0話 プロローグ!!
成田克己に家族はいない。
両親を幼い頃に事故で亡くして、親戚に引き取られそうになったのだが、親が購入した一軒家にて一人で生活することを選び、親が残した生命保険金等を使いつつ、バイトをしながら一人で生活していたが、それは数か月前までの話……。
学歴は悪いわけでなく某大学の工学部を卒業しており、機械弄り等は得意なのだがファミレスでバイトを始めてから料理の楽しさに目覚め、飲食店での仕事を目指していた。だが、現在はバイトを辞めてニート生活を送っている。自由気ままにテレビ等を観ながら、一人の生活を満喫していた。
ニートになる前は、飲食店でバイトをして社会経験を積み、高級料理店で調理のバイトをして働くようになっていった。そして、料理の腕前がプロ顔負けのレベルにまでになり、正社員になる事を期待していたのだが、店長から社員にすることは出来ないと言われた時点で、働くことが馬鹿らしくなってしまい仕事を辞めてしまったのである。
しかし、バイトを辞めた日に運試しで購入した、スポーツ振興クジの一等が当選し、仕事をしないでも生活できるだけのお金を手にしてしまう。
お金持ちになった克己だったが、車の免許は持っていなかったため、これを良いことに自動車免許を取るため合宿所へ行き、筆記も難なくこなして免許を取得して、中古の車を購入するのだった。
しかし、移動する手段を手に入れたのだが、そんなに出歩くこともせず、購入した車もスーパーへ買い物をする以外に使用することが少なく、のんびりとした時間だけが過ぎていくのだった。
そんなある日、何気なくテレビを観ていると、同窓会で友人と昔話をしている番組に釘付けとなってしまう。
そして、克己は思う。この様にだらけた生活をしていると、自分がダメな人間になってしまうのと、同窓会の案内状が届いたとき、今の自分をなんと説明すればよいのか……と。
焦りを感じた克己は、慌てて外出用の服に着替えるため、クローゼットの中を開ける……。
しかし、クローゼットの中は見たこともない部屋に繋がっており、克己は開いたクローゼットを一度閉めて、周りを見渡してから再びクローゼットの扉を開ける。
そこには見たこともない部屋があり、克己は頬を吊り上げながら、再びクローゼットの扉を閉めるのであった。
慌てて外に出て、クローゼットが設置されている部屋の裏を調べるのだが、クローゼットの裏側は外壁であり、部屋などあるはずがなかった。
何かの見間違いかと思いながら三度クローゼットを開けると、そこは見知らぬ部屋に繋がっており、何が起きているのか理解が出来ぬまま克己はクローゼットの中へ入って行くのであった。




