11‐OYA、石窯ピザ
空っ風が頬を掠めていく。私を切っていく。体温を奪っていく。
どうせならこの気持ちも奪っていってくれればいいのに。そんなこと思う。
隣を歩く君の横顔を少しだけ見つめる。私の気持ちに気が付かない君の横顔を、少しだけ見つめる。
ポケットの中に入れた手をそっと、握りしめる。
里美「うりゃーーー! うりゃーーー!!」
朋也「その調子だ! サトミ!
期待と絶望と、青春の息吹を吹き込むのだーーーっ!」
里美「絶望を入れる意味あんのーーー!」
朋也「無い! 勢い! 若さゆえの暴走っ!!」
里美「……。
ねぇ、そいでさ。いつ出来んの?」
朋也「ん~、
あと1時間後ぐらいかな?」
里美「長いなぁ。」
朋也「善は急げとは言うけどさ。
得てして世の中は急がば回れ、なんだって。」
里美「んっじゃさ、善は回れ、でよくない?」
朋也「意味が通らんし。」
里美「うっわ、でっか!」
朋也「いい感じだな。」
里美「んでどうすんの?」
朋也「あぁ、まずは叩いてガス抜き。」
里美「また叩くんだ……」
朋也「そこまで手間じゃないって。
もうすぐだから。」
里美「かれこれ2時間は経ってる気がしますが?」
朋也「ん~、あと1時間弱?
あとは生地こねて形作って、具材並べて焼くだけだよ。」
里美「全然すぐ感が無いなぁ。」
里美「どんな感じ?」
朋也「あとは焼きむらが無いように、もうちょっと焼くだけ。」
里美「あーあ、ここまで本格的にやるとはね。
ピザ食べたい、と言った結果がこれとはね。」
朋也「いやいや、絶対旨いよ?」
里美「旨くなかったら、その石窯壊すからね?
先月から庭に何作ってんのかなぁ、とか思ってたら石窯だったとは。
ピザが食べたいって言ったのは私だけど、ここまでやるとは思ってなかったし。」
朋也「いやほんと、ちょうど石窯の試運転したかったからタイムリーだよ。
まぁいいじゃん。
出来るまで待ってる時間とかさ。」
里美「……。
本当にそう思ってる?」
朋也「思ってるよ?
なんつうか、こうして待ってる間さ、サトミとコーヒー飲みながらポツポツと話してるの。
こういう時間ってさぁ、ある意味贅沢じゃん。」
里美「……、そっか。」
朋也「そろそろ焼けたかな?
ちょっと昼飯には遅くなったけど、絶対旨いよ!」
里見「むー。
小麦から作れるんだから、他にもうどんとかラーメンとか?
いやいいっ! 今の無しなしっ!」
朋也「麺類ね……、うん、麺類も良いな!
次はラーメン作るか。石窯で叉焼とか作れっかなぁ?」
里見「……。
ほらほら、さめる前に早く食べよ?」
●小麦
例によって北海道が国内生産一位。60%以上のシェア。なんですけど、国内消費量の80%は輸入によって賄われている。考えてみると小麦って、我々の食事は実に多く使われている。
「道内産小麦使用」をうたってるパン屋さんやラーメン屋さんをよく見かけます。
案外、お米は産地で選ぶけど、小麦ってあまり気にしてなかったなぁ。




