11‐FYL、居酒屋
手が冷える。すり合わせ、その掌をじっとを見つめる。深くなっていく皴の刻み。汚れが染み込み黒くなっていく掌。ふと俺はこの掌で何を掴んできたのだろうかと思う。そして何を手放してきたのだろうかと思う。
ゆっくりとその手を握りしめ、そしてゆっくりと開く。
掴んできたものの多さよりも、失ってきたものの多さを知る。
頬を寒風が通り過ぎる。それでも俺は前を向く。
智也「こんばんわ~」
父さん「……、おぅ、来たかトモヤ。
お前も……、なにか飲むか。」
智也「いやいや、飲まないよ、父さん。
でもせっかく来たし、なんか食べるかな。」
父さん「お湯割り、おかわり。」
智也「僕は、もつ煮とイカ刺し、それとライスで。」
父さん「晩飯は……、食ってないのか。」
智也「うん、うち帰ったら路子いなかったし、たぶんバイト先で食べてくるんじゃないかなぁ。
だから今晩はなにも作ってないよ。たまには休みます。」
父さん「……、その、なんだ。
もっと休んでも……、いいんじゃないか。」
智也「ん?
あぁ、料理は趣味でもあるからね。別に苦になってないよ。
あー、温けぇ。おしぼりで生き返るわぁ。あったけぇ〜」
父さん「お前は……あれだな。
もう少し欲というか、希望というか……だな」
智也「こういう小さな幸せの積み重ねが大事なんだって、父さん。」
父さん「お前は……また。」
父さん「お湯割り、おかわり。」
智也「ザンギ一つ(※一皿です)お願いします。」
父さん「路子は……、最近遅くないか。」
智也「そお?
シフトも遅番だとしても10時までだし、普通だとは思うよ。
やっと決まったバイトだし、長く続いてほしいけど?」
父さん「そうか……。
ちょっと心配でな。」
智也「う~ん、今日はあれだけど、帰り迎えに行ってやるかな。遅くなる日は。」
父さん「それも……、そうなんだが。」
智也「ん? あ~、ま~、女の子だからってのはわかるけどさ。
ま~、恋愛する年頃だとは思うけどねぇ。」
父さん「相手が……、いるのだろうか。」
智也「知らないよ、僕だって。」
父さん「お前は……、いるのか。」
智也「はいはい、いないって!
もう、父さん飲みすぎじゃね? これ飲んだら帰るよ~」
父さん「……。
お前が小さかった時な、路子が生まれるからって母さんが入院してな。
その1ヶ月ぐらい、父さんと二人っきりでな……」
智也「うんうん。うっすらとしか覚えてないけど、あれはあれで楽しかったよね?
すみませ~ん! おあいそ、お願いしま~す。」
●居酒屋メニュー
おしゃれな創作系居酒屋や、観光客向けな「北海道」を前面に出した居酒屋もいいのだが、個人経営で昔ながらの居酒屋も捨てがたい。初めて訪れても「実家に帰ってきた」気分になる笑
そんな居酒屋の定番メニューといえば、
箸休め:タコわさ、イカの塩辛
サラダ:ラーメンサラダ(北海道発祥です)
肉類:ザンギ、最近はジンギスカン唐揚げ
焼き魚:氷下魚など、そしてホッケ!
ホッケは一番お勧めです。たぶん道外の人は食べたらホッケの概念が変わります笑




