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2-22 唐揚げかステーキか、それが問題だ

 さて、ここで重大な問題があるのだ。


「なあ、シンディ。

 まず、お前が獲って来た普通のワギュホーンの味見といかないか?」


「えー、お前は大きいの獲ったじゃないかあ。

 これは、あたしが大事に食べるんだい」


「いいから、いいから。

 俺のも分けてやるからさ。


 格上の大きい奴の方がきっと美味しいぞ。

 そうすれば、お前の方がお得だろ」


「うん!」

 現金なやっちゃな。


 そして、ダルクスさんのところの解体人に解体をお願いした。


 そしてまず、お楽しみの唐揚げからだ。

 さっそく唐揚げ屋台で仕上げてみたのだが。


「うわー、これ楽しみにしていたんだー」

「いただきまーす」


「うむ」

 シンディにいたっては、一言も発せずに食っていた。しかし。


「ん?」

「あれ」

「むぐう」

「そんなあ~」


 やっぱりか。唐揚げって、あまり和牛向けの食い方じゃないからな。

 まずくはないんだが、やっぱり油の乗ったステーキとかでないとなあ。


「というわけで、ステーキを所望する」


「はは、なるほどなあ。

 じゃあ、任せておくれ」


「どうせなら食べ比べといこうぜ。

 俺も腿肉などはさっき切り取っておいたから、小さいのから順繰りに焼いてもらおうよ。


 ここは一つ、肉の味を優先という事で味付けは塩コショウのみ、焼き方はもちろんレアで」


 シンディ達が倒した四天王なども解体してもらって食べたが、やはりボスが肉の味も濃厚で実に美味い。


 諦めきれないシンディに頼まれて唐揚げにしてみたが、やはり同じようなものだったので、ついに奴も白旗を上げた。


 そしてまず、最初に沸いた大きな奴。


「うっひょおー。

 今までの奴も美味かったけどさあ、こいつはまた格別じゃないの」


「うむ、最高の肉質だな。

 この肉汁の豊富な事」


「極上。それ以上の誉め言葉は必要ありませんわね」


 そして何も言わずに涙を流しまくって、無言で食いまくっているシンディ。


「そして、こっちの奴だな」


 そして『真四天王』のステーキときた日には。

 皆一口食べただけで我慢できずに踊りだしていた。


「万歳、ワギュホーン、万歳~」

「ユグドラシル、第五層に栄光あれ」


「メガロホーン・ステーキ最高~」

「肉・肉・肉・にく~」


 女達の肉肉参加はその後も続いたのであった。


 そして困った事に、ここではあのでかぶつが解体できなかった。

 仕方がないので王都へもっていって解体するしかないな。


「えー、お肉持っていっちゃうの~」


「だって解体できないだろうが。

 ついでによく熟成させて持ってこよう」


「約束だよー」

「はは、もし持ってこれなかったら、もう一度ロイに挑発させて」


「「「それだけはやめろ!」」」

「あたしはそれでもいいかなあ」


「シンディ~」


「冗談だよ。

 じゃあ待っているからね、スサノオ」


「おう」


 いや、ついでにこっちに向かってくる軍勢を止められたらなとか思ったのだが。

 俺は肉娘とロイ達に見送られて、第五層からダイビングした。


 いやアレンの奴が楽しそうだったからな。

 ちょっとやってみたかったのよ。


 俺は優雅に飛び降りたが、案外と落下速度が速くて慌てて、まるで水面下にある白鳥のように足をみっともなくバタバタさせて落下速度を落とした。


 白鳥と違って下から丸見えだから、みっともない事この上ない。


 それからもう二回ダイビングを繰り返して、二階についたので後は優雅にエレベーターで降りてきた。


 それからお土産屋さんを冷やかしていきたい誘惑をぐっと我慢して、王都まで一目散に駆けた。


 本気で駆けていたら、あっという間に王都に着くのであるが、途中で物々しい進軍に遭ってしまった。


「う、こいつらって、もしかして」


「さあ、者ども急げ、ダンジョンにメガロが湧いたそうだ。

 断じて、塔から出すな!」


「「おー!」」


 やっぱりそうだったのか。

 しかし、あれとやるつもりだったとは見上げた根性だ。


 まともにやりあったら人間なんて、まず生きて帰れないよな。


 とりあえず声をかけてみる。

「やあ、みんなごくろうさん」


 だが、皆真剣な表情で無視して通り過ぎて行こうとする。

 当り前か。仕方がないな。


 俺は前に回り込んで、例のでかぶつの首を五つ並べてやった。


「うおう、こいつは!」

「とまれ、とまれー!」

「メガロが出たぞ~」


 もう首だけだがな。

 そして責任者が前に出てきたので言ってやった。


「よお。もうメガロは退治されてステーキになるのを待つだけさ。

 味見してく?」


 まあ、実際には一切れだってやるつもりはないのだが、そこはほら社交辞令という奴でさ。


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