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第8話 野球ゲーム2
ボテボテの打球がショートに飛んで、先頭バッターを打ち取ったと思ったが、ショートがファーストへ悪送球をしてしまい、2塁まで行かれてしまった。
「まずいな」と思い、数馬の顔を見てみると、本当の野球の試合でもしているかのような真剣な表情でテレビ画面を見つめていた。
匠も負けず嫌いだが、数馬も匠くらい、いやそれ以上に負けず嫌いである。
次のバッターが送りバントを成功させ1アウト3塁。
手汗でコントローラーが滑る。
ズボンで汗を拭き取り、コントローラーをぎゅっと握り直す。
次のバッターをなんとか三振に仕留めて、2アウトまでこぎつけた。
次のバッターを抑えればゲームセット。
しかし次のバッターは数馬の大好きな選手であり、去年大活躍し、このゲームでは1番と言っていいほど能力が高い設定になっている。
際どいコースを攻めて、順調に2球で2ストライクまで追い込むことができた。
3球目、4球目とボールになり、5球目が勝負球である。
何回も対戦しているので数馬の弱点は分かっている。
数馬が苦手なインコースの高めにストレートを投げた。