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第六天魔王と呼ばれた男 ~VRMMOで魔王やってます~  作者: ネコルク
第二章 月下の因縁
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邂逅


「ノブナガさん、ノブナガさん」

「おう、どうした?」


 クロムに袖をくいくいと引かれ、回想を中断する。

 現在俺達は件の魔方陣近くに待機している。俺、クロム、ジルコが第二門の先の森林地帯の魔方陣を。アイン、アージ、ブロムが第一門の先の草原地帯の魔方陣を担当することになった。


「む、向こうの三人は大丈夫ですかね?」

「どうだろうな・・・一応前衛二人後衛一人でバランスよく分かれたから大丈夫だと思うけど。」

「そ、そうなんですけど・・・実は出発前に向こうの三人に聞いたんです。」

「おぉ!自分から喋りかけられたのか!偉いぞクロム!」


 あのぼっちのクロムが自分から喋りかけに行くとは・・・。


「も、もう!茶化さないでください!あと、あたしは話しかけようと思えばちゃんと話せます!」

「ウン、ソウダネー。」


 コミュ障はみんなそう言うんだよね。ノブ知ってる。

 もう、知りません!と怒ってクロムがそっぽを向いてしまう。


「あはは、ごめんごめん。それで、何を聞いたんだ?」


 クロムはまだ怒っていますと言わんばかりにこちらにジト目を向けてきたが、話してくれた。


「む、向こうの作戦と言うか、戦略を聞いたんです。こちらは一応決めてましたから。」

「まぁ作戦と言うか、俺達の面子じゃこれくらいしか取れる戦法は無いからな。」


 俺とクロムの前衛二人組みが敵の注意を引き、ジルコがその隙を突いて弓で狙撃するというものだ。

 時間帯は夜、そして場所が森林地帯とのことで弓での狙撃は難しいのではないか。そう思いジルコに聞いてみたが、「・・・・・・問題無い。」とのことだったので、ジルコには魔方陣近くの高い木の上に待機してもらっている。


「そ、それで、そちらはどんな戦略でいくんですか?って聞いたんです。そうしたら・・・」

「そうしたら?」

「ぶ、ブロムさんは『アッハッハ!蹴散らすだけだ!』って。アインさんも『殴って殴って殴り飛ばす』って・・・」


 俺は無言で手で顔を覆った。アインについては長い付き合いだ。脳筋の気があるのはなんとなく分かっていた。けど、ブロムもかぁー・・・ブロムも脳筋だったかぁー・・・。いや、見た目からして脳筋っぽいか。


「・・・ア、アージさんも全く同じ反応してました。」

「そりゃこうなるだろ・・・。あの二人を一緒にするべきじゃなかったな。」


 図らずも脳筋ブラザーズが一緒になってしまった。こうなってしまったらもう・・・


「アージに全てを託すしかないな、うん。」

「そ、そうなりますよね・・・」


 がんばれアージ。脳筋の手綱を握ってくれ。

 そんな話をしていると森の奥のほうから、いや、今は俺達が森の奥に陣取っているわけだから正確には森の入り口のほうからか。森の入り口のほうから、叫び声や戦闘音が微かに聞こえてきた。今夜は静かな夜なのも相まって、普段では聞こえないような距離から聞こえてきているようだ。


「は、始まりましたね。」

「あぁ、といっても俺達の出番はもう少し先だろうけどな。」


 今回のグランドクエスト『月下の異形』の第一段階、フィールドにアンデッド系やゴースト系のモンスターが湧き始める。これは時間が経過すればするほど湧く数がどんどん多くなっていく。そして、モンスターは魔方陣を破壊しない限り無限に湧き続ける。

 モンスター一体一体はそこまで強い訳ではないが、囲まれれば苦戦を強いられるだろう。

 果たして、どれだけのパーティーがここまで辿り着けることやら。

 闇夜に浮かぶ月を見上げながら、俺は来るべき戦いへ向けて精神を研ぎ澄ませていった。





 

「ケインさん!右からもう一体来ます!」

「了解!」


 動きこそ鈍重だが力は強いアンデッド系モンスター、『ゾンビ』。その腐った腕による振り下ろしを左腕の盾でしっかりと受け止め、右手に持った片手剣で確実に首を落とす。


「左のゴーストを頼む!」

「わかりました!『フレイムバレット』!」


 半透明の物理攻撃が通りにくいゴースト系モンスター、『ゴースト』。やつらには魔法が有効なため、後衛の魔法職に任せる。

 炎の弾丸をその身に受けたゴーストは、断末魔の叫びを上げながら消えていった。


 グランドクエストの第二弾、『月下の異形』。そのクエストエリアとなる第二門の先の森林地帯に俺達『蒼天の鷹』は来ていた。今回グランドクエストに参加したメンバーは12人。他の面々は用事でログインが出来なかった。

 このゲームでは一パーティー六人までなので、二つのパーティーに分かれて森へと侵入した。

 今回のクエストの目的は、『異常発生したモンスターの掃討及び原因の排除』だ。なので俺達も当初は目に入ったモンスターを全て倒しながら進んでいた。しかし、途中で違和感に気がついたのだ。最初は微かな違和感だったため気のせいかとも思ったが、時間が経つにつれて確信へと変わった。

 段々とモンスターの量が増えてきているのだ。今は何とかなっているが、これ以上増えるとまずい。もし囲まれたら、切り抜けるのは至難の業になるだろう。

 ただでさえグランドクエストは普段よりも難易度が上がっている。何故ならば、グランドクエストでは一度死んだらクエストに復帰できなくなるのだ。復活自体は出来るが、クエストエリアに入ることが出来なくなる。

 つまり、グランドクエスト中は全員が一つの命しかないのだ。これには賛否両論の声が上がったが、俺は緊張感が出て良いと思っている。


 話が逸れたな。とにかく、俺達はモンスターを片っ端から倒すのは途中で諦め、最小限の戦闘で森の奥へと進むことに決めた。

 そして進み続けること数十分、少しだけ森が開けた場所に辿り着いた。空を見上げてみれば、白銀に輝く月が俺達を照らしている。そのおかげか、森の中に比べて幾ばくか明るい。


「ケインさん、あれ・・・!」

「ん?」


 パーティーメンバーが指差す方を見てみると、微かに紫色に輝く魔方陣のようなものが地面に刻まれていた。もしやあれが・・・


「もしかしてアレが、異常発生の原因なんすかね?」

「かもしれないな。近づいてみよう、気を抜くなよ!」


 ゆっくりと魔方陣らしきものへと近づいていく。残り10メートルほどまで近づいたが、魔方陣らしきものには変化らしきものは無い。罠の類は無い・・・のか?

 その時、前方からいきなりパチパチと音が聞こえてきた。反射的に戦闘態勢に入る。

 魔方陣らしきもののその更に奥、その木の陰から何かが出てくる。この音はそいつが発しているようだった。

 影からこちらへとゆっくりと歩いてくるソレは、月の光を浴びようやくその正体を現した。漆黒のローブを纏い、拍手をしながらこちらへ歩いてくる。音の正体は、ソレが拍手をしている音だった。

 人型だったためアンデッド系のモンスターかとも思ったが、モンスターは拍手はしないだろう。ということは、こいつはプレイヤー・・・なのか?プレイヤーだとしても怪しすぎる。


「そこで止まれ!お前は誰だ!」


 剣を向け、目の前の人物に問いかける。目の前の人物は拍手を止め、質問には答えることなく語り始めた。


「おめでとう、お前達が最初にここに到着したパーティーだ。いやぁ中々来ないから、もしかしたら誰も来ないんじゃないかと思ったぜ。」

「質問に答えてもらいたいな。こんなところにプレイヤーが一人でいるなんて怪しすぎる。」

「おいおい、決め付けるのは良くないぜ。もしかしたらNPCかもしれないだろ?」


 確かに、そう言われてみればその可能性だって十分にあるのだ。なら、目の前のこいつはNPC・・・?と、そこまで考えたところで、まぁNPCじゃ無いんだけどなと言ってからからと笑い出した。こ、こいつ・・・!


「だがまぁ、ここに最初に到着したご褒美に一つだけいいことを教えてやろう。」


 そう言って、俺を指差してくる。その口調には、押さえきれないような笑みが滲み出ていた。だが、少し違和感を感じる。あいつが指差しているのは正確には俺ではない。その後ろの―――


「こんな風に相手がペラペラ喋ってるからって油断しちゃあいけない。なんせ俺達が今立っているのは、紛れも無い戦場なんだぜ(・・・・・・)?」


 瞬間、俺の後ろにいたパーティーメンバー二人の首が、月夜に舞った。




返信できていませんが、感想は全て読ませていただいています。

本当に励みになります。ありがとうございます。

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