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星の光 Another side

 月明かりに薄く照らされた夜空から、星が墜ちる。

否、あれは星ではなく剣だ。今まで幾度かこのような景色を目にすることはあったが、未だに慣れることは無い。

 遥かなる上空から飛来した剣は、轟音をもってその着弾を知らせる。

ここからでは着弾したであろう場所、すなわち大門の外の様子を窺い知ることは出来ない。だが、万に一つも外れたなどということはないだろう。

 その後、続けて複数回同じような轟音が微かに聞こえてくる。しかし、それが終わればもはや何も聞こえては来なくなった。

あるのは、ただ夜の静けさのみだ。

 どうやら、終わったらしい。


「無礼を承知で申し上げます。此度の件、王都の兵や彼らで十分対応できたのでは無いでしょうか?」


 跪いた姿勢のまま、口を開く。この問い掛けが無礼に当たることは重々承知している。しかし、問わずにはいられなかった。普段ならば、()がこのようなことをすることは無い。この程度の細事ならば、普段は王都の兵などが対処に当たっている。

 しかし、今日だけは違った。なぜか()自らが対処に当たったのだ。

なぜ、今日に限って。その疑問を放っておくことが出来なかった。


「お前の言いたいことは分かっているつもりだ。」


 ()が口を開く。こちらは跪いた姿勢で、顔を伏せているため、()がどんな顔をしているのかは分からない。だが、恐らくはいつも通り腰掛けたまま、頬杖をついているのだろう。そして、その顔には薄く笑みが浮かんでいるに違いない。


「わざわざ私が手を下すまでもなかった・・・・・・、そう言いたいのだろう?」

「はっ、恐れながら。」

「そうだな、お前の言う通りだ。この程度の細事ならば、兵達やかの冒険者(・・・)達で十分対処できただろうな。」

「では、何故―」

アレ(・・)だけは、この()の手で滅する必要があった。」


 全身が総毛立った。


 自分の前方でいつも通り腰掛けていた()が、いつの間にか全く気配も感じさせず自らの隣に立っていたことにでは無い。

いや、それも十分驚くに値することなのだろう。だが、今はそれよりも驚き、戦き、そして恐怖すべきことがあった。

 ()の言葉に、抑えきれない程の怒りがこもっていたのだ。

普段、()が感情を表に出すことは殆どない。いつも薄く笑みを浮かべているだけだ。

 その()が、怒りを露わにしている。それは、一体どれほどの激憤なのか。


「――ア、アレとは、なんでしょうか。」


 声が震えるのを、抑えることが出来ない。こういう時に、自らの未熟さが全くもって嫌になる。


「・・・歴史にすら忘れられた哀れなケモノ(・・・)よ。まさか眠りを妨げるだけでなく、複製までするとはな。」

「複製、ですか・・・。」

「アレが何かを知った上で此度の騒ぎを起こしたというのであれば、首謀者はなかなかいい趣味をしている。」


 恐らくは皮肉であろう言葉を吐き捨てるように言いながらも、()の怒りは徐々に収まっているようだった。

いや、正確に言えば違うだろう。収まっているのではない。押し込めているのだろう。


「一つ、頼んでもよいか。」

「頼みなどと・・・!命じてくだされば、この身を賭してでも。」

「そうか、では汝に命ずる。此度の首謀者、その正体を探るのだ。」

「お任せ下さい、我が王(・・・)よ。」

「頼んだぞ、ベディヴィア(・・・・・・)よ。」

「はっ、この剣に誓って。」





 一礼して、ベディヴィアが立ち去る。先程は少し驚かしてしまったかもしれない。

だが、それほどまでの怒りだった。よもや、この身を焦がすような激憤が、感情が自らの内にまだあるとは予想外だった。

 首謀者を探し出せ。そうベディヴィアに命じたものの、あらかたの検討は付いている。そも、あのケモノ(・・・)の存在を知っているものなど、今は片手で数えられるくらいしか残ってはいない。


「・・・・・・これほどの時を経て、未だに手を伸ばすか。」


 ならば、王としての自らがやることは決まっている。いや、あの時(・・・)とやることは変わらない。


「次こそ・・・・・・、次こそは・・・・・・」



次こそは、殺してみせよう(・・・・・・・)

そのための剣は、既に我が手中に。


初めてスマホで投稿したので、どこかおかしい点があるかもしれません。

後々修正しておきます。

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