表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

王都への遠出

ここは王都から少し離れた辺境の地。

具体的にはルーク シルフィード子爵様の領地です。

この地ではスズキやマスといったお魚や、

牛や豚、果ては芋などの山の幸も取れる。

もはや非の打ち所がない、優れた土地です。

そのため、この領地では昔から交易が非常に盛んです。なので、国として商人というものに、非常に寛容で、それも子爵様がお抱えをするぐらいで…。

そんなお抱え商人は時代と共にだんだん人数が減っていっていて現在はひとつの商会が、財政や外交のお手伝いなどを手伝っているという感じです。

と言っても、本当にお手伝いなので実権はあるようでないようなものです。

しかし、良いのです。任せられても困りますから…。

「では、お父様。行って参ります」

「あぁ。道中気をつけるように」

「はい」

私の名はミシェール ザッカルート。

ザッカルートは私たちの家名であり、同時に当家の運営する商会の名でもあります。

ザッカルート商会。略称、ルート商会(王都では長いのでよく略称が使われます。)はこの王国の中では有名な商会で他の領でも支部が多くあります。

それに最近…というよりここ何年かは内政のお手伝いもしています。

これは先程の通り、ただのお手伝いにすぎません。

ですが、領民の間では貴族の末裔だとか、次期領主だとかあられもない噂がたっており、挙句の果てには婿入りの申し出すらもある始末です。

私個人的には安泰に過ごせれば良いのですが、

そんなもののために嫁入りなどごめんです。

色々な事情はありますが、現在は穏やかに過ごせているので、こんな暮らしが末永く続くよう願うばかりの毎日です…本当に。


さて本日は王都に商会の視察と買い付け、それとご挨拶に向かう手筈となっています。

視察と言いましても紹介本部のものではなく、

王都に出回る商品のことです。

王都には全国から選りすぐりの逸品が揃うので、商会としても見ておきたいのです。

そして少しでも使えるものがあれば、買い付け、領国で売る、或いは領国で生産を考える…

など得るものも多いのです!


さて、私は王都行きの準備を整え、早速王都に向けて出発しました。

今の持ち物はポシェットのみです

ポシェットの中には徽章と少しの路銀、護身用のナイフにちいさな水袋、それにコンパクト式の服です。

この服は特注で作っていただいた逸品でおおよそ世界に一つしかありません。

それだけに優れた品で、私のサイズにおおよそピッタリになります。

これに助けられたことも何度あったことか…。

さて私は街道を少し進み、「森」に入りました。

ただの森ですが、私にとっては必要なものです。

私は全身に魔力を込め、ひとつの像を思い浮かべました。

その像はツバメ。

そして私の体は次第に光り輝き、1羽の青いツバメになりました。

これこそが私の特化魔法である『変身』です。

そして同時に、私が貴族だと誤解されている、原因のひとつです。


基本的にこの世界は特化魔法というのは遺伝によるものとされています。

それを人々、特に貴族達は暗に神から選ばれたものと示しています。

我々民衆はそれ以外にはどうも思いようがないので、それを信じる他なく、貴族たちの支配に繋がってしまう…ということなのです。

なので私がこの能力を安易に行使してしまうと私も貴族ということになってしまい、民衆からは関わりずらく、貴族たちからは疎ましく思われるのです。

なので私はそれをかくし、使う時は人のいない所でと決めています。

今回もその例に漏れず、人気のない森で行使しました。


そして今回と言うより、王都行きにはツバメを使いますが、理由はいろいろありますが、一番の理由は、私が知る中で1番飛ぶのが速い鳥だからです。


私の特化魔法の能力の根源は私が描く像であり、その能力は私の知識に起因します。

なので、その動物についてよく知っていることというのがとても重要なのです。


しかし、いくら速くても疲れることは疲れます。

なので2時間置きに休憩を挟むようにしています。

今日もそのような理由で休憩をしていました。

私は木に止まり、途中で汲んだ水を飲んでいました。

この地域の水場は水が綺麗なので、そのまま飲んでも大丈夫です。

この辺りの自慢できるところのひとつです。

私は羽に付いたホコリなどを取り、毛繕いをしていました。

これは所謂、鳥の本能のようなものです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ