表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第六天魔王と呼ばれた男 ~VRMMOで魔王やってます~  作者: ネコルク
第一章 六翼の魔王
11/28

魔王誕生

本日2話目の更新です。ご注意下さい。


 両脇の白い壁には、薄く光を放つ直径1m程の円形の青い水晶がはめ込まれており、それが明かりの役目を果たしている。

 部屋の各所には、恐らく黄金を用いているであろう装飾がなされている。だが決して派手な装飾ではなく、荘厳な雰囲気を醸し出している。


 正面には両開きの大きな扉があるが、その向こう側になにがあるのか想像もつかない。

 というかそもそも……


「なぁアイン、俺達は第一門にいたよな?」

「あぁ……そのはずだけど」

「ここどこだよ……!?」


 第一門から外へ出たと思ったら室内にいた。何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった。


「強制的に転移させられた感じか?」

「多分な。さっき視界に表示されたメッセージが原因か……?」


 ここに飛ばされる直前、視界にはあるメッセージが表示されていた。


『 刻は来た 集結せよ 』


 確かメッセージはそんな感じだったはずだ。何故だかこのメッセージに見覚えがあるような……?似たようなメッセージを見たことがある気がする。


「あぁ、そうかわかった!」

「なにかわかったのか、ノブ?」

「思い出した。確か以前『魔王』について調べたら、『まだその刻ではない』ってメッセージが表示されたろ?つまり、その『刻』ってやつが来たんだろう」

「つまり……『魔王』絡みってことか」

「あぁ、いよいよスキル欄の肥やしだった『魔王』についてなにか分かるかもしれないな?」


 この部屋には特に何も無いところを見ると、何かあるとしても目の前の扉の先だろう。


「もしかしたら、隠されたダンジョンって場合もある。アイン、一応戦闘準備はして置けよ?」

「おう」


 アインの武器はガントレットだが、普段から装備しているため特に準備は必要ないようだ。

 俺もいつでも戦闘に入れるように、右手を鞘に入ったままの刀の柄に添える。そして、左手で扉をゆっくりと押し開ける。


 両開きの大きな扉は、俺の予想に反し抵抗もなくスムーズに開いた。

 そして扉の先にあったのは、隠されたダンジョンではなく、大きな黒い円卓だった。


 そしてその円卓には合計4人の男女が既に着席していた。その4人の男女は、扉を開けたこちらを見るとなにやら喋り始めた。


「おぉ!!これでようやく全員揃ったわけだな!」

「まったく待ちくたびれたわよ」

「全部で6人で合ってるんでしょうか?」

「……そりゃ席が6つしかないんだ。そう考えるのが自然だろうよ……」


 席についている4人の内訳は、男性2人に女性2人だ。


「あー、すまん。よくわからないんだが座ったほうがいいか?」

「おう!座れ座れ!!まぁ俺らもよく分かってないんだがな!!アッハッハッハッハ!!」


 俺の質問に答えたのはなにやら元気な男性だった。テンション高いなぁ。

 俺とアインは取り敢えず空いている2つの席に座ることにした。これで円卓に座っている人数は6人、席は全て埋まっている。


「一つ質問していいか?あんたたち4人、もしかして……『魔王』ってスキル持ってるのか?」


 俺の質問に4人が頷く。やはりか……。あのメッセージの『集結せよ』って言葉からもしかしたらとは思ったが、ここにいるのは全員『魔王』をもっているプレイヤーだ。

 しかし何故俺達は集められたんだろうか?目的が見えないな……。


 そのようなことを考えていると、俺達が入ってきた扉が再び開いた。まだ来るのか?しかし円卓の席は全て埋まっているはず。だとすれば誰が……?


 扉から入ってきたのは、白い髪に白い服を着た女性だった。っていうか思いっきり知っている顔だった。


「あれ?アイだよな……?なんでここに?」


 そう。扉から入ってきたのは、俺がキャラクターを作成したときに会話して土下座したサポートAIであるアイだった。


「おや、ノブナガさんではないですか。お久しぶりです」

「あぁ、どうも。久しぶり」


 綺麗に頭を下げて礼をしてくるアイに、こちらも思わず礼で返してしまう。

 すると、隣の席に座っていたアインが小声でこちらに声をかけてくる。


「おい、ノブ。知り合いなのか?」

「え?お前は会ったことないのか?」


 キャラクター作成時に会っていると思うんだが。アインの質問に質問で返すと、アインは首を横に振った。

 他の面々を見てみても、どうやらアイのことを知っているのは俺だけらしい。

 アイに視線で説明を求めると、アイは全員に向き直り説明を始めた。


「ノブナガさん以外の方はお会いするのは初めてですね。初めまして、私はサポートAIのアイと申します。以後、お見知りおきを」


 そういって相変わらず律儀に腰を45度に折り、礼をする。


「今回はわざわざお集まりいただきありがとうございます。これより、皆様にお集まりいただいた理由を説明させていただきます」


 自ずと全員の視線がアイに集中する。一体どんな理由で俺達を集めたというのか。


「皆様には、これより魔王となっていただきたいと思います」

「――は?」


 その声を上げたのは誰だっただろう。いや、それが誰だとしても俺達の思いは一致していただろう。

 すなわち、「なにいってんだコイツ?」と。


「疑問に思われるのも無理はありません。もう少し詳しく説明させていただきます。この『Next World Online』では、グランドクエストの結果によってストーリーが変化していくことは皆様ご存知だと思われます」


 ……そうなのか、初めて知ったぞ。他の面々を見てみると、どうやら皆知っていたようだ。

 よし、俺も知っていた体で頷いておこう。


「ですが運営陣は、それだけではつまらないと考えました。我々はこの世界をできるだけプレイヤーの手に委ねたい。プレイヤーの行動でストーリーが変わるのならば、敵役の一部もプレイヤーに担ってもらおう。そう考えたようです」

「……つまりなにか?俺達にプレイヤーの敵となって戦えと?」

「簡単に言えばそういうことになりますね」


 しばらくの間、静寂が全員を包む。思ったよりなかなか壮大なことになりそうな気がする。

 すると、1人の男性が声を上げた。


「……少し説明に具体性が欠ける。具体的にはどんな風に敵になるんだ……?」

「そうですね、具体的な説明をする前に。皆様にはここで選択していただく必要がございます」

「選択?」

「はい。魔王になるか、ならないか。これ以上の具体的な説明は、魔王になると選択していただいた方にしかお話できません。もちろん、ならないと選択された場合も特にデメリットはございません。このままお帰りになることが出来ます。ただしその際、ユニークスキル『魔王』はなくなりますのでご注意ください」


 アイの言葉を聞き、考える。『プレイヤーの敵となる』、それはPKなどとは大きく違う意味での敵なのだろう。

 隣に座るアインに視線を向けると、ちょうどアインもこちらを見ていた。


「アイン、お前はどうする?」

「俺か?決まってるだろ、やるさ。こんなに楽しそうなこと逃すわけにはいかねぇよ」

「楽しそう……か。確かに、楽しいかもな」


 魔王となり、プレイヤーの敵となる。勇者となって魔王を倒す、なんてことはゲームなら何度も経験した。だが魔王になったことはない。


「ノブはどうするんだ?」

「お前がやるなら俺もやるさ。なにより、魔王になれば強いプレイヤーと戦えそうだ」

「ノブならそんな風に言うと思ったぜ」


 他の面々を見てみると、この話を降りる人間は存在しないようだった。みな席に座ったまま、視線でアイに話の続きを促している。


「……皆様魔王になられるということでよろしいですね?では、具体的な説明をさせていただきます。皆様には、グランドクエストに魔王として参加していただきます」

「……つまり、グランドクエストでの敵になるということか」

「でも、戦力差がありすぎるんじゃない?向こうは何万といるのにこっちはたったの6人よ?」


 女性のうち1人が抗議の声を上げる。確かに俺達6人だけでは、プレイヤー達などとても相手に出来ないだろう。


「そこについては心配ございません。もちろんモンスターも敵となるため、正確に言うならば『モンスター+魔王』対『プレイヤー』という構図になります。どのようかに戦うかは、グランドクエスト毎に異なりますのでそのたびにお知らせいたします」

「グランドクエストで敵になるってのは分かった。それ以外のときはどうすればいいんだ?」


 俺の質問にアイは微笑みながら答える。


「普段は通常通りにプレイしていただいて構いませんが、いくつかの制限がかけられることになります」

「制限?」

「はい。まずPKをしても、アイテムやGを一切獲得できなくなります。その代わりにPKされてもアイテムやGを失うこともありません」

「それだけか?」

「はい、これだけです」


 ということは、普段は問題なくプレイできると言うことか……。PKについての制限は気になるが、おいおいその意味は分かるだろう。


「他になにか質問はありますでしょうか?」


 アイが全員を見渡すが、誰も質問は無いようだった。


「それでは私からの説明は一旦終了とさせていただきます。皆様6人の魔王の誕生を、心より祝福いたします」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ