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ユキナDiary-  作者: PM8:00
98/150

二十五月日 虚名持来襲

すみませ〜ん、訳あって一週間遅れてしまいました。

続きは後書きで書きますのでどうか物語を先にどうぞ!

 





 ブンッ ブンッ――――ブン!! バシィイイイイイイインッ!!!




「負けてられない…………俺だけなんて絶対に……!」


 一人、F・Gの三階の戦闘訓練施設にて拳で空を切る音を立て、額から滲み出る汗を滑り止めが施されたコートに滴らせている人物一人。

 その人物はシバ。

 今は上半身裸で汗を纏いながら空中に二歩進みながらの気合いを込めた拳撃、蹴り上げ二回、そして次には姿勢を低くし、頭を凭れながら腰に差していた鍔のない太刀をスッと音もなく逆手で抜刀し、前へいきなり踏み込み、見えない相手への舞うような回転斬りを目にもとまらない速さで繰り出して、一気に駆け抜けていく。

 そしてフェンスの向こうから二人、その様子を懸命に見守っている。


「シバ先生、精が出てるもんよ」

「そだね、きっと自分に勝とうとしているんだよ」


 フェンス越しから見ているギバリにリルは言うと『何で?』と返事が返ってきたのでリルは顔を向ける。

 そしてシバが腰に太刀を差し直し、誰もいないところに一礼をし終えるとリルは答えた。


「たぶん、みんなと一緒に戦うためだよ」



 






 七つ橋高校一時十分。昼休み終了まで10分。


「で? 話って何だよ木村〜!?」


 弁当を食べ終え、後は暖かい教室で寝るだけ。

 だったはずが今こうして護熾は木村に一階の下駄箱まで呼び出されて正直風に震えながら早く済ませてくれ〜 と訴えるが呼び出した本人はどこか真面目そうな面持ちで護熾の顔を見つめていた。

 

「なあ海洞、お前に聞きたいことがあってさ」

「何だ? 木ノ宮か? あいつが好きなのあんパンだぞ!?」

「いや確かに木ノ宮さん関係だけど! そうじゃなくて……」


 語尾を落としながら視線を落とす木村の握られた拳は微かに震えていた。

 それを察した護熾は何だかいつもと様子が違うな と思いながら震える体を抑えながら次の言葉を待つ。


「あのさ、お前が休んでから初めて登校した学校の日にさ、木ノ宮さんはお前が居て嬉しそうだったんだよ……」


 バルムディアの隊長達に攫われたあの数日間、確かにユキナは瀕死になるほどまで第二解放状態で自分を連れ戻しに来るくらいなのだからまたいつも通りの生活に戻れて嬉しかったんだろうな、それは護熾にも分かっている。

 木村ってよく見てる奴だな、そんなことを思いながら木村の声に耳を傾けるが何か別の、不安を抱えているような口調のままだったので片眉を上げて聞いていると


「でもあの日の帰り道、木ノ宮さんと一緒に帰ったんだけど木ノ宮さん、急に泣き出したんだよ。それで俺に抱きついてただただ泣いていた。…………なぁ? お前、何かあったのか?」

「………………!」


 あいつが泣いた? 木村から告げられたあの日の出来事に護熾はただ黙りこむ。

 何故泣いたかは知らないがとにかくユキナの泣き顔なんて生き返った直後以来、見ていないのでよほどのことがあったのだろうか? ならば家に戻ったら聞いてみよう そう考え、


「いや、特に何もないけどあいつが泣いたのは初めて知った。」

「…………そっか、何にもないか」


 泣いた原因さえ掴めればもしかしたら励ますことができたかも知れない。

 しかし護熾の様子と本当に初めて知ったような顔からこれ以上の追求は無意味と考えた木村は肩を落として溜息を付き、瞼を閉じる。


「木村、もう聞くことねえんなら戻るぞ」

「……そうだな、悪い悪い」 


 用が済めばここにいる必要はない。

 木村は両手を合わせて無理矢理付き合ってくれた護熾に感謝と謝罪の言葉を添えてまたいつも通りの表情で教室に戻ろうとする護熾の横に並ぶ。

 少し歩いて、廊下の曲がり角にある階段を上り、半分ほど駆け上がったところで手すりに掴まりながら護熾は


「お前ってさ〜」

「何だ? 海洞」

「ホント木ノ宮のこと好きだよな〜〜」

「いやいや〜〜それほどでも〜」


 ――……もしかしたら、な……――


 きっと大丈夫かも知れない、そんなことを頭に浮かべ、教室へと寒い体を運んでいく。


 





 五時間目、丁度この時間は護熾達のクラスの担任の授業で教科は数学。

 正直寒くて弁当を食べ終えている昼休みを過ごした直後の時間は暖房の効果もあって大いなる眠気を誘ってくる。

 その大いなる眠気に誘われた一人の少女は瞼が落ちてくるのに何度も抵抗したが

 

 うぅ〜〜正直きつい、でも頑張らなきゃ、でも私は数学得意で今日のは簡単だな〜、…………眠い…………

 

 とうとう負けてしまい、ポロッとシャーペンが落ち、机の上に小さく跳ねる音がし、視界がぼやける。

 そしてそのままウトウトと頭を凭れ始め、心地の良いインドリームが果たされ始める――――

 



『オーーーイ! 斉藤ーーー!!』

『海洞くん!』


 今の夢の舞台は人がまずまず通っている町中。

 もうすぐ日が暮れるか暮れないかくらいの微妙な太陽の位置で照らしてきている。

 そんな中、待ち合わせの店の前で自分に元気よく手を振っている眉間にシワを寄せた顔で笑っている少年一人。

 今の季節に合った暖かそうな服装でマフラーを首に巻き、よく似合っている。

 そこへ掛け寄ると少し照れながらも、自分に手を差し伸べてきたので思わずこちらも赤くなってしまうが、おどおどしながらもその手を握ると少年は自分の手を引いて町中を歩き出した。


『ここってすげー良質の肉売っててさ! しかも安いからお買い得なんだけど少し家から遠いんだよな〜』


 前を通り抜けている大きなビル状の食品店に指を指しながら普通の高校生が話さないようなことを嬉しそうに喋りながら自分の顔を見て、歩く。

 手袋越しから伝わるその温もりは恋心に似た何かとそっくりで、温かみが伝わってくるごとに自分の心臓の音が高まっていく。

 すごくいい日だな……そんな幸せを実感しながらもその少年は普段と変わらず、デートに来たのに早速買い物を始めているのだからもう少し高校生らしくして欲しいな〜という複雑な感情を込めた笑みを思わず浮かべてしまうのであった。


 


 少し時間が経ったのか、太陽が夕陽に切り替わり始めている。

 今二人がいる場所はちょっと人気のない町全体を眺める高台にある公園。

 少しだけ緑を残している芝生の生えた坂に設置されている木の柵に両腕を乗せながら、少し行儀が悪くさっき買ったクレープを食べている。

 少年の方はすでに食べ終え、自分が食べ終えるのを待つついでに夕陽に照らされている町を感嘆の声を漏らしながら眺めている。


『ご、ごめんね。私食べるの遅くて…………』


 待たせてしまったことを詫びながら千鶴は少年の隣に並び、顔を見合わせると少年は何かおかしなものを見たようにクスッと笑い、『どうしたの?』と不思議顔で辺りを見渡すと


『違う違う、斉藤の顔にクリームが残ってるんだよ』


 そう言いながら少年は人ハンカチを持った手を自分の頬に近づけ、優しく拭き取るとそのハンカチに確かに白いクリームが少しついており、少年はそれを拭き取って丸め込むとさっさとポッケに仕舞い込む、そして千鶴の顔は一気に赤くなる。


『…………? どうした斉藤?』

『いや、あの、ね?』


 まさかそんな行動に出るとは…… 意外な仕草に驚かされた千鶴は顔が赤くなっていないかどうか不安になってしゃがみ込んで両頬に手を添えてブンブンと首を振って恥ずかしがるがふと、止めて後ろに振り返ると少年は遠い目をしながら再び柵に両腕をかけて町景を眺めていた。

 その表情はどこか寂しそうで、何かを思い出させる悲しい目。


『海洞くん…………』


 腰を落とすのを止め、立ち上がった千鶴は静かに横に並び始める。

 すると少年は視線を町に向けたまま、何か諦めたような口調でポツリと言った。


『この町の風景も……もうすぐ見られなくなるんだな……』


 何が言いたいのかはすぐには分からなかったが、この少年の言っていることはあながち間違いではない。

 半年後にはこの世から消えてしまうあまりにも悲運な運命を辿りながら、自分に向かって悩みを打ち明けるような口調でそう話したのだ。

 少年はハッとなってつい自分が話したことの内容を確認すると何だか少し申し訳なさそうな苦笑いで暗い雰囲気を作ってしまったのを吹き飛ばすように


『でも安心してくれ! この町は奴らには絶対に渡さない。誰も死なせやしない!』


 自分に、相手に、誓うように言う少年。

 千鶴は静かにニコッと微笑みながら軽く頷くと少年も相づちを打ってくれる。

 


 ―――ずるいよね……二人より先にデートするなんて―――


 千鶴〜〜起きなさ〜い


 ―――でも嬉しいな……今度クッキーでも焼いてあげようかな―――?


 斉藤さん〜、起きて〜〜


 ―――ん? 声がしたような―――?





「ち づ る〜〜〜〜〜! 自分が何やってるか確認しなさ〜い!」


 ふいに近藤の声が耳に届き、うっすらと目を開けるとにやにやしながら自分を覗き込んでいる近藤が視界に映り、自分が何か温かい物体凭りかかっていることに気が付いてムニャムニャと眠い目を擦りながらその物体に目を向けると――――顔を赤くしながら自分の枕代わりになっていてくれている護熾がどうしようと困り切った顔で固まっていた。


「え、うあ?……ってわわ!! ごめん海洞くん!!」

「お、おぅ…………」


 おそらく机に頭が落ちず、何かの拍子に隣の席にいる護熾に頭が丁度肩に凭りかかり、定位置に来てしまったのであろう。

 時計を見ると時間にして五分、自分が寝ていたのだと分かった。

 しかし担任を含むクラス全員が囃し立てたり笑ったりしたのでそれどころではなくなる。

 護熾と千鶴は何だか照れ互いに顔を赤くしながらイスを引き直して授業にさっきの出来事はなかったことにするように集中を開始する。


 …………あれは夢だったのか〜〜〜


 せっかくのデートが夢では意味がない。振り返ってみれば結構ベタだったな〜と感想を頭の中で浮かべる。 

 それとあとで勇子から何かと言われるだろうな〜と思い、机の上に落ちたシャーペンを拾い上げようとしたときだった。


 ピリッ


 何か静電気のようなものが頭の中を一瞬で走り去る。


「……! 何?」

「! これって……!」

「!!」


 ユキナも瞬時に感じ取り、護熾は後ろの方にいるイアルに顔を向けると既にポッケから端末機を取り出して開いており、驚愕の表情で覗き込んでいる。



怪物やつか………!!」


 護熾は振り返り、天井を険しい顔で睨みながら呟く。

 しかも金曜の深夜に現れた“奴”の気。第二解放でも追いつめてきたあの奴の気。

 そして相手は一体ではないことは朧気ながらも感じ取れる。


「怪物反応あり……! 相手は四体………もうここにいる!?」


 イアルは驚愕の表情で辺りを見渡したり窓の外を見たりするが姿がまったく見えない。

 護熾もユキナもまるで三百六十度敵に囲まれたような視線でゆっくりと顔を動かすが気で相手を探るには限界があった。

 『どうしたのあんた?』『なんかあったのか海洞?』 『木ノ宮さん、どうかしたの?』 『木ノ宮、どうした?』 護熾に近藤と沢木が、ユキナには木村と宮崎がそれぞれ声を掛けるが、友人の声など一々聞いていられないそんな最中―――。

 校舎が細かく揺れる。

 つづいて大きな震動。そして一気に窓ガラスが砕けていく音。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!


 パーーン!!! パン!! パリン!!!!


 だが地震にしては方向が一定でどちらかというと何か大きな物体が近くに落ちたというのが今の状況には当てはまっていた。

 しかしこの非日常やこの前起きた消失事件の前振りだと考えた生徒達は恐怖で悲鳴を上げ、すぐさま机の下に隠れたりと防衛行動を取る。


「な、何!? また地震!?」

「お……おいあれ見てみろよ―――」


 一人の生徒が茫然とした表情で窓の外に指を指す。

 それに釣られて他の生徒達もその方向へ視線をやるとそこには―――。

 そこにはグランドがある。あの、体育祭に使われたグランド。

 野球部が主に使い、離れたところにある互いに大きく離れて向き合ったゴールとサッカーコートのある地面が均されたグランドに白煙が悠々と立ち上っていた。

 そして揺れがまだ細かく続き、ガラスの破片を被っているものも立ち上がって見る頃にはそんな場所に地面はなかった。

 あったのは、囓り取られたように抉られた大きな穴。まるで爆弾でも落ちたあとかのような大きな深淵。


「…………ちっ、あいつらか!」

「護熾!! 行くよ!!」


 生徒達が信じられないものを見て、放心状態の中、護熾とユキナは担任の目を盗んで一気に教室から飛び出し、廊下を駆け抜け始める。

 通り過ぎる教室では幸い窓ガラスが割れていないところもあったが全員呆けた顔でグランドに視線をずっと向けていた。

 やがてその人達の居ない生きていない空間へと移動した二人はそのまま上へと向かい始める。


「…………! ちょっと海洞! 木ノ宮さん! どこへ行く気だね――――?」


 抜け出たことに少し遅れて気が付いた担任は我に返って呼び止めようとしたがその前に自分の前を疾走する影が二つ見え、速かったので一瞬呆気に取られて通行を許可してしまうがすぐに正体が分かると教室の引き戸から身を乗り出して走っている背中を身ながら二人の名前を叫ぶ。


「斉藤さん!! 黒崎さんまでどこへ行くんだ!?」

「ちょっと千鶴!! それに黒崎さん!!」


 担任が呼んでいる中、近藤も咄嗟に気が付いて呼び止めようとするが二人は止まらず、そのまま姿を消していってしまった。

 何か、遠くへ行くような雰囲気に近藤はポツリと言った。


「何なのよ……あいつもユキちゃんまでどっか行って……」







「ちょっと斉藤さん!? あなたまで来るなんて!」

「分かってる! だけどあの二人が!!」


 廊下を走り、二人は追跡を開始している。

 イアルは教室に戻るように言うが、千鶴は首を激しく振って強く否定する。


「あなた……分かっているの!? 危険なのよ!? 現に気の高いあなたなんて格好の獲物よ!?」

「それを承知で今来ているの! じっとなんかしてられない!」


 例え、二人の所へ行ったとしても自分は何の役にも立たないことはどんなに頭で否定しても受け負えざる得ない事実。

 しかしそれでも、真実を知っているならば二人の本来の姿を見ておかなくてはならない。

 何よりも、またあの少年が自らを犠牲にして戦いに趣いたのだ。その時に誰かがそばにいなくてはならない。そんな気がするのだ。


「…………分かった……だからお願い、絶対に私から離れないでね。」

「うん、分かった」


 ようやく認めたイアルはそっと微笑みで返し、それからポケットに大切に仕舞い込んだある物を取り出す。

 それはこの前トーマに渡された四角くて、でも通信端末とはどこか雰囲気の違う機械を取り出すとそれを耳に当て、空いている方の手で千鶴の手を掴んで風のように走り去る。










「護熾……! 気をつけて! 敵が近くにいる」

「あぁ分かってら、油断するなよ?」


 二人は結界に入ってから数歩で開眼状態へ切り替わり、護熾の増強された超感覚と索敵能力で敵の位置を掴もうとしていたがいまいち掴みキレて折らず、ユキナにできるだけ最大限に注意を払っておくように言う。

 ユキナは腰に差している紅碧鎖状之太刀の鯉口を親指で切りながらいつでも抜刀が可能なようにしておく。

 

「敵は何なの?」

「たぶん、“あいつ”が来ている」


「あいつじゃ無いわよぉ〜 後輩の ゼ ロ ア スよ」

「「!!!」」


 第三者の声がすぐ二人の間から聞こえ、驚愕の表情でユキナは左に 護熾は右に顔を向けるとふわふわと二人の走る速度に合わせながら低空飛行をしている黒のショートカット、両眼から延びる線が特徴的な茜色のコートを羽織った女性らしき人物がクスクスと笑いながら驚愕の表情を自分に向けている二人の顔を見ていた。



「なっ! 何だてめぇ!?」

「護熾!!」


 ここは結界の中だから通常の人間は立ち寄れない、それに飛行をしているなど以ての外。

 それを瞬時に判断し、護熾は拳を、ユキナは神速の抜刀をし、二人同時に間にいる人物へ総攻撃を仕掛けるが


「バカねぇ〜 あたし一人だと思ったのぉ〜?」


 女性のその言葉が言い終わる前に、二人の背後に一瞬にして別の人影が現れ、コートを一瞬だけ靡かせたと思ったらユキナは教室側に何者かに殴り飛ばされる。

 護熾は何者かに蹴り飛ばされて反対の別校舎が見える窓を突き破って落下してしまう。



 護熾は何が起こったかを理解しようと懸命に自分が落ちてきた方向を睨み上げると追撃に来たのか先程の攻撃した張本人達が同じルートで飛び降りてきて重力に身を任せて落下してきていたので


「何だあいつら……! ここじゃ分が悪い」


 周りの状況からここでは障害になる建物が希薄なため一度態勢を立て直すために地面と激突するまえに思いっきり落ちてきた校舎の壁を蹴って進行方向を変え、結界内のレプリカの建物に突っこみ、激突の祭にできた白煙でとりあえずは姿を眩まして身を隠し始める。

 そしてその白煙の前に三人、急停止して姿を消した護熾の行方を首を振って探すと、すぐに分かったのか、ほぼ同時に白煙の中に体を投じ込んでいった。






 

 一方、ユキナが殴り飛ばされた教室内では黒板が斜めに砕け、机やイスを巻き込んで床に崩れ落ちており、『うぅっ』と呻きながらも自分に追撃を仕掛けてこないことからおそらく護熾に攻撃の矛先が向いているのだと考え、ならば敵の狙いはツバサとアスタから教えて貰ったあれしかない。


「やばい、急がなきゃ、うりゃぁ!!」


 ユキナは体の上に載っていた机やイスを弾き飛ばしながら立ち上がるとそばに落ちていた刀を拾い上げ、急いで助勢に向かおうとした時だった。


「よぉ、お前が二人目の第二解放者か?」

「!!」


 気配などさっきまで無音室にいたかのように無かったはずなのに急にその存在が濃くなって反射的に防御の構えを取って窓側の方に振り向くとそこには顔に半分入れ墨をいれた不良風の若い男が縁に座って片膝を立てて座っており、ユキナが自分の存在に気が付いたのを察するとその場から飛び降り、床に降り立ってから首をゴキゴキと鳴らしてにたぁと不気味な笑みを浮かべて対峙をする。


「あの眼の使い手なら他の奴が相手をしているぜ。たくっ、先輩だからって俺より弱いくせに粋がりやがって」

「…………ってことはあなたが私の足止め役?」

「そうだよ、察しが良いじゃねぇか。 ま、あの眼の使い手よりは弱そうだけどな」


 ゼロアスはそう言い、自らが相手をしなくてはいけない敵を視界に入れながらいつでも掛かれるように様子を窺いながら攻撃の態勢に入る。

 だがここでユキナはゼロアスの言葉が引っ掛かり、それについて問いかける。


「あの眼の使い手? まさか翠色をしている人とか?」

「んぁ? 何当たり前のこと言ってたんだよ? てめぇをさっさと片づけて俺に傷を付けたあいつの骨を折りに行くんだから――――」


 ヘラヘラと笑いながら喋っていたゼロアスの口が止まり、少しへの字に曲げてつまらなさそうに自分の喉元に向いているものを目だけを動かして見る。

 刀の切っ先、さっきまで距離があったのに一瞬にして間合いが詰まれており、ユキナが鬼のような表情で柄を握りしめ、今にも喉を貫かん勢いと気迫でゼロアスを睨み付けていた。


「あなたが護熾を傷つけた【虚名持ラバンダス】ね。 私がお前を倒す……!」

「! へぇー 俺たちのことをどうやら知っているみたいだな? じゃあ―――」


 それが戦いの合図だった。

 ユキナはまず相手のその意外な行動に驚かされる。

 その意外な行動とは自身に向けられていた切っ先をいきなり素手で掴むと一気に引き寄せ、小柄な体も柄を離す間もなく持って行かれて強烈な頭突きが額に襲いかかる。


「くっ…………!」

「ほらほらどうした!? さっさと本気を――――!」


 額を赤くし、痛みに唸るユキナの制服の襟を掴むと体の方向を窓の外へ向け、体を反らして掴んでいる腕を振りかぶり、足を少し上げる態勢にはいると


「見せやがれ!!!」


 ビュンと空気を切る音を立てながら思いっきり窓に叩きつけるように投げ飛ばし、小さな体が窓ガラスにぶつかるといとも簡単に突き抜け、日の光がキラキラと破片を照らし、教室内に外の空気を入れ始める。

 

 ユキナはガラスが散っている世界が嫌にゆっくりと見え、同時にこちらに向かってガラスの破片をはね除け、突っ切ってきたゼロアスに迎え撃とう刀を握りしめ、顔の前で横にするとボウッと光り始め、ゼロアスが接触してくる瞬間――。


「疾火!!!」

 

 灼熱の炎が刀身から生まれ出て、自らを放った主の敵を焼き払うために吠え声に似た軋みを立てながらゼロアスに突っこみ、大きな爆発音を響かせるとその辺一帯の窓ガラスが風圧によって一気に砕け、内側へと散りばめさせていく。

 だがこんな程度の攻撃でくたばる相手、もしくはまったくの無傷でいることはユキナは確信している。こんなので傷が付くような相手なら護熾と相討つわけがないからだ。


「………いいぜ……動きはあいつよりいいな……」


 煙の中からそんな声がし、ユキナは再び身構える。

 煙が静かに晴れ、中からはこちらを仰いでいるゼロアスが不敵な笑みを浮かべて腕で防いだのだろうか、太陽光を防ぐかのように顔の前に横にして置かれている腕からは疾火の直撃で煙が小さく上がっており、ゼロアスは腕をブンッと煙を掴むように振って取り払うと無傷の姿を見せつける。


「面白い、面白いぜ眼の使い手!! さぁ! 今度は何を見せてくれるんだ!?」


 …………ここじゃ狭い、場所を変えなきゃ………


 今いる場所は校舎と別の棟を挟んだ空間。

 速さが武器のユキナにとっては真価を発揮するには少々不都合なため、護熾と合流するのを兼ねて宙を蹴ると一気に方向転換。そして距離を離すとそれを見たゼロアスも楽しそうな顔で追いかけてくる。

 ユキナは相手の様子を窺いながら、護熾の飛ばされた方向へと向かい始める。






「第一級緊急連絡通達!! 場所は現世のポイント9の140° 36°地点にてパラアン、及びガーディアンの任務を務めているイアルからの緊急連絡です!!」

「よし!!回線を繋げろ!!」


 緊迫した空気と遽しい空気がワイト中央の開発局を包み、研究員の連絡でトーマはすぐに命令してそれに応じ、モニターにマットリックス状に分割された現世の日本。

 日本は緑色の線状に正確に映し込まれており、他の国も同じような図形になっている。


「ストラス! 捕捉と解析を急ぐぞ!」

「ラジャッス!」


 トーマとストラスはイスに急いで座り、座ると同時にキーボードに手を掛ける。

 二人が繋がって聞こえるほどの速さでキーボードにタイピングし、モニターに十字線が関東地方当たりに出現し、地図が縮小されて細かい地形が映し出され始める。

 そしてどんどん急速に縮小され、そして―――七つ橋町が映し出される。

 

「生体エネルギー反応上限突破! 濃度、安定性、それに体の大きさに反比例……………先輩! この反応は……!」

「………深紅反応、虚名持ラバンダスがとうとう…………それに四体だと?」


 モニターには確かに深紅色の球体が四つ、それぞれ点滅しており、その内三つは固まって動いている。もう一体の方は何かを追いかけるように激しく、かつ速くジグザグに動き回っている。

 その場にいる研究員はそのモニターに映し出された結果を見つめ、何かに怯えたような表情でその場を立ち尽くし始める。

 虚名持の出現が何を意味するかを知っているのだ。


「…………ストラス、このことを今すぐ全世界に知らせろ…………!」

「え、あ、ハイッス!」


 トーマにそう言われたストラスは回線を切り換え、全世界に情報を発する準備に取りかかり始める。

 またトーマも回線を切り換え、この状況を打開することができる唯一の人物達とのコンタクトを取り始める。


「聞こえるか!? イアルに持たせておいた【第一級緊急連絡】が入った! すぐに向かってくれ!」

 







「どうした!? どうしたどうしたどうしたどうしたァ!!?」


 ゼロアスは校舎の壁をまるで何もそこにないかのように突っこみ、瓦礫とコンクリートの破片を砕き進み、誰もいない無人の廊下を駆け抜けていくユキナを追う。

 ユキナはサイドステップで窓から飛び出し、飛び出す瞬間に刀を壁に差して方向転換、そのまま足に気を集中させ地面に対して垂直に壁に張り付くとそのまま逃走を続行する。

 ゼロアスはそれでも尚、追撃を続けて走りながら掌をユキナに向けると途端、紅い光が凝縮され、そのまま小さな反動と共に真っ直ぐ放たれていく。

 だが当たる直前、ユキナはフッと残像を残してそのまま消え、命中しなかった線はそのまま別の校舎を貫いて、轟音が悲鳴の役割をして一気に崩壊していった。




「…………そこか……!」


 首を振って探った後、位置を読み取ったゼロアスはユキナと同様にフッとその場から姿を消すと別の校舎の上に出現し、トンと澄んだ青空の下の宙の足場に体を落ち着かせると顔を上げ、前方を見据える。

 距離にして10メートル先、逃げるのを止めたユキナが凛とした落ち着きのある顔でゼロアスを見つめ、少しだけ身構える。


「どうした? 鬼ごっこはお終いか?」

「えぇ、ここなら護熾から私が見えるし、ここなら上手く戦える」

「あの眼の使い手の応援に行かなくて良いのか? ま、俺がそうはさせないけどな」

「私は護熾を信じてる! 覚悟なさい!!」


 言い終えるのと同時に無いはずの風が一気にユキナに集まっていく。

 それは次第に透明な衣となって、やがて色づき始めるとユキナの上半身から蒼い火花が線香花火のように弾け始める。

 そして衣はやがてギザギザとトゲトゲした特徴ある緋色のコートへと変わると次にユキナは片手で持っている刀の切っ先をゼロアスに向け、左手を右手に添え始める。

 そして刀身が二つに音もなく分かれ始めると


「行くよ――――双極舞!」

「…………そいつか」


 右手に赤い刀、左手に青い刀がそれぞれ納まると同時に背中から放電現象と共に手にしている刀と同じ色の鳥の翼をイメージしたような羽を纏わせた双翼が展開され、羽の一つ一つから火の粉のような生体エネルギーが放出され始める。

「…………はっ! あの眼の使い手と同じくてめぇもコロコロ姿を変えるな? 面白そうじゃねえ――――」


 最中、ユキナの姿が視界から消える。


「!! なっ! しまっ―――」


 咄嗟にゼロアスは防御反応で腕を顔の前にクロスさせ、攻撃に備えると突然、

 ガガッガガガガガッ!!!!! 

 と硬い皮膚と金属が擦れ合い、軋み音を立てて体が後ろに運ばれ始める。

 ゼロアスは奥歯を噛みしめた表情で自分が腕で受け止めているのは何か、何が起こっているのかを見ようと少しだけ顔を覗き込ませるとそこには――。

 刀を両方同時に腕に斬撃で攻撃し、推進力を利用しての突進で攻めているユキナの姿がそこにあり、翼を羽ばたかせながらやがて体を纏う火花のような気の数が急激に増えていく。

 そして二本の刀がそれぞれ紅色の、碧色のオーラに包まれ始めると


「何、なんなんだ…………!」

「疾火!」

 

 二人を包んでいる空間が青と赤の色に支配され始め、ゼロ距離からの二撃疾火がゼロアスを捉えるとその攻撃から回避、又は防御に回る前に完璧に直撃して学校上空の空気を震え上がらせる。









「どこへ行ったんだい? 隠れても無駄だよ?」

「出てきなさいよぉ〜? 殺しはしないからさァ〜」


 半壊して土煙を上げている校舎で白コートの若い男と茜コートの女性が歩きながら気を探り、消息を絶っている護熾を探し当てようと今模索していた。

 時折校舎の瓦礫が崩れ落ち、その音に反応するたびにバッと掌を向けたりするが、気配でいないと断定すると次の場所に移り始める。


「退屈ぅ〜、何でたかが確認するためにあたしたちが召喚されるわけぇ〜?」

「ふむ、確かに僕たちはあまり索敵能力が備わっていないからね、でも」


 白いコートの男はそう言い、手を顔の横に持ち上げて耳を澄ませ、瞼を閉じると


「そろそろ見つかる頃だと思うけどね」











「はァ、たくっ、まさか三人で来ていたのか……! しかもゼロアスと同じタイプだから厄介だぜ」


 崩壊した校舎から二つ隣の校舎の影で壁に凭れ掛かりながら少しばかり息切れをしている護熾はどうやったらこの状況を転換できるかを考えていた。

 護熾はただ逃げていただけではなく、逃げながら相手の気を探ってみるとどうやらゼロアスよりは三人の方が強さは劣ると判明している。

 なので死纏状態を展開させれば何とか有利に戦えるが相手が三人なのでその線はいささかあまり上策とは言えなかった。

 なので相手をバラバラにしてから一人ずつ相手をしたほうがいいと考え、呼吸を整え、心を落ち着かせ、その作戦を実行に移そうと体を動かそうとしたときだった。

 突然後ろから誰かに抱きしめられる、というより締め上げられる感覚が襲いかかり、何が起こったのか分からずに後ろに頭を向けさせる先程の茶色の体躯の良い大男が護熾を両腕で拘束していた。


「…………捕まえたぞ」

「なっ! くそっ、離しやがれ!!」


 突然の出来事で一気に冷静さを欠いた護熾は第二解放を試みるが男の力が徐々に増して腕の骨が悲鳴を上げ始めたのでそれどころではなく、そこから抜け出そうと必死に藻掻き始めた。


「…………! どうやらタイアントが捕獲に成功したらしい、行くよユニス」

「はいはいィ〜 鈍くさいあいつにしてはやるじゃん」


 タイアントの動きで察知した白コートの男とユニスと呼ばれた女性は急いで二つ隣の校舎の方へ向かい始める。

 少し進み、校舎の裏側の影ができている場所へ行くと察したとおり、タイアントに捕まり、未だに藻掻きに藻掻いて抵抗を示している護熾が必死に抜け出ようと見苦しくしており、ユニスはその姿を見てクスッと笑い、白コートの男は眼鏡越しから護熾を見る。


「ご機嫌よう眼の使い手さん」

「くそっ、何だてめぇらは!?」

「おっとあまり興奮するな。“解析”ができないじゃないか」


 白コートの男はそう言い、マジマジと観察するように、そして時折スンスンと匂いを嗅ぐように鼻を動かしてから


「…………本当に微かしか匂わない……ホントに君なのか【理解者】は?」

「だから何だって言うんだ!?」

「……少し本気になってもらうしかないな」


 護熾はその言葉を聞いてタイアントの呪縛から逃げ出そうと腕が千切れるんじゃないかという力を込めて力の小競り合いに臨むが相手はピクリとも力をまったく緩めない。


「今、もう一人のあの女はゼロアスと戦っている。」

「!!」

「それに見ろ」


 ゼロアスという名前に反応し、その怪物と戦っているのがユキナだと知らされると護熾はピクンと藻掻くのを止め、驚愕の表情で白コートの男に顔を向ける。

 男は眼鏡に手を添え、もう片方の手で校舎の屋上の方に指を指すと


「あそこに二人ほど女がいる、ただの人間達だよ」

「…………斉藤まであんなところに……!」

「それを僕たちがどうすると思うかい?」

「!!! まさか……!」

「そう、そのまさかさ」


 指先の延長戦の校舎の屋上には確かに二つの人影が見える。

 どうやら二人のうち千鶴は上空を心配そうに見つめており、イアルは護熾の位置を割り出そうとしているらしくしきりに機械を覗き込んでおり、こちらには気が付いていない。


「あの二人のは君の仲間だろ? じゃあそれに手を掛けたらどうかな?」

「……止めろよ……行ったらぶっ殺すぞ?」

「そう、その意気だ。少しだけ濃くなったじゃないか。じゃ」


 徐に掌を二人に向け、そこに赤く禍々しい光を蓄え始めると丸い球体が出来はじめ、その一帯をその色に染め始めると男は微笑んで


「殺したらどうなるかな?」

「!!!! 止めろぉおおおおおおおおおおお!!!!!」


 吠え声が響き渡り、同時に敵の線が放たれ、真っ直ぐ気が付いていない二人に向かって伸び始める。

 遅れてイアルが護熾の吠え声に気が付き、そちらにバッと顔を向ける。

 だがそこにいるのは護熾ではなく、火山の噴火のように校舎を突き破って出てきたところだった。


「あ………斉藤さん!!」

「え…………」


 イアルの方向に顔を向けた刹那、千鶴は体を突き飛ばされ、そして瞬間、紅い閃光が自分がいた場所、自分を突き飛ばしたイアルに襲いかかり、そこが太陽のように閃光が奔り、目を開けたときには―――そこは綺麗に抉られて跡形もなく消えていた。


「え……そんな……黒崎さん……黒崎さん………いやぁぁああああああ!!!!!!」


 ようやく目の前で起きた事を理解したとき、千鶴は口を押さえて崩れ落ちるように悲鳴を上げた。自分を助けて死んだ。自分の所為で人が死んだのだ。




「くっふふふふふ!!! あっははははははははは!!!」


 線を放ち終えた白コートの男は高らかに楽しそうに笑い、両手を上げて空に向かって声を上げ、そして一言。


「やっと本気になってくれたようだね。」


 そこにはタイアントが驚愕の表情で茫然と立ち尽くしており、腕にはもう誰もいなかった。





「やだよ……何で…………」


 顔を下に向け、ポツポツと二滴、小さな雫が落ちてコンクリートの床を濡らす。

 そして拳を握りしめ、床に捻り込むように手を埋める。


「何で……身代わりに……」


 あのときイアルの言葉を素直に聞き入れ、教室でみんなと大人しくいればイアルは死なずに済んだ。それなのに自分はエゴでこの結界内の空間に共に入り、そして結果、反応に遅れた自分が足手纏いになってしまったのだ。

 それは、いくら否定しても変わらない事実。

 ふと、自分の落とした視線に人影らしきものが映り込み、涙でくしゃくしゃになった顔を上げて影の主を見ると


「あ……………」


 そこには風もないのに―――生きているかのように靡く常磐色のノースリーブコート。

 そして見る者を落ち着かせる鮮やかな翠色の髪と瞳。

 そして本人の怒りの感情に呼応するようにとんでもない数の火花がバチバチと音を立ててそのコートを羽織り、腕には力なく気絶し、しかし生きているイアルを抱きながら、怒り心頭の護熾が千鶴など眼中にない表情で


「よくも……殺そうとしやがったな!!」


 ぎりっと歯を噛みしめて二つ先の校舎を睨んでいた。






 同時刻、七つ橋町上空。

 雲が流れ、どこまでも続きそうな少し肌寒い風を町に送っている青空に五人の人影が七つ橋高校に向かって太陽を背に走っていたことに誰も気が付きはしなかった。



皆様、私が執筆を放り出したとか死んだとか(?)何だよこいつ復活したのかよと色々とありますでしょうが、とりあえず何の連絡も無しに一週間も黙ってて申し訳ありませんでした。

理由は簡単に言えばPCがあれになってしまって手がだせなかっただけです。

なので更新は少し遅れますが、その分一話一話の量を増やしますのでどうかよろしくお願い致します。

では!

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