魔王の剣5
絶体絶命の大ピンチだ。もう終わったかもしれない。確かにまだ俺の方が強さは上だ。でも、相手は俺の心が読めるというチート能力を持っている。さらに俺の剣はぶっ飛ばされてもう取りに行けない。
「オラオラ、どうした?元気がないぞ?投降するんだったら命まではとらねーぜ、さあ帰った帰った」
そうニヤニヤしながら言ってくる。非常にイラつく。誰が投降なんかするか!
「そう言ったってもうこれは積みゲーだぜ?」
いや、俺は諦めない。なにか、なにか方法があるはずだ!
結果、、、なかった。もうかれこれ一時間位戦っている。相手は完璧に俺を舐めていて心はもうほとんど読んでいない。かといって俺が剣を取りに行こうとすると全力で阻止しに来る。もう取りに行くのは諦めた。ってことでもはや俺に残された道は『逃げる』それだけだった。それももう終わりだろう。相手がこの戦いに飽きてきている。
「ねえ、もう飽きちゃたからさ、終わりにしようよ?心を読む能力、再開するよ?」
ああ、もう終わりか。エエト達に悪いな。あんなに信頼してくれていたのに。そして俺は次の攻撃を避けれずに、、、
あれ、簡単に避けれた。なんで?不思議に思っているのは俺だけじゃないようだ。
「なぜた、なぜ避けられる?それも簡単に?」
いや、こっちが教えてほしいです。
「分かった、分かったぞ!お前は今までずっと避けることによって経験値をためていた。だが、俺は剣の打ち合いをしていないから経験値を奪うことができなかったんだ!」
おお、わざわざ説明してくれた。ありがとうございまーす。
「ぐぐ、なめやがってー!」
そこからは立場が
逆転した。
「ほらほらー、当ててみろよ!」
「くっそー殺してやる!」
いやー、気持ちいなあ。相手は確かに俺の心を読んでいる。だが、それくらいでは埋まらないような差が出来てしまったのである。
「お前の成長速度がこんなに速かったとは、予想外だったぜ」
「そうだろ、もっと俺の事を褒めてくれよお!」
そして、俺は相手の顔面に向け、拳を放った。
「嫌だ、嫌だー!こんな奴に負けたくないぃぃぃ!」
こうして試練は終焉を迎えた。