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妄想が世界最強の第一歩?  作者: 上和 逢
プロローグ 妄想家のオーク
2/22

妄想家のオークの誕生

 俺の天職は…………【妄想家】だった。


 まず、天職とはなんぞや?というところから説明しなければならないのだが、この天職についての説明の前に理解しておかなければいけない事がある。


 それはステータスと呼ばれるものだ。

 これは、生きとし生けるものたちの能力を表していて、勇者育成学校ブロッサムでは月に一度調べられている。俺の先月の能力がこんな感じだ。


 姓名 オーランド・クランド

 種族 人族

 天職(**)

 能力値

 HP[18] MP[18]

 筋力[9] 耐久[9] 敏捷[9] 器用[9] 幸運[1]

 スキル

 《剣術⑤》《火魔法④》《鑑定⑧》《隠蔽⑧》《気配探知⑥》


 説明する必要はないとは思うが、HPは生命力で、これが0になれば死ぬ。MPは魔法を発動するときに消費するもので、筋力は攻撃力を、耐久は防御力を、敏捷はスピードを、器用と幸運はそのままの能力の高さを数値として表している。


 一見俺の能力が低いと思うかもしれないが、現段階では、HP・MPは18、その他すべての能力が9で打ち止めとなっているので、幸運以外は全て俺の能力がカンストしていることになる。幸運は……まあ、俺の見た目だったり色々あるからな。


 このカンストについてだが、数字の周りに[ ]がついているものは能力がこれ以上、上昇しないことを表しており、特に幸運は生まれたときから上昇しないものとなっている。他は努力次第で伸びるのだ。実は俺は、物語の中で時々現れる、努力する豚貴族なのでした。……言ってて悲しくなってくるな。


 次にスキル。スキルは基本的には自分の身体的な動きを補助してくれるものだ。例えば《剣術》のスキルは同じステータスであれば、持っていない人よりも速く剣を振れるようになるなどの補正がかかるといった感じだ。


 スキルの中にある〇に囲まれた数字はスキルのレベルを表していて、普通は最大がレベル9である。


 なんかやたら9が多いような気がしているかもしれないが、この世界では九柱の神様がいるので、それにあやかっているのだそうだ。


 さて、ここまでを踏まえて天職について説明しよう。


 先ほどのステータスを見て、気になるところがあったと思う。……まあ、もちろん天職のところだが、この天職と呼ばれるものは、持っているだけでその天職にあったステータスが飛躍的に向上するもので、新しいスキルなども手に入る。


 例えば【聖騎士】という天職になった場合、自身の能力が一律で5、スキルも2レベル向上する。さらには自分の得意な分野、脳筋タイプなら筋力、スピードで翻弄するのが得意な人間は敏捷が、天職を得た人間の能力の最大値である18まで努力次第で伸ばせるようになり、特殊なスキル《聖魔法》を覚える事が出来るようになるというおまけ付き。本当にチートである。


 ちなみに皆さん気になっているであろう勇者は、すべての能力が18になる可能性を得たり、《勇者》スキルを手に入れて成長スピードが格段に上昇したり、スキルを習得及びレベル上げしやすくしたりと、まさに何でもござれな状態だ。


 しかしそんなチートな能力を簡単に手に入れられるわけもなく、天職を得る事が出来るのは資格を持つものだけだ。


 そしてその資格だが、ステータスに(**)があれば資格ありと判断される。何もなければ資格なしで、天職を与えてくれるという祭壇に入っても何も起きない。まあ、そもそもこの学校に入る資格が天職を得る資格があるかどうかなので、この学校にいる時点で全員資格持ちなのだが。


 ともあれ、ここまでのことを理解したところで話を戻そう。

 俺の天職は【妄想家】だった。

 まあ、これだけでは何もわからないと思うから、さっき調べた(正確には、担任に強制的に調べられた)これを見てほしい。


 姓名 オーランド・クランド

 種族 人族

 天職【妄想家】

 能力値

 HP[18] MP[18]

 筋力[9] 耐久[9] 敏捷[9] 器用[9] 幸運[1]

 スキル

 《妄想⑨》《剣術⑤》《火魔法④》《鑑定⑧》《隠蔽⑧》《索敵⑥》


 見ての通り、どの数値も上昇していない。しかも、追加されたのは《妄想》スキルだけ。


 ……いや、絶対意味ないでしょこれ!? 全く将来性ないじゃん!? スキルはその行為を補助する役割だけれども妄想を補助してどうすんのさ!? というか、スキルレベル高!? 俺どんだけ普段妄想してたんだよ!?


 俺がそんな風に全力で心の中で絶叫していると、この結果を知った他の生徒たちから爆笑された。


「ブフッ……オークが妄想とか、マジオークじゃん」

「やばい面白すぎる!」

「しかも能力ももう上がらないみたいだし。終わったじゃん」


 これは他の侯爵家のやつらの言葉だ。マジオークという言葉の意味が分からないが、最後の言葉に関しては悔しいがその通りである。


 俺は周りの侮蔑の目を見て思った。


 あ、ヤバイやつだこれ、と。


 こうして、俺の学校での地位は、まさに最低にまで落ち込んだのだった。

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