悪者扱いされたくない動物たちの主張
■オオカミの主張
男はオオカミなのよとか、オオカミ少年だとか、オオカミと子ヤギだとか、何かと悪者にされて困る。
腹に石を詰められたり、熱湯の鍋に落ちたり、猟銃で撃たれたり、ろくな扱いを受けていない。
我々オオカミが人間に攻撃するのは、縄張りや仲間を護るためであり、ある日、勝手にテリトリーに入り、神聖な森を荒らす人間の方が自己中心的であると言いたい。
恋愛に関しても、生涯パートナーを変えることが無いほど一途であるからして、浮気性で軟派な男に例えるのは不適切である。
■キツネの主張
女に化けて誑かすとか、魚や鶏を盗むとか、何かと嘘吐きで狡賢いイメージが定着してるのが気に入らないね。
天気雨のことをキツネの嫁入りと言うのも、おかしな例えだよ。
生ってる葡萄に手が届かなくて去り際に負け惜しみを言ってるところを見てたのなら、手を貸してくれても良さそうなものじゃないか。
そのうち、似たような境遇のタヌキと一緒に、署名を集めようかな。
■ネコの主張
猫の手も借りたい、猫の額、ネコババ、泥棒猫。何だか、猫のことを無能で手癖の悪い奴だと思ってないかい?
もちろん、猫が人助けをしたり、恩返しをしたりする話も、無いことはない。
だけど、大抵は、主役たちを邪魔立てしたり唆したりする悪役があてがわれてる気がして、いつも胸がモヤモヤするんだよ。
猫に鼠を虐めるなと言う人間の方こそ、食えもしない同じ人間を嬲ったり殺したりしてるじゃないか。そっちの方が、ずっといけないと思うなぁ。




