表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

いざ、新世界へ

この小説は初執筆の作品なので、至らないところも多いかと思いますがご容赦ください


「なぁ、Next World Onlineってゲームやってみねぇ?」


 2033年7月24日、まさに夏といわんばかりの暑さと隔絶されたクーラーのついた教室内で、俺の親友である一条一(いちじょうはじめ)は唐突に聞いてきた。


「なんだっけそれ、最近発売したやつだっけか?」

「二週間前にね。テレビやらネットやらで散々広告されてたろ?」

「そういえばネットで見たような気もするな。『いざ、新世界へ』が謳い文句だっけか」

「そうそうそれそれ。面白そうだし、多分ノブは気に入るぜ。それに明日から夏休みだからさ。やり込めるじゃん?なぁやろうぜぇー」


 そう、一の言うとおり我が高校は明日から待ちに待った夏休みに突入するのだ。今年の夏休みは特に予定も入っておらず、なにをしようか考えていたところだった。なので、一の提案は正直嬉しい。だが、それを言うとこいつは調子に乗るので絶対に表には出さない。


「しかたねぇな、夏休みに予定が入ってない悲しいぼっちに付き合ってやる俺に感謝しろよ」

「事実だけどもうちょっとオブラートに包んでくれよ……」

「これでも三重くらいに包んでる」

「嘘だろ!?」


 そんなくだらない軽口のやりとりをしていると、いつのまにかホームルームが終わりみんなが帰宅し始めていた。


「じゃあ帰ったらまた連絡するから、ちゃんと買えよノブ!」

「あー分かった分かった。またあとでな」


 そう一と約束し、ノブと呼ばれた俺こと桐生信長(きりゅうのぶなが)はうだるような暑さの中、自宅への帰路についた。






 2025年、それまでのゲームを過去にするとんでもないものが発売された。ADAMアダムと銘打たれたそれは完全没入型のVRデバイスであり、ゲームの歴史を塗り替えるゲームデバイスだった。これによりVRゲームの大ブームが起こり、その中でもVRMMORPGという分野はとてつもない盛り上がりを見せた。

 それから8年、今ではVRゲームは日常となり、VRMMORPGも様々なタイトルが発売されてきた。だが今回発売された『Next World Online』、通称『NEXO』は今までのVRMMORPGとは一線を画すという。その理由はレベルとジョブがないことである。通常MMORPGでは、経験値を得ることで上昇するレベルと職業であるジョブはあって当たり前だが、なんとNEXOにはそれがないという。それらが無くてゲームは成立するのか?その答えはプレイしてみれば分かるだろう。


 というのが、俺がNEXOを購入し、ダウンロードしている間にNEXOについて軽く調べてみて分かったことである。

 レベルとジョブが無いというのはさすがに驚いたが、なるほど確かに面白そうだ。


「ダウンロードも終わったみたいだし、早速やってみるか」


 既に夕飯を食べ終え風呂にも入り、ぶっ続けでプレイする準備は万端だ。一に「今からインする」とメールをしておく。ADAMの5世代目のVRデバイス、ADAM-Vを装着してベッドに寝転がる。


「ADAM、スタート!」


 そのADAM-Vを起動させるための言葉とともに、俺の意識はまだ見ぬ新世界NEXOへと沈んでいった。





『ようこそ、Next World Onlineへ。あなたの来訪を我々は心より歓迎いたします。』

 

 そんな言葉で俺を出迎えたのはショートボブほどの白い髪の毛をもつ女性だった。真っ白なぴっちりした服を着ており体のラインがだいぶ出てしまっている。胸は意外とちっちゃい。


『私はサポートAIのアイです。あなたさまのサポートをさせていただきます。よろしくお願いいたします」


 そういって律儀に45度に腰を折り礼をする。そういえばネットにNEXOはAIのレベルがめちゃくちゃ高いって書いてあったな。


『それではまずキャラクターの外見を設定していただきます。キャラクターは、基本的にスキャンしたデータを使用しますが、規約により最低3箇所は変更を加えてください』


 スキャンとは自らの身長、体重、外見のデータをADAMにスキャンさせることである。これを利用すれば自らそっくりのキャラクターをすぐに作成できるのだ。ただ、完全に同じではいろいろと問題が生じるため、今アイが言ったように何箇所かは変更する必要がある。

 どうやら変更できるのは髪型や髪の色、目の色など細々としたものらしい。

 しかしどこを変更したものかな。俺はこういったキャラクターの外見にあまり凝らないから、正直言ってめんどくさい。


「ランダムで変更してくれる?」

『了解しました。ではプレビューを表示いたしますので少々お待ちください。』


 ダメ元で言ってみたら案外やってくれるんだな。今まで様々なVRMMORPGをやってきたが、こういったキャラクター作成画面でAIがいるのは初めてだから少し面白いな。NEXOのAIは優秀らしいがどの程度か、少し会話してみるか。


「あのー、アイ、さん?」

『アイ、で結構です』

「あぁ、じゃあアイ、ランダムで変更ってアイが勝手に決めてんの?それともただランダムで決まってんの?」

『そのようなことを聞く方はあなたが初めてですが、ランダムに関しては私が決めています』

「へぇ、じゃあアイのセンスにかかってるわけだ。まぁAIにセンスがあるかどうかは不明だけど」

『そこまで私のセンスがご心配ならご自身で設定されてはいかがですか?』

「いやいや、めんどくさいからね。任せるよ」


 アイは少しむっとしたような表情になり作業に戻った。驚いたな、まるで人間と会話してるみたいだった。NEXOのAIは本当に優秀らしい。ここでむくれてるほっぺつついたら怒るかな?


『怒りますよ』

「うぇっ!?なんで俺が考えてることわかったんだ!?」

『ADAMは脳の状態を逐一スキャンしていますから、あなたの考えていることは全て分かりますよ。ちなみにあなたが私の胸元を見て意外とちっちゃいななどと考えていたこともわかっていますので。』

「すいませんでした」


 俺に出来るのは速やかに土下座を敢行することだけであった。まさか筒抜けだったとは。


『別に構いませんよ。これはデザイナーの趣味であり、私にとってはただの外殻に過ぎません。そしてあなたの外殻もちょうど完成したのでプレビューを表示します。』


 そう言いながら、目の前に俺のキャラクターが表示される。そしてアイが少しむくれている気がする。お前ほんとにAIか?

 表示された俺のキャラクターは確かに何箇所か現実の俺とは異なっている。現実より少し髪が長くなっており、髪の色も黒色から赤みがかった黒色になっている。そして目の色が真紅に変更されている。あとは顔立ちもほんの少し変更されている。


「うん、いいね。かっこいいじゃん」

『ではこれで決定いたしますか?』

「これでいくよ。アイなかなかセンスいいじゃん」

『では次にプレイヤーネームを設定してください』


 スルーかよ。絶対さっきの会話根に持ってるだろ。


『もっていません』

「いや絶対もってるだろ!……まぁいいや、名前はノブナガでよろしく。」

『わかりました、では「ノブナガでよろしく」で登録いたします』

「違うッ!!ノブナガだけだ!ノ・ブ・ナ・ガ!AIなのにそんなこってこてのボケしてんじゃねぇよ!」

『申し訳ありません、わざとです』

「知ってるよ!どう考えてもさっきの仕返しだろ!」


 ていうか頭の中覗けるんだから間違える要素が無いだろうが。


『それではこれでキャラクター作成を終了いたします。チュートリアルは世界に降り立ってから開始いたします。それではノブナガさん、よい冒険を』

「あぁ、ありがとよ。アイと話すのもなかなか楽しかったぜ。じゃあな」

 

 視界が段々と白く染まっていく。遂にNEXOの世界に降り立つのだろう。最後にアイを見てみると


『私もです』


 なんて言って笑いやがった。ちくしょう、かわいいじゃねぇか――

 そこで俺の視界は完全に真っ白に染まった。






 視界が戻ると、そこは街の中のでかい噴水の前だった。ここがNEXOの世界か。少し感慨に浸りながら周囲を見渡していると、俺に向かって走ってくる人影がひとつ。プレイヤーネームは……『アイン』か。ということはあれは一か。アインは短い金髪に蒼い瞳だった。あいつも顔立ちはあんまりリアルとかわんねぇな。


「おーいノブー、だいぶ遅かったな。何してたんだ?」

「AIに土下座してた」

「は?」




 


『それから13年』→『それから8年』に修正

キャラクター作成時の部分を一部修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ