7/8
第7話 野球ゲーム
部屋に戻ると、2人は奇声のような声を出し、ゲームに夢中になっていた。
9回表が終わり、数馬が5-3で勝っている。
9回裏、匠の最後の攻撃。
先頭バッター、空振り三振。
2人目はサードゴロであっさり2アウト。
片方はニヤニヤし、もう片方はなにか苦いお茶でも飲んだような顔をしている。結局、最後のバッターは三球三振で試合終了。
「匠弱っ!!」
からかうように数馬が言った。
それに対し、負けず嫌いの匠が大きな声で
「たった2点差だろ!紙一重、紙一重、次やったら俺が勝つし!」
負け惜しみじみたことを言いながら、コントローラーを僕に渡してきた。
次は僕と数馬が対戦する。
このシリーズのゲームは5年前くらいから何十回、何百回もやっているが、数馬に負けたのは片手で数えられるほどだ。
匠にも同様である。
そのくらいこのゲームは得意だ。
試合はどちらも点が取れず、0-0で8回まで進んだ。
8回表にホームランを打って、やっと僕のチームに1点が入った。
「よっしゃー!」
手を叩いて喜んだ。
この時点で「今回も勝ったな!」と思った。
1-0のまま9回裏、数馬の最後の攻撃。