9‐OYA、オベントクラブ2
夜風が浴衣の端を揺らす。涼風が下駄の音を連れて抜けていく。
見上げた夕闇に祭りばやしが重なる。星が灯る。
何回目のお祭りだっけ? 子供のころから来てたこのお祭りは何回目だっけ? そんなことを考える。
君と来てから何回目だっけ? 私はそんなことを数える。
里美「いやー、なんと言いますか。
青空の下でのお昼は、開放的で素晴らしいですなぁ。」
朋也「あ、あぁ。
やっぱ9月に入って空が高くなった感はあるよな。」
里美「そんな素晴らしき開放感の中で食べるお昼ご飯は格別でしょうなぁ」
朋也「そお言いながらサトミが手に持ってるのはパン、一個というね。
それ何パン?」
里美「セコマの新商品! なんだっけ?
えーとねぇ、担々麺風ロールだって!」
朋也「相変わらずセコマは攻めるなぁ。心身ともに満たすセコマに敬意を表明したいよ。」
里美「でしょ?」
朋也「いや……、君に敬意を示しているわけではないのだけどね。」
里美「いただきまーす!」
朋也「本日は和食系で御座います。」
里美「ほうほぅ、ではお品書きを。」
朋也「書いちゃいなんだけどなぁ。まぁいいや。
右から順に、焼鯖の南蛮漬け、南瓜のそぼろ煮、シーチキンと玉ねぎの和風サラダ。
そして大根の山の幸漬けね。」
里美「これめっちゃ旨! なにこれ?
旨い! 旨いけどこれ和食?」
朋也「あー、焼鯖の南蛮漬けね。
んー、確かに南蛮漬けだから中華っぽいけど、作り方は和風じゃないかなぁ。
んま、和食系だよ、きっと。」
里美「手間暇かけておりますなぁ。」
朋也「漬けるだけだし、手間暇ってほどじゃないけどね。」
里美「こないだ借りたパーカー、こんど家に持ってくね。」
智也「ん? あー、そうな。
帰りはちょっと冷えたよな。」
里美「……、寒かったんじゃん。」
智也「寒くなかったし!
つか、浴衣はもう寒いだろ、夜は。」
里美「だってさぁ、今年ってか高校最後のお祭りじゃん。」
智也「高校最後つったって、祭りは来年もあるよ。」
里美「……乙女心をわかってないなぁ。」
智也「なんて?」
里美「何でもない!」
里美「ねぇ、この大根の漬物と一緒に入ってるつぶつぶ何?」
朋也「姫竹を刻んで混ぜただけだよ。
姫竹を漬けた時のやつ使い回ししたから、薬味的に入れてみた。」
里美「……。
なんか、お婆ちゃんっぽいよね。漬物とか、使いまわしとか。」
朋也「……。
最近、僕もそう思ってきたところだよ……」
●漬物
東北地方など、冬場に野菜類を取るための保存食として「漬物」の歴史は深い。北海道開拓期には多くの東北地方から移植された方々がいたわけだが、漬物文化も継承され独特の変化を遂げたものもある。
有名なところでは「松前漬け」「ニシン漬け」など。最近はキムチも盛んになってきている気がする。変わり種では「夕張メロン漬け」などがあります。(食べたことないけど)
昔は各ご家庭でも漬物を漬けていて、ベランダに大根が大量に干されているのをよく見かけたのですが、最近は見なくなったなぁ。秋の風物詩だったんですけどねぇ。




