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魔道具の失敗 ケースC

 魔道具省

 グリフィス城の敷地内にある国の重要な場所。

 そこは様々な魔道具に関する報告書やその魔道具を作成するための試験を実施し管理をしたり、国などから依頼などを受け魔道具を作成したりなどする。


 そこの所長室にはダイナと呼ばれる人物がいる。

 彼は貴族の身でありながら確かな腕を持ち合わせており、これまで作ってきた魔道具はどれも国を満足させる出来前だった。

 しかし、彼は生まれてこの方挫折を感じた事が無かった。何か問題があったとしても大抵は己の腕か貴族としての権力でどうこう出来るくらいに順風満帆な人生を送ってきた。

 そうして生きた彼には魔道具作りにおいて自身が溢れていた。それは今までの作ってきた実績から見ればそう思うのも無理はない。

 そして今回も些細な事だったのだ。ここ最近確かに己の地位は魔道具省の中では最高のものになったが「人」としてもっと大きな事が出来るのではないか?と思うようになったのだ。


 そこで彼が思いついたのは国民が魔物達から被害を受けないようにするものだった。

 聖女がいる国では確かにそのような魔物被害を防ぐことは可能だがそれはあくまで聖女本人がその街にいることが前提。彼はそうではなく”全ての人たちに可能な限り安全を届けることが出来るようになれば”という思いとこれは歴史上類を見ない程の問題解決になると思い、騎士団の協力を得ながら今回の魔道具を作り出した。


 結果は上々。魔道具を設置した村々から魔物被害が減ったという感謝が届くようになった。

 その報告を聞きダイナは自分が偉業を成し遂げたのだと思い、その成果を国に報告した。


 そして彼は呼び出しを受けていた。しかもその呼び出とは他の省のトップたちや宰相までもが集まると言われている。


(これで私も歴史に名を残すような人間になれたのか)


 ダイナはそう思いながら会議室の前まで来ていた。

 そして彼は扉の横の警備が扉を開けるのを見てその中へ入っていった。




 中には他の省の所長に宰相が揃っていた。

 

「ダイナ君済まないな、呼び出してしまい。そこにかけたまえ」


「わかりました」


 ダイナが座るのを確認すると宰相は手元に置いてあった書類を手に持ち話を始めた。


「今回、君を呼び出したのは他でもない村々に置いていった魔道具の事だ」


 ダイナ自身もやはりと思った。しかし、周りの人々を招集してまでここで話す程の事なのかとも次第に感じ始めてきた。


「君の魔道具、まあここでは対魔物用の結界とし縮めて結界とひとまず呼ぶ。この結界は報告書に書かれていることは事実なのかを君に確認しておきたくてね」


「はい。今回私が開発した魔道具の報告書は嘘偽りの無い物です」


 そう彼が告げることで宰相はその書類を机の上に置き、両肘を机に置き顔の前で手を組んだ。

 

「今回の魔道具の報告書、実に素晴らしものだ。これまで幾度もチャレンジしてきた結界の魔道具においてここまで効果を発揮するものは歴史上はじめて君が作ったと言って過言は無いだろうが今回は村々に置く案としてはこれは認められない」


「なぜですか!?確かに今回、実際の結果も用意しやっていけることは証明して見せたではありませんか!?」


「それは彼が行ってくれる。入ってきたまえ」


 そしてその宰相の声に応じ会議室に入ってきたのは魔道具省で所長に結界の魔道具の反対をしていたルークだった。


「君は……」


「すみません、所長。今回何がなんでも魔道具の設置を止めなければならなかったもので」


「では、語ってもらおうか。ダイナ君が作った魔道具の危険性とやらを」


「はい」











 俺たちはルーク発案の魔道具を完成させ、数日後に冒険者ギルドから調査が終わったとの報告が

来たので二人で冒険者ギルドに向かった。


 中に入り、受付嬢へ呼び出しがあったことを伝えるとすぐに会議室に通された。そして中に入るとロランは勿論、他のギルドトップたちも集まっていた。

 俺たちは入り口付近に開いていた椅子に座り話を始めた。


「まず、今回の結末から言わせてもらうと確かに魔道具の影響は村々にあったことが確認された」


 髭を生やし、屈強な体を持っているいかにも冒険者のような姿をしている男が話し始めた。


「すまない、まずは名前を言わねばな。俺はガイという。冒険者ギルドの冒険者の担当をしている。そして今回はお前たち二人から報告を受けてすぐに冒険者たちに周辺への聞き込みを開始させた」


「その結果、確かに魔物達は一切周りにはいなかった。村に住む人たちに話を聞くと魔道具を設置して半年間村周辺で魔物を見ることも畑などが魔物達に荒らされる被害も起こっていないそうだ。

魔道具は確かに機能していることがわかったから次はその消えた魔物達の行方を捜すことにした。

確かに、結界が張られている範囲には一切の魔物達が見られなかったが村から離れたところには何匹か中級ぐらいの魔物達もいた。だが数もそう多くはなく中級にもある程度の効果が発揮されているのだろうとはわかったが低級など他の中級の姿が一切見えなかった。」


「そしてそのまま見かけないまま一つの考えが浮かび上がった。それは『結界はかなりの範囲を覆っているのでは?』と思い地図上の魔道具が置かれている村々に結界の範囲だと思われる印をつけていくと一つのものが出来上がった。それがこれだ」


「これは!」


 そして渡された地図には多くの村々からその結界の範囲の円がいくつも出ており、国全体で見ると中々の範囲を囲っていることが分かった。その囲いは完璧に外と村々を隔離するように配置されているわけではないがかなりの数が配置されていることが分かった。


「これは凄いですね。確かに、こんだけ配置されていれば村々での被害は減ると言っても過言ではない。何より村に置かれているからそこに住んでいる人々が襲われないのは良いな」


「そうだな、結果から見ればそれは凄いのだろうが魔道具は完璧に配置されているわけでもないし何より結界を越えて入ってくる魔物もいればその結界の影響を受けていない中から魔物達が湧くことがあることを考えるとそこまで敷き詰めて結界を張ると次第に魔物達は行き場を失い一定の所へ集まってしまう。一か所かなり窮屈な場所があるだろ、まるで行き場のない檻のようになってる所が」


「確かに」


 確かに村々がちょうどいい感じに配置されていてかなりの範囲の場所を結界が行き場を封じている様だった。そしてその村々の反対には大きな街が存在していた。

 それまで一切会話に参加せずにただただ地図を見てどんな範囲で魔道具が動いているのかを見ていたルークが何かに気が付いたのか口を開いた。


「もしかしてここの街って……」


「ああそうだ。この前大量に町の前に魔物達が集まりだし、大量の被害がもたらされた街さ。新聞でみたんじゃないか」


 その街の名前を見ても俺にはあまりピンとこなかったが隣のいるルークは違ったようで椅子から立ち上がるくらいに驚いていた。


「ここって王都から騎士団や魔術団たちが派遣されて大量に魔物が討伐されたっていうところじゃないですか!」


「そうだ。今回のその街で起こった魔物の大量発生は結界を張っている魔道具がもたらした事件で間違いないだろう。そしてまたそこで問題が起こっているのが現状だ」


「また問題?」


「前回、確かに大量の魔物達が討伐されたがその討伐を苦しめたのは上級魔物が一匹いたせいだ。そしてその魔物は討伐されたがその戦いの間に他の低級共は逃げていた。そして周辺の中級や、上級達がそのたまり場に動きだしている報告が上がっている」


「本当ですか!?もしそれが本当なら次は防ぐことなんて無理なんじゃ……」


「しかも今回俺たちがこうやって調査していたからわかった事だからまだ国や街の連中共も知らないことだ。今から国にこのことを伝えたって手遅れだろう」


「そんな……」


 そうして会議室に久々の静寂がやってきた。確かに今回の騒動でそこまで大きな事態に発展しているとは思っていないし、国もそこへ援護を送っても間に合うかどうか。


「だから俺たち冒険者ギルドはその街に向かい魔物達の討伐を行う。その為の作戦の前に今回の報告をさせてもらった。ありがとう、君たちが動かなければ大勢の悲劇が訪れるところだった」




 そして、今回の調査の資料を渡され俺たちは部屋を出された。

 これからその魔物達への対策をするからと。


 部屋を出されて一旦、事務所へと戻ってきた。そこで俺たちは一切の会話をすることはなくただただ二人で椅子に座り、これから起こるであろう戦いの事を想像した。


「シロー、俺はこの結果と俺たちが作り上げた魔道具を持って明日にでも今回の騒動に方をつけて応援を送ってもらうようにするよ。ありがとな手伝ってくれて。また今度報告しに来るよ」


 そういいルークは両手に書類を抱えながら走って部屋を出たいった。











「それが今回の魔道具での騒動です」


 話を聞き終えた私はその話を信じられなかった。この私があの事件を起こしていたなんて。


「だが、効果事態はあったのだろ?なら今度はそれを考慮したうえで廃止すればいい「この魔道具を一年中毎日稼働し続けるのにどれだけの魔力が必要ですか?」…なに?」


「だからこの魔道具を稼働させ続けるのにどれだけの魔力が必要なのかと聞いているのです。正直ここまで強力な魔道具を稼働させ続けるのにはかなりの魔力が必要なのでは?」


「それは考えがある。魔物達からとれる魔石を使えるようにしてあるから問題はないだろう」


「それでは無理があるでしょう。確かに補給は出来るでしょうがそれを用意するすべを村人たちは持ち合わせていないでしょう。なによりその魔石は誰が用意するのですか?国ですか?それは良いでしょうがそれだけの魔石が村々にいきわたるほどの毎年分用意できますかね?」


「それはそうだが……」


「他にも中級以上からは何体かは効果がないのも確認できますし、それだと結局低級がいないことで狙われるのは村人たちでしょう。他にも言いたいことがありますが確かに効果などは大成功だったと言えますがそれがもたらす影響やその後があまり対策されていないようなので逆にこの魔道具は住民に危害を加えやすくなるといっても過言ではありません」


「現実問題、既に町で魔物達は沢山集まっておりそこで今度は前回良りも大規模な襲撃が起こることが予測されるとの事ですから今回の魔道具設置は諦めてほしいです」


「……」


 別に全ての言葉を信じたわけでも認めたわけでもない。けれど実際、ここまで証拠が集まっているのも確かなのだから今回の騒動は私の魔道具が引き起こしたと言っても言われても文句はない。

 まさか魔道具自体の運営は問題なかったのにそれ以外に問題があるとは思わなかった。


「では魔道具の設置は諦めろ、という事で良いのかね」


「いいえそれは違います。今回所長が行おうとしたことは確かに無理でしょうがその代わりの魔道具の代わりとなるものを持ってきました」


「ほう」


 そしてルークは一つの魔道具を会議室にいる人たちに見えるように置いた。


「これが代わりとなる魔道具です。結界を張るというのは一緒ですがこの魔道具の結界の効果は認識できないようにすることです。認識さえ出来なければ住民が襲われる機会は減るでしょう」


 そう彼が発表すると部屋が少しざわついた。中には「なるほど」や「そう来たか」なんて感心する声が聞こえてくる。


「しかし、それでは認識されると危ないのでは?」


「そこはこの魔道具の別の機能である実際に村を守る為の結界を張り、村を守るのです。ただこれにも魔力を使用することには変わりはありませんがその魔力の解決策も考えております」


 そしてその横に透明な物を置いた。


「これが魔力を貯める魔道具です。これは人が魔力を込めても魔力を貯めることができその村にこの貯める魔道具とセットで太陽の力を魔力に変える道具も置いて常に村だけで解決できるようにすれば問題ありません。魔石事態も使えるようにしているのでそこらで倒せるような魔物からコツコツ集めても問題はありませんし何より、今回のは魔物限定に認識させなくする効果の魔道具なので魔力の消費量はそこまで多いものではないと思います」


 その説明は傍で聞いている私も納得できるものだった。確かに、それだと村だけで解決でき何よりお金も掛からず魔力の消費も少ない。

 私は初めて魔道具の作製において負けたと感じるのであった。


「君はこれをいつ考えたのかな?まさか、今回の騒動を狙ってたわけではなかろう」


「これは私が学生の頃から考えていてそして今回の事をしり、急遽完成へと漕ぎつけたものです。なのでこれは私だけの力ではなく友の力もかり作りあげた思いの籠った魔道具です」


「わかった。今回の騒動はその魔道具が今後活躍するという事で方をつけよう。その魔道具の事件を行うように。そして直ぐにでも、追加の応援を送るように手配をする」


 そして宰相は傍にいた兵をよび話を聞き終えた兵はそのまま外へ出ていった。


「それで君は今回の事で何を望むのかね?お金かい?それとも所長の座かい?」


 そこで私は魔道具省の所長を下げられるのだとわかった。彼は今回で私よりも素晴らしい成果を残したのだからそれは仕方のない事だろう。それならそれで私は所長の座を降りようと覚悟をしていたのだが


「いえ私には所長の座はまだ早いです。今回は私が何年も考えそして友の力を借り初めて出来上がった魔道具です。なのでまだ私単体では所長の後を継ぐくらいの力も経験もないので。ただ今回の魔物の侵入を防ぐ魔道具もかなりの出来のものなので魔物討伐の時などに使えることも確かな事なのでどうかお考えを」


 そして宰相は「わかった」と笑いながらいうと他の所長達も引き連れて会議室を後にし、部屋に残ったのは私と彼の二人なった。

 そこで私は彼に聞きたいことを聞いた。


「君は所長に本当にならなくて良かったのか?」


 すると彼は私から声を掛けられたのに驚いたような様子をしたがすぐに笑みを浮かべ私に変異をしてくれた。


「今回の魔道具は俺の夢だったんです。だからこそ先を行かれたことはとても悔しかったですが、結果は完璧ではなかったですが効果事態は確かなものでしたから。でもそれではいけないってわかったからには俺が頑張るしかないでしょ。それに、本当にまだまだ経験も才能も足りていないので今の俺には荷が重すぎますよ」


 そういう彼の表情からは本当の事を語っているのであろうと感じ取れることが出来た。

 そしてまた私は一つ成長したと思う。今までは自分の才能だけでやってきたが人に寄り添うような魔道具を作ることでもっと私は上に行けると。


「そうか、しかし不味い事になったな。魔物達が沢山集まるだなんて私も今すぐに支度をして行かねばならないな」


 そういうと彼は苦笑いしながら「行かなくてもいいと思いますよ」といった。


「しかし、大変なことが起きるのだろう?」


「それでもです。きっとどこかのお節介野郎がおぱぱーと問題解決するはずですよ」


「?」


 そんな会話をしながら私たちは部屋を出た。

 そして数日後、魔物が今度は中級や上級を複数現れたと報告が入ったので急いで国の騎士団や魔術団などが応援に向かったのだが彼らが街につく頃にはその大量の魔物達が全て倒されている状況だったらしい。

 そのことを新聞でよんだ私は彼に伝えると彼は「いった通りだったでしょ?」という返事が返った来たのだった。



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