ユキナDiary---第漆話 激変
そこは暗闇であった。というものの、耳は明らかに現実の音を捉えていた。
アスタは自分の瞼を動かせることに気が付き、眼を開けようとした。
それは自身でも驚くほどに重く感じ、ようやく細く開く。数秒の間、視力のピントが合わずぼやけた状態ではあったがやがてハッキリと映り込む。
初めは知らない天井が映り、場所がどこか分からなかったが消毒用のアルコールを嗅覚が捉え、首を動かして右を見てみると、絶えず数字とグラフを表示し続ける機械が一定間隔で作動音を出しており、よく見ればそこから伸びた電極が自分の身体に数カ所取り付けられているのが分かる。さらに取り付けられた箇所を見てみると、身体は包帯だらけであり、右腕も石膏で固められている。どうやら自分は病室か何かの医療機関にいるらしい。
(……俺は、一体……)
そこからその機器に表示されている日付と時間を確認すると、既にワイトを出発してから二十七時間経過していることが分かり、朦朧とする意識ながらも、あの時自分に何があったのか、その記憶を辿ってみる。
今から二十三時間前、アスタは中央にいた。
その日も愛する家族に見送られながらの出発であり、途中で同じく出勤してきたシバと合流し、中央に着いた時であった。初めは通常通りだと思い込んでいたが、どうにも中央内部にて一変した空気が辺りを包みこんでおり、何やら増援が必要だという要請があったらしく、眼の使い手もその要望に含まれていたので最前線にいって情報を得る係を自ら承ったアスタから最初に赴くことになり詳しい事情は輸送機内で話すと伝えられて、もし大事に至るようであったら他の眼の使い手も投入するとのこと。
そうしてシバから気を付けていくように言われ、それに対していつもの飄々とした返事をし、他の部隊と共に輸送機内へと乗り込んでいき、現地まで運んでもらう流れになっていた。
タンデムローター式の超大型輸送機内は今から戦場に向かうということもあってか、沈黙に包まれていたが重苦しいほどではない。さすがに全員、怪物と戦うための訓練を積んできていたため落ち着いた様子ではあったが実際赴き、無事に済むかどうかは最後まで分からない。
相手である怪物は丸腰だが強靭な肉体と不可視化する能力があるのだ。こちらは圧倒的なリーチを誇る銃器と兵器、さらには熱源可視スコープなどの装備で怪物相手には優勢であることができる。ただしこれは怪物のレベルである場合。知識持ちでもある程度善戦できるが、名前持レベルになると眼の使い手でないと対抗できないのが現実である。
それが出てこないという保証は、誰にもできない。もちろん眼の使い手がいるのである程度は不安は解消されるかもしれないが、あくまで焼け石に水程度なので完全には払拭できないものである。
「諸君らに見てもらいたい資料がある」
そんなこんなで、ブリーフィングルームで集合した面々に、この機内に登場している小隊の隊長が説明する。映し出されているのは数十枚に及ぶ合成によってできた空撮画像と当時の映像である。それは今から向かう要請を受けた都市からおよそ三十キロほどの小さな街を真上から映しており、うっすらと上がる黒煙が左から右に流れ、極々小さな火災も発生しているようだが、その中でも一際眼を引くものがあった。
おそらくこの騒ぎの発端となっている街の左側に、何やら透明な結晶で覆われているかのような場所がいくつも映し出されているのだ。
「これは?」
「現時点では不明だ。しかしこのような事態を引き起こせるのは人間の手では難しい。それに今から向かう拠点となる都市『アグヌ』には多数の怪物と思しき目撃情報、報告が多数寄せられていることから信憑性は高いだろう」
それに、このような現象を引き起こせるのは怪物や知識持では難しいということも分かっており、ルーム内の兵士達に緊張が走る。
「諸君らも分かっているだろうが、まだ脱出できず籠ってしまった住人の救出をせねばならない。今のところ目立った被害は街の損壊や負傷程度で済んでいるがこれがいつ、血の海に変わるのかは我々の対応速度による。我々の任務は現地に赴き、逃げ遅れた住人の救出、及び退路の安全確保だ」
声を低くして全員にそう告げるようにした隊長自身も、隠しきれない緊張があった。
何しろ知識持以上の怪物がいる以前に、街に怪物が侵入しているという事実だ。どこまでやり遂げれば達成できるか分からない、いわば終着点の見えない無限マラソンのようなもので、なおかつその怪物に出会ったら一溜まりもないのだ。それでも兵士として上層部からの命令として、彼らは可能な限り完遂を目指さなければならない。
その中で、アスタはいつもの陽気さは抜け、静かに合成写真を見つめ続けていた。
それに気づいた分隊長が気が付き、声を掛ける。
「アスタよ」
「…………、って、あ、はい」
「……? 何を呆けておる。今から戦場に向かうというのに緊張が足りてないようだぞ」
「いや、緊張してるから黙ってるんですが」
「そうか、確かに普段ヘラヘラと知能が足りなそうな面をしているお前にしては中々の表情だ。武人と呼ばれているに相応しい。それならいい。だがしかし、今回はお前に大きな働きをしてもらわなければならない。いつも言っているが一人のミスが隊全体、もしくは街の住人達にまで影響するかもしれない。それを忘れるな。当然、お前達もだ」
隊長に声を掛けられ、隊の連中は身を引き締めるように一同、背筋を伸ばす。
いくら眼の使い手といえど、階級がある程度高くとも、年季のある隊長から見ればこの場に居る者達など子供同然である。それに対してアスタも表情に出さず、内心で苦笑いする。本気で掛かればこの隊の十倍以上の戦力を一人で持つ身であるが、自分より戦歴の長いベテランから悪ガキ扱いとは皮肉ではある。
しかしそういう遠慮のない、人生と戦闘の経験差で上を行く彼に対して同時にある種の安心感もある。
あと数時間で拠点とする都市アグヌから出て既に作戦が展開されているであろう。
しかし、今回の場合は少々事情が異なる。名前持がそこにいる可能性は否めない。
だが、自分は最善に近い結果を出すために尽くせばいい、そう思い彼を眼を瞑って来たるべき時に備える。
拠点、及び要請のあった都市アグヌに到着した面々を待っていたのは、さらなる状況悪化の報告であった。街の防壁を破って侵攻されてから既に四時間ほど経っているのだ。事態は既に死傷者が出るほどにまで悪化しており、街の命運は劣勢に立たされていた。今のところ居ると思われる名前持の姿は確認されていないが、今はステルス迷彩持ちの怪物たちの対処の方が優先ではある。
だからこそ、増援のために来た分隊員達は、改めて装備一式の確認を済ませ、既に出撃準備を完了させていた。一分一秒を争う事態となっていることを行動に表させた結果でもある。そんな中、アスタの方も準備を完了させ、分隊長の命令があるまで待機していた。
アグヌの中央部から分隊長たちが戻り、アスタのいる分隊は南のルートから行くことになったことを告げ、そこで非難している住人の救出、及び退路の安全確保である。街も街で万が一に備えて地下シェルターからの出口を地下通路を通じて脱出しやすい地域に設定していたので脱出の方は思ったよりも容易になっていた。そのうちアスタは退路の安全確保、及び現在の敵の『最高戦力』に備えて待機するよう命を受ける。
まるで発射口にて詰められた爆弾みたいな扱いだな、とアスタは街へ輸送している機内でただ一人苦笑したが、いつどこで姿を見せるかわからない最大の不安要素に対して即座に行動でき、なおかつ対抗できるのは現状ではアスタのみなのでこの役目は引き受けざる負えないものだ。それに相手の方にも眼の使い手という不安要素を与えて功性さを無くす、という考え方もあるがご生憎相手は人間ではなく正真正銘の怪物である。躊躇や情けなど一切ない。
(そういえば……)
ここでアスタは素朴な疑問を思う。奴らは何故その街を蹂躙しているのだろうか。
攫うためならば、というと随分と派手であるし、何より攫うのが目的だとしても倒される数の方が多いだろうし利益で言うのならば完全に大赤字である。
そこまでする理由とは何なのであろうか。眼の使い手をおびき寄せるのならばわざわざこんな遠い街を襲う意味もないし、そもそも相手の戦力はこれだけではないはずである。
(だとしたら、一体何の意味が?)
目的の見えない戦場に疑問を持ちつつも、機内の張りつめた空気とローターの回る音が作戦開始の合図を告げたので、彼は疑問を胸に秘めながらも、今なお銃撃と唸り声が絶えない戦場へと臨んでいった。
ユキナが拗ねてしまったという小さな騒動で護熾が二階へ向かったまま十分ほどが経過しようとしていた。残された男子陣は居間でそれぞれ暇を持て余しており、その潰しに打ってつけな二階への突撃も女子陣に中止させられ、けだるい雰囲気でいた。
そんな中でも、大凡二階で何があるのか見当が付いているガシュナは静かに過ごしていた。他人の恋沙汰に首を突っ込み気はさらさらないし、興味もないのだがご生憎自身の愛妻(現恋人と言う設定)の彼女は行ってしまってる状況である。
なので静かに温かいお茶(ミルナが護熾から借りたものを淹れてくれたもの)を飲んでいると、大凡本人にとっては予想外の出来事が起きた。
「ガシュナさん。ちょっと良いですか?」
不意に声を掛けられ、茶を飲むのをやめて顔を向けると、思わず怪訝そうな表情になりそうになる。
声を掛けてきたのはユリアであり、微笑んでこちらを見ていた。
ガシュナは内心に疑問を隠しつつ、平静を保ったまま丁寧に受けこたえる。
「何でしょうか?」
「以前からうちのユキナとミルナさんの交友関係を聞いておりまして、その中で一度あなたと言葉を交えてみたいと思いまして。迷惑でなければいいですか?」
「……構いません」
少しの間を置き、ガシュナは特に警戒することもないだろうと思い、了承の旨を伝える。
了解を得られたユリアはそっと微笑むと次のように話した。
「随分と、奥さんを大事になさってますね」
この言葉に、ガシュナは今日初めて驚いた表情をした。
別に否定するつもりはないし、むしろ肯定することなのだが、彼が驚いたのはそこではない。
眼の前にいる彼女はユキナの母親であり、娘から愛妻や自分のことも知っているであろう。しかし彼女が発した言葉はそれだけでは言いきれるものではない
ということは、と一つの答えにたどりつくと眼の前の彼女は微笑ましそうに続けて言う。
「ちゃんと、ミルナさんにあーんをしてあげてましたね」
「ッ―――――」
穴があったら入りたい、抱えられるなら頭を抱えたい。
そんな焦燥に駆られるとは、とガシュナは瞼を閉じてそう思った。
つまりのところ、彼女はこの家の中に居る全員があの男に注目している中、しっかりと目撃していたということである。バレずに隠密に済んだと安堵を付いたのは、今となっては馬鹿馬鹿しいものである。
「…………随分と、お恥ずかしい所をお見せしました」
「あ、いえいえ。そういう意味で言ったのではなく、単純に仲がよろしいなと思って言っただけです」
彼女は意図の違いに気がついて少し慌てるように言い直す。まあどちらにせよガシュナとミルナの二人の行動の一部始終を見てしまっているのは変わりないのだが。
するとユリアは何か神妙な顔つきになると顔を逸らし、
「これから世界では色々な問題が起こると思います。特に眼の使い手の皆さんは直面する機会があるでしょう」
「…………」
「ですが、それも杞憂で済みそうですね。そもそも心配する方が失礼でしたね」
そう、今の眼の使い手達はあの大戦から生き残り、そして一つの時代に終止符を打ってきたのだ。それにはそれだけのことを成し遂げさせるだけの原動力があったということ。護りたいから、共に歩みたいから、好きだと伝えたいから、今結ばれている眼の使い手達はそういう思いを胸に秘め、その日まで戦ってきたのだ。今更仲が良くないなどと、誰が思うだろうが。
「だから、これからも互いに想い合える仲でいてくださいね」
「そ、それは言われなくても……」
「あ、機会があれば是非お子様の顔も見せてくださいね?」
「~~~~~~ッ」
そう微笑んで言うユリアにガシュナはとうとう黙り込んでしまった。
かつて自分がある意味圧されている状況など、身内であるミルナ以外あり得ないと思っていたが、どうにも彼女は別ベクトルで無意識に攻められるようだ。それか、単にこの方面での会話の耐性がないだけなのかもしれない。とにかく母親と言うのはこういうものなのかもしれないな、とこの時の彼はそう思い、この会話は終了した。
そんなやり取りが終了してから僅か二十秒ほど。
何やら廊下の方に気配が密集し、とたん騒がしくなったのでそちらに顔を向けてみると、丁度二階に行った女子陣が帰ってきていた。さすがに覗き見を続けるのは良くない判断した女子陣は既に身を引いており、一階の居間に戻ってきたのであろう。
「お、戻ってきたな。で、二人はどうなってたんだ?」
戻ってきた女子陣に対し、沢木が腕を胸の前で組みながらそう尋ねる。何しろ野次馬気分で行こうとしたところを止められたのだから聞かなければ気が済まないのだろう。それに対して近藤が短く伝える。
「えーっとね。簡単に言うとにゃんにゃんしてた。主にユキちゃんが」
「くっそお~。海洞の奴マジリア充だな」
「もうちょっと詳しい状況説明プリーズ!」
と、ここで木村が手を上げてさらなる情報提供を求む。
「なんていうか、もうユキちゃんがデレデレなのよねー。それに対して海洞は頭を撫でたり少しだけ抱きしめたりと普段より優しい雰囲気で……二人っきりでも不純な行動一切しなかったわね」
近藤がそう説明する中、言葉の中に感心が含まれているようであった。それか初めて見る二人の様子に少々興奮に近い何かがあったかもしれない。そのことに何か羨望でもあるのか、近藤以外の女子陣は黙ったままほんの僅かに頬を朱に染めている。
その中で近藤だけは、二人の様子を見ていてできた疑問をとある人物にぶつけてみる。
「まあ、ここまで言っておいてなんですけど……ユキちゃんのお母さん」
「はい?」
「その、あの二人がどういう関係か御存知何ですか?」
例えあの二人がお似合いであろうと所詮、高校生の年齢での付き合いである。そのことについて親はどう思うのであろうか。そんな素朴な疑問に対し、親であるユリアは答える。
「もちろんですとも。護熾さんはお若いのにしっかりした方ですし、ユキナの方も随分気に入っているみたいです」
「じゃ、じゃあお父さんの方は?」
「え、ええ、あの人も認めてくださっていますよ」
最後に少し戸惑ってしまったのは、父、つまりアスタのことを聞かれた所為なのだが、彼女はそう答えた。何故こう答えたのかと言うと、護熾本人がどうにも死後の世界でアスタに会い、そして娘を貰ってくれるようにと頼まれたという話を聞いていたからである。もちろん直接本人に会って確認する術はないが、嘘ではないと信じている。
「何だよ、両親公認なのかよ。羨ましい以外の言葉が出ねえ」
「まあ、あの海洞だしね。あんたも中学の頃知ってるなら大体分かるでしょうが。私が千鶴に推したのもそういう理由があったわけだし」
「あはは、確かに海洞くんみたいな人は安心できるってのはよく分かるよ」
「確かにな。あいつ、誰かと付きあったら絶対別れなさそうだよなー」
海洞護熾という人となりを改めて考えると、結局のところユキナと付き合っているのが納得できるところが彼なりの人徳なのであろう。
一階でそんな会話を交えている間、二階では当の本人達の間で少しだけ変化があった。
今現在、完全に二人っきりの状態なのだが、部屋の中は先程なかった沈黙が辺りを包んでいた。
「…………」
「…………」
因みに今の状況を端的に上げるのならばあんパンは既に食べ終わり、互いに無言であり、尚且つユキナが護熾の右肩に甘噛みをしているという状態である。二人っきりになり、抱きしめてほしい時、そしてさらに機嫌が最高潮になると甘噛み行動に移すのは、護熾の中では既に想定内の出来事になりつつあった。
しかし、今回は少しその予想とは違ったものなので彼は一息置いてから、
「あー、何はともあれ……やれやれだよ」
そう言いつつも頭を撫で撫でするようにすると、彼女は気持ち良さそうに眼を細めてゴロゴロと喉を鳴らす。彼女はそれから噛みつくのをやめ、少しだけ体を離すようにするとこちらを見上げ微笑みながら言う。
「ふっふっふ~、そう言いつつも護熾はちゃんと応えてくれるからねー」
「そうしねえとちょっと不機嫌になる奴がいるからな。お前とかなー」
「う~、やめれ~」
護熾が少しふざけながらユキナの両頬をつまむと彼女の方も嬉しそうな呻き声でゴロゴロとし、顔を彼の胸に埋め、すりすりとする。護熾の方もそれを受け入れ、両腕で抱きしめるようにする。
相変わらず、少しだけ不安になる細い腰に小さな体。艶やかで長めの髪は甘い香りを出している。今も変わらず眼の使い手の能力は健在であるが、普通の状態はこんなにもか弱い少女であることを改めて思い知らされる。
そうしてある程度互いにじゃれ合った後、身体をいったん離し、
「まあ、そろそろ時間的に限界だな。ほら、戻ろうぜ」
「うー、名残惜しいけど心配させてるって聞いたしね」
さすがに時間を考えてそろそろ戻らないと来てしまう可能性も否めないので、護熾は誘うように言うとユキナの方も了承してベットから降りる。
「あ、ちょっと待って」
「何だ? ほらさっさと―――」
急にユキナが声を掛けてきたので、ドアノブを握って開けようとしていた護熾は怪訝そうな顔で振り向くと急に腕を掴まれて少し引き寄せられ―――不意に頬に温かいものが触れた。
「―――っと、これは今しかできないからね」
「…………お、まえ、なあ~」
「ふっふっふ~♪」
頬に軽い口づけをし、満足げに微笑む姿に彼は頬を若干朱に染めながらも、手を握ったまま彼女と共に二階を後にすることにした。
侵攻中の街はどこもかしこも黒煙が曇天に向かって上がっていた。
アスタ達援軍は指定されたポイントに向かう最中、その様子を眺めていた。その一端にはブリーフィングでも確認した透明な結晶のようなものも一つ確認できた。幸い、南ルートは侵入された様子ではなく、城壁内にて分隊員達は降りることができた。ここから近い避難所から輸送機にてアグヌまで届けるのが優先事項となる。
「いいか! 我々はこれからCポイントでの救助活動を行う。怪物どもは発見次第速やかに交戦に入り、確実に殲滅せよ。弾薬や薬品は限りあるものだ。怪我をするんじゃないぞ!」
分隊長の張った声に対し、隊員達は異口同音に了解、と告げる。
全員の返事を貰ってから、一度頷き、それから後ろに待機していたアスタに振り向くと次のように言う。
「よいかアスタよ。我々は怪物、若しくは知識持までなら対抗はできる。しかしそれ以上のレベルになると銃火器では難しい。もう一度確認する。お前は退路の安全確保、及び名前持の気や姿を確認次第そちらへ急行せよ。返事は?」
「了解!」
「よろしい! 一刻も争う事態だ! それでは行くぞ!」
怒号のように言い、分隊長は他の隊員達を引き連れ、駆け足で住人が避難しているシェルターの地下出口まで向かう。今回の作戦にて重要なのはいかにアスタが名前持に対して迅速に動けるかにかかっている。そのためには連れて行くのではなく、いつどこで現れても大丈夫なようにするには身を引かせておくのが一番である。大凡今回の戦いにて人間側と怪物側は互いの現在の最高戦力を早期に繰り出すようなことはしないであろう。戦況に歪が生じたその瞬間、どちらかが合図を無意識に発し、激突することであろう。
しかし現状、見えない戦力に怯えているのは人間側であって怪物側は容赦はない。この戦況が好転するには、アスタのような眼の使い手ではなく、まさに人間達でやり遂げるしかない。こうなると眼の使い手というのは思ったより万能ではないというのは、とうの昔に知ってるだけあって中々堪えるものだ。
(さて……今回は色々と気にかかる点が多いな)
彼は曇天の空を少しだけ見上げるようにしながら、そう思う。
(名前持すらいるらしいというこの戦場。一体何が起ころうとしてんだ?)
過去に名前持と幾度となく交戦した経験がある彼は思う。確かに今の街のような現状を目の当たりにしたこともある。ただ、その時とは何かが違うと頭の中で小さな針のように疼き続けている。もっと何か自分にとって重大なことを見落としてないか、そう考え辺りに首を回してみると、ふと目についたものがあった。
透明な結晶、それはまるで凍った池のように広がっているが見る限り害はなさそうであった。
アスタはとりあえず、その結晶が何なのかを知るためにその場から移動して向かう。
さらに近付いてみると冷気なようなものも感じられ、それは磨かれたかのような光沢を放っており、よく見ればところどころ凹凸が激しくなっており、道路の機能を奪い取っているようである。黒煙を上げていたのも操縦が効かずどこかに激突した車体のものなのかもしれない。
アスタは腰を屈め、その結晶に一度手を触れながら息を吐くように言う。
「なるほど。結晶じゃなくて氷みたいだな。それにこいつで車とかの移動手段を使えなくしているわけか。そしてトラックで住人達も運ぶ手段はもとよりできないとして……」
そう言えば画像を見たときも主要な道路ばかりに結晶、改め氷が覆っていたことを改めて確認すると同時に、もう一つの事実にも気が付いていた。むしろ、これで違和感の正体は掴めたのが答えである。
ただし、望みたくない答えであった。
「……名前持はどうやら本当にいるらしい」
違和感の正体。それはこの氷から発せられていた微弱ともとれる気力であった。ただし微弱と言うのはアスタが触れずに感じた場合であって今は直に触れて確かめている。
触れれば気力の大まかな詳細を感じ取ることが可能になり、相手の気力も大凡そこから推測が可能担うのだが、
(……だがこれ以上のことは分からない。名前持の気力なのは分かるが、どうやらこいつにはそれだけの情報しか残さないようにしてるっぽいな。それにこの氷…………よほど気の扱いに長けた存在、というわけか)
そう考えつつ触れるのをやめ、アスタは立ち上がると改めて自身に喝を入れるように胸の前で右拳を左掌に押し付けるようにする。どうやら今回ばかりタダでは済まないのは明白である。交戦も免れないであろう。
果たして、いる筈の名前持は一体何処にいるのだろうか。
鉛色の空を見上げながら、アスタはまだ見ぬ相手を思う。
遠く鳴り響く爆発音と銃声を耳にしながらも、救出班は迅速に目標地点まで向かっていた。
今現在通っている道路には乗り捨てられた車があっちこっち放置され、高層建築物には誰もおらず、時折吹く風によって塵が舞い上がっており、主戦場から離れているだけあってかつての活気が嘘のようである。
「目標地点までの距離は?」
「二百メートル先です。そこの広場に緊急用の出口があります」
救出班は既に目標地点近くまで着いており、今し方隊長が最後の確認をしているところであった。
ここまで交戦はなく、隊員達の弾薬は一切消費されていない。それは到着までには思いもよらない収穫ではあるが、最大の問題はここからである。
何しろ今度は避難している住人の護送だ。ここから輸送ヘリまでの距離は一キロもないが、避難している住人の中には子ども連れや老人などと言ったどうしても遅くなる因子が存在する。避難している中には誘導のために付いているここの兵士もいるであろうが、それを踏まえてもおよそ今いる隊員達だけで手一杯になる。つまりいざ襲撃されたら無傷で済むかどうか難しいのである。しかしこの人数でなければここまで来るには難しいし、これで向かうしかない。
「とにかく向かうぞ。現場に着いたら作戦通り、俺を含む数人いて住人たちを出口まで誘導。残りは退路の確保、及び周囲の警戒に努めろ」
隊員が全員了解、と返事をし、出口のある広場へと向かおうとすると、不意に砂利を微かに踏むような音が前方から聞こえ、隊長はすぐさま小さな声で、
「…………! 待て」
突如、片腕を横に突き出し隊員達の制止させる。
背後の部下達は突然の行動に固唾を飲んでいたが、やがて隊長が恐る恐る手に持っているスコープを覗き込む。
そこに映し出されるのは、先程肉眼で確認したのに関わらず、数匹の怪物が辺りを見渡しながら歩いている姿であった。もしこのまま気が付かずに向かっていたら、全滅(部隊の三割減)、最悪壊滅状態(部隊の五割減)になっていたかもしれない。そう思うと背筋に氷を入れられたかのような冷や汗が額をぬらす。
ただ好都合なことに、向うはまだこちらを発見できていない。
「こちらの匂いに気がついて来た、といった感じだな。すぐ後ろの二名は合図を次第、発砲を許可する」
「「了解」」
隊長のすぐ後ろに控えていた隊員は安全装置が外れていることを確認したのちにすぐに構える。
因みに彼らが持つ銃は全て減音器が組み込まれており、なおかつ物体から放出される熱赤外線を可視化する装置、熱線暗視スコープが付いており、これによって怪物たちの迷彩に対してある程度対抗が可能となっている。
隊長と共に銃を構え、スコープで動きを見て、機を計っていると怪物たちは何かに気がついたように立ち止まった。
「……! 撃ぇ!」
見逃せるはずのない絶好の機会。
隊長は声を上げると気の抜けた発砲音が三つほど響く。
その音とともに発射された弾丸は真っ直ぐ吸い込まれるように、立ち止まっている怪物たちに襲いかかる。
一体は胴体を数発の弾丸に射ぬかれ、一体は頭部に叩きこまれ、もう一体は前の二体がやられたことに気がついて回避行動に移ろうとしたが、その前に三つの気の抜けた銃声と共に射ぬかれ、それぞれが迷彩効果を失うと黒い塵がその場に積もり、風に巻かれて痕跡を消す。
怪物が死亡したときに残る塵が見えなくなったのを確認した後、
「発砲をやめろ。まだ近くにはいないか?」
「今のところは……」
「では今度こそ。やつらがここまで探索網を伸ばしてきているのは分かった。あまり時間がない。行くぞ」
主戦場となっている地域から漏れ出た怪物たちがここに来ているということは単にはぐれたのか、それとも避難所の出口付近に来ている人間の気配を感じとったかもしれない。どちらにせよ、ここまで戦火が伸びつつあるということは明白だ。
救出班はそのことを脳裏に浮かべながらも、一刻も早く住人を安全な地域に届けるべく、その場から広場の方へ足並みそろえて駆けていった。
「……そういえばミルナ」
「んぅ?」
二階にいる護熾とユキナが戻ってくるほんの数分前。
二階から戻ってきて隣に座り、コタツの温もりを満足げに感じているミルナに対して、ガシュナは一つの疑問をぶつける。
「髪型、変わっているな」
「気付いた? 近藤さんにしてもらったんだけど、どう?」
そう言って彼女は自分の結わえた長髪をアピールするように触る。
ガシュナは暫しの間、その髪型をじっとみつめるようにすると、彼女の方も何だか恥ずかしいのやら嬉しいのやらで頬を朱に染め始める。
そうなったところでようやく、彼は口を開く。
「……でもやっぱり、普段の通り髪を下ろしている方がいいな」
「え、っていうことはガシュナはこの髪型は、いや?」
「おっと、誤解を招いたな。別に今のままでも良いが……」
そう言いながら、彼女の髪を結わえているゴムを丁寧に取り、いつものふんわりとした髪が背中に掛ける。
「見慣れた髪型のほうがなんと言うか、落ち着く」
「そ、そう?」
「それに、せっかく良い髪をしているんだ。その方がいい」
夫にそこまで言われ、髪のことも同時に褒めてもらえ、彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
因みにラルモの方はアルティがじーっと見つめて(実は髪型が変わっていることで構って欲しく)いたのだが、ミルナほどの変化がないので気づくのが遅れており、丁度今それに気がついて驚いているところであった。
そんなこんなで彼女らの髪型を変えるという小さなサプライズは静かに終わった。
「全員乗せられたかっ!?」
「はい! ただいま全ての住人の名簿、及び確認作業を終えました!」
ローターが辺りに風を作り、土埃を巻き上げる中、最後の確認が終了していた。
救出の末、襲撃もなく待機ポイントまで避難している住人達を誘導できたことは僥倖であった。途中、アスタ達待機班も合流し、少々の遅れが生じたが今こうして輸送機に住人達を招き入れ、救出するという任務は完了しつつあった。
「パイロットよ! そっちはどうだ!」
『今すぐにでも着陸できますよ』
「よろしい、これより帰還するぞ!」
後部ハッチの内線を使って隊長が確認を取ると向うからも威勢の良い返事が来たのですぐに離陸の命令を下す。
住人達を輸送機の中に入れれば、一刻も早くこの場から脱出するのが望ましいことは明白である。
住人達の再安全確認後、隊長の合図により、輸送機は離陸を開始する。
ローターの回転を速度を上げ、垂直に浮かんだかと思えば、徐々に高度を上げていく。
すると他の地域で救出活動をしていた部隊も無事その任務を全うしたのか、ビルよりも高く上がった頃には同じ輸送機が離れたところで各所、複数脱出のために飛んでいるのを確認できた。しかしまだ残って任務を続けている部隊もあるし、戻ったら援護の任務を渡されるであろう。
だが、アスタは別の事に疑問と懸念を抱いていた。
(名前持はまだ現れていない。それどころか存在さえ感じられない。今回は単に襲撃の手伝いをした後すぐに去ったという可能性も否めないが、わざわざ証拠を残していく理由もない。牽制のためか?)
報告を聞く限り、怪物を数体射殺しただけで今回の任務は済みそうであるという。
住人が避難したことにより、軍の方はこれまでより規模の大きい攻撃が可能となり、戦火も鎮静へと向かうであろう。
しかし、ここでアスタは頭の片隅で何か、悪寒のようなものを感じる。それはほぼ勘と言えるものであったが、このまま無事アグヌの方へ行ける想像も難しい。
「……どうにか、ここまでこれたか」
ここで珍しく、ハッチ内にある簡易腰掛けに座った隊長が安堵の息を付く。
無理もない。何しろ今回は侵攻されている街の中を掻い潜ってきたのだ。それはほぼ敵の本拠地に潜入したも同義。めったにないケースにしろ年季のベテランも内心ひやひやものであろう。
その様子を見ていたアスタも、この人も結局人間なんだなと聞かれたら確実に叱られることを思う。
「これを言うにはこの戦いが済んでからが望ましいが、とにかく、全員ご苦労であった」
経験豊かな軍人が懸念する中、ちゃんと最後まで付いてきてくれた若き軍人はしっかりその任務を果たした。隊長から礼を言われ、隊員達もようやく安堵したのか、その表情は行きと違って綻びが見えた。
アスタの方もそれを見て、今はこの結果に喜ぶべきだと安心しようとした。
―――刹那、ハッチの向う側から凝縮される気を感じた。
「ッ!?―――――」
この安堵感を、この達成感を、ぶち壊しにしたそれに対し、アスタは叫んだ。
「隊長!!」
「!? ど、どうしたアスタよ!」
「名前持が出現した!! 早くハッチを!」
その言葉に対し、ハッチ内の隊員達の顔が驚愕の色一色に染まる。
馬鹿な、どうして、このまま見過ごしてくれなかったのかと。だがその中でも隊長は動き、それに気がついた最寄りの兵士も続き、後部ハッチ解放レバーに向かい、同時に引き下ろす。
ガゴンッ、と重々しい鉄の扉が沈み、風が内部に入り込む中、アスタはその開いた僅かな隙間に向かって走り、丁度人一人が通れるくらいかどうかの狭さの中、滑り込むように外へ出た。
自由落下の影響を受けて全身に冷たい風を受ける中、瞬時に髪と瞳を紅蓮の色に染め上げ、前を見据える。
そこには輸送機の半分はありそうな巨大な氷柱が鋭利な部分をこちらに向けて、下方向から突進してきていた。
それは先程中で感じた凝縮された名前持の気であり、彼はすぐさま迎撃態勢に入る。
氷柱に対し、アスタは身体を九の字に曲げ、両腕を頭の上で振り被る様にする。
すると握った拳のすぐ上に梵字が描かれた円陣が出現し、柄が直接握り拳に捻じ込む。
「うおぉぉりゃあアアあァあああああ――――――!!」
渾身の一撃を声とともに込め、接触する瞬間、鈍色の分厚い刀身を出現させながら振り下ろすと、何かが砕ける轟音とともに辺りに鉛色を映し出した大小の氷塊が重力を思い出したかのように飛び散っていた。その太刀筋は減速することもなく、さらに氷柱全体に罅割れを起こすと全てを叩き落していった。
その光景は丁度、ハッチを全開にし、見ていた隊員達もハッキリ視認していた。
「――――!」
だが、アスタは気付いてしまった。
下方に広がり大地のその先、―――先程の街の城門辺りに一つの気が居場所を示すかのように存在していることを。それは紛れもなく、街の中で、そして先程の氷柱で感じた名前持の気であった。
「…………」
まるでここに来いと言わんばかりの存在感であり、アスタは罠の可能性を踏まえて躊躇したが、すぐさまその許へ急降下で向かう。
『お、おいアスタよ! おい!』
耳に嵌めている連絡用イヤホンから無線で隊長の声がするが、いつまた先程のような手段に出られるか分からない中、そして無事避難させるには打って出るしかないのだ。
それに初めから俺がここに来た理由は、名前持と戦うためだしな、とアスタはイヤホンの電源を切り、虚空と言う足場を蹴ってブースター代わりにし、一直線に待ち構える敵の許へ向かう。
アスタが降り立ち、一つの決着がついた頃であった。
眼下に広がる荒廃とした土地を眺めながら、シュニ―は立っていた。
その背後に突如として静かな息遣いが聞こえたが、特に振り向くことはしない。その態度に対して溜息が聞こえたかと思うとその人物は声を漏らした。
「冷たいな、ってことは何か考え事か?」
若い男の声と呼べるそれは、そう尋ねる。
「パルシか」
「聞いたぜー。眼の使い手を一人半殺しにしたってことをな」
パルシ、と呼ばれた怪物、及び名前持は人間側から見れば十代半ばの濁った閃光のような髪の色をした少年のようであった。しかし両肩から生える背中にのけぞった角や黒塗り右腕は明らかに人間ではなく怪物の特徴を示していた。
一方、シュニ―はその質問に対して少し間を置いてから、静かに言う。
「あのことか。しかしすぐにでもやつは回復するだろう」
「お優しいことで。また遊ぶためかい?」
その言葉の中には何故殺さなかったのかという疑念と皮肉が込められていたが、シュニ―は特に反応することはなかった。パルシはその様子に呆れたように頭を掻く。
「……たくっ、で、その眼の使い手はどうだったんだよ?」
「ふむ、気力を見た感じでは中々だったな。ただろくに会話をしていないからよく分からん」
「眼の使い手は眼の使い手。俺達は俺達。話し合いなんぞできないさ。ほら、今も人間達もこの事態に煽られて大きく動き出したみたいだぜ。それにしても……」
そう言いつつパルシは耳を澄ませて何かを聞いていたが、それをやめて眼下に広がる荒廃した光景を眺める。
「あんたがこんなことをするなんてな。所詮、俺達と同じってことか」
「違うさ。私の考えはいつだって変わらない。それに本来はこんなことをしなくてもいい『無駄』な回り道さ。ただ今回は虚名持の方々では変な流れになってしまうから、私が打って出たのさ。あの方々は自分の実力に絶対の自信を持っているから、遊びかねない。それに――――」
そう言って一度区切り、シュニ―はここで初めてパルシの方に体ごと向けて対面する。
その瞬間、パルシは眼を大きくして驚愕の表情を浮かべた。
「相手との力の差があるうちに先手を打つ。その考えは少し甘かったようだ」
そう自重気味に微笑むシュニ―の体には回復してはいるが、明らかに一太刀浴びた跡があった。
それは見事に身に纏っているローブごと彼の右肩から左脇腹に一文字の切傷を残しており、微弱だが眼の使い手の気力がこびり付いていた。大凡だが対峙した眼の使い手を先手を打って戦闘不能にしたのはいいが、直前に受けてしまったのであろう。それが意味することは、その攻撃が通用したこと、そしてシュニ―が反応できなかった二点が挙げられる。
「怖いものだ。人間は様子を見てから徐々に全力を出していくが、いざというときにはこれほどの瞬発力がある」
「…………!」
「パルシよ。眼の使い手を決して舐めてかかるんじゃない。……なるほど、主はよく気付いてらっしゃる」
そう言って何か感心するような声を零し、もう一度振り返ってその光景を眺める。
その光景は、かつて街と呼ばれる人々が住まう土地であったが、今は見る目もないほど破壊され、荒廃しきっていた。人々の気配はなく、今は残っている人間がいないかどうか迷彩の偵察者達が徘徊していることであろう。
「さて、そろそろ私も行かなくてはならない。お前も直、召集がかけられるだろう」
「召集って、どこ担当だっけか?」
「決まっている」
僅かに呆れた声で、彼は言った。
「ワイト、眼の使い手の故郷だ。そして私が向かう先は―――」
そこでシュニ―はボロボロのローブを脱ぎ捨て、いつものマントを羽織った姿になると今度は何か覚悟を決めた声色で、自分の行く先を告げた。
「あの眼の使い手の居場所。アグヌと呼ばれる都市だ」
「都市か、ほう、だったらちょっとした『土産』も持って行かせないとな」
それに対して獰猛な笑みで答えたパルシは、その顔の横に僅かな火花を散らした。
全体的に今回はゆるーく展開されていく感じに終わりましたけど改めてタイトルと合わないことに内心びくびくしております。
というわけで予定通り(←?)遅れましたー! どうもすいませんー!
次回からいよいよアスタも知らずに勃発した大戦、及びワイトに焦点を当てていきます。では次の話まで、それでわ、ではでは~