4‐OYA、オベントクラブ
今年は雪解けが早かったけど風がまだ冷たい。悩んだ挙句、置いてきたマフラーにちょっと後悔する。
ただ、道端に顔を出したふきのとうの芽を見ると、春が来たんだなと実感が湧いてくる。そうして僕は自転車のペダルを一層強く踏む。前を向いて強く踏む。
里美「ねぇトモヤー、今日のおかずはなに?」
朋也「あのなぁ、まだ昼まで1時限あんぞ?」
里美「今日から朝練始まったからさぁ、この時間になるとお腹すくんだよ。」
朋也「朝飯くってねーの?」
里美「食べたけど?」
朋也「……、育ち盛りかっての。
叉焼のねぎマヨ、玉ねぎとカニカマの和風サラダ、卵焼き。
あとは御新香。」
里美「今日はザンギ無いのか。卵焼きの具は?」
朋也「ザンギ入れたらサトミお前、つまみ食いすんじゃん。当分は作る気ねぇ!
卵焼きの具は油揚げとチーズだ。」
里美「えー。
んじゃあ卵焼きでいいや。」
朋也「良くないよ! 人のカバンに手を伸ばすなっつーの。」
里美「味見だって。お昼のお弁当に思いを馳せるための。」
朋也「味見しないで思いを馳せなさい。」
里美「お腹なったらトモヤのせいだかんね。
いや、それはトモヤのお腹の音だかんね。」
朋也「どんななすりつけだよ。」
里美「いっただっきまーす!」
朋也「なぁサトミ。お前また昼飯、ちくわパンなん?」
里美「んー、そもそも竹輪って美味しくない?」
朋也「わかんねぇけど、竹輪ってさ、魚肉の練り物でしょ?
プラスでシーチキンって、どんだけ海の幸なの? って感じだよなぁ。」
里美「トモヤごちゃり過ぎ! 食べればわかるって!」
朋也「ちょ! おま!
食べかけを……、急に……、口に……、ねじ込むっ、モグモグ、
とか!」
里美「どうよ?」
朋也「……。
なんつうか、海感ねぇ。むしろなんつうか……、
いや、なんでもねぇ。」
里美「卵焼きなのに固った!」
朋也「ジューシーさをキープするために油揚げを入れたものの、チーズが多すぎて固くなったな。」
里美「いや、美味しいんだけどさ?」
朋也「ちょっとチーズ余ってたから多く入れたんだけど、うーん。
出来立てはチーズオムレツみたいで美味かったんだけどなぁ。
うーん、弁当には向かないな。チーズ多めは。」
里美「トモヤさー。
将来、いいお嫁さんになれると思うよ?」
朋也「兼業主婦でいいなら、その道を選びたい!
って、たまに思う自分が悲しい。」
里美「あー、うん。
貰い手がいなかったら、わたしが貰ってあげる。」
朋也「ふっ。
それをな、世の中では家政婦ロボって呼ぶんだぜ……。」
●ちくわパン
札幌の有名パン屋さんが発祥の御惣菜パン。
今となっては大手メーカーが商品化しているのもさることながら、某有名レシピサイトで「作ってみた!」になっているほどの人気ぶり。
最初は「え? どうせソーセージロールを竹輪に変えただけなんでしょ?」とか僕も思っていましたが、いやね、まじ美味いっす。