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第4話 迷い
この3人は幼稚園からの幼馴染で、小学校から中学校まで一緒に野球をしてきた。
ポジションは、僕がピッチャー、数馬がキャッチャー、匠がセンターを守っていた。
そして運が良いのか悪いのか、数馬は第一志望の高校に落ちてしまい、また、匠は勉強が大の苦手ということで、3人とも成岡高校に進学することになった。
匠とは薄々早い段階から同じ高校に行くとは思っていたが、まさか数馬とも一緒になるとは、なんだか嬉しい誤算であった。
数馬と匠は入学前から高校でも野球を続けると話している。
僕は野球を続けるか迷っていた。
中学ではそこそこ良い結果を残せて、高校でも続けたいなとは思っているのだが、
「中学の練習でさえもきつく感じていて、その上、体が弱く、ぜんそく持ちのやつに高校野球なんてできるのか?」
と弱気な思考を展開しながらキャチボールをしていた。
10分くらい経って肩が温まってきた頃、
「優も野球続けるよな!?」
いつもニコニコしていてお調子者の匠が突然、珍しく真面目な表情で聞いてきた。