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Lv01―どこからどこへ旅をするのか

 ただ今私達は大草原の真ん中に来ています。

 牧草になりそうな質の良さそうな緑色が地面を埋め尽くし、心なしか空気も澄んでいるような気もする。小さい家を立てたくなるくらい素敵な平原です。

 どのくらい素敵かというと、もうね、スライムとかオオガラスが襲いかかってくる所とかですね。その実況をお伝えいたします。

 現場のアリナさーん。


「はい、こちら現場の『フロポン平原』のリポーター在名です。いやーここはいい景色が広がってますねー。見渡す限り魔物魔物魔物。こんな景色他では見ることはできませんよ、あっはっは」

 あるじの表現の通り私達の視界には百を超える大量の魔物の群れが草原をたむろっているのが映っている。ファンタジーには欠かせないヌメヌメとした全然可愛くないスライムや羽根が生えた狐(フクス)やら凶暴そうな駝鳥(シュトラオウス)と様々だ。


 現場の在名さーん。

「はいはい。とりあえず現地住民の方にコンタクトをとってみましょう。あのお時間少しよろしいですか」

「ミュ?」

 あるじは少しかがんで足元の兎っぽいふわふわの毛をまとった四足の何かに目を合わせる。

「えーと、あなた方、魔物さんがこの何にもない大草原の真ん中で大勢集まっているのはどうしてです」

「ミュミュミュ」

「はぁ。なるほどトイレットペーパーお一人様三十円それは安いですねー」

 適当な事を言うあるじ。絶対そんなこと言ってない。

「ミュミュ」

「そうですよねー。ということで現地住民のミュミュさんでした」

「syaaaaaaaaaaaaaaaa!」

「ヒィィィイイ!?」

 兎っぽい動物は急に乱杭歯が並ぶ口を大きく開いてあるじにかぶりつこうとした。兎っぽい何かは肉食だった模様。

 あるじ大丈夫ですか?

「もうやだー!」

 あるじは視界いっぱいの手を伸ばせば触れるほど近い魔物たちを前にして涙目。

 もっと正確に言うなら視界だけではなく左右や後ろにもたくさんいる。

 私達は場違いにも一人と一匹で大量の魔物の群れに囲まれているのだ。

「勇者さん、今までごめんね、馬鹿にして。異世界来ても、辛い事ばっか」

 辞世の句を詠み始めたあるじは放っといて、何故私達がこんな苦境に立たされているかと言うと。

 事の発端は数日前にさかのぼる。













 ビュンとあるじが振った西洋剣〈サーベル〉が風を斬る。

 一回だけ聞こえた音。だが振われた回数は三回だった。

 一回目は右から左。次は、上からの袈裟斬り。最後に返しが立ち撫での逆袈裟斬り。

 それが間断なく行われたので音がつながり一つしかないように聞こえたのだ。

 あるじは「両手剣は専門じゃない」と言っていたのにこの速度を出した。その速度は熟練の剣客のような何年も鍛錬しようと出せない人を超えた速さ。


 ――――――それは【加速魔法(ヘイスト)】の速さ。


「―――――っはー………………何というか、うん、ホント酷いなこの【魔法】」

 何がですか? 使えそうな【魔法】だと思うんですけど。

「だからだよ。ほぼ剣の素人といってもいい僕がこんな速度を出すと、毎日訓練するのが馬鹿らしくなる。逆転一発クイズの悲しみのような、そんな感じ」

 あるじは豪華な客室の中央で剣を振るのをやめると、西洋剣を鞘に納め椅子の上に置き、自身はベッドの上に寝ころがる。黒に銀が多少混じった髪が跳ね、十六の少年はベッドに沈む。

 白い雪のような、よく見ると少し灰色な体を毛づくろいをしていた私は椅子の上からそれを眺める。

「今ので、最後?」

 はい。【加速魔法〈ヘイスト〉】が最終確認でした。

 私達がしていたのはあるじの訓練と私の【魔法】確認。

 戦力調査、というやつだ。




 

 ヘタレ少年・あるじと賢猫・私は、西暦2112年の宇宙船地球号から異世界に召還された。

 そこは【魔法】があるファンタジーワールドだった。

 そして竜やモンスターが存在するデンジャーワールドでもあった。

 召還された私達は有無を言わず国と竜と姫をめぐる戦いに巻き込まれてしまう。

 結局どうにかなり、その一連の騒動は幕を閉じたのだ。

 その戦いから早くも10日が経った。

 といっても何があったというわけでもない。縁側で茶をすするジジババのようにぬくぬくとした日々をすごしていた。外の気温は氷点下だったけど。

 子供と小動物を相手に大人げなく本気を出して両者を倒したあるじは体中に打撲をたくさん作った(蝙蝠の【光の壁】放射で)が数日でもう傷はすっかり治っている。単純な生き物は回復が早いのだ。私の既視感〈デジャブ〉による頭痛はその日のうちにひいたので全快といっても差し支えない。

 勇者的行動が終わった私達だが、残念ながら派遣社員には帰り手当は支給されないのだ。ぶっちゃけ【召還魔法】には呼ぶだけで帰す機能はついてないらしい。労働法違反じゃないか?

 だがここはエドガルズ。マジックワールドでは残念ながら法律は存在しない。そもそも訴えるべき裁判所もない。

 なので勇者の義務〈モンクヲイワズタタカエ〉が終わった後も何処へ行くあてもなくシェイラ・ジャルガ城の客室(エンペラークラス。あるじは土足で)に逗留していているのだ。


 始まる勇者(ヒモ)生活! 魔法ワールド漂流(ヒモ)日記!


 どうやら前回の戦いでヘタレメーターが一周回り前向き思考になるという奇怪現象が起きたあるじは魔法世界〈エドガルズ〉を堪能することにしたのか、あれからグチグチ言わなくなった。

 それだけではなく前回の戦闘で何か思う所があったのか鍛錬(剣の素振りをしたり、筋力トレーニングをしたり)まで始めるという前向きな姿勢を見せ始めた。

 しかし、〈あるじ〉と〈前向き〉の二文字がつながる日が来るとは…………………。





「うわー」

 あるじは駄々っ子のように足をバタバタさせる。その振動が同じくベッドの上に移動した私にも伝わり視界が揺れる。

 どうしたんですか、見苦しいですよ。

「体が…………………なまってる~」

 なまってますか?

 逃走生活は言わずもがな、日銭を稼ぐのも肉体労働が多かったのであるじの体は線が細いものの服の下はそれなりに見栄えする筋肉があるはずなのだが。

「そーじゃなくてさー。そもそも剣を振るったりするのとは使う筋肉が違うし、技術的な意味でだよ。昔少しだけ教わったからもう少し使えるはずなんだけどー。現在の僕の強さを簡単に表現するなら、ショッカーは楽勝だけど怪人にはてこずる戦隊モノのブルー…………みたいな」

 主役のレッドではなく二枚目役のブルーを狙うあたりヘタレ。



 あるじって何が専門ですか?

「え?」

 剣道とか格闘なのか、何の技術を修得しているんですか? 私はあるじがまともに喧嘩してる所なんて見たことないですからわかりませんが、やっぱりなんらかの戦闘技術は身についているんですよね。

「んー………………………」

 何故かしゃべり渋るあるじ。そういやあるじは落ちこぼれだったみたいなことを言っていたから嫌な思い出があるのかもしれない。

でも、私達の間で隠し事はなしですよ。

「…………なんか恥ずかしいな。そうだな夫婦間での隠し事はいけないよな」

 そうですよ、母さん。

「僕が嫁か!? まあどっちでもいいけど。専門は……………特にないな」

 ないんですか?

「何でもあり流派、というより幾つも別れてたんだよ。朝凪流射撃術とか朝凪流格闘術みたいに」

 モーニングカーム流ですか。

「やめて恥ずかしいから! でもさ、あの場所で自分の名前がついた流派をあげるってパチモン臭いだろー」


 王様との初会話の時のことだろう。確かに初見の人間が自分の名の流派を語っていたら胡散臭いにも程がある。


「それに僕、一つも免許皆伝どころか昇段もできなかったし………戦いとか好きじゃない」

 つまり、どれも下手くそだと?

「一応、必殺技はあるぞ」

 一応なのにあるんですか必殺技。

 真顔でそんなアホな事を言うあるじ。あっはっはドコの痛いゲームですか(笑)。

「いやいや本当にあるんだって必殺技」

 また足をバタバタさせるあるじの足を前足で叩く。こういう動く物に野生の本能が喚起されてしまう。

 はいはい、じゃあぼくのかんがえたつおいひっさつわざ妄想でも語ってください。

「妄想じゃないよ!」

 じゃあ何で前回使わなかったんですか。あんなに苦戦しといて使う必要なかった~とか駄目ですよ。というか、そもそも地球での逃走生活で追い詰められた時とか全然使ってなかったじゃないですか。

 私はネチネチとなぶるように目を合わせる。ホラ言い訳しなさいな。

「うわー、や、やめてー肉球で頬ぐりぐりしないでー」

 超適当に抵抗するあるじのほっぺを前足でぐりぐりと踏みつけるとスネたようにそっぽを向く。へそを曲げると面倒なので仕方がなくあるじの妄想「妄想じゃないよ!」に付き合ってあげる優しい私。

 でも…………その武術(笑)をたしなんでるってのも、後付け設定っぽい必殺技(笑)も100猫譲っていいとします。

「何だその単位は。猫詰め合わせセットなんてもらっても困る。それと後付け言うなカッコ笑つけるな」

 私嫌ですよ。これがあるじパワーアップフラグとかで、本当は実力を隠していただけでスゴい強いんですーとかこれから異世界無双編始まり~とか………三行半(みくだりはん)つきつけて実家に帰りますよ。

「長年つれあった夫婦の絆を凌駕するほど嫌なの!?」

 はい。ヘタレじゃないあるじはあるじじゃありません。

「普段はもっとしっかりしろとか言うくせに…………」

 それとこれとは別な話です。この間の事でわかりました。あるじはもう少し私に話をするべきだと。

 勝手に自分だけで決めていい迷惑です。確かに、私もあるじに話してないことはあります。あるじのどこが駄目とか、あるじのどこが駄目とか。

「二度言ったね………………」

 あるじが悲しげな目を向けてくるが無視。

 夫婦間にだって少しくらい隠し事はあってもいいでしょう。ですが秘密主義は駄目です。なんですか暗い過去を背負った主人公がカッコイイとでも思ってるんですか!

「お前、それは大半の物語の主人公を否定してるぞ………………」

 私はあるじの顔面に鼻と鼻がくっつく程に寄って灰色の目を見ながら話す。

 だいたいあるじは(以下30分に渡りあるじの駄目な所を微にわたり細にわたり表現)なんですから。……………聞いてますか?

 私が説教を一段落終えてあるじの顔を見る。

「ぐすっ、もうやめて! いっそ殺せよ! 死ねばいいんだろおおおおおおお」

 あるじはマジ泣きしていた。16くらいの少年が顔を歪めて大粒の涙を流していた。十代後半の少年が飼猫に説教されて号泣していた。

 や、やりすぎたかな? あー、ほらほら、男の子が泣かない。涙を拭いてくださいあるじ。

「うぐっ、ぐじゅ、ひっく」

 私の体で拭かないでください! 

 あるじが私の体に涙まみれの顔を押し付けてきたのだ。

 うう、自慢のふわふわ白毛ぼでぃが………………まあ、泣いていて視界がふさがれていたから毛布と間違えたんでしょうけど。

「ぐすっ……………仕返し」

 確信犯だったようだ。



 あるじをさんざん嬲っといて何だが、あるじの強さが大したことないのはわかっていた。

 猫の小動物的な勘で大体の強さというものがわかるのだ。筋肉の発達具合、体重移動の巧拙、見にまとった雰囲気、殺気の濃度などで例え実力を隠してようとも大抵は推し量れる。

 例外は、魔法みたいな外見から想像つかない力。でも、雰囲気というものは隠せない。だから気づかない事はあっても間違えることはない。

 あるじの強さ(逃走能力含む)をB-とするならばあの少年(蝙蝠のみ装備時)はB+くらい。私は魔法使えばA+。かつての世界の殺し屋〈タナトス〉・護衛人〈セキュリティ〉と呼ばれる人間は大抵がB+からA+でほんの一つまみがSといった所だ。



「だからこの間も言ったじゃん。それなりに格闘術はできる。剣術も棒術も槍術も使える。でもそれなりに、なの」

 だから本当に強い人間には勝てない、とあるじは続けて私の額に自分の額をぐりぐり押しつける。押し負けそう。魔法の世界に来てもあるじは弱いままですか。

「だからガンバってくれ猫。戦闘はずっと猫のターン。僕はアドベンチャーパートを担当するから」

 一人だけおいしいとこ取りをしようとするあるじ。飼い猫に身を守ってもらおうとか人間としてのプライドはないんですか?

「だって、猫【魔法】あるじゃん。しかも強くなってるし」

 そこで話が冒頭につながる。



 私がこの世界に召還されてすぐ使えた【魔法】。

 どうやら私は見た魔法―――いや動物が使うのは無理だったから【魔術】―――を真似する事が出来る、だなんて特殊能力が身についていたのだ。しかもMP制限なし。


 ――――――実は雪竜に聞いた話だと、そんな単純な話ではなかったのだが、それはまた後日。


 特筆べきは私だけで、あるじにはそんな能力が身についてないという事。召還された存在に無条件でつくボーナスじゃないらしい。

 さらに、驚くべきことはゲームの中に出てきた元の世界の想像上の魔法も再現できるのだ。例外として杖など小物が必要な魔法は使えなかった。

 私は某最後(ファイナル)の物語の【四文字魔法】が詠唱呪文が短いからという理由でいくつか使ったのだが、威力が劣化(パチモン)という実践では使えそうにない代物だった。


【ファイガ】―――炎を出す魔法はウォッカを口に含んでの火炎放射並で。

【グラビデ】―――重力場を発生させる魔法はHPの1/4ではなく1/8ダメージしか与えられず。

【バニッシュ】―――姿を消す魔法はあっけなくバレてしまった。


 だから私が実践で使える魔法は初めて使った【エルミニの雪遮竜壁】だけだった。

 はず、だった。

 だがフタを開けてみれば【炎にかたどられた、宙を這う獲物を探す蛇】や【切り裂く形なき麻痺矢】といった魔法まで使えてしまった。

 それだけではない。

 前回の戦闘で使った四文字魔法【加速魔法〈ヘイスト〉】がパワーアップしているのだ。

 以前は足にロケットブースターがついたみたいで制御できずこけてしまったりと使えない魔法だったのが、今では先のあるじのように剣を振るえば達人の域の速さを出せたりと使い勝手が良い魔法になっていたのだ。

 ……………何でだろう?





「単純にさ、経験値入ってスキルアップしただけじゃないの」

 でもそれだと変じゃないですか?

「どこが? 敵倒して経験値入ってレベルアップしてどこもおかしくないだろ」

 はっ、ゲーム脳が。

「猫、最近容赦ないね……………」

 あるじがかなしげな目で私を至近距離で見てくる。だが私を額で押す力はより強くなった。そろそろベッドの上から落ちるかも。

 いいですか、敵を倒しても経験値なんて手に入りません。技術は反復練習と学習でしか向上しないんです。

 なのに、【ヘイスト】がレベルアップしただけで、かなりの回数を使った【ファイガ】の方は相変わらず小さい炎しか出ない。蝙蝠戦であんなに使ったのに。

「だからあの少年を倒した方が経験値たくさん入ったからだろ」

 ゲームならそれでいいんですけど、現実はそんなこと有り得ません。…………何か法則があるのかも。

「あれだ。主人公ぱわーじゃないのか。ピンチな時に能力が向上してその時使った魔法も向上したみたいな。まあ、僕には関係ないけどっ」

 あるじが一息で額を強く押したせいで私は力比べに負けてしまいボテと床の上に落ちる。あうっ。

「チート能力が与えられなかった現代人が魔法世界でどれだけ寂しい思いをしてるか思い知れ」

 どうやらあるじはまだ自分が魔法を使えない事を根に持っているようだ。はぁ、と悲し気に溜息をついてあるじはベッドと一体化するようにぐてーとなる。

「それに僕らの『異世界召還論』に『天使』に『召還者』…………頭痛い」

 あるじ普段頭使わない系主人公ですからね。

 私はぴょんと一足でベッドの上に飛び乗りながら話しかける。あるじはそんな私をぺしっと押してまた床の上にビタンと落とす。ひ、ひどい…………。

「戦力云々は戦わないで逃げまくるからいいとして」

 勇者として最低な事を言い出すあるじ。

「問題は情報が足りないという事なんだよな…………」



 情報は大切だ。あるじが路地裏の世界で今まで生きてきたのも情報収集を怠らなかった事とその見極め整理が格段にうまかったからだ。

 魔法を持っていようが召還されていようが無双の格闘技を習得していようが、それより上の技術を持つ物が現れたら意味などない。そんなことでは安全を手に入れることなどできない。

 それに今置かれている状況の詳細な情報がわからなければ、どうやって逃げればいいか何処に逃げればいいかすらわからない。あるじの鬼門的シチュエーションだ。



「とりあえず当面の指標は【召還魔法】についての情報収集、かな」

 異議はないです。

「あと観光」

 異議はないです。

 私はせっせとベッドの上に復帰しつつ答える。今度は攻撃なし。

「せっかく異世界に来たんだからこう珍しい物見たいよな」

 この間、天使見たじゃないですか。元の世界にはいませんよ。

「ああいう危ない人は元の世界には沢山いたからいい。こう、空に浮かぶ都市とか動く城とかそういうの」

 ジブリっぽいやつですね。

「そうそうそう! あんな温泉宿にも行ってみたいなー」

 いいですね。私は八頭身の猫がいたら見てみたいです。


 目的が情報収集<(よりも)観光になりつつある私達の耳にどたどたどたーと外の廊下で誰かが走る音が入ってきた。

 何だ何だと釣られて私達が扉の方を意味なく向くと、ばぁんと扉が乱暴に開かれ銀髪を振り乱しながら小さいお姫様・ユニが入ってきたのだ。

「ユ…………ユニ?」

 普段の大人しい彼女からはそぐわない騒々しさに目を丸くするあるじ。

 袖口が広く飾り気が少ないながらも優雅さが猫にでもわかるシルフというワンピースのような王族伝統衣装の裾をひるがえしながら、つかつかつかと部屋の中に入ってくると目をぱちくりとしているあるじの手を握り、一息だけは胃の中に空気を吸い込んでから大声を出した。



 

「私をアレスタクト大聖都に連れてってくださいくださいっ!」



 

 どうやら、私達の次の冒険先が決まったようだった。




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