまった。


「アルスが居れば一番早い話だけど、あいつは当分戻って来られないからな……」


 克己は残念そうな声を出す。理恵は少し困った顔をして克己を見つめていた。


 ハミルが戻って来て席に座る。


「里理さんには伝えてきました。分かったと言っておりました」


「ありがとう、ハミル……あとは……従業員の確保が必要だな……」


「奴隷を買うが良いと思うにゃん。パスポートができるまで時間はかかるにゃ」


「そうだな、そうするか……」


 打ち合わせはこれで終了し、克己は理恵と共に部屋へと戻って行く。


「重要なポストって……どんなポストですか?」


「小さな喫茶店の店長」


「え? そ、そんな重要なポストをノエルさんと争わせるのですか?」


「そ、理恵は競争相手がいないと本気を出せないようだからね……。本当に負けたらノエルが店長だよ」


「そ、それは負けられません……克己さんの傍は私のポジションですから!!」


 理恵は燃えるような瞳になり、PCの前に座り電源を入れる。だがそれだけだった。


「ど、どうやって扱うんですか?」


 克己は苦笑いをしてそれを見ていた。

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